第三百六十六話 『AIの癖』
「そうか、『スタン』だ!」
僕が叫ぶ。
サラの攻撃力でウォーマシンを倒すのは大変だが、部位攻撃による『スタン』はもちろん可能だ。
「そそ!みんな眠っててもらってる間に三人で1体ずつ倒しちゃう作戦!」
サラが作戦名を発表した。
===
「なるほどね。いい作戦だ、それなら勝てるかもしれない」
僕がサラに向かって言う。
これはなにげにバランスの取れたおもしろい作戦といえる。きちんと自分たちの有利な部分を押し付けられる作戦なのだった。
「私の状態魔法に、サラちゃんの機動力、ジュンさんの攻撃力を活かすわけですね!」
奈緒子もサラの作戦を分析して言う。
そこから奈緒子はこのあと起きることを予測して自分がやるべきことを理解した。みんなの動きをみて魔法の準備をしていた。
「『スローダウン』」
奈緒子はサラから見て一番遠くのウォーマシンに対し単体の動きを縛る呪文『スローダウン』を唱えた。
そう、このあと想像されるのは、ウォーマシン2体がサラ1人を狙うことだった。
「奈緒子ちゃんナイス!」
サラは引き続き、電撃をまとって、真ん中のウォーマシンめがけて走っていく。奈緒子の『スローダウン』のおかげで一番奥のウォーマシンのことは今は気にしなくてい。
「グオォォォォォ」
真ん中のウォーマシンが叫ぶ。
一番奥のウォーマシンと違い『スローダウン』をうけてはいないとはいえ、『スローエリア』内にいるので動きは遅い。
「動きが遅いということは、近づいてきてくれるのが好都合だと思っているはず」
僕がつぶやく。
そういう相手は自分の相手が間合いに入ってくれる瞬間を狙っている、はず。
そして、その瞬間になった。
ブンとウォーマシンはパンチを放った。
「そして、頭を狙うことを予測してるんでしょ!」
サラは言いながら、グッと重心を落とした。
そう、一体目のウォーマシンを頭部攻撃により『スタン』させたのをAIはシッカリ見ていた。
「サラはそれを予測してたのか!」
僕が叫ぶ。
これはつまりAIの頭の良さを利用したサラの戦い方なのだった。だからサラは堂々と一度『スタン』狙いを見せたんだ。
「そこのカウンターを狙うことはわかってました!サラパーンチ!」
サラは、ウォーマシンの攻撃を避け、その後隙にしっかりとカウンター。頭部への攻撃を叩きつけたのだった。
格闘ゲームで顕著だが相手の攻撃を空振りさせるというのはかなり有利な状況を生み出すのだった。
「グオォォォォォ」
それにより二体目のウォーマシンも『スタン』を受けたのだった。しっかりとこの準備をしていたサラだった。いままでの戦いからAIのくせを読み取ったのだろう。カンで!
「すごい。AIの裏をかくサラ」
僕はつぶやいた。
「AIの学習能力の高さを逆手にとったんですね!さすがサラちゃん!」
奈緒子も両手を結んで喜ぶ。
「へっへっへー!後1体ね!」
サラはにっこり笑っていった。
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