恐怖の五期生編④

恐怖の五期生編④


その日は来た。

その日は、朝から各店舗の店長の講義を聞き、午後6時に研修が終了した。

そして研修部屋でみんな帰りの荷物をまとめているとき、

ガチャ、とドアが開いた。


そして、


本部長が部屋に入ってきた。


年の頃なら、60歳前半。

白髪まじりのおじさん。いや、おじいさんに片足かかったような人である。

しかし、眼力に鋭いものを感じた。


「お疲れ様です!」


僕ら7人は全員立ち上がって挨拶した。


「うむ。」


本部長はゆっくりとホワイトボードの前の椅子に座った。

「座りなさい。」

僕ら7人は再び座った。


「じゃあ、君たちに少し聞いていこうかな?・・・君、サービスとはなんだ?」


1人の他店の役職者が当てられる。

「はい。お客様のためにする事です。」


当たり障りのない答えを言った。

「うむ。じゃあ、次は君、サービスとはなんだ?」


「まごころです!」


「・・・うむ。」


そして僕も当てられ、答えた。

そして7人全員質問に答えきった。


「じゃあ、君、サービスとはなんだ?」


なんと、1人目に質問を戻し出した。

それでも本部長の質問だ。答えぬ訳がない。そのまま、7人全員二周目の答えを言った。


「うむ。・・・サービスとはなんだ?」


なんと!もう一回1人目から当てだした!

なんなんだ?これは?

そして、全員答えきった。


「・・・サービスとはなんだ?」


四周目に入ろうとしたとき、1人目の人間が少し失笑ぎみに言った。

「いや、ちょっと、もうわかりません。」


すると本部長は、顔色一つ変えずに言った。


「私は、サービスとはなんだ?と聞いているんだ。今のは答えになっていない。」


そして1人目の人間が悩みに悩み抜いて、

「・・・・お、おもてなしです。」


もうみんな答えが出尽くしていってるのに、まだ聞くのか?

さすがにみんな悩みに悩んで、時間を費やし、五周目、そして、六周目、さらに七周目を答えた。


「うむ。・・・じゃあ、君、サービスとはなんだ?」


顔色一つ変えずに、また1人目に質問を戻す!!


そして、そして、


時計の針は、深夜0時をまわった!

最終電車の時間も、終わった!


しかし、本部長の質問は終わらない。


「・・・・サービスとはなんだ?」


ついに、・・・・27周目に入った。


これは・・・・地獄だ。

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