九百四十七話 拷問部屋の前での交渉と救出
走りながら、視界の片隅に小さく浮かぶ偵察用ドローンの視界をチェック。
拷問されながらも、頑なな態度を崩さない女性は強い。
巨大なホッチキスのような物が、右足に嵌められていた。
右足に何度も鋼の杭を打たれ続けている。
――女性の悲鳴が聞こえたような気がした。
喋ったら用済みで殺される?
女性は腹も殴られている。
回復能力を有しているから回復はしているが、あの痛めつけ具合だと大事な人質ってわけでもなさそうだ。
しかし、助ける義理はない。
助けようとしている相手が、実は悪側の可能性もある。
その場合、余計なお世話以上の一方的な正義を振りかざす自己満のフザケタ厄介者となる場合があるが……交渉と暴力にエヴァの能力次第か。
まぁ、見てしまった、助ける能力がある以上は――。
救出に向けた行動は取るとしよう――。
もう一つの戦闘集団のお偉いさんと追跡者をマークしている偵察用ドローンの視界を注視してから足を止めて、
皆に向け、
「皆、ちょい待ち」
「え――」
「にゃお~?」
「ん、待ち伏せ?」
右腕を上げた。
「いや、アクセルマギナ、戦闘集団のお偉いさんたちと、そのお偉いさんたちを狙う追跡者のことだが、その追跡者を押さえて情報を聞き出すことは可能か?」
「はい、可能だとは思います。が、さすがに単独とは思えません。追跡者を捕らえたところで、追跡者の仲間たちから襲撃される可能性があります。その場合、観客席と廊下に渡って派手な戦いへ発展するかもしれませんが、よろしいでしょうか」
「できるだけ殺しは無しの方向で頼む。しかし、戦いとなったら、自分の身と仲間を優先して守れ。危機となったら追跡者の連中を薙ぎ倒して帰ってこい。そして、キサラとヴィーネにも、一緒に動いてもらうとしよう」
「分かりました。お二人がいれば作戦効率は飛躍的に上昇、九十八%で私たちの勝利です」
頷いた。
「残りの偵察用ドローンは、まだ幾つか余っているから自由に使え、俺も使うから混同してしまうかもだが」
「はい、幾つかお借りします」
アクセルマギナはそう発言すると、ガードナーマリオルスに視線を向けて、
「マスター、拷問部屋への案内は、ガードナーマリオルスに任せます」
「ピピピッ」
「分かった」
アクセルマギナは敬礼。
俺もラ・ケラーダの挨拶を返した。
そして、
「……はい! プランCから、プランD、Eを超えてプランZに移行します!」
俺たちと離れたアクセルマギナは右と左に分かれている通路の右側を進む。
もうある程度フクロラウドの魔塔の地図はできているようだ。
エヴァと視線を合わせつつ、血文字を、
『キサラとヴィーネ、動けるか?』
『はい。ご主人様は、もう拷問されていた女性の救出に成功を?』
『まだだ。今、アクセルマギナに戦闘集団のお偉いさんたちを狙う追跡者を捕らえて尋問を行うように指示を出したところだ』
『ご主人様が追跡していた集団のフォローをわたしたちが行うとして……追跡者の仲間の勢力がいた場合、それらの勢力の打倒と、余裕があれば捕らえ尋問。更に拷問されている女性と同じ戦闘集団のリーダー側が悪だった場合の想定もしておきます』
ヴィーネは頭が切れる。
『さすがヴィーネ。頼む』
『はい』
『アクセルマギナとの連絡は?』
『キサラの斜め上に展開している偵察用ドローンの動きを追ってもらう』
その一つの偵察用ドローンを操作して、キサラに向かわせた。
偵察用ドローンの視界越しにキサラと視線が合った。
蒼い双眸はいつ見ても美しい。
