異世界到着その1

 えーと、いい天気だな。

 なんか気が付いたら、知らない町にいた。

 その町のベンチに座っていた。


 たしか謎の空間に行って、よく分からない人と話したような気がする。

 あれは夢だったのだろうか。

 なんか頭が痛く意識がぼんやりとする。


 さっきまで、朝ごはんを食べていた部屋では無さそうだ。

 だって屋外だもんな。

 更に言うと、日本どころか、地球でも無さそうな場所にいる。

 だって、当たり前のように剣とか杖とか持って歩いてる人が歩いている。

 後、アニメで見たことあるエルフのような耳をした人がいる。


 はぁ、やっぱり、死んで転生云々の話は本当だったんだな。

 どうやら朝ごはんを食べながら、寝オチしたわけじゃなかったようだ。

 つまりそれは、本当に異世界に来た事を意味してる。

 取り合えずは、状況確認だ。

 恐らく元いた地球に戻る方法は無いだろう。

 もう戻れない、そう考えると地球が恋しく感じるな。

 気を取り直して、とりあえずは二度目の人生を楽しむことにしよう。


 さて取り合えず、持ち物を確認しておくか。

 元の世界に返る方法の無い以上、先立つものつまりは、金が必要だな。

 適当な仕事に就くにしても、当年の生活費が必要になる。

 具体的に数週間、遊んで暮らせるだけの金が欲しい。

 たしか死ぬ前は、数千円入った財布を持っていたはずだ。

 でも地球のお金がつかえるわけ無いか。

 そこで、気づいたが服がおかしい。

 あれ、朝起きてすぐにパジャマから制服に着替えたはずだ。

 なのになぜか、ゲームで見たことある冒険者の服装になっている。

 生まれ変わる時に、サービスなのかこっちの世界の服に変えてくれたようだ。

 腰にはなんか安っぽいナイフのような物まで付いてる。

 鏡を見ないでもわかる。どっからどう見ても、似合ってないだろうな。


 露骨に、転生後の職業を冒険者にしようと仕向けられている気がする。 

 まぁいい、転生にあたり服やナイフを用意してくれたんだ。

 他にも役に立ちそうな物が入ってるかもしれない。


 次に、ズボンのポケットの中を確認してみる。

 右のポケットには、なんか釜口サイフのような物が入っていた。

 開けてみると、銀色の100円玉みたいなものが10枚入っていた。

 100っと書かれているので100円?なのだろうか。

 つまり所持金は1000円?か。

 お金の単位が分からないが、まぁそれは近いうちに分かるだろう。

 コレがどのくらいの価値があるものかが分からないが大金では無さそうだ。

 日本円換算で、1000円から1万円くらいだろう。

 そうなると早急に仕事してお金を稼がないといけないな。


 次に左のポケットには、なんか紙が入っていた。

 どうやら、手紙のようだった。

 数枚あり、なんか茶色っぽいファンタジーの手紙って感じの紙だ。

 日本語で書いてはいない。

 しかし、なんだかよくわからないが理解できる。

 心で理解しているのだろうか。

 

 ・この手紙を読めているという事は、無事にハローワールドについたということですね。


 無事に、付かない場合があるのかよ。

 よかった、運が良くて。一発勝負の賭けは、俺付いてる方なんだな。

 いや運が悪いから死んでここに来てしまったんだ。


 ・そして、この文字を理解できているという事は、無事に常識インストールも無事に済んだようですね。良かった、成功率5割だったんですよ。


 おい、それ結構な確立で失敗するじゃないか。

 どっかの博士ですーか。なにが、良かっただよ。ダイジョーブじゃねーよ。


 ・では、早速ですが転生する前に私がしたお願いについて説明します。


 はぁ、命と引き換えのお願いだ。

 なんか、ものすごく怖いんですが。

 どんな、無理難題を押し付けられるかと思うと気が重い。


 ・まず、そのためにはコノ世界の歴史について説明しなければなりません。

 

 なんだ、手紙の量そんなに多くないのに、そんな悠長に歴史から説明してて文量たりるのだろうか。

 

 ・世界は、数百年前まで割りと荒れていました。具体的には食べ物を奪い合い殺し合いなんやありました。


 まぁなんとなく、分かるけどさ。

 北斗○拳的な終末みたいな感じなんだろう。

 だがしかし、食べ物が無いのは昔の話で、今はそうでもなさそうだ。

 通行人は、別に飢えて痩せている様子はない。

 むしろふっくらしている人のほうが多く感じられる。


 ・そこで、私たち神様株式会社のうちの一人を現地に送り、なんやかんやの神パワーを使って解決しようとしました。


 なんだろう、なんかかんやが多いな。

 それより、俺を蘇らせた、あの良くわからない人?は株式会社の社員だったのか、驚きの事実である。


 ・その時に選ばれたのは、業務態度が悪いことで有名なルシファーでした。

 

 そんな、重大な任務をそんな業務態度の奴に押し付けたら駄目じゃないか。

 絶対に失敗するだろ、それ。


 ・ルシファーは、少し考える素振りをした後、悪そうな笑顔しながら、快諾しました。


 少し考えた段階で、快諾とは言わないだろう。

 あと、悪い笑顔に気づいていてそのまま送り出したのか。

 絶対良からぬことを考えているだろうに。


 ・ルシファーは、持っている神パワーを使って、次々に畑を耕し、水源を確保、害獣などのモンスターの狩猟を次々に行いしました。。


 ここまでは、普通に神見習いらしく、仕事している。

 怠慢社員と、なぜ呼ばれていたのかが分からないくらい仕事をしているじゃないか。


 ・そして、食料問題が解決、満腹に食べられるようになったため人々の心は穏やかになりました。そしてもう神パワーが無くても人々は暮らしていけるようになったのでルシファーに帰還命令を出しました。


 めでたし、めでたしじゃないか。


 ・だがしかし、ルシファーは命令に背きました。


 あれだけ、フラグが立っていたんだ。

 驚きもしない裏切り展開ですね、知ってました。


 ・ルシファーは天国株式会社を脱サラして、この世界で生きて行くことを望みました。


 脱サラってオイ。


 ・ルシファーは天国株式会社で働くより、このハローワールドでのんびりとニートとして、暮らすことを望んだのです。

 「俺は、もう一生分働いた。もう働きたくないでござる。」そんな事をいってきたのです。


 ニートってなんだよ。

 なんか、ずいぶんダメ人間みたいな考えだな。


 ・そのことに、激怒した上司は、ルシファーに与えていた神パワーを失効させました。


 おお、面倒臭がりと言われてた上司がちゃんと仕事しているじゃないか。


 ・だが、ルシファーは「俺はもともと、神パワーが無くても強いんだ、そもそもニートをするのに神パワーなど要らぬは。」と供述して、それでもこの世界に残りました。


 神パワーなど要らぬわと、かっこいい事いいつつ、やろうとしている事は、ただのニート。


 ・神の関係者が長々と地上に留まると問題があるかも知れないので、とっとと魔法で強制させようと思ったのですが問題が起こりました。


 問題ってなんだろう。

 その問題と、俺がこの世界に送られた事が繋がるのだろうか。

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