千百二十三話 魔蛙夢蔵右衛門とポー・ムラム
ラムーさんは頷く。
「階級は不明で、名は魔蛙
「むくらうえもんがカエルの名で、ポーが小さいおっさんの名前か。契約には時空属性が必須とかあるのかな?」
「分かりません。ポー・ムラムに魔力を通せば、何かしらの試験のようなモノがあるかもです。霊魔宝箱鑑定杖での鑑定は、何回か失敗しました」
「カエルのムクラと、小人のポーは、魔界王子テーバロンテや眷属などが契約ができていないからここに納まっていたんだろうか」
と目の前のラムーさん以外にも聞いた。
「たぶん、としか言いようがありませんね」
「魔界王子テーバロンテも、この宝箱の罠や鍵を解除できなかったって線もあります」
キサラの後にミジャイがそう発言。たしかにその線はあるが、監督官の魔歯ソウメルが宝箱に入れたという線もある。そして、
「元々【バードイン迷宮】にあった宝箱説もあるかな。魔界王子テーバロンテは宝箱を放っていたが、監督官の魔歯ソウメルは違ったとかな」
「「はい」」
キサラは、
「魔蛙
それはたしかにある。常闇の水精霊ヘルメが、
「領域的なルール、心象異次元、特異的に魔法や精神力が強い場合は、神々でも強引にねじ伏せるにはリスクがあるのかも知れませんよ。呪いはないようですが、契約する段階での罠もありえますからね」
と鋭い意見を放つ。頷いた。
ミューラー隊長と【グラナダの道】の面々も頷いている。
ボクっ娘のエトアさん、ジアトニクスさん、ロズコ、アマジさん、ビートンさん、ギンさん、ピエールさん、ヒビィさんに、まだ名前の知らないフーに似ている金髪の魔族さんなども頷きつつ、同様の意見を出していく。
そして、時空を股に掛ける小さいおっさんではないようだ。
そのポー・ムラムの衣装は紳士服。すると、ポーは手に大きい煙管を召喚。
その大きい煙管を軽々と持ち上げて吸うと、大きい煙管の先が熱が帯びた。
ポーは煙管を口から離して、鼻と口から煙を吐く。
ヒキガエルっぽい魔蛙
一部に硬そうな鱗を持つ。有毒粘液を分泌しそうな部分もあった。
ヒキガエルっぽいムクラは口からピンク色の舌を見せる。
「げろげろ、げろげーろ」
「ンン」
鳴いたが、げろげーろという鳴き声はわざとらしくて擬音に聞こえる。
と、ピンク色の舌の上には巻物があった。面白い。
「
「にゃ」
「ほぉ……」
と言って俺と
重そうな煙管を片手で軽々と持ったままだ。そのポーは、
「しかし、
と発言し、皆を見ながら煙管をまた吸い、煙を吐き出した。そして、
「……デアンホザー、トラガン、アーグン、
と南マハハイム共通語に近い言語で流暢に話しながら俺を見て、煙管を吸って煙を吐く。
「……お前だな! 黒い小童!! 認めよう! 魔力が凄まじいから強者に違いない!」
と俺を認めてくれた。そのポーに、
「認めてくれてありがとう。ですが、まだ契約するかは分かりません」
「な、な、なんと! 私とムクラをこけにするとは……!!」
「すみません、しかし、コケにはしていません」
「……私とムクラの大きさを見て、過小評価しているのだな?」
「過小評価もなにも、フラットですよ」
「……嘘だ。私とムクラは……大骨魔平原グンドールから骨魔火山ゲッパクリトリファとターンジェル大連山峰までの移動の自由を、骨魔大公アブランボッチ様に許されるほどの存在だったのだぞ」
プライドが高いのか。
それとも契約をするため、わざと注目を受けようとしている?
「……契約はするかも知れないです。しかし、宝箱の中には、まだ色々アイテムがありますから」
「ふむむ……それはそうだな。だが……」
「げろげろ、げろげーろ、げろげろ、げろげろ、いっさむ、げろげろ、げろげーろ、いっさむ」
「なに……え、ムクラ……そこまでなのか。ワカッタ……」
「にゃ、にゃ~」
魔蛙
静かになったポーは巨大な煙管から出した煙の一部をモクモクとした椅子に変えて座っていた。変な椅子に座り、考える人のようなポーズを決める。
ポーが着ている紳士服はアドゥムブラリのように魔力が濃厚だ。
さて、気を取り直し、宝箱の中身を見る。
宝箱に戻した古の十層地獄の獄官魔王カイガトの魔札の絵柄は、指が触れた部分だけはっきりと絵柄が現れていた。魔札を指先でもって、投げつけるとか、ゴッドギャンブラーな気分を味わえるかも知れない。
次に聞くのは……多頭の蛇が絡んでいる宙に浮いている歯車。
煙を噴出させている人差し指。髑髏のツルハシ。
蜘蛛の巣を有した虫籠。知恵の輪のようなアイテム。
魔コインの束。黒曜石のミニチュアの金床で、黒炎と共に、どこかで見た覚えのあるマッチョな男神の幻影を発している物。百足魔族デアンホザーに似た魔族たちと底の見えない渓谷に城のようなタペストリー。色々と気になるものはある。
宙に浮いている歯車に多頭の蛇が絡んでいるアイテムから聞くか。
「……ラムーさん、次は、歯車に多頭の蛇が絡んでいるアイテムのことを教えてくれ」
「それは……」
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