第二百三十二話『速射弓矢』

「おねぇさまは渡しませんよ!!ジュン!!」

と小柄な美少女アスカが言う。


「うん、気をつけるよ!」

と僕は笑った。


と、僕達は挨拶を済ませて、C級英雄ランク戦の第二ラウンドに突入したようだった。

彼女たちはどんな戦い方をするのか、そんなことを思っていると、BGMが戦闘の音楽に変わった。


「さて、早速敵が現れたぞ!」

と僕は言った。


「次の敵はなに?」

と、サラが僕に聞く。


「こどもの魔法使い・・・?」

と、サラが見た目から判断して聞く。

小柄なモンスター。

そして、なんとなく魔法を使いそうな衣装。


「ダークウィザードジュニア三体だ!」

そう、彼らは小柄な魔法使い。

僕はサラに説明する。

そして、チラッとサラの方を見る。


「だーく、うぃざーど、じゅにあ・・・?」

と、はてなマークをめいいっぱい頭に浮かべていた。

あ、専門用語使いすぎた・・・とその瞬間思った。


「あ、ジュニアはわかるよ!!子供のことでしょ!それはわかります!!」

えっへんと胸を突き出して自信満々のサラだった。

うん、たぶん中学生で習うからね。


「そうだね・・・ダークは闇とか暗黒とか、まぁ、悪いやつくらいの意味だね。ウィザードは魔法使いだね。男の魔法使いね、女の魔法使いはウィッチね!」

と、僕が言う。


「ほ・・・ほう・・・知ってました・・・よ・・・?」

と言うサラ。

ウィッチは確実に知らなかったっぽいな・・・と思った事は内緒だ。


「うん、そうだよね」

と、僕は笑った。


そうこうしていると。


「グオォォォォォ」

とモンスターがうなる。


「おねーさまは完全にお守りします!!」

と、小柄な美少女アスカが走りだしていた。


「みんなどういう戦い方するのかな?」

と、サラが言う。


そう、C級英雄ランク戦はお互いの戦い方が見られることが特徴だ。C級になると、グッとチームに特色がでることが1ラウンド目でわかっていた。


「エリカちゃんが大きな弓を持ってて、サヤカちゃんは普通の大きさの弓で・・・アスカちゃんは、籠手を使ってるから、格闘家?」

とサラが僕に聞く。


「惜しい!」

と僕が言う。


「惜しい?」

とサラが聞く。どれが外れたのだろう?と不思議そうな顔をしている。


「あの籠手は格闘家用の籠手じゃないね」

と僕が言う。


しゅたたー!

と、かなり小回りの効く走りで、アスカが敵の横に回りこむ。


「はい、みんな!おねぇさまの方じゃなくて私の方を向いてね!」

とアスカは言いながら、籠手を構えた。


「籠手を構えた?どゆこと・・・?」

とサラが僕に聞く。


簡単に言うと、右腕を伸ばして、相手に向けている、という状態だ。

確かに、普通の籠手だと思っていたら、良くわからない状態だ。


と、同時に、パシュッと、アスカの右腕、つまり籠手から、弓矢が発射された。


「うん、あれは速射弓矢だね。片手で打てる、機械式の弓矢だ!」

と僕が言う。


「そう、私達は、弓矢三人チームだよ!」

と普通サイズの弓矢を持つサヤカが弓を引きながら言った。

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