**ティーブレイク**

決戦 ティーブレイク

 ようちゃんの総力戦は、壮絶な負け戦になりましたね。


 え? あれって、ようちゃんが勝ったんじゃないの? そう思われました?


 いえ。実は、ようちゃんには最初から勝ち目がないんですよ。ようちゃん自身が言ってましたよね。『敵』がいないって。いない敵を相手にどんな武器を振り回したところで、虚しいだけ。ようちゃんは自分のクビをかけて全力で戦ったのに、それで勝ち取れる戦果は最初から存在しないんです。

 じゃあ、ようちゃんはなんのためにそんなばかばかしい戦闘を行ったのか。それは、自我を守るためです。何かを勝ち取るためではありません。自分を取り崩さないように守り抜く。それしかなかったんです。ようちゃんが自我を守るために死力を尽くして戦い、その代償として失ったのは、利き手である右手の自由。そのダメージが、これからずっしりのしかかります。


 この後大団円までの五章は、決して付け足しではありません。ようちゃんの戦いにはまだ決着が付いていないんです。このお話が終わるまでの間に、ようちゃんが戦いをどう総括するか。それを、今のうちによーくイメージしておいてください。そして、本話のエンディングをどう感じるか、なぜそう感じたか。その印象が、わたしから読者であるみなさん一人一人へのユニークな(固有の)メッセージになると思っています。


 最後の最後に、本話を通読してくださったみなさんからどういう印象を聞かせていただけるか。わたしはそれを、今からとても楽しみにしてます。


◇ ◇ ◇


 さて。決戦でアドレナリンを使い切ってしまっただけでなく、重傷を負った上に職も収入も失ってしまった敗残兵のようちゃんが、どう自分を立て直していくか。


 どうか、最後までじっくり見届けてあげてください。


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