第9話

 朝。カーテンから眩い朝日が漏れる。また一日が始まる。久々に深く、長く眠った気がする。リョウはそう思いながらベッドから起き上がった。

 「…っ!痛った!」

 右手に激痛が走る。力が入らずプルプルと震え、熱を持っていた。そこに丁寧に包帯が巻いてある。

 「あっ…」

 右手を見て脳裏に稲妻が走った。昨日の出来事が一気に思い出された。

 「ソラノ…」

 ソラノの手の感触が思い出される。

 ソラノはあのあとどうなった?ちゃんと逃げられた?ホルスは倒したと思う。その後一人で逃げたのか…?でも、捕まった?

「くっそ…!なんで思い出せない!?」

 思い出そうと必死になるが、あれから何があって、どうやって家に着いたかも全く覚えていなかった。必死になればなるほど頭が痛くなってくる。

 今、確実にわかることと言えば、いつもの一日が始まったということだ。始まってしまえばそれに乗るしかない。立ち止まっても昨日に戻ることは出来ない。

 「だよなぁぁぁ…。んん~…!」

 大きく背伸びをし、時計を見る。

 8時40分

 鳥肌が立った。学校のホームルームまでに着くには最悪でも四〇分のバスに乗らなければならない。完全に遅刻だ。

 「やっば…」

 日常は待ってくれない。リョウは昨日の制服のままだったが、よく見るとズタボロで汚れていた。制服と怪我は昨日の出来事の証人だ。そのまま学校に行くわけにもいかないので、とりあえずシャワーを浴びる。手の包帯を外すと傷は無かったが真っ赤になっていた。まだズキズキと鈍痛が走る。ホルスを殴ったときのことを思い出す。

 「殴っただけで折れるとか…どんだけ骨弱いんだよ…」

 我ながら自分の骨密度の低さに呆れて笑ってしまった。

 シャワーから上がると冷蔵庫にあったプリンを一口で食べる。一人で暮らしているので当然朝食など用意されていない。急いで新しい制服に着替える。

 「カバン…。あ…」

 そういえば、ソラノと逃げたときからカバンが無い…。つまり、財布が無い。ケータイもポケットに入れてたはずだったが無い。ケータイが無いから電子マネーも使えない、バスに乗れない。

 「ええぇ…最悪だ…ああぁぁぁぁ…いってきます…」

 リョウは肩をこれ以上にないほど落とし、手ぶらで家を出る。アパートを出ると雲一つ無い空が広がっていた。リョウは走るが、身体がだるく、痛くて全力では走れなかった。もちろん、あの加速も出来るはずもない。

 「暑いなぁ…相変わらず」

 リョウの暮らすこの都市は日本に8ヶ所、世界で11ヶ所にあるESSユニットと呼ばれる超大な建造物である。地上200メートル以上の高さに一つの都市があり、そこで50万人以上の人々が暮らしている。ESSユニットは天災の脅威から人々を守り、その下の自然環境を保護する目的で作られた。人の歩いた振動で発電するパネルや天候管理システムなど、人工都市ならではの先進技術の開発、研究、実地試験が行われている。とりわけここ、ESSカントーは治安が良く、最も新しいESSユニットである。

 昨日のゲーセンの前を通る。警察が規制線を張っていた。入り口付近は真っ黒になっておりいろいろな物がグズグズに溶けていた。これも昨日の出来事の証人。ここから見ると【昨日火事があった現場】そんな風にしか見えない、ソラノとここで会ったのも無かったことのように思える。

 そうこう考えながらも走る。交通量もピークを越えて、若干いつもより通行人や車が少ない気がした。街頭モニターには昨日のサクラシティ周辺の事件がニュースになっていて、リポーターが砕けた水上ステージの前に立っていた。不思議なことにちゃんとした目撃者がおらず、捜査が難航していると伝えている。アレだけ暴れて騒ぎになったはずなのに自分の写真が一つも出てないのも不思議に思った。


