第三百六十五話 『スローエリア』
「また、サラの料理食べたいね」
僕が思い出してつぶやく。
「おっけぇ!ここで活躍したら、振る舞ってしんぜよう!」
サラはにっこり笑っていった。
大変な戦いが待っているようだった。
===
「いったん、タカヒロたちとは逆でやってみよっか!」
サラが言う。
タカヒロたちは、一対一を挑んで負けてしまった。
その逆ということは僕たちはバラバラにならず戦うということだった。
「『スローエリア』」
奈緒子が呪文を唱えた。
サラの提案から自分が何をするべきか考えたのだろう。素早く特定のエリアにいる敵を遅くする呪文を発動させた。
「いいね、奈緒子ちゃん!」
サラは言う。
いまの呪文で相手三体はスピードが遅くなった。
いつもは『スピードエリア』でサラのスピードを上げることが多いが、今回は一対一の場面をつくるために他のモンスターには邪魔しないでもらいたいのでこのセレクトなのだろう。
「タカヒロたちとは逆に3対3で戦うということだね。できれば3:1を三回やりたい」
僕が二人に言う。
一対一だと奈緒子が圧倒的に不利なので、僕たちはその方法を選ばない。3:1を三回というのは結構すごいアイデアだ。
「なるほどね!それならさっき勝ってるから三回やればいいだけだよね!」
サラが言う。
そう、3:1ならさっき勝っているのだった。
ならばそれを慎重に三回繰り返せば勝てる。
「1体を相手している間残りの2体が静かにしていてくれれば勝てるわけか、理論上は」
僕がサラの作戦を整理する。
3体が同時ではなく順番に出てきてくれれば、基本的には勝てるはずだった。
「なるほど、完全にわかったよ!」
サラが言う。
彼女は天才肌だから、いきなりひらめく。
そして説明するより早く行動にうつるのだ。
「『雷迅 - ライトニング』」
バチィバチィィィィ
サラはいつものように電撃のスキルを発動させた。
彼女は電撃をまとうことにより信じられない速さで動くことができる。
「よーっし、いっくぞぉぉぉぉ」
サラが電撃を纏い、準備を始める。
重心を低くし、床を蹴り上げる。
「とぉぉぉぉりゃぁぁぁぁ」
サラはスビードが下がっている三体のモンスターに向かっていった。
「よっ!」
サラは一人目のウォーマシンに近づいてしゃがんだ。
彼女の動きは高速だが、ウォーマシンは反応している。
「グオォォォォォ」
ウォーマシンはサラの足払いを警戒して、重心を落とす。
「待ってました!」
サラはそう言って、突如ジャンプして頭部に蹴りを与える。空中で横に一回くるっと回転して、スタッと着地した。
「グオォォォォォ」
ウォーマシンは吹き飛ばされ倒れた。
「そうか、『スタン』だ!」
僕が叫ぶ。
サラの攻撃力でウォーマシンを倒すのは大変だが、部位攻撃による『スタン』はもちろん可能だ。
「そそ!みんな眠っててもらってる間に三人で1体ずつ倒しちゃう作戦!」
サラが作戦名を発表した。
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