第53話

 8:15 オーコックス・インダストリー隔離棟


 ミズキの向かう先にはやけに窓が少ない10階建ての建物があった。警察などに引き渡さない、あるいは危険なナノマシンを保有している為警察の手に負えない捕虜を監禁する施設、隔離棟である。会社的にブラックな部分。

 一足先に敵機G-1が隔離棟の脇に着地、派手なカラーリングと所々鋭角なデザインは建物の隙間からでもどこに居るのかをハッキリさせる。そのあとにG-2、G-4が地響きを立てて着地する。

 「っとぉ!!!」

 ミズキはミョルニルの噴射を利用し、大ジャンプ。低めの建物の屋上に着地し、更に飛び石のように建物を越えて手前にいた無骨なG-4の上をとった。何かを確認しているのか微動だにしない。

 「んじゃ頭から失礼しまあぁぁぁぁぁああ!!!!!」

 ミズキは中空でミョルニルを持ち替えて噴射口を上に向ける。

 噴射。

 ミズキの身体はさながら隕石のように轟音を立ててG-4に落下。振り向く素振りを見せるがもう遅い。

 ミョルニルは正確に戦国時代の兜のような頭部の頂点を叩く。車が衝突したような音を立てて、カメラの一部であろうガラス片をぶち撒けながらG-4はバランスを崩す。

 「そのままぁ!倒れろおおおおぉぉぉぉ!!!!!」

 ミズキはそのまま噴射を続ける。ジェットに押されたG-4はだらしなく倒される。

 背中から激しい音を立てて倒れたG-4にもう一撃加えようとミョルニルを構えるが、G-1がマシンガンを構えているのに気が付きG-4からジェットを使い離脱する。

 G-4はいびつな機械音を立てて立ち上がろうともがいている。

 ミズキは短いスカートをなびかせながら着地をすると、さっさと建物の陰に隠れる。

 「ふぅ……。ねぇ、なんで隔離棟だと思うぅ?」

 ミズキは誰となしにした問いかけにリンが答える。

 「今収容している人間で関係ありそうなのは……。ホルスとイヴ製薬のサプサーンね……」

 それに反応したのはリョウだった。

 「ホルス!?ホルスはまだここにいたんですか!?」

 「そうね、リョウ君には言っていなかったけれど、彼は警察にも引き渡すわけにはいかなかったのよ」

 「その話はぁ、また後でねぇ!とりあえず隔離棟のスタッフにぃ警戒するように言っといてねぇ!」

 ミズキは喋っている間にも建物の間を縫ってG-2の背後に回る。

 「……隔離棟の人間と連絡が取れないわね……」

 リンの声が静かに聞こえた。

 「まぁじぃ?」

 ミズキも半笑いで答える、状況はあまり良いと言えなくなってきた。

 建物の間からG-2の背中を捉える。ミョルニルを斜めに構え、そのまま噴射。ミサイルのように噴射炎を輝かせ飛ぶ。

 「おおおおぉぉぉぉ!!!!りゃっ!!」

 背中を的確に捉えてミョルニルをぶち込む。G-2は不意を突かれバランスを崩すが、振り向こうとする。ミズキはそこから再噴射して頭上に回った。このまま垂直に叩き込めばG-2を倒せる。

 「!!」

 しかしながら、G-1が銃口をこちらに向けていることに気が付いた。ミズキはミョルニルの噴射口の方向をくるりと変え、噴射。近場のビルの窓に飛び込んだ。

 「あいつぅ視てないようで視てるわねぇ……。うわっぷ!!!」

 G-1のマシンガンでの掃射。マシンフレーム用の弾丸だと建物に簡単に穴が開いてしまう。

 「めんどくさぁぁぁぁぁ!」

 ミズキは建物が原形を留めているうちに、窓と反対側へジェット噴射で移動し、壁をぶち壊した。どうやら社長室だったようで美しい絵画や、調度品がミズキによってぶっ壊された。そのまま次の壁を壊し、外へ出る。

 するとG-4が何とか立ち上がってマシンガンを構えていた。

 「ちょぉぉ!」

 方向転換が間に合わない。距離もまだあり、ミョルニルを叩き込むことができない。

 ミズキが少し焦ってスカートも構わず空中でもがいていると、G-4の斜め上から何かが音を立てて、肩から脇腹を貫通していった。

 ヤマトの狙撃だ。恐らくコックピットを通って行ったようで仁王立ちで停止した。

 「ヤマトぉ!ナイス!」

 「すまん、遅れた」

 「おっけぇぇぇ!」

 そのままミズキはミョルニルをG-4の胴に叩き込む。

 「つぎぃ!」

 ミズキはG-4が倒れきる前にジェットを噴かせ、先ほど飛び込んだビルの屋上へ。

 「リンッ!隔離棟の方はぁ!?」

 「まずいことになってるわ……。アモルの時と同じよ……」

 「……」

 ミズキは沈黙を返した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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