 ※※


 学校に着くと教師にバレずに教室まで辿りつくのが意外に大変だった。本来、遅刻した生徒は職員室に行き、遅刻した理由の申告とカバンの中を見せなければならない。違反物を没収されたくなければ遅刻するなという意味だろう。この学校はその辺りは寛大だ。しかし、今リョウはカバンすら持っていない。このままバカ正直に職員室に行けば、そのことで面倒になる。

 とにかく教室に着いたリョウの勝ちだった。あとは何食わぬ顔で「検査は受けた」と言って教室に入れば良いのだから。

 教室の後ろの扉を堂々と開ける。

 ちょうどホームルームの最中だった様で、担任の白百合愛子が声をかけてきた。

 「…い、稲葉君。遅刻とか珍しいねぃ。し、しっかりしろよぉ?」

 白百合は所々声をしゃくらせながら言った。

 「あ、おはよーございまーす。検査はもう受けましたのでー」

 白百合の方を見ずに自分の席に向かう。リョウは白百合が苦手だった。無理に熱血教師を演じようとしているのがバレバレだからだ。若いならそれを出していけば良いのに…と言っても彼女はキレイだし人気者だ。ただリョウが苦手なだけである。

 「おぉ!稲葉リョぉっ」

 のんびりとした全く身に覚えのない声から呼ばれる。

 「は?」

 リョウは声の方を向く。二度見。そして、目を見開いた。

 そこには、ボブヘアーのアヒル口で意地悪そうな目をした女の子が手を小さく振って立っている。モニターボードには[真国瑞希まくにみずき]と映っていた。全く身に覚えがない。

