不毛地帯編③

もはや頼れる社員はいない。

まずスタッフと、お客様のルールを徹底させるしかなかった。

恐怖政治が嫌いだったのに、その対局にある、ぬるま湯政治は、ここまで店を堕落させる。

怒るしかなかった。

注意するしかない!

「怒っても、良くなるものは、猫の背中の曲線だけ。」

とは、よく言ったものだ。

目を離すとすぐにお客さんは台をどつくし、掛け持ちするし、バイトはすぐ手を抜く。


それでも少しずつ、少しずつ、ルールというものがお店に復活しだした。


そこの店のマネージャーは僕より年下で、経験はあるのだが理想とプライドが高い人だった。

常に隣の店を意識し、

「隣がお客さん入ってるなら、うちも入れないとあかん!」

と、ライバル視し、イベントや広告、集客に全力を注いでいる人だった。


お店のマネージャーなら当たり前のこと。お客さん集めるのが仕事。

でもうちの店は悪くても二流の店だと思っている。

頑張って一流の店にしようとしてる。


とんでもない!

僕がどう見ても、四流の店だ。

まず四流である事を認め、まずは三流を目指し、そこから二流を目指すレベルだ。

一流店は他から一流だと言われても、

いやいや。うちはまだまだ二流だ。と、妥協しないで努力するから一流店でいられるのだ。


ぬかるみの上にいきなり家は建てれない。

まずぬかるみに砂をまき、砂利をまき、杭を打ち込みコンクリートで固めなければ。


マネージャーはぬかるみの上にいきなり高層ビルを建てようとしていた。


そのマネージャーに何度もバイトのできが悪い事を伝えた。

「バイトのできが悪いのは、社員の責任やで。バイトは社員を映す鏡やと思え。」

まったくその通りです。でもその社員達が辞めてしまい、僕だけになって、あなたの力も必要なんです!


「まあ、人を育てるのに時間はかかるなあ。」

と、楽観論で片付けようとしていた。

そして、話が終わり、マネージャーが従業員用のトイレに行く。

そして叫んだ。


「従業員のトイレ、全然紙があれへんやんけ!!」


そうです。それが現実です。

マネージャー!

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