そのキサラの<血魔力>を有した細長い指が動く。
『あ、分かりました』
俺の目の前にキサラの血文字が浮く。
偵察用ドローンを用いた血文字コミュニケーションは面白い。
時間的なずれのラグもないし、血文字は時空属性特有の光魔ルシヴァルだけが使える亜空間を利用しているのだろうか。
『クナに、総合上闘役キルヒスが行うブリーフィングに関しては任せたと伝えておいてくれ』
『はい、今、クナもわたしたちの血文字を見ています。状況は分かっているようです』
『幸い、ブリーフィングはまだ行われていません。総合上闘役キルヒスもまだです』
『分かった。では慎重に頼むとして、状況は変化するだろうから、各自の判断で動いていい』
『お任せください』
『大丈夫です』
状況はリアルタイムに変化するだろうからな。
ヴィーネとキサラなら安心できる。
目の前のエヴァが、
「ん、シュウヤ、戦闘集団のリーダーを狙う追跡者が、女性の拷問を行っている勢力と同じ組織?」
「その予測だ」
「拷問は悪いことだけど、女性がもっと悪い存在だった場合、その見方は反転する」
「あぁ」
「ん、だから、わたしが必要なのね」
「そうだ。嫌だとは思うが」
「ううん。小さなジャスティス! わたしが触れば、ある程度は真実が分かる可能性が高い!」
そのエヴァを見て、自然と笑顔となった。
エヴァの笑顔はいつ見ても天使の微笑だ。
「にゃ~」
大きくなっていた
エヴァの<
が、高い精神防御系スキルか秘宝級のアイテムがあれば、防ぐことは可能。
ま、エヴァも成長しているから大丈夫だろう。
読めなかったら勘に頼って話を進めれば良いだけだ。
さて、
「移動する前に、ヘルメ、出てくれ」
『はい!』
左目から液体状の常闇の水精霊ヘルメが出現。
その液体ヘルメは床に付着した瞬間、一瞬で女体化。
「ヘルメ、状況は理解しているな?」
「はい。拷問されている女性の救出。部屋の内部に液体のまま侵入して、その部屋の制圧ですね」
さすが常闇の水精霊ヘルメ。
ヘルメ立ちも素晴らしい。
「そうだ」
「お任せ下さい。あ、見張りがいた場合は、その見張りを倒しますか?」
「倒せそうなら倒してもいいが、見張りが優秀そうなら無視。ガードナーマリオルスが向かう拷問部屋への侵入を優先しろ」
「分かりました! マリオルスちゃん、行きますよ!」
「ピピピッ――」
――ヘルメとガードナーマリオルスは先を進む。
角を曲がって見えなくなった。
ガードナーマリオルスの球体が回転している面が地面と擦れる音はちょいと響くが仕方ない。
「にゃ、にゃ、にゃ~」
普通の黒豹を超えた優雅さを持った身体能力に驚いた。
が、神獣の相棒だ。
つい可愛い動物として見てしまう。
「ンン、にゃお~」
「ん、シュウヤ、見てないで急ごう! ロロちゃんとガードナーマリオルスが先に行っちゃった」
「了解」
エヴァと走って角を曲がった。
地下通路は幅が狭くなる。
二手に分かれた地下通路となると一転して奥行きが広い地下通路になった。
ここは、
そんな通路を走りながら――。
偵察用ドローンを少し動かす。
拷問部屋を調べた。
右端の配管が無数に連なる壁際には、半透明な魔法の膜が覆っている空調機と冷凍機のような魔道具が嵌まっていた。
天井も外気、排気、給気を担っているだろう配管が多い。
ここは空調設備室で、無理に拷問部屋に仕立てた印象。
床には廃材が転がり、長い机と椅子がある。
机の上には、アルミのアタッシュケースと拷問器具が並んでいた。
推測だが、拷問者も拷問を受ける者もフクロラウド・サセルエルの一派ではない?