 そして、何より驚いたのがその横だった。腰まであるピンクがかった髪、長い手足、貴族を思わせる顔、虎の目、モニターボードには[空乃・ライスブレイド]と映っている。

 そこに居るのは紛れもない昨日のソラノだった。

 「ソラノ!」

 リョウは周囲の目も気にせず声をあげた。

 「あたしは無視かぁ?」

 ミズキは口を尖らせる。

 「お前…誰??」

 リョウは首を傾げる。

 「稲葉リョぉ…。奇しくもあんたは…昨日のあいつと…同じリアクションなのね…ッ」

 ミズキが小刻みに震えている。手は握りしめ過ぎて、血が出そうだ。周囲が注目。特に男の目がおかしい。最早、友達を見る目ではない。とりあえず席に座ることにした。

 「…ふぅ」

 小さく息を吐くと、隣の雪羽が小さな声で話かけてきた。

 「おはよう、知り合い?」

 「おはよう、まぁ…ソラノは知ってるけど…片方は…知らね…」

 雪羽は納得いかないようだ。

 「あれぇ?まぐにさんは稲葉君と知り合いなのかな?」

 白百合が目を輝かせてミズキに言う。何かを期待しているが、それが何なのかはわからない。

 「…いえっ!全く知りません!」

 ミズキは声を張り上げた。

 「そ、そう…じゃあ自己紹介の続きをしてね。まぐにさんから…」

 ミズキに気圧されながら白百合が自己紹介を促す。

 「…まっ!くっ!にっ!ミズキです。みなさんよろしくぅ!」

 明らかに何かに怒っている。

 「ソラノ・ライスブレイド。よろしくお願いする」

 ソラノはじっとリョウを淡白な目で見ていた。

 「真国さんはお家の事情で東京からこの学校に引っ越してきてぇ。ライスブレイドさんはアメリカからの帰国子女ですぅ。み、みんな!色々教えてあげてねぃ!」

 「「「おおおおおおおおおおおおおお!!!」」」

 今まで静かだった男たちが歓声をあげる。しかし、女子も似たような反応をしていた。

 「綺麗な人だねぇ」

 雪羽もその騒動に紛れてリョウに話しかけてきた。リョウは返事をしなかった。というか聞こえていなかった。ソラノに意識を集中していた。

 「真国さんとライスブレイドさんには、あそこに座ってねぃ!」

 白百合は真ん中の列の一番後ろを指差した。女子が集中している場所。教師として適切な判断だが男子からブーイングと壮大な舌打ちが鳴る。

 ソラノとミズキは指定された席に座る。すぐさま周りの女子が話しかけた。

 「とりあえず、みんなっ!真国さんとライスブレイドさんと仲良くしろよぉ!ホームルーム終わりぃ!」

 「起立、礼」

 クラス委員が号令をし、ホームルームが終わる。それと同時にソラノとミズキに周囲の生徒が群がる。そして、他の教室からも一目転校生を見ようと生徒が押し寄せる。白百合が生徒の波に飲まれるのが一瞬見えたが知らないふりをしておこう。

 男子で一番に声をかけたのは山田だった。

 「俺は山田竜次!よろしく!」

 「よろしくぅ」

 「よろしく…頼む…」

 山田はソラノに手を差し出す、握手のつもりだろう。

 「…すまないが…握手は…」

 ソラノはきっぱりと拒否。山田は固まって動かなくなった。

 「ちょっ…ソラノぉ、断り方…あはは…」

 ミズキは苦笑いする。それから二人は次々と質問責めされていく。

 「なんで…」

 リョウはソラノを凝視して固まっていた。

 「稲葉くん?」

 視界に雪羽が入っていた。

 「ん?何?」

 リョウはソラノを見つつ返事をする。

 雪羽もリョウの視線の先を見る。

 「なんでもないっ」

 雪羽は急に席を立ってソラノの席へ行ってしまった。

 リョウも席を立つ。聞きたい事が山ほどあった。なぜここにいるのか、昨日の出来事は何だったのか、ホルスについて、あのあと、何があったのか。

 一歩一歩近づいていく。なぜか緊張する…今まで味わったことがない緊張だ。

 「おい、稲葉」

 教室の入り口の方に立っている男子から声がかかった。無視してソラノの方へ向かう。

 「おい!稲葉ってばぁ!」

 「なんだよッ!」

 リョウが声をあげる。ソラノとミズキがこちらを向いた。

 「お客さんだ!一年の女子!」

 呼んだ男子は、わざと【女子】に力を入れて言う。

 「「「なにっ!?」」」

 教室の男子だけが反応する。その反応にリョウが驚く。

 尋問決定だ。いや、拷問か。

 「…一年の女子…?」

 リョウは気を取り直して「知り合いなんかいたかな?」と、知り合いを頭の中で検索しながら入り口の方へ行く。

 「どこ?」

 「廊下で待ってる」

 男子に促され廊下に出る。出る際、なぜか肩にパンチを食らった。

 肩を擦りながら廊下に出ると、そこには誰も立っていない。周りを一通り見まわして

 「誰もいねぇじゃ…っくはあっ!」

 リョウの鳩尾に衝撃が走る。

 「それ…本気ならぶっ殺すわよ…」

 ドスの効いた言葉が下の方から聞こえる。

 「うぅ…」

 息が出来ない、なんとか下を見ると大きなお団子ヘアーの小さな女の子が立っていて、そいつの拳が鳩尾に食い込んでいた。確かに下級生の証であるデザインの制服を着ていた。

 「…な…何を…」

 まだ上手く喋れない。

 「あんたが恩を仇で返す人間だってよぉぉくわかったわ…」

 そう言うと拳を引き、カバンを差し出す。それはリョウのカバンだった。リョウはそれを震えた手で受け取る。

 「…お…俺のカバン…。思い出した…君、昨日のチビ…ひぃっ!」

 お団子女子の強力な右フックがリョウの腹に入った。このお団子で暴力的な女子を忘れるはずがない、昨日のゲーセンでリョウに容赦なく正拳突きをかましてきた双剣使いだ。

 「…次、チビって言ったらぶっ殺すわよ…っ!」

 殺意を込めてお団子女子は言う。

 「…もう…殺しかけています…。これ…昨日のゲーセンに…?」

 「そうよ…あんたが走ってあそこを出て行ったあと、私が知り合いと勘違いされて持たされたのよ!ゲームも途中で止めて追いかけたわよ!」

 「でも、昨日はあのあと…」

 リョウが出たあと、車が突っ込んで火災になった。

 「あんたを追いかけてあそこを出た瞬間に車が突っ込んだのよ…。だからその…あんたのおかげで助かったところもあるから、ちゃんと渡さなきゃって思って…生徒手帳見て、学校同じだったからこうして届けたのに…あ、ああ、あんたは…私をちちち、チビって…フー。フー…」

