懐古
「…………あ、目が、目が覚めた!? ちょ、ちょっと、そこの看護婦さん、医者を呼んできて! ………なあ、俺だ、分かるか? どこか痛むか? 大丈夫か? ………あ、いや、俺がさ、あのふざけたデコトラックに轢かれそうになったとき、お前が引き寄せて助けてくれたんだよ! でも、その勢いでお前は頭を打って気を失って………。あのトラック………直前で止まったくせにすぐどっか行きやがって………っ! でも、もう大丈夫だ、俺もお前も、助かったんだよ! ……………おい?」
「あなた、誰?」
「……………。」
ぼーっとしてた。俺は、ぼーっとしてた。
彼女が、あの日、記憶喪失になってから、俺はずっとこんな感じだ。
あのあと、彼女の家族か誰かが、親族以外の面会を謝絶してしまった。彼女を混乱させないためだとか。そのせいで、あれ以来まったく会えていない。
「まあ………俺は仕方がないのかもな。」
実はあのあと、錯乱してしまった俺は………彼女を怒鳴ってしまった。なんで俺を覚えていないんだって。
あいつ、かなり怯えていた。そりゃあそうだよな。知らない人にいきなり怒鳴られたら、普通は怖いよな……。
「…………はぁ………。」
そんな後悔の念もあり、バイトに行く気すら起きない。いわんや学業なんて、とてもじゃないができる状態じゃなかった。
思考を支配していたのは、なんで彼女があんな目に遭ったのか、ということ。
それと、どうにかして記憶を取り戻せないものか、ということ。
この二つの思いが、延々と堂々と黙々と巡っている。
「…………はぁ……。」
『願いごとはありますか?』
「ッ!?」
突然聴こえてきた声に、俺は飛び上がった。そのとき、足元のゴミ箱を蹴飛ばしてしまう。
「だ、誰だッ!?」
『……男の子はやっぱり煩いなぁ。』
「うるさいのはお前だ! どこにいる!? どうやって入ってきた!?」
混乱した俺は、必死に辺りを見回した。だが、どこにも声の正体は見当たらない。
『ここですよっと。』
ふと、どす黒い靄とともに、幼女が現れた。
「わああああああ!?」
『あーもうっ! だから煩いよ!!』
「こんな状況で冷静でいられるか!!」
慌てふためきながら、俺は目の前の幼女を睨みつける。
小さな背格好とあどけない童顔、そしてその線の細さは、やはり幼女と表現できる。
だが、周囲に漂う禍々しい雰囲気と落ちついた態度が、普通の幼女とはかけ離れている。
なにより、この幼女の背中には、禍々しさの根源となる、艶やかに黒光りする羽があった。
……「悪魔」が本当に存在していたら、こんな感じなのかもしれないな。
『そうだよ。悪魔だよ。』
「な…に………?」
思考を読まれた……?
