エピソート42 「そして僕は美少女達を廃墟に連れ込んだ」
芽衣:「ゴメン、ウチ、しょ、—ごの事、嫌いやないんよ。」
翔五:「あっ、…」
時計は、朝の6時50分。 何故、こんな時間に? ワザワザ僕の部屋を訪ねてまで、…
芽衣:「ちゃうねん! 全然、好きや無いって言う意味やのうて、…」
芽衣:「どっちか言うたら、…好き、」
翔五:「いっ、…」
僕は、思わず照れて…
芽衣:「ちゃうねん! どっちでも
芽衣:「好きの方が大きいちゅうか、多分むっちゃ好きかも知れへんねんけど、…」
翔五:「ええっ!…」
芽衣は、真っ赤になって…
芽衣:「ちゃうねん!ちゃうねん! 好きとかそう言うんやなくって、…」
芽衣:「もう、ウチ、ナニ言うてんの?」
翔五:「はあ、…」
何故だか朝っぱらから、芽衣はハイテンションに、とっ散らかっていて、…
芽衣:「要するに、ウチ、翔五の
芽衣:「未だよう判からんて
翔五:「ううう、…」
て言うか、本当に、同じアパートに住んでたんだ、、と改めて実感する、…
芽衣:「今日、ホンマに会社休まな、あかんかな?」
翔五:「おお、…」
でも、パニック気味に
芽衣:「翔五、…ヒトの話聞いてる?」
翔五:「へっ?」
僕の失礼な生返事は、睡眠時間1時間の寝不足の
何だか、さっき寝たばかりの気がする。
でも、そんな事よりも、ナニよりも、…
翔五:「先輩、やっぱり、オデコ出した方が、…可愛いですね。」
部屋を訪ねて来た芽衣は、上下ユルユルのジャージに、化粧前のスッピンで、前髪を全部オールバックに
芽衣:「か、…か、わいい?…」
芽衣:「って、誰が? えっ、もしかして、ウチ??」
芽衣:「うそ、全然カワイナイシ、ウチ、…えっ、どう言う意味?」
芽衣:「どう言う事? …そんなん、急に言われたら、困るし、…」
既に芽衣の顔は、赤いのを通り越して、紫??
芽衣:「なんか、…
言葉は、だんだん
最後の方は消え入る様で、
美穂:「星田サン、お早うございます。」
美穂:「今日も、パッとしない天気っすね。」
後ろにくっ付いて来た銀色メイドは、ちょっとブカブカのパジャマ姿、
翔五:「お早う。…何か、眠そうだね。」
美穂:「昨日、一晩中、…色々あったんす。」
美穂:「それこそ、根掘り葉掘り、…」
銀髪の中学三年生、人生を悟り切ったかの様な、…乾いた
美穂:「星田サンも、何だか、眠そうっすね。」
美穂:「もしかして、…1人で頑張ってたんすか?」
翔五:「ナニを?」
美穂:「なにお…っす。」
翔五/美穂、ニヤニヤ…
翔五:「昨日、瑞穂と連絡が取れたんだよ。」
美穂:「えっ、本当っすか!」
美穂、イキナリ!フワフワ×ノーブラのパジャマ姿で、僕に、…抱きついて来る。
僕は、銀色パジャマの両肩を押さえつけて、なんとかその暴挙を、瀬戸際で…食い止める。
翔五:「一晩中、メールで話してた。」
翔五:「で、…あんま、寝てない。」
美穂:「本当っすか? どうやって連絡取れたんすか?」
翔五:「試しに「前世」で使ってたメアドにメール送ってみたら、届いた。」
美穂:「凄いっすね。 快挙っす。」
美穂:「それで、どうするっすか? 瑞穂さんちに行くっすか?」
僕は、携帯の地図アプリを開いて、目的地の住所を、表示して見せる。
翔五:「いや、今日、例の「サカモトなんとか」って処に一緒に行く事になった。」
翔五:「正確な場所も、瑞穂が調べてくれた。 町田、って言うより、殆ど八王子みたいだね。」
翔五:「11時に、現場近くの喫茶店で待ち合わせ。」
美穂:「凄いっす。 流石、瑞穂サンっすね。」
芽衣:「誰なん?、ミズホさんって??」
美穂:「あっ、…戻って来た。」
翔五:「まあ、「前世」の仲間の1人、って言うか、姉貴分って言うか。」
芽衣:「姉貴? お姉さん?」
翔五:「別に、本当の姉じゃないんですけどね。」
美穂:「凄っい、美人っすよ〜」
芽衣:「美人—???」
芽衣:「何で美人が? 何で呼び捨て? 何で血の繋がってない? 義妹?…」
芽衣、硬直して、…顔から、さーっと血の気が引いて、…再び一人の世界へ、
翔五:「じゃあ、野崎サン、支度出来たら、僕の部屋に来てくれる。」
美穂:「僕、昨日と同じ服しか持ってないっすけど、良いっすか?」
翔五:「別に構わないんじゃないの?」
美穂:「チョット、匂うかも知れないっすけど、」
翔五:「イチイチ匂い嗅がないから、良いよ。」
美穂:「えっ!星田サン、匂いフェチって聞いてたんすけど、嗅がないんすか?」
芽衣:「そうなんー???」
芽衣:「匂いフェチ? 洗濯してないメイド服?、下着? 匂うかも?…」
芽衣、硬直して、…タラタラと、脂汗????