 お団子女子は自分を落ち着ける為なのか、格闘家のように息を整える。

 「あ、ありがとう…ホント、マジで。良かったら名前教えてよ…?」

 話を違う方向へずらす努力をしてみる。

 「なんで名前なんか教えなきゃいけないのよ!?」

 お団子女子は顔を真っ赤にして言う。殴る気配がなければ小動物のようでかわいい。

 「せっかくだし、お礼もするよ。クラスは?」

 リョウは出来るだけ優しく笑いかける。

 「お礼なんかいいっ!」

 「いいからいいから」

 リョウはニコリと笑って言う。それにしても背が低く、上目使いで睨んでくる。

 「ちちち、ちく、筑紫、翔子…」

 翔子は高速でくるりと後ろを向いて逃げるように走り出した。

 「今度闘い方でも教えてくれよ。翔子師匠ぉ!」

 「はぁ?師匠?」

 「だってすげぇ強かったじゃん!だから師匠っ!」

 「あんた…まず私にお礼してからでしょ!?」

 「あれ…?礼とか要らないんじゃなかった?」

 「うっさい!」

 廊下中に響く声で叫んで、翔子は全力で走り去ってしまった。

 「変な子…」

 カバンの中を確かめながら教室に戻ろうと入り口に立つ。男子がリョウを待ち構えていた。

 「…何でしょうか?皆様方…」

 「ロリコン!」

 「おい、どうやってミズキちゃんと知り合った!」

 「お前って言ったら殴られた。痛ってぇ…えへへ…」

 男子が一気にゾンビの如く押し寄せて喋りかけてくる。

 「うるせえ!俺も聞きたいことが色々あんだよ!」

 リョウはたまらず声をあげて、ゾンビを掻き分け、自分の席に座る。まだソラノとミズキの周りには人だかりが出来ていた。ここから見るとソラノは普通の女の子で、昨日、自分と手を繋いで走ったのが嘘みたいだった。