『目の前にいるやつの考えていることぐらいは、意識を集中すればわかるよ。』
いよいよ混乱の渦に巻き込まれた俺は、情けないことに、声も発せないほど膠着していた。
『…………出てくるの、早かったかなぁ………でもまあ、声が聴こえて姿が視えているなら、いっか。こういうこともある。うん。』
幼女は……いや、悪魔は、少し悩んだ素振りを見せたが、すぐに見た目相応の笑顔になった。
それを見て俺は、少しだけ……声を発せるぐらいまでには、落ち着いてきた。
「何を言ってやがる……用件は、なんだ…?」
『だーかーら、さっきも言ったじゃん。あなたの願いはなんですかって。』
「願い………?」
『そう。億万長者や不老不死、万完全席とか、なんでも叶うよ。』
「なん……でも…………?」
『うん。』
例えどんなに不可思議な状況でも、願いを叶えるといわれたら、考えてしまうのが人の性……………いや、考えるまでもなかったのだが。
「じゃあ…………彼女の、俺の大切な人の記憶を、元に戻してくれ。」
机の上のツーショット写真を指差して、そう言った。
そう。俺の願いはこれだけだ。
不慮の事故に遭い、記憶を無くしてしまった彼女を元通りにしてほしい。そう、願った。
だが、帰ってきた言葉は、言葉は………
『あー、ごめん。それは無理。その子の記憶、食べちゃったから。』
「……………は?」
『だから、食べちゃったの。』
「………………お前が、か?」
『うん。おいしかったよ。』
言葉の意味を咀嚼していくうちに、俺はひとつ、気づいたことがあった。
相手は、悪魔だ。
その悪魔が願いを叶えるって言うんだ。なにか代償がなければおかしいに決まっている。
『記憶だよ。』
疑惑を言葉に変換する前に、先読みされた。
『願いを叶えてもらう代わりに、願った人の記憶を渡してもらうんだ。日常生活に困らない程度に、きれいさっぱりと。まあ、例外もいたけど………。で、悪魔はそれを食料にしているんだ。』
「……………じゃあ、あいつは………。」
『そうだよ。願いを叶えるために記憶を犠牲にしたんだ。あなたを助けるって願いをね。』
「俺を……助ける…?」
『本当は君、あのとき、トラックに轢かれて死んじゃったんだよ。』
何処にもぶつけようがない感情が溢れ出した。
記憶を犠牲に、俺を助けた彼女。
その彼女に、情けなくも怒鳴ってしまった俺。
そして、彼女の記憶と引き換えに、俺を助けたという、悪魔。
色々な存在に対して、様々な感情が渦巻き、俺は床に膝をついて、泣き出してしまった。
この怒りとも哀しみともとれない感情を、俺はどうしたらいいんだ。
『………泣くなよ。めんどくさい。』
「ッ!」
無意識のうちに、俺は悪魔に殴りかかっていた。吐きようのない感情は、目の前の超自然的な存在にぶつけてやる。
『やっぱり煩いね。まあ、前みたいに儀式途中でヒステリーを起こされるよりはましか。』
振りかぶった拳は、悪魔の顔面を――――すり抜けた。
その後も何度も何度も何度も何度も殴りかかるが、当たらない。拳が、悪魔をすり抜ける。
『人間の物理攻撃が悪魔に当たるわけないじゃんか。まったく…』
ギャシャァンッ!!
硝子が勢いよく砕ける音がした。それは、ベランダへ続く、この部屋の窓硝子が割れた音。
そしてベランダから、数人の男女が突入してきた。全員、真っ白なスーツを着ている。
『………めんどくさいのがきた。』
「悪魔様ァァァァ!!」
そう叫んだ一人の女が、右手を悪魔に向けた。すると、そこから青白い光が放たれた。
『…もうっ!』
その光に右肩を射抜かれた悪魔は、苦悶の表情をほんの少しだけ覗かせた。しかし次の瞬間、またあのどす黒い靄を放出して、消え去った。
「チッ、逃がしたか。」
「おいお前、もっとちゃんと狙え。」
「すみません……神々しかったので、つい………。」
「まあ、わからんでもないが………気配は?」
「消えちゃいました…………。」
突然の出来事に頭が追いついていない俺は、白スーツ達の会話を聞き流しながら、呆然としていた。
ふと、左手に何かが触れた。
白スーツ達からは死角になっている自分の左側を見ると、指先に何かが落ちていた。
それは、三センチぐらいの、淡く光る……………何かのカケラみたいなものだった。
「おいそこのお前!」
いきなり声をかけられた俺は、とっさに落ちていたそれを、着ていたジャージの左ポケットへと突っ込んだ。