ガードナーマリオルスは階段を下りた。
『アクセルマギナと合流しました。追跡者とその仲間を倒しに掛かります』
ヴィーネから血文字の連絡が入る。
『了解』
偵察用ドローンの一つの視界には、アクセルマギナたちが映る。
ヴィーネとキサラとアクセルマギナは分かれた。
観客席を挟む左の階段を下りるヴィーネ、右の階段をキサラが上がる。
踊り場にアクセルマギナがいる。
偵察用ドローンに向けて手を上げていた。
自然と頷きを返す。
偵察用ドローンが上下に揺れた。
アクセルマギナは、その偵察用ドローンの動きを理解し、頷いた。
そして、お偉いさんたちを追っている存在が潜むのは、そのアクセルマギナがいる階段の踊り場と通路。
少し、その皆が戦う映像を寄越す偵察用ドローンの視界を見ていたい気分となったが、己の視界を優先――左の角を曲がる。突き当たりの廊下を右に曲がった。
更に十字路の左を進んで、跳躍するように階段を下り、長い通路となった。
――走りに走る。
ガードナーマリオルスが曲がった。
俺たちも曲がった。
通路の幅は十メートル。
すると、速度を落としたガードナーマリオルス。
そして、ガードナーマリオルスが、偵察用ドローンの視界を斜め前方に投影してくれた。
拷問部屋の扉の下が濡れている。
液体状態のヘルメだ。
もう侵入したのか。
そして、前方を走るガードナーマリオルスが、
「――ピピピッ」
「ん、近い?」
「そのようだ。部屋にはもう液体のヘルメが入った。直ぐに救出されるはず」
「ん、さすが精霊様!」
「あぁ」
と返事をしながら走った。
廊下の角をまた左に曲がる。
幅は少し狭まった。
高さは二メートルぐらい。
槍よりは剣が有利って印象の通路。
ガードナーマリオルスは速度を落とすと投影していた映像を消す。
その通路の奥に、一人の女性の見張りがいた。足下に魔獣もいる。
コーヒーでも入っていそうなマグカップを持つ。
足下の魔獣は黒豹のロロディーヌのような印象を抱く漆黒の獣だ。
左側に扉が見える。
皆に向け、
「エヴァ、ヘルメが見張りを倒していないってことは、ヘルメが戦いを避けた強者となる」
「ん、分かってる。見張りの女性と交渉するのか、戦うのか、シュウヤに任せるから」
「にゃおお~」
「ピピピッ」
相棒とガードナーマリオルスが先に近付いた。
偵察用ドローンの視界ではヘルメが躍動。
男たちを倒して、女性を助けていた。
「エヴァ、拷問されていた女性はヘルメが助けた」
「ん、皆に血文字で伝える」
「了解、見張りと話をしてくる」
<魔闘術>を強めて前に出た。
女性と魔獣の前で動きを止めた。
相棒も動きを止める。
女性は、ぼさぼさの長い黒髪を揺らしながら、片目を晒して、俺を見た。
俺の胸ベルトに納まる〝輝けるサセルエル〟の短剣をチラッと見てから、
「……出場者か。ここに何の用で?」
「ガルルルゥ」
黒い獣が威嚇してきた。
女性は黒い獣の胴体に足を当てながら、
「――トギア、今は止めて」
「……ガルゥ」
少し大人しくなった。
黒い獣の名はトギアか。
黒豹っぽいが、小型グリフォン?
俺の足下にいる黒豹のロロディーヌは「ンン」と喉声を発して俺をチラッと見る。
「相棒、まだ暴れるなよ」
「にゃ」
相棒は瞬きも返す。
そして、正面にいる黒髪の女性に、
「中で拷問されている女性を助けにきた。で、お前の名は?」
「……私の名はイフアン。お前たちはガルオムの仲間か?」
「違う。俺は【天凛の月】の盟主。名はシュウヤだ」
右手に魔槍杖バルドークを召喚。
「え……なんで、その魔槍、【天凛の月】……」
驚いた黒髪の女性は動揺を示す。
まぁ、セナアプアで【天凛の月】の名はかなり有名になったからな。
刹那、俺からは左側、黒髪の女性と魔獣からは右側の扉が開く。
「閣下~、女性は助けましたが、気を失ってしまいました」
「おう、ご苦労さん」
黒髪の女性はヘルメの存在に驚いていた。
そのヘルメは、
「はい! 助けた女性を連れてきますか?」
「まだ寝かせておけ」
「はい。あ、その見張りと魔獣は戦えば時間が掛かると思いましたので、素通りしました」
「おう、いい判断だ」
イフアンという名の黒髪の女性はヘルメを凝視して、
「……お、お前はいつ、中に入ったんだ? あ、トキアムガとケウバンにホドバは死んだのか?」
「ガルルゥ」
威嚇してきた黒い獣に黒豹ロロディーヌが、
「にゃごぉ」
と威嚇を返したら、黒い獣は尻尾を畳ませるように萎ませて、大人しくなった。
敵となるかもしれないが、可愛い黒い獣だ。
ヘルメは体から水飛沫を発生させつつ、
「三人の男たちなら生きています。拘束して気を失っているだけです」
「そうなのか……」
そう喋ったイフアンからの表情には安堵感はない。
同じ仲間ではない?
