恐怖の五期生編⑤

恐怖の五期生編⑤


「・・・サービスとはなんだ?」


本部長の質問が30周目を超えた。

最初は本部長に気に入られるように、怒られないよう、回答を選んで吟味して答えていたのだが、もうみんなどうでもよくなり、それでもとってつけて言うことすらなくなってきた。

もう全員限界に近い。


僕ら7人のうち、2人の一般公募の人間のうち、1人が限界をむかえた。


「もう勘弁してください!」


「・・・どうした?」


「もう、何も思いつきません!出てきません!」


もう半狂乱で涙ぐみながら、本部長に訴えた。

そりゃそうだろう。僕ら接客経験のある人間たちですら、サービスとはなんだ?の質問に30周以上答えるのが必死な状態なのに。

よくわからない経験もない一般公募の人間が、精神を保てるわけがない。


「・・・ふーう。」 

本部長が落胆しきったように話はじめる。


「もう限界か?君たちは学校の勉強でも、難問が出ると、ろくに考えもせず、すぐ解答を見てしまうだろ?そんな人生を送ってきただろ?」


みんな、疲れきっていたが、本部長の話は骨身にしみた。


「店長になったらどうする?毎日、毎日、会社から利益と稼働を求められ、無理難問を突きつけられる。毎日、毎日、ずっとだ。この数時間の質問ですら、耐えられない君たちがだ。できるはずもない。」


本部長は、静かに話はじめる。


「君たちは、なんでこの7人がここに集められたと思う?それを疑問に感じた事はなかったのか?」


・・・・この7人?

なぜだろう?


「君たち7人には、全員ある共通点があるのだよ。だからここに集められた。」


本部長がゆっくりと立ち上がる。


「君たちわかってないな。この研修の意味。なぜ、自分たちがここに集められたのかを?」


・・・・本部長が全ての謎を語り始める。

僕ら五期生の全てを・・・

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