翔五:「いや、誤解ですって!」
芽衣:「ウチも行く!」
翔五:「えっ、…」
翔五:「でも、仕事休めないとか、言ってませんでしたっけ…」
芽衣:「かまへん、コッチの方が大事やし、」
芽衣、何かしら、決意?の眼差し。 ぎゅっと結んだ口元。
翔五:「僕は、先輩に一緒に来てもらえると、助かりますけど、」
芽衣:「「芽衣」、…で、ええよ。」
芽衣:「その、…昨日ミタイに。 呼び捨てで、…
翔五:「あっ、…うん。」
僕は、何時の間にか、以前の癖で「先輩」って呼んでいたらしい。。
芽衣:「そなんや、けど、…」
途端に、芽衣、挫け顏になる〜、
芽衣:「もし山本さんに怒られたら、…その、…責任取ってくれる?」
山本さん、とは、芽衣のグループの主任の事である。
ちょっと、小柄なタッパだが、醤油顔で優しそうな男の先輩。
でも、仕事には結構、…厳しい。。
翔五:「せ、責任って?」
芽衣:「その、愚痴聞いてくれるとか、…」
芽衣:「その、慰めてくれる、とか…」
芽衣、いじらしく上目遣いで、両手の指をモジモジさせて、オネダリの、…仕草、
翔五:「…うん、…分った。」
僕は、思わず、胸の奥が
美穂:「朝から暑いっすねー、」
美穂、大きな口を開けて、ふぁ〜っと…
芽衣、真っ赤になって、日没後の
芽衣:「ほな、また、…後で、」
芽衣:「ほら、美穂ちゃん!…行くで!」
美穂:「あっ、良いっすね!美穂ちゃん、…いただきっす!」
ドタバタと慌ただしく、…女達の匂いが玄関から出て行って。
だから、どうしたって僕は、悶々してしまう訳で。。。
まだ、
瑞穂:「貴方、…馬鹿?」
町田の郊外、と言うよりは、八王子の山里?
高尾山が、…近い。
僕達は、目当ての「雨水調整研究施設」から程近い喫茶店で、その
結構、コジャレタ、個人経営の喫茶店。
どうやら珈琲専門店らしいが、
それで、一番人気が、…ビーフ・カレー(店の壁に、そう貼ってある)
と言う訳で、カウンターの前にキラキラ並んだ
瑞穂:「自分の意志なんて、…自分が喋った事が自分の意志になるだけよ。」
瑞穂:「元から何か用意されたモノが在る訳じゃ無いわ。」
その女、
何だか、スレンダーと言うよりは、ギスギス? チョット痩せ過ぎ?
それに、何と言うか、絶世の美人、と言うよりも、…理系オタク?
見る影も無く、、、
折角の素材を、
眼鏡なんて、掛けてたっけ?