「おい! お前だよ!」
「な、何の用だ…勝手に人ん家に殴り込みやがって。」
「お前………自分が誰だか、覚えているのか?」
「はあ?」
「悪魔様に記憶を差し出していないのか?」
「当たり前だろ!!」
「連れていけ。」
「はあ!?」
反抗する隙もなく、俺は口に当てられたガーゼによって、意識を掠め取られた。
「悪魔様にお会いになって記憶を保持している………大変貴重な目撃者だ。」
そんな言葉を、幽か遠くに聞きながら。
目が覚めると、そこは真っ白だった。
これは比喩でもなんでもない。本当に壁も、床も、天井も真っ白な部屋の真ん中で目が覚めた。俺の着ている黒ジャージは、酷く場違いに思えた。
窓らしいものはない。正面の壁には扉が見える。
「目が覚めたか。」
「誰だッ!」
声がしたかと思うと、正面の扉が開き、男が一人入ってきた。
「まあ落ち着きたまえ。我々は君に危害を加えるつもりはない。大事な構成員候補だからね。」
「何を言っている……?」
「とにかく、だ。ようこそ、我々の組織へ。ともに悪魔様との逢瀬を果たそうではないか!」
変態紛いのことを宣言した男は、聞いてもいないのに組織のことについて語り出した。
だが、その内容を聞くにつれ、俺の意志は変わっていった。
組織の内容は、古来より存在する悪魔様を崇拝し、悪魔様とのコンタクトを、ありとあらゆる方法で追求し、そのお力を様々な目的のために使役しよう、といったものだった。
つまり、だ、うまくこの組織に馴染めば、また、あの悪魔に会うことができるって訳だ。
それに、この組織に貢献するのなら、組織が収集している信頼できる悪魔の情報と、悪魔と対抗するための力も教えてやるときた。おそらく、先程見た青白い光みたいなものだろう。
「いいぜ………仲間になってやるよ。」
そこからの俺は、順風満帆とはいえないが、なかなかの早さで認められ、俺が住んでいた地域の組織管理を任されるまでになった。
そんなある日、とある少女の情報を耳にした。
それは、悪魔と契約をして願いを叶えたという少女の情報。
しかし、ただ契約を結んだだけの人間は、そこまで珍しいわけではない。世の記憶喪失の九割が悪魔の仕業と言われているほどだから。
だが、ここがその少女の特殊な点なのだが、少女の記憶は完全には喰われていない…………らしい。そして、このようなことは前例がない。
よくわからなかったが、組織の得た情報だ。間違いではあるまい。
ということで、会いに行ってみた。もちろん組織に取り入れるため。
組織の正装である白スーツに身を包み、少女の家の扉をノックした。
扉の向こう側には、思い詰めた顔をした少女が、カッターナイフを握り締めて立っていた。
カッターナイフなんかでびびる訳にはいかない。さあ、勧誘の始まりだ。
「悪魔って、信じますか?」
最初、勧誘は困難だった。やはり宗教勧誘にしか聞こえないのだろうな。
だが、悪魔の餌について話をすると、反応を変えて、真剣に話を聞くようになった。やはり悪魔に対して思うところがあるのだろうか。
そのまま俺の手腕で組織に巻き込んだ少女は、めざましい成長を遂げた。
少女自身の適応力の高さもあるのだろうが、それ以上に結果を多く残している。
何が少女をそこまでさせるのか、俺は気になり始めていた。
なので、組織のデータベースを基に、少女のことを調べあげてみた。
すると、衝撃の事実が判明した。なんと、少女は、俺の大切な、記憶を取り戻してやりたいと思っている彼女の……実の妹だった。
「くっくっく、そういうこと、か……。」
この少女も、少女の姉……つまり、俺の彼女の記憶を取り戻したいと思っているはず。
この少女も、俺と同じように、組織の力を利用して、俺と同じ人の記憶を取り戻したい、そう思っているはず。
俺は、いつのまにかそう確信していた。
少女と俺の、真の目的は、同じ。
「これは利用しない手はないな………フフフ、フゥーッハッハッハッ!!」
そうと決まれば、早速少女を俺の執務室に呼び出した。
「来ました。何でしょうか?」
「いや、ひとつ大切な話があってな……。」
この事実を告げたとき、少女がどのような反応を示すのか、それが楽しみだった。
さて、どんな顔をするのか……。
「で、その内容だけどな、」
「奇遇ですね。あたしもあなたにお話があります。」
………は?
