第七十三話『希望のマイホーム』
「さて、どこから説明しよかな?」
と、珊瑚がマイホーム購入について、説明を始めようと僕らの顔を確認する。どこから話せばいいのかのきっかけを探しているようだ。しばらく考えて、あー、わからん。というそぶりをした。
「というか君らどこまで知ってるん?」
と、単刀直入に、僕らの知識レベルを確認することにした珊瑚。切り替えが早い。みんながそれぞれに応える。
「なんにも知らない」と、ゆっくり左右に首を振るサラ。
「何も知らないに近いね、土地を買うところから必要だということくらい。」と、僕が土地購入許可証をちらりと珊瑚に見せた。
「私も同じくらいです。」と奈緒子も言う。
「そかそか、じゃ、質問変えるわ」
と、頷きながら、切り口を変える珊瑚。やっと、とっかかりが見えてきたようだ。
「君ら、どんな家を買うつもりや?」
と珊瑚が三人に問う。その質問はとても良い質問だった。それが決まれば全てが決まる、逆算して、決めていけることが増えるからだ。
「お姫様ベッド!!ふわふわしたカーテンがついてるやつ!!ある?」と即答したサラ、僕の方をちらりと見て確認するサラ。しかし、それは家というより家具だな、とは思ったものの、イメージはかなりつかめたので、それは置いておいて、質問に答える。
「たぶん、あるよ」頷いて、お姫様ベッドの有無を応える僕。
「私はお庭がほしいです!」
と、奈緒子が応える、植物などを育てるのだろうか、魔法使いらしい、庭で栽培した実とかで、すごいクスリをつくれたりするのだろうか、昔の魔法使いみたいに、グツグツ何かをにたりして、魔法の薬を調合したり。
「あ、私もお庭欲しい、朝運動したい!!」
運動少女らしい発想でサラも同意する。
うんうん、と頷いて、話を整理する珊瑚。
「なるほどな、だったら、『郊外都市 - ライフエリア』か『神殿都市 - キャッスルエリア 』やな」
と、二つの都市名を告げる珊瑚。エリアによってできることが違うのだろうか。そもそも、エリアが何個あるのかも知らないことに気がついた。ほんとに、珊瑚に聞いて良かったな、と思う。
「そうなんだ?それは何が違うの?立てられるものも別なの?」と、根本的な質問を珊瑚にする僕。
「そうや、だから、ここの選択は結構重要やで」とエリア選択の重要性を説く、珊瑚。
「なるほどなるほど」と乗り出すサラ。マイホームの話になってから特別モチベーションが高い気がするが気のせいかな。メモをとりそうな勢いのサラだった。
「家が買えるのは、次の三つの都市。『過密都市 - モダンエリア 』、『郊外都市 - ライフエリア』、『神殿都市 - キャッスルエリア』 や」
「そうなんだ??なるほどなー、でもピンとこないね」サラが言った、彼女なりに、失敗をしないように、精一杯、想像しているようだ。
「よっしゃ、それじゃ、全部見に行こか!」
と、両膝に両手を当てて立ち上がる珊瑚。
珊瑚がマイホーム見学ツアーの添乗員になってくれるのだった。
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