瑞穂:「人間には、自分の意見を正当化しようとする性質があるの。 嘘でも、無理でも、声に出して宣言すれば、嫌でも脳みそが実現に向けて試行錯誤してくれるのよ。」
瑞穂:「それが、人間の「意志」と言うモノの本質よ。」
瑞穂:「こんなの、自己啓発の基本じゃない。」
翔五:「あの、…目、悪かったっけ、」
瑞穂:「
あんなに綺麗だった
ネイビーでテーパードシルエットな洗い
いや、悪くは無いのだが、何と言うか、…瑞穂らしく無い。
それに、例の、ヒトの心を鷲掴みにして離さない「
瑞穂:「ナニ、さっきからヒトの匂い嗅いでんの? アンタ、もしかして変態?」
芽衣:「やっぱり…?」
僕は、色々あって、涙を堪え切れそうにも無い。。。
瑞穂:「
瑞穂:「言っておいてあげるけど、80年代のアニメみたいに優柔不断で葛藤する主人公が愛されると思っているのなら、そんなのは周りが迷惑するだけだから止めてよね。」
何故僕が、こんな風に説教されているのかと言うと、…それは、「転生」を繰り返して先へ進めない「世界」の事を考えるに、危険を冒して迄、芽衣や瑞穂達を戦いに巻き込むのは本当に正しい事なのだろうか…という、一連の、僕の弱気な発言の所為だった。
瑞穂:「貴方、私に「一緒に戦ってくれ」って言ったじゃない。」
瑞穂:「つまり、もう、それが、貴方の「意志」なのよ。」
瑞穂:「しっかりしなさいよね。」
何か、以前にも増して手厳しいと言うか、容赦がないと言うか?
瑞穂:「それで、アンタ一体何と、戦おうって言うの?」
翔五:「メルカバーとか言う、天使とかナントカ、」
…突然、女の口元がにやりと緩む、
瑞穂:「貴方、本気なの? …だとしたら上等よ。 乗ったわ!」
瑞穂:「本当にメルカバーなんて、この世に存在してるの?」
何だか、お姉さん、一人で突っ走って、…興奮してる?
瑞穂:「それで、どうやって戦うつもり?」
翔五:「昨日も言ったけど、みず、…貴方や、芽衣には、不思議な力が有って。」
瑞穂:「やっぱり貴方、馬鹿ね。 …チャンと義務教育受けてたの?」
翔五:「はあ、…一応、」
瑞穂:「いくら私に不思議な力が有ったとしても、昨日の話じゃ全然歯が立たなかったんでしょ。 だったら、不思議の力が有るか無いかなんて、関係無いじゃない。」
瑞穂:「貴方、根本的に戦い方が間違っているのよ。」
僕は、改めて、瑞穂を敵に回す事が、どんなに「面倒くさい」事か、と言う事、を身を以て体験する。 とある魔法学校の成績トップの女の子に翻弄される眼鏡男子の気持ちが、…一寸だけ分った気がする。
瑞穂:「そもそも、貴方にとって、どういう状態が「勝ち」な訳?」
瑞穂:「それがはっきりしない内は、ゲームのしようも無いじゃないの。」
僕は、お説教中の小学生の様に、…貝になる。
美穂:「星田さん、言われっぱなしっすね。」
翔五:「ああ、「昔」はもう少し上品だったというか、こんなギスギスしてなかった気がするんだけどなぁ。」
美穂:「いえ、前からこんな感じっすよ。」
銀色メイド、熱弁を振るう瑞穂に聞こえない様に、囁き声で、、、
瑞穂:「良いわ、それで、その不思議な力は、どうすれば使える訳?」
翔五:「さあ、僕にも、…よく解らない。」
銀色メイド、一瞬驚いた風に、ビクッと、して、、貝になる。
翔五:「2週間したらアリアが目覚めて、多分全部はっきりすると思うんだけど。」
瑞穂:「それで、そのアリアとかいう子は、何処に居るの?」
翔五:「未だ分かんないんだけど、…」
瑞穂:「ナニ貴方「何にもわかんない君」なの?? 何にも分んない訳?」
瑞穂:「それでよく、私をこんな処まで
瑞穂:「もしかして、こんな寂しい処に呼び出して、
店のマスター:「寂しい、…?」
カウンターの向こうから、急に、店のマスター(髭でパーマなヒトの良さそうなオジさん)が、…反応する。 …きっと「変な事」話してる「残念な」グループだと、思われてるんだろうなぁ、
僕は、マスターの視線、と言うか聞き耳を警戒しつつ、、、
翔五:「いや、だって、此処で待ち合わせしようって言い出したのは、瑞穂じゃんか。」
つい、勢いで、というか、以前のノリで、…呼び捨てにしてしまった。
