第三百二十四話『二卵性双生児』
「え?サラは双子見たことあるの?」
僕はサラに聞いた。
そう、これがあるあるじゃないということは、身近に双子がいるということなのだろう。
「見たことあるもなにも・・・」
サラは不思議そうに言った。
「私、双子だよ??」
サラはそう言って笑った。
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「ええええ!そうだったの??」
ぼくはかなり驚いた。
いままでそういう素振りは一切なかったからだ・・・。
と、そこまで思って、あれ?っと気がつく。
「もしかして、サラの話によくでてくるお兄さんって・・・」
と僕が、サラの顔を見ながら聞いた。
彼女の話にはよく兄が出て来る。このゲーム機『バーチャルウォーカー』もお兄さんのものを借りているとのことだった。
「そうだよ!双子のお兄ちゃん!」
サラはにっこり笑顔でそう言った。
「そうだったんですね!」
隣で話を聞いていた奈緒子も驚く。
「あれ?言ってなかったっけ?」
サラはそう言いながら微笑む。
全く聞いてなかった。
「すごい・・・これは叙述トリックだ・・・」
僕はそうつぶやく。
サラはたしかに一度も双子ではないとは言っていない。
たしかにミステリー界からも文句を言われないフェアなトリックだ。
「じょじゅちゅ・・・?」
サラは僕の言葉を聞き返す。
正確には少しかんで、聞き返せてなかったけども。
「叙述トリックというのは、ミステリーでよく使われる。当たり前のことをわざと叙述しないことによって、読者を勘違いさせる手法のことです!」
隣で聞いていた奈緒子が説明してくれる。
「そう、よくあるのが、実は女性でしたとか、実は犯人でした、とかそういうやつだね!結構これは難しいんだよ。まさかサラがやってくるとは・・・」
と僕はつぶやく。叙述トリックはかなり知的な遊びと言われている。運動能力全開のサラにやられるとは!
「あ、それ難しいの?ふふ、私の知能にひれ伏せたようだね!!」
サラはそう言って呟いた。
「え?狙ってやってたの?」
僕は聞き返す。
「ううん、たまたま!言うの忘れてた!」
にっこり笑ってサラが言う。
と、やっぱりいつものサラであった。
「そうだよね。安心した」
僕はつぶやく。
「ララちゃんとルルちゃんと違って私たちは兄弟みたいなものなんだよ!なんとかせいそーせーじ・・・?だっけ?」
サラはそう言って疑問を僕に投げかける。
「ああ、一卵性双生児と二卵性双生児ね!そうか、二卵性双生児の人はたしかに同時に生まれた兄弟みたいだっていうよね!」
僕が言う。ざっくり言うと、一卵性双生児はほとんど同じDNAで二卵性双生児は兄弟ぐらいには違うと言われている。
「あー、それそれ!二卵性双生児!・・・知ってましたよ?」
サラが半疑問形で僕の方をみながら呟いた。
「そうか、男女の兄弟だから、サラたちは二卵性双生児なんだね。彼女たちは一卵性双生児だから、そっくりだね」
僕はそうつぶやく。
「よし、というわけで双子対決だね!」
ビシッとポーズを取ってサラが言った!
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