赤の大捜査線編⑥

不正な持ち込み玉を使われると、誤差玉の赤が出る。

その度に、店内の玉を抜いて不正な玉を選別して排除。

次の日は僕も含めて全社員、フラフラになりながら業務にあたる。


まさに死のローテーションだった。


奇跡的に誤差玉が出なかった日は、社員全員で胸をなで下ろした。


営業中は持ち込み玉の防犯を徹底したが、そのせいで一般客と何度もトラブルになった。

持ち玉移動した客に、

「その玉、どちらから持って来られました?」

などと声かけを徹底したためだ。


「いちいちうるさいねん!」


何度も罪もない一般客に声をかけては、怒鳴られた。

それでもその声かけをしないと、持ち込みに警戒していると伝わらない。

警戒していないと思われると、また何度もやられる。


それでも油断したころに、

誤差玉-5600


頭を抱えてその場にうずくまり、また閉店後玉の選別を行う。


不正な持ち込み玉をする奴への憎悪が、ふつふつと煮えたぎる。


僕らホールマンの精神をも、忍耐をも、そして家族サービス、自由な時間、全てを奪う。


この不正をした奴は、殺す!殺す!


毎日手の平を真っ黒にしながら、不正を呪った・・・


やがて、それは現実のものとなる・・・

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