第二百六話『メジャー』

「すっごーい!!なにそれ!」

とサラが驚く。


「ふっふふー!すごいだろー!これが『連結中剣 - チェインソード』なんだからね!!」

と、美少女剣士ランコは『連結中剣 - チェインソード』を自慢気に振り、微笑んだ。


「うーん、こういう何かをみたことがある・・・なんだっけ・・・うーん・・・そうだ!あれだ!メジャーだ!!」

と、美少女格闘家のサラがその様子を見て言う。

彼女が言ったのは、巻き尺のことだろう。海外の野球のことではなく。


「あれも、剣にして戦うよね!」

と、サラが無邪気な笑顔で言う。

巻き尺をビーッと伸ばして固定化させるジェスチャーをする。

そう、あれは、子どもにとって良いおもちゃなのだ、挟んで怪我しやすくて、少し危険だけど。


「そう、そうなんだ!」

と『連結中剣 - チェインソード』使いのランコも食いつく。

やはりそのへんにこだわりがあるらしかった。


「コンベックスの事?」

と僕が聞く。


「コンベックス?なにそれ?」

とサラが聞く。


「なんだそれは?」

と『連結中剣 - チェインソード』使いのランコも言う。


「工作用のメジャーの事だよ!金属製のものはコンベックスと呼ぶんだ!」

と、僕が言う。

そう、工作用に使うメジャーはコンベックス。先端の金具で、先を引っ掛けて、木材などに線を引いたり出来る日曜大工向けの工具だ。


「し、しらないよー!」

とサラが答える。


「初めて聞きましたね!」

と奈緒子も答える。


「しらない」

と『連結中剣 - チェインソード』使いのランコも答える。


「伸ばして、ボタンを押すと固定、離すと、巻取り」

「そうそれ!伸ばして剣にして遊ぶよね!」

と僕の説明に対して、サラが言う。

男子がやりそうな遊びはすべててを出している感じのサラだった。


「ふたりで遊んで、片方が引っ張って、話すとめっちゃ怖いんだよ!」

とサラが確実に昔やったことがあるであろう危険な遊びを思い出して言った。

うん、それはかなり危険な遊びだから、良い子は真似しないように・・・。と心のなかで思った。


「そうなんだよー!これも戻ってくるとき、バチンってなって怖いんだからね!!」

と『連結中剣 - チェインソード』使いのランコが言った。


怖いんかい!!

と突っ込みたい気持ちも少しあったが、堂々と言っているランコを見て、それは少しためらわれた。


「なんでそんな武器つかってるんですか・・・」

と柔らかく僕が突っ込む。


「そんなの決まってるじゃん!!だって『かっこいいから』なんだからね!!」

と、『連結中剣 - チェインソード』使いのランコが自信満々に、少し高く剣を掲げながら言う。


と、言うと、傘使いのリンコと格闘家のレンコも頷いていた。

なにやら特殊武器にこだわりがあるチームっぽかった。


「次は私も見せたい!」

と一番普通そうな武器、刃物のついた籠手を装備する格闘家のレンコがそういった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る