四角い悪魔編⑧

連日連夜の激務続きで体力も精神力も限界だった。

早番でも閉店まで帰れない。抜けれない。遅番でも客と遊技台チェックのため朝から来る。

そんな中、自店の店長とマネージャーへの不満が貯まっていく。


この二人は仮眠室なるものが二人ともあり、いつも店に来るのは昼過ぎから夕方。

店に顔を出しては、仮眠室で閉店まで休憩する。たまに、パチンコも打ちに行く。

お互い休みの日は、どちらかがパチンコのメンテナンスを行い、夜店に来る事のない完全休をとっていた。


僕の半分以下しか働いてないじゃないか。

拘束時間だけじゃない。

パチンコの稼働も決して良くなかった。


新台で入れたパチンコが2日で客が飛んでいても、

「面白くない台やからな。」

「次、どんな台入れようかな。」

で、一蹴。仮眠室でふて寝する。


おい!ちょっと待て!

散々人には、

「何が何でも座らせろ!」

「打たせろ!」

と、豪語し、僕の時間を犠牲にさせたじゃないか?

なぜ、あなた達は寝る事ができるんだ?

なぜ、あなた達より身分も低く、給料も安い男が、常に拘束されなければならない?


あなた達こそ、打たせろ!

あなた達こそ、座らせろ!

それができてから、俺に物を言ってこい!

あなた達ができないものを、経験も浅い俺ができるわけがないじゃないか!


僕はとうとう、わかった。

全てわかった!


全国のパチンコ店のあらゆるお店が、稼働も利益も求めてるんだ。

お客さんを座らせよう。打たせようと、毎日試行錯誤してるんだ。

そんな物に答えなんかない。

それはパチンコ店に携わる者の永遠のテーマ。

パチンコ店に携わる者の宿命。

何千何万人というパチンコ業界の人間が悩み、苦しみ続けている事なんだ。


そんな物に正解なんてない!

毎日求め続けていかなければならないものなんだ!


それを、あなた達は身分の高さに甘んじて休憩し、

経験の浅い僕にその理想を押し付け、なすりつけ、

あるいは自分たちの時間を確保するために、また鬱憤を晴らすために、

さまざまな理由から文句も言わず働いている人間に、


ぶつけているだけじゃないか!


こんなものに正解なんてない!

毎日追い求めるのが、答えだ。


俺より寝やがって。

ふざけるんじゃない。


僕の精神状態も限界を超えた。

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