第二百七十〇話『同時くらい』

「じゃぁ、仕方ない!」

とサラが言いながら、『アーマードリザードマン』が振り下ろす武器を避けるように横に飛ぶ。


そして、そのまま、もう一度反対方向にとんで、『アーマードリザードマン』の後ろに回りこんだ。


バチィ、バチィィィィと、足元に電撃が残る。


「いくよ!奈緒子ちゃん!」

と、言いながら、サラが『アーマードリザードマン』に後ろからパンチを打ち込んだ。


そう、奈緒子の魔法の通り道を開けたのだ!


「あいかわらず、なんという身体能力」

と僕が呟く。


僕が少しずつ体術が成長しても、サラが毎回最高クラスの体術をポンポン披露するのであった。


ガツン!


とサラに後頭部を殴られた『アーマードリザードマン』は「グエッ」と言いながら、一歩前に出る。


「よろしく奈緒子ちゃん!」

とサラが言う。


そう、そこには奈緒子の魔法攻撃を遮るものは何もない。


「了解です!『ファイヤーショット』!!」

と奈緒子がサラのタイミングに合わせて、炎の弾を発射する魔法を放った。


その弾道は一直線に『アーマードリザードマン』に向かう。


そして、硬直がとけた瞬間に・・・


モンスターに当たった!


「グエェェェェ」

と『アーマードリザードマン』が唸り声を上げながら消滅した。


「ナイス!サラ!奈緒子!相変わらず凄いね!」

と僕が二人に言う。


「やりましたね!」

と、奈緒子が胸の前に両手を持ってきて微笑みながら言う。


さらっと言っているが、遠隔攻撃で無敵硬直後を狙うのは普通は出来ない、瑠璃も連続で魔法を当てるということをやっていたが、それはあくまで自分の攻撃にタイミングを合わせていたのだ。


奈緒子はサラの動きに合わせている!!


「なるほど、どっちもすごいね」

と格闘家のアキラが言う。


「ふ、ふん!大したことないわよ!私達の方が凄いわ!」

と、剣士のサクラが言う。


「そうだね!私達も倒しちゃおう!」

と言いながら、レイラが『アーマードリザードマン』の視線を引き付けながら矢を放った。


「了解」

とアキラが言い。


「わかったわ!」

とサクラが言う。


二人は矢が当たるタイミングに合わせて動いた。


「グエエェェェ!」

と矢を受けた『アーマードリザードマン』が唸り声をあげる。


「よっ!」

と格闘家のアキラがしゃがんで蹴りを当てる。


「ナイス、アキラ!」

と剣士のサクラは言いながら、その倒れた『アーマードリザードマン』に向かってジャンプ状態からそのまま剣を突き刺した。


ドカァァァァン


と大きな音を立てて『アーマードリザードマン』は消滅した。


「よし!同時くらいね!」

と剣士のサクラが言う。


正確には僕らの方が速かったけど、負けず嫌いっぽいサクラはそういった。


「うん!やるねサクラちゃん!」

と、サラが微笑む。


「次のステージで勝負ね!」

と剣士のサクラがにっこり笑ってそう言った。

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