翔五:「あっ、」
そう言えば、以前にも有ったけど、…
瑞穂って、馴れ馴れしくされるとタジタジになるって言うか、何故だか極端に「押し」に弱いという、急所があるのだった。
「責め」てる内は「S」なのに、「受け」に回った途端にヘロヘロの「M」になる、
一寸、可愛らしく思えてしまうこのギャップが、…結構「萌え」だったりする。。。
瑞穂:「な、によ、…私の
ほら、
翔五:「僕は最初「瑞穂んち」の近くで会おうって言ったんだぜ、」
「呼び捨て」にするのが基本で、後は、友達っぽく、馴れ馴れしく、、
瑞穂:「だって、…だって、…知らない
そして、だんだん、ディベートっぽいフレーズは、只の中学生コメントになる。
翔五:「ふーん、じゃあ、東京駅でも横浜駅でも秋葉原でも良かったジャンか。」
そして、瑞穂の顔が、真っ赤に変化する。
そう、この「姉チン」は、重度の中二病で、コアな趣味は、…薄い本。
瑞穂:「にゃ、な、なんで、秋葉が関係あんにょさ? 無いじゃん?」
「秋葉原」は、この女にとって、…絶対領域。。。
翔五:「僕は「前世」の「姉ちん」の事なら、何でも知ってるんだぜ。」
翔五:「この「世界」でも、相変わらず「BL」に
勿論、根拠レスな「ハッタリ」だったのだが、…まさかの、
瑞穂、…撃沈状態。
翔五:「「姉ちん」も、いい加減、少し位「リアルの男」に免疫付けといた方が良いと思うよ。 この
いや、これは実際に「前世」で起きた事である。
瑞穂:「う、
瑞穂:「余計なお世話よ、私がナニしようと私の勝手でしょ!」
瑞穂:「それに「姉ちん」言うな!!」
とうとう、瑞穂、半泣き?
そう言えば、この人、何歳だっけ? 少なくとも僕よりは歳上の筈だよな、
翔五:「じゃあ、ミズッチ、ミズポン、もう、ミッチャンで良いや、」
瑞穂:「
翔五:「じゃあ、しょうが無いから瑞穂、」
瑞穂:「よ、呼び捨てスンナ!」
何だか分んないまま、何時の間にか小学生低学年の口喧嘩?
何で、こうなったんだっけ??
銀色メイド、珍しい生き物を見る目で、…興味津々??
芽衣は、オドオド不安そうに成り行きを、…見護っている??
僕は、既に、
翔五:「瑞穂って、折角、美人なんだからさ、…もっとお
瑞穂:「そ、んな事、言ったって、…駄目なんだから。」
あらあら、とうとう、俯いてしまった。。。
瑞穂:「
瑞穂:「皆、外見ばっかしか、見てない、…身体目当てで、…本当の私の事、分ってくれない。」
翔五:「僕は、知ってるよ。」
翔五:「瑞穂が、時々不安になる事。」
翔五:「瑞穂が、友達と上手くやっていけなくて悩んできた事。」
翔五:「瑞穂が、求めているモノ。」
翔五:「瑞穂が、ずっと信じ続けて来た「前世」からの宿題の事。」
翔五:「だって、全部、瑞穂が、僕に教えてくれたんだもの。」
翔五:「僕は、ちゃんと、瑞穂の事、忘れないで、…覚えていたよ。」
彼女は、いつの間にか、すっかり大人しくなって、
恥ずかしそうに上目遣いで、…僕を見てる。
翔五:「それに、瑞穂は、本当は、世界で一番綺麗だって事も、知ってる。」
瑞穂:「…嘘、」
翔五:「…本当、」
瑞穂:「…嘘だぁ、」
翔五:「…本当だって、」
瑞穂:「なんで、そんな事、言えんのよ? 証拠は?」
瑞穂:「誰が、何処で、何時言ったの? 何年何月何日何時何分何秒?」
こどもか、…
翔五:「だって僕、瑞穂の事、隅から隅迄、全部、見ちゃったもん!」
あっ、余計な事、…言ったかな?
瑞穂、これ以上ない位、真っ赤になって、…湯気を立ててる。
芽衣:「……?」
瑞穂:「じぇんぶ?…って?」
瑞穂、涙目で、フリーズ。。。
美穂:「…で、どうするんすか? こんなんにしちゃって、、」
銀色メイド、涎を垂らしながら、…ニヤニヤ
芽衣:「ちょっと! 翔五!この人の「全部」見たって、アンタこの人と、どういう関係なん?」
で、今度は何故だか芽衣が、襲いかかる。
翔五:「いや、友達っていうか、姉貴分ていうか、」
芽衣:「全部って?ナニ?」
芽衣:「ウチと恋人やったって言うのは、嘘なん?」
翔五:「いや、恋人とは、…言ってないし、」
あれ、? 何か、変な事に、…なってる?