「ど、どういうことだ?」
「そのままです。あたしも、あなたに大切なお話があるのです。」
「………内容は?」
「それは………ここでは言えません。ですから、今夜の午前二時、ここに来てくれませんか。」
差し出されたのは、座標の数字が書かれた紙切れ。
それを机の上に置いた少女は、すぐに部屋から出ていってしまった。
「………なんなんだ、いったい……。」
しばらく呆然とする。少女の言葉の理解に、しばらく時間がかかった。
その夜、午前二時。
座標の示す場所は、組織の建物から少し離れた、断崖絶壁だった。
組織の建物自体も人里離れた場所にあるため、この場所の付近には、人の姿はおろか生き物の気配すら感じられない。夜中という時間帯のせいでもあるのだろう。
しばらくして、少女がやってきた。俺のすぐ前までやってきた少女の服装は、この季節に合わない、ワンピース一枚という薄着だった。
「来てくれたのですね。」
「ああ………まず、なぜこんなところに呼び出した?」
「その理由は二つあります。まず、ここなら盗聴も盗撮もされる心配がないということです。」
なるほど、やはりそういうことか。確かに見張らしもよく、波の音で声もかき消される。実際、身体が触れるほど近くにいる少女の声がやっと聞こえるぐらいだからな。
そういう理由ならば、俺の話もここでするのは都合がいい。組織に尽くしているのは組織の力を利用するためだとバレてしまったときには、裏切りの罪と口封じのため殺されることが目に見えているからな。
「で、それほどまで注意するなんて、いったいどんな内容なんだ?」
「待ってください。まず、ここを話の場所に選んだもうひとつの理由を聞いてください。」
「お、おう……。」
少女のペースに飲み込まれている感じがして気に食わない。だが、それ以上に俺は徐々に少女の話の内容の方が気になってきた。
「この場所は、他の生気がまったく感じられない場所です………つまり、喚びやすいのです。」
「喚びやすい………まさか!?」
「はい。あたしは、悪魔様を召喚する方法を見つけました。」
俺は、背後の海の荒れる波のような衝撃を受けた。
悪魔の召喚方法を見つけた………だと……?
この組織が設立当初から研究して、未だ判明していない悪魔との接触方法を解明した、だと?
「本当、なのか……?」
「はい。ですから、その方法の結果を、上司であるあなたに見てもらう為、ここに呼び出しました。お手数をお掛けしてすみませんが、理解してください。」
俺の鼓動は、知らぬ間に早くなっていた。
「は、早く、その方法で悪魔………様を喚び出してみろ!」
そのせいで、建て前でしかない悪魔への崇拝心が、剥がれてしまいそうになった。
「あ、はい………えっと、それはいいのですが…………。」
「なんだ? 何か問題でもあるのか?」
「あの、恥ずかしいので、少し海の方を向いていてもらえないでしょうか……?」
「は?」
「………服を、脱がなければいけないのです。」
「………どういうことだ……?」
そう聞くと、少女は少し顔を赤らめて、
「超自然的な存在と触れあうためには、生まれたままの姿にならなければいけないのです。」
「なんだ、そういうことか。わかったよ、だから早く喚べ。」
そう吐き捨てて、俺は後ろを、つまり海の方を向く。
荒れ狂う海を眺めながら、色々なことを考えていた。
これで、あの悪魔とまた会える。
あの悪魔に、問いただすことができる。
彼女の、記憶について。
どうやって取り戻すことができるのか。
悪魔に無理だと言われても、どうにかしてやる。
たとえ力ずくであっても。
ずっとそう考えていたが、どうしても、悪魔と会うことができなかった。
気に入らない不気味な組織の駒となってやってきたのに。
それが、今、ここで、こんな形で、報われる……。
俺は白スーツのポケットから、あの日拾った光るカケラを取り出した。
俺は、悪魔と俺が出会ったという証明のように、そのカケラを四六時中所持していた。