「イフアンと言ったか。ガルオムとは何だ? 女性はなんで拷問されていた? そのガルオムの秘匿情報奪取が目的か?」
「チッ」
舌打ちか。
魔槍杖バルドークの穂先を差し向ける。
「イフアン、戦うなら戦うが?」
両手を上げたイフアン。
二つの眼で俺とエヴァとロロディーヌを見てから、再び俺を凝視。
双眸を光らせる。
殺気を感じた、魔眼か?
が、その魔眼に溜まった魔力は霧散。
「……戦わない。ルシエンヌが拷問されていた理由は、【剣団ガルオム】が隠した秘宝のことを聞き出すためだ」
ありきたりだ。
「詳細を話せ」
「〝ガルオムの剣譜〟、〝ガルオムの魔剣〟、〝ガルオムの槍譜〟、〝ガルオムの槍〟、〝ガルオムの装具〟などが眠っているとされる血銀霊樹の間を開ける手順を聞き出すためだ。更に、サセルエル夏終闘技祭の出場者でもあるガルオム・ルシエンヌを押さえておけと【闇剣の明星ホアル・キルアスヒ】のキルアスヒ様から指示を受けていた」
【闇剣の明星ホアル・キルアスヒ】は【闇の八巨星】か。
そして、イフアンと拷問を行っていた男たちは、夏終闘技祭の出場者のルシエンヌを捕らえ拷問できるほどの実力者なのか。
「ルシエンヌが持っていた〝輝けるサセルエル〟はどうしたんだ?」
「知らない」
エヴァは頷いた。
「ガルオムについて聞こうか」
「セナアプアではガルオムの名も霞むのか? セアンカル大通りとペイジンドア大通りでは、それなりに知られているはずなんだが……」
「知らない。【闇剣の明星ホアル・キルアスヒ】の名も先ほど聞いたばかりだ」
「わたしも【剣団ガルオム】の名は知らない」
エヴァがそう発言。
イフアンは溜め息。
「……」
「イフアン。俺たちの名を知っているなら、それなりに【天凛の月】のヒストリーは知っているだろう?」
頷いたイフアン。
「……知っている。元々は西の迷宮都市ペルネーテが本拠の【天凛の月】だったな」
「その通り」
「……一日にして上院評議員ペレランドラの救出にネドー派の排除を行い、更に魔塔エセルハードの【血月布武】の旭日の勝利に各浮遊岩の乱を治めたとも聞いた。噂では、八本指のルルセスを殺した強者が【天凛の月】の槍使いと聞いている」
八本指のルルセス?
ルルセス、塔雷岩場の二人組の片方の強者かな?