 ミズキと目が合う。リョウは目をソラノに移す。ソラノとも目が合った。しかし、ミズキはズイッと身体をずらし視界に無理矢理入ってくる。リョウは目を逸らした。

 ミズキが音を立てて席を立った。

 リョウの方へ近づいてくる。ズカズカという音が聞こえてきそうだ。そして、リョウの隣の席、すなわち雪羽の席に遠慮なく座った。周囲のクラスメイトもこちらに注目する。

 「…」

 「…何でしょうか…?ていうかどこかで会ったことあるっけ?」

 リョウは引きつった笑顔で喋る。

 「稲葉リョぉ…色々話すことがあるんだけどぉ、まず先に言っとくわねぇ」

 ミズキがずいっと、息遣いがわかるほどに顔を近づける。

 「お前って言うな…」

 ドスが効いた声だった。一瞬寒気がした。

 「あの…」

 ミズキが振りかえるとそこには雪羽がいた。席を発っていたが戻ってきたのだろう。

 「ん?あぁ…あなたの席だったぁ?」

 ミズキは先ほどの声とは一転して、ワントーンどころか何トーンも上の声で言う。

 「うん…」

 「あぁごめんねぇ、ちょっとこいつに話があったからさぁ…あはは」

 ミズキは笑いながら雪羽に席を譲る。というか最初から雪羽の席だ。

 「よろしくねぇ。なんて言うの?」

 「え?」

 雪羽は戸惑う、いきなり「なんて言うの?」と言われれば当然の反応だろう。一瞬、リョウと目が合った。助け舟を出す。

 「湯野原雪羽さん」

 「へぇ~すごいかわいいよねぇ稲葉リョぉ」

 「ぶっ…!」

 雪羽を見つめながらの無茶振り。リョウは思わず噴き出してしまう。そういう恥ずかしいことを振らないでほしい。

 「そんなことないですよお!真国さんやライスブレイドさんの方が綺麗っていうか…大人っぽいっていうか…」

 雪羽は手をブンブンと振りながら顔を赤らめる。その仕草がかわいい…。

 「謙遜しないでいいよぉ…あとあたしのことはミズキでいいわよぉ!」

 いたずらが好きそうな笑顔を見せてミズキは言う。

 「うん、わかった…私のことも雪羽って呼んでね」

 雪羽もかわいらしい笑顔で返した。

 するとミズキは雪羽の後ろの席にいるヤマトを見る。

 「ヤマト」

 ヤマトは身体をびくりと震わせた。そこに居たのが分からなかった。気配でも消していたのか…まるでいたずらがバレた子供のようだ。

 「ミズキ…」

 「どいて」

 ミズキは上々段から見下ろし睨み、言った。

 「は?」

 ヤマトもその三白眼で睨み返す。険悪な空気。

 「席替え、あんたあたしの席ねぇ…。んでここ、誰の席ぃ?」

 ミズキはリョウの後ろの席、つまり山田竜次の席を指差した。

 「はいはい!俺だよぉ!ミズキちゃんっっ!」

 山田が元気よく手を上げる。ミズキが隣の席に来そうなのでテンションが高いのだろう。

 「あんたも席替えねぇ」

 ミズキが山田にニコリと笑顔で言う。こんな笑顔を向けられれば山田も本望だろう。

 「え…」

 山田の存在感が消えていくのがわかった。そして、ヤマトの方を見る。

「席変わって?」

 ミズキはニコッと笑う。

 「わかった」

 「「「えぇっ!?」」」

 ヤマトは即答。リョウを含め、クラス全員が同じ声を上げてしまう。

 ヤマトはさっさと荷物をまとめてミズキの席に座った。今までヤマトのことをただの不良だと思っていた面々は沈黙に落ちる。

 「お前もさっさとしろ…」

 ヤマトは呆然としている竜次を睨んで言う。山田は黙って頷き、それに従う。なんだかかわいそうに見えた。

 「真国さん、高岡と知り合いだったのか?」

 そうリョウが問いかけると、ミズキはヤマトの席に座って足を組んだ。目が足に行ってしまう。

 「そそ、知り合い、ふひひ」

 ミズキはケラケラと笑う。

 「ミズキ…」

 ソラノが自分の荷物を持って、ミズキの後ろに立っていた。席替えする気は満々らしい。

 「調子に乗りすぎ…。すまないな…湯野原さん」

 「あははぁ…ごめんごめん、久しぶりだったからつい…」

 ミズキは相変わらずケラケラ笑いながら言う。

 「い、いや、ミズキちゃん楽しいよ?」

 「そう気を張らないでくれ…。よろしくな、湯野原さん」

 ソラノがぺこりとお辞儀をする。

 「あ、あ、あ、そんな!よろしくお願いします…!私のことは雪羽でいいですよ」

 「わかった…じゃあ私のこともソラノと呼んでくれ」

 ソラノは雪羽に笑顔を見せた。それはとても同じ年とは思えないほどの綺麗な、見ていて落ち着くような笑顔だった。リョウがそれを見ていると、ソラノは笑顔を消してリョウを見た。

 「リョウ―――」

 「おはよう!授業始めるぞ」

 ソラノが何か言いかけたところで教室に英語の教師が入ってきた。好き勝手やっていた生徒たちも自分のクラスや席に戻っていく。

 ソラノはしばらく教師を睨んでいたが、席に座った。もちろん山田の席だが。

 そして、授業が始まった。

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