瑞穂:「…せ、責任取ってよ、ね、」
瑞穂が、僕のシャツの袖を、…引っ張る。
翔五:「へっ、?…責任って?」
…何で、そんなにもじもじしながら真っ赤になってる訳…!
瑞穂:「私のを、全部、見た、…責任。」
…何で、そんな潤んだ瞳で恥ずかしそうに上目遣いな訳…?
翔五:「そんな「前世」の話を持ち出されても、それに見たっていうより、無理矢理見せられたって言うのが、…正しい。」
瑞穂:「駄目…なんだから。。。」
瑞穂:「い、今更、…赦さないんだからねっ!!」
…誰?? この…可愛らしい子?
瑞穂:「アンタ「前世」の話で私をナンパしたんでしょ。 そんでもって「前世」で私の事、
瑞穂:「…だから、きっちり「前世」ネタで、責任…取ってよね。」
芽衣:「翔五! ウチの事はどう考えでんの? ただの遊びやったん?」
芽衣:「それとも、ウチって、やっぱり、お金貢がせる為だけの、都合の良い女なん?」
翔五:「だあーっ! そんな事無いってーー!」
…どうして! こうなった??
…何処で、フラグ間違えた???
…どうすれば、ルート復帰できるの????
美穂:「はー、見ててほのぼのするっすね~」
翔五:「野崎さん! 見てないで助けてよ〜」
美穂:「中学生に、何甘えてるんすか?」
美穂:「良いんじゃないっすか? たまには、…身から出た錆っすね〜。」
銀色メイド、僕のグラスからストローを抜き取って、…
美穂:「
何故だか、それを、可愛らしいアヒル口に、…咥える、
翔五:「嘘! 〜僕、覚えてないし! 〜する訳無いし!」
美穂:「…それは、忘れる方がイケナイんす。」
銀色メイド、意味深なウインク?
芽衣:「翔五!アンタ、こんな子供に迄、手を出してたん?」
先輩! 貴方は、どうして、…そんなに怒っていらっしゃるの??
店のマスター:「あの、そろそろ、…警察呼ぼうか?」
〜〜そして、本編〜〜
僕は、どうしても帰ると言って聞かない芽衣を「土下座」と「泣き落とし」で何とか引き止めて、山道をかなり入った先の、長い塀に囲まれた私有地の、大きな鉄格子の門に前へと向かった。
翔五:「「前世」の瑞穂が、…」
瑞穂:「「変態」から呼び捨てにされる覚えは無い。」
翔五:「…瑞穂さんが、此処に来るように指示したんだよね、」
翔五:「きっと、何かしらの手掛かりが、隠されていると思うんだ。」
僕の語気は、だんだん小さくなって行く…
鉄格子の向こうは、広大な「空き地」、久しく整備された形跡はなく、冬の落ち葉が、そのままに積もって、朽ちかけている。
空き地の片隅には、ポツンと3階建てのコンクリートの白い建物が、建っていた。
翔五:「何も、無いな、」
瑞穂:「そうでも無いわ、監視カメラはきっちり稼動してるじゃない。」
確かに、両側の門柱の上から、少なくとも3台のカメラが、僕たちの事を狙っている。
瑞穂:「アンタ、女の身体しか見て無いんじゃないの?」
良いんだ、どうせ僕なんて、…
一度決定したヒエラルキーは大抵の場合、構成メンバが異なるグループにも自動的に引き継がれる。。。 要するに僕は、何処に居ても、…残念な2割な訳だ。
門には、呼び鈴とか、インターフォンとか、内部と連絡を取る為の装置は何処にも見当たらない様だった.