「その八本指はあまり覚えていない。が、それ以外は正解だ。イフアンは【闇剣の明星ホアル・キルアスヒ】の組織員だとして、八本指とか八指と呼ばれている殺し屋の一人か?」
「私は【闇剣の明星ホアル・キルアスヒ】に雇われているだけの存在だ。八指や八本指ではない」
「雇われただけと言うが、それは組織員だろう。ヘルメ、エヴァ――」
「はい」
「え――」
「ガッ、ガオアァァァ」
両手を上げていたイフアンの両手と黒い獣トギアの四肢をヘルメの<珠瑠の花>が拘束。
拘束したイフアンをエヴァが触る。
「【闇剣の明星ホアル・キルアスヒ】と戦うのかッ! 【天凛の月】はッ!」
少し風槍流で歩くか。
『槍を生かす歩きの中にこそ武の法があると心得よ』
アキレス師匠の言葉を思い出す。
基本の一槍は不変。
俺の土台の風槍流、左足で地面に小円を描き、その左足を半歩前に出しつつ、
「……吼えるな。【剣団ガルオム】を助けた以上はそうなるだろう」
「……チッ……」
諦めが入った弱々しい舌打ち。
魔槍杖バルドークの柄を肩に当て、
偵察用ドローンの視界を注視。
ヴィーネたちが躍動している。
アクセルマギナが追跡者の捕縛に成功。
追跡者の仲間たちの攻撃がアクセルマギナに集中したが、刹那の内にキサラが逆にその追跡者の仲間たちを仕留める。
一人わざと逃がして、追跡を開始していた。
さすが<
単独で闇ギルドの一つか二つは軽く潰せるだろう。
クナのほうの偵察用ドローンを見るが、動きはなし。
クナはサセルエル夏終闘技祭の出場者の観察を強めている。
時々、偵察用ドローンに月霊樹の大杖を振るってくれていた。
「で、イフアン。その【闇剣の明星ホアル・キルアスヒ】だが、ホアル・キルアスヒとは、二人の個人の名なのか?」
「……そうだ。私とトギアは拘束されたままなのか?」
「ガルゥ……」
黒き獣の吠え方を見ると解放してあげたくなるが、我慢。
エヴァは頷いた。
「素直に質問に答え続けたら、トギアとイフアンの命は取らず解放しよう。そして、戦いたいならサシで戦おうか。陰で襲い掛かってきてもいい」
「……闇社会で生きている野郎の言葉とは思えないが……」
「偏見だ。で、ホアルとキルアスヒの二人が盟主なのか?」
「……そうだ。ダブル盟主と呼ばれている」
エヴァは頷く。
命令系統などで混乱が起きそうだが……。
最狭義の兄弟分のような絆があれば、案外上手くいくってことか。
「その【闇剣の明星ホアル・キルアスヒ】の本拠地は【塔烈中立都市セナアプア】ではないんだろう?」
「【白鯨の血長耳】と【天凛の月】がいるから当然だ」
そう語るイフアン。
視線をエヴァと己の両手首を拘束している<珠瑠の花>に向ける。
双眸は少し充血していた。
<珠瑠の花>の効果だろう。
エヴァは頷いた。
「その【闇剣の明星ホアル・キルアスヒ】の本拠地は、どこの都市だ」
「東マハハイム地方の【豹雷都市トトラキラ】。獣人が多い都市」
「レリック地方?」
「グルドン帝国側ではない。もっと西側で、シジマ街と近い」
へぇ。ユイかヴィーネなら知っているかな。
エヴァに視線を向けると、
「ん、知らない。レフハーゲンよりも遠い東の都市?」
「そうだ。南マハハイム地方のハイム川とは繋がっていない」
エヴァは頷いた。
イフアンは嘘はついていない。
「【闇の枢軸会議】の範疇の中で【闇の八巨星】、【八巨星】とか呼ばれているようだが?」
「その通り、【闇の枢軸会議】だ。【闇の教団ハデス】と提携しているからな」
「へぇ、ホアルとキルアスヒと、お前も闇神リヴォグラフを信奉しているのか?」
「私は違うが、そうだろう……」
エヴァは頷いた。
イフアンは闇神リヴォグラフとは関係がないか。
「ホアルとキルアスヒが強者ならば、サセルエル夏終闘技祭に出場予定なのか?」
「さすがにキルアスヒ様本人は出場しない。うちが抱えている【八指】が出場する予定だ」
「その八指の名は?」
「暗光ヨバサ」
「そいつは、魔剣師系統で、魔刀使い、居合を使う?」
「……知っていたか」
「いや、直に見たわけではない」
「アァ」
「――グアァァ」
「ひぁ――」
男の叫び声は、ルシエンヌさんが拷問されていた部屋からだ。
部屋の天井付近に待機させていた偵察用ドローンの視界を注視。
男たちを殺した血濡れたルシエンヌさんが立っている映像が確認できた。
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