それを眺めながら、今までのことを振り返る。懐古というやつだろうか。
やっと、やっとこのときが…………。
後ろで裸になっているであろう少女のことなど、少しも気に止めていなかった。
その時、
俺の背中に衝撃が走った。
俺は、絶壁を半分ほど落ち、空中で回転して上の様子が視界に入った時、見えた。
少女が、こちらを眺めていた。
その表情は、あまりよく見えなかった。
だが、少女が俺を突き落としたであろうことは、理解した。
「何故………なぜ………どう、して…………こんなこ」
人が一つ落ちていき、岩に赤い花が咲いた。
「悪いとは思わないわ。あたしが早く上層部に辿り着くために必要な犠牲なのよ。逆に誇りに思いなさい。」
その花が荒波にかき消されるまで、少女はじっと眺めていた。
「あなたが何の話をしたかったのか、もう知ることはできないけど、まあいいよね。どうせしょうもないことでしょう。「君が好きだッ!」みたいな。でも残念ね。あたしの心はお姉ちゃんの為にあるの。あなたなんかに構っている暇なんか一秒たりともないのよ。」
そう吐き捨て、その場を去ろうとした。だが、その時、ふと目に留まったものがあった。
「なにこれ………………カケラ?」
用事を済ませた少女は、かなり遅い時間であったが、組織の宿場でシャワーを浴びることにした。
四肢を露にし、ぬるい水を浴びながら、先程拾った「カケラ」らしきものをいじくっていた。
「なんだろ………これ。」
ふと、胸元に近づけると、その燐光が、ほんの少し、増したような気がした。
「………………ここ………?」
そのままカケラを、まだ控えめな胸に触れさせる。瞬間、一瞬の煌めきとともに、カケラは胎内へと染み込んでいった。
「んっ……………ぁ……。」
視界が揺らぎ、足元がふらつく。
「あ、あれ?」
ぼんやりと頭の中に霧が立ち込める。そして同時に、その霧が徐々に晴れていく。
「……………思い出した。あたしってやっぱり、お父さんとお母さんがいたんだ。」
少女には、両親の記憶がなかった。いたという事実は、記憶が残っていた頃の下の姉から聞かされていたが、会ったこともなく、実感もわいていなかった。姉の話によれば、ある時から行方不明になった、とか。
「ああ、お父さんたちがいなくなったの、もしかしてあのとき、かな。下のお姉ちゃんが帰ってこないって心配してたあの日。あのときあたしは何が起きているのかよくわかんなくてぼーっとしてたっけ……そういえばあの日って、下のお姉ちゃんが轢き逃げにあって殺された日だったよね………………あ、あれ?」
少女は、自分の記憶の齟齬に気がつく。
「あれ? 下のお姉ちゃん………生きてるよね? 記憶は無くなっているけど…………でも、あの日は下のお姉ちゃんが轢き殺されたって上のお姉ちゃんと一緒に泣いた………あれ? 帰ってこないって心配してたのは……………あれ…………?」
頭の中の霧を、少しずつ掻き分けていって、ひとつの記憶に辿り着いた。
「ああ! そっか、思い出した!! 確かあのとき、お姉ちゃんが轢き殺されたと知って、泣き叫んでいたら……あいつが、悪魔がやってきて、それで、そう、願い事をしたんだ! 「お姉ちゃんを轢いた奴を殺してでもお姉ちゃんを助けて!」って…………そう、そうだったんだよ! あは、あははは、そっか、あたし、もうとっくに一度、悪魔と契約しちゃっていたんだね。でも、あの悪魔、お姉ちゃんたちの記憶までは持っていかなかった…………いや、持っていけなかったのね! あたしのお姉ちゃんに対する愛は、たとえ悪魔でも引き裂くことができなかったというわけね! あは、あはははははははっ!!!!」
深夜のシャワー室に響く、裸の少女の甲高い声は、しばらく止むことはなかった。
「…………そういえば、お父さんとお母さんって、どこにいったのかしら? まあ、今更どうでもいいけどね! あはははははは……………」
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