翔五:「もしもし~」
僕は、カメラに向かって呼びかけてみる、が、…当然返事は無い。
翔五:「どうする?」
瑞穂:「以上終了で、帰る訳? …有り得ない。」
だって、門は、開かないミタイだし、、
と、不用意に押した「巨大な鉄格子」は、意外と簡単に、…開いた。
瑞穂:「空いてるわね。」
芽衣:「勝手に入ったら、怒られるんとちゃう?」
瑞穂:「翔五が怒られるか「世界」が滅びるかなら、翔五が怒られる方がましね。」
翔五:「皆で怒られようよ〜」
瑞穂:「嫌よ、あくまでも主犯はアンタで、私達は巻き添えって事ね。 翔五が
いつの間にか、僕の方は呼び捨てにされているし、。。
瑞穂はズカズカと、敷地内に踏み込み。 芽衣は「ツン!」と
救いを求める様に見つめる、僕の視線を、…
美穂:「僕は知らないっす~」
銀色メイドは、つれなくスルーする。
果たして、白いコンクリートの建物は、…無人、と言うか、空っぽだった。
要するに中は未だ工事中。 コンクリートの打ちっぱなしで、内装も、床も天井も剝き出しの鉄筋コンクリート、
所々、業務用のライトが、ぶら下がっている。
翔五:「誰かが居る雰囲気じゃ無いな、」
瑞穂:「そうでも無いわ。」
やはり、…天井の隅に、生きている防犯カメラ。
電源は、確実に来ているらしい。。。し、
何かを監視しなければならない「理由」が有る事は、…僕にも想像出来る。
翔五:「奥、行って見る?」
ぐるっと、廃墟の様な建物の中を一周し、二階へ上がる階段室を発見する。
階段も、剝き出しのコンクリートだ。
翔五:「上がってみる?」
芽衣:「翔五、変な事、せえへんよね?」
翔五:「しません! 信用ないんだな〜、」
芽衣:「そういう訳や無いんやけど、」
芽衣:「あんな、前世では、ウチ等、その、…何処まで行ってたん?」
何故? このタイミングで、そんな事を、聞く?
翔五:「プラトニックですよ。」
翔五:「未だ、キスとか、そう言うのは全然有りませんでした。」
そう言えば、足の裏、舐めてもらった事は、…あったナ、、
後、身体の火照りを冷ます為に、脇の下に手を入れた事も、…あったナ、、、
芽衣:「そう、…」
芽衣、チョット、複雑な微笑み?
本当の、男女の関係がどうかと言えば、…芽衣から告白されて、
僕が返事を返す直前まで、…だった。
果たして、二階にも、三階にも、
何も手掛かりらしいものは、何一つ見つからない。
ただの、工事の途中で、ほったらかされたままのコンクリートの建物。
瑞穂:「この建物、ダミーなのかしら?」
翔五:「でも、他には何も建物は見当たらなかったよ。」
瑞穂:「この施設、「雨水調整研究施設」って言ったわよね。」
瑞穂:「何処かに、地下へ行ける入り口がある筈。」
つまり、増水した雨水を収容し、一時的に下水の水位調整を行う為のタンクが、この広大な敷地の地下に、埋没している筈なのだ。
その研究施設、と言う事は、その地下タンク自体が、…怪しい。
翔五:「でも、一階には、それらしい階段も扉も無かった、」
瑞穂:「一階と見せかけて、本当は二階か、三階に地下への入り口があるとか?」
瑞穂:「或は、外の空き地の何処かに、マンホール的な入口が有るとか?」
翔五:「外は嫌だな。 腐った落ち葉を全部掃除しないと見つかんないよ。」
僕達は、三階に有る、唯一の扉の前に立つ。
翔五:「開くかな、」
鍵は、掛かっていない様だった。
扉の外には、午後になって指し始めた、麗(うら)らかな、…春の日差し。
芽衣:「くしゅん!」
瑞穂:「只の、…屋上か、」
一応、ぐるっと屋上も一回りして、調べてみるが、
やっぱり、地下に降りる為のヒントは、何も…見当たらない。
瑞穂:「おかしい。」
とうとう、僕達は
芽衣:「結局、此処は何やったん?」
翔五:「まだ、出来上がって無いって事なのかな、「前世」の瑞穂が、…」
瑞穂:「呼び捨て禁止!」
僕は、顔色を伺う子供の様にオドオド怯えながら、
翔五:「瑞穂さんが、此処に来る様にって言ってたのは、少なくとも、瑞穂さんが、アリアと会って覚醒する筈の、今から3ヵ月後以降だから、…」
翔五:「その頃には完成しているけど、今は未だ、早過ぎ…って事なのかな?」
美穂:「大体、こんな早い時間に「転生」してくる星田さんがいけないっす。」
瑞穂:「翔五が悪いって事は、最初から解っているのよ。…でも、」
なんで解ってるんだよ。
美穂:「なんか、…引っかかる。」
天井から、ぶら下がっている、…監視カメラ。
瑞穂:「…もしもし。。」
監視カメラに、話しかけた、…
次の瞬間、
建物の床が、ゆっくりと油圧アクチュエータの作動音を立てながら、動き始める。
玄関フロアの床全体が、エレベータになっていて、…
ゆっくりと、降下を、…
開始する…
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