第二百十五話『傘型中剣 - アンブレラソードの真価』
「ははは、待っていたよ!私の『傘』の実力を見せる時が来た!!」
と、傘使いのリンコがばっと、ランコの前に走りだした。
「え?なにをするんだろう?」
と僕が呟く。
「こうするのさ!!」
と、傘使いのリンコはそう言いながら、バッと、傘を開いた。そして、敵の方に向けた。つまり、傘で自分たちの姿が敵から見えないような形になった。
「あ、傘を開いた!!」
とサラのテンションがあがる。
傘使いのリンコは、傘を開いて、狙われているランコの前にでる。
そして、『リザードマン』が放った。
『 獣水鉄砲- ウォーターショット』
つまり、口からの強力な『水鉄砲』を防いだ。
「すっごーい!傘で水鉄砲防いだよ!!すごいすごい!」
とサラのテンションはとどまる所を知らない。
子どもの夢がつまったような、トリッキーな戦い方だった。
傘でチャンバラをしない小学生などいない。
「あ、水だから、傘??雨ってこと??すごいすごい!」
ともうなんだか良くわからないテンションになるほど喜んでいるサラだった。
雨ガッパを買ったら、台風の中に走っていくタイプだろうな・・・サラは。と僕は密かに思った。
「あれがすごいのは、傘だから、傾斜が付いているってところだね」
と僕が説明する。
「けいしゃ?けいしゃってなに?芸者さんってこと??傘だけに!」
と、更にテンションがあがるサラ。
「違う違う!傾きのことだよ!兵器とかでもそうなんだけど、盾を真っ直ぐ構えると弾のエネルギーを全部受けてしまって、盾が壊れやすくなるから、ナナメにして、弾を上に弾くような構造にするんだ。戦車なんかでは、傾斜装甲というのが一時期流行ったんだ」
「ふむ、ふむ?」
とサラが言う。
「傘は斜めになるから、水を上に弾いたんだね!かなりおもしろい使い方だなー」
と、僕は彼女の戦いを見て、素直に感心した。
好きな武器のためにいろいろ考えている感じがすごく良い。
「よくわからなかったけど、すごいんだね!」
とサラは笑った。
「ふふふ、かっこいいだろう・・・」
と、傘使いのリンコが言う。
彼女達は自分たちの特殊武器に愛着があるのがとてもいいな、と思う。この『ラスト・オンライン』をかなり楽しんでいる。
勝つことだけではなく、いろいろな楽しみ方が出来るというのがこの『ラスト・オンライン』の売りでもあるからだ。
そして、リンコはそのまま、敵のもとに走っていく。
「君たちは、この『傘型中剣 - アンブレラソード』を棍棒のようなものと言っていたけれども!」
と言いながら、右手で持っている剣を少し下げて、傘の部分を左手で掴む。
「これが、ほんとの姿だ!!」
と傘から、剣が出てきた。
そう、傘の部分は『鞘』だったのだ。
隠し剣で、『リザードマン』を一体倒した。
「ふふふ、どうだい?『傘型中剣 - アンブレラソード』の真の姿は!」
とリンコは微笑んだ。
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