第百十二話『ツノがある動物』

「ふふ、うまくいきましたね!」

と、軽やかに乗馬しながら奈緒子は言った。

奈緒子も騎乗できる動物を見つけたのだった。


「次は僕かぁ」

僕はそう言って、動物を探した。

サラがカピバラ。奈緒子が馬。僕は何にしよう。

かぶっていないのがいいなぁ、とは思うけど、実際に何がいいかは思いついていなかった。


「ジュンはどういうのがいいの?」

とサラが僕に聞いた。

もちろん、カピバラを撫でたままだ。


「うーん、かっこいいのがいいな」

と僕は考えながらつぶやいた。

具体的に何がかっこいいのかの定義はまだ終わってはいないのだけど。


「かっこいいの?竜とか?ユニコーンとか?ツノついてるやつ?」

とサラが笑った。


ファンタジーっぽい動物を並べるサラ。

よっぽど、竜に乗りたいのだろう。

ただ、カピバラの出現で若干興味が緩やかになっているようだ。


「いまの「騎乗 - ライディング」のレベルだと、いきなりそういうのは乗れなさそうだよね」

と僕はつぶやいた。

確かに竜には乗りたいけど、もうちょっと簡単な動物で「騎乗 - ライディング」レベルを上げてからじゃないと難しそうではある。


「ツノですか?ヤギさんとか?」

と、奈緒子が言う。


ツノで最初にヤギが出てくる奈緒子。

確かに一般的にはそうなのかも。

あとは鹿?修学旅行で出会う感じの。


「うーん、僕は鎧とか来てるし、ヤギはちょっとかわいそうな気もするなぁ」

と、具体的に想像して、そんなことを思った。

サラは軽い装備だから、カピバラに乗っても大丈夫なんだろうけど、と思った。


「そっか、体重も関係あるんだ。」

とサラは言った。


「そうだね」

と僕は答える。


「となると、力が大きくて、大きい動物?ウミガメとか?」

「ああ、ウミガメさんもなかなか可愛いですね!」

とサラの提案に、奈緒子が両手を胸に持ってきて微笑む。


「流石に、二人についていけなくなっちゃうだろうなぁ。スピード的に」

と、今度はスピードの事を考える僕。


「じゃあ?ワニとか?」とサラが言う。

「ああ、ワニって結構走ると速いんだよね。悪くないなぁ。なかなか、かっこいいかも・・・」

と僕は思った。


ワニは突拍子もないかとおもいきや、ワイルドでなかなかいいかもしれない。

背中に乗っていれば、食べられたりも死なさそうだな、と思った。


「でも!ワニに乗ってる剣士ってあんまりファンタジーじゃないね!」

とサラが笑う。

そう、そうなのだ。

珊瑚に会ったらゲラゲラ笑われそうだ。


「大きくて、力があって、そこそこ、速い動物かぁ」

と言いながら当たりを見回す。


「あ、ジュンさん!」

「うん、そうだね!」

と僕と奈緒子が同じものを見て言う。


「あー!それだ!!」

とサラも言った。


「「「サイ!!」」」

三人が一斉に言った。


「あ、そういえばツノついてる!!」

とサラが言う。そうかっこいいし、大きい。


「よし、決まりだな!」

と、僕はサイに向かっていった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る