五百七十話 異獣ドミネーターと王牌の武器

 『双眸と胸元に強い魔力を感じます』


 ヘルメの思念に頷く。


 やはり異獣ドミネーター。

 彼女の背後は天井に向け傾斜した骨の壁がある。

 小さいコンサートホールのような形だろうか。

 一番奥のやや傾斜している内壁から部屋の中央を差すように出ている棒から青白い光の魔力が発せられていた。

 

 棒を螺旋する髑髏の紋様とムカデのような幻影が現れる。

 そんな武器な螺旋する棒が青白い光の大本。

 内壁のイルミネーションの源か。


『小さい神殿でしょうか精霊ちゃんたちが多いです。光の精霊ちゃんが、あの十字架から溢れています。蒼い魔力と青白い魔力が集まった部分で闇の精霊と未知の何かと喧嘩しています! あぁ水の精霊ちゃんが殺されています! あれ、でも復活を……』


 と、精霊の視界は神秘すぎて理解は不能だ。

 ヴェニューのようなモノが、いっぱい居るんだろう。


 ヘルメが指摘しているように……。


 俺の持つキストリン爺の紙片から出ている蒼い魔力線と、棒から出た不気味な紋様と神々しい青白い光は宙空の位置で繋がっている。


 すると、青白い光を出している棒が、俺たちとキストリンの紙片に反応。

 強く輝く。

 更に、蒼い魔力と青白い魔力が繋がっている宙空の位置から閃光が発生した。


 閃光が発生した宙空は、ドミネーターの真後ろ辺りか。

 ドミネーターも後光を受けたように黒色の縁が銀色に輝く。


「――シュウヤが現れたら蒼い魔力も現れた。驚いた……」


 ドミネーターがそう発言。

 声は女性としての凜々しさを感じて、一種の清涼さを感じる声の音だ。


 長い黒髪がゆらりゆらりと蠢く。

 魔力が内包しているのか、チカチカと、銀の粒のような小さいモノが漆黒色の髪の毛の中で蠢いていく。


 髪の毛が長くて、顔が見えない。

 不思議に思いながらも、


「……俺も紙片にこのような力があることは驚きました」


 ドミネーターは頷くと、頭部を斜め上に向ける。

 何かを思い出すような面だ。


「これも愛の女神アリアの力か。本当に<再誕の回帰>リーターナーだったとはな……光神の使徒だが、愛の女神にも好かれていたようだな? キストリン……」


 キストリンを思い出しながら、キストリンに尋ねるように呟いていた。

 暫し、自らの身体を確認するような行動を取ったドミネーター。

 

 彼女は納得したような表情に変えると……。

 視線を寄越してきた。

 同時に魔力を帯びた長髪がゆらりと持ち上がり額が露出する。

 長髪は、黒毛に見えたが、銀と金に近い黄色と赤が混じっていた。


 肌は漆黒色。

 繊細そうな黒毛。

 

 髪の毛と同じで、銀と金に近い黄色と赤が入っている。

 肌の色と近いが、魔力を伴う眉毛だ。


 虹彩と瞳は黒を基調に銀の粒が疎らに混ざる。


 その虹彩が銀の粒を呼び寄せるように縦に細まった。

 同時に身に着けている上半身のコスチュームも少し変化させる。

 コスチュームの色合いは黒が基調。


 銀と黄と赤の模様に金具のような物がいいアクセントとなっている。

 

 髪とシンメトリーで、種族としてのセンスを感じた。


 ドミネーターは獣系に変身が可能と推測できるが……。

 まだ変身をしない。


 双眸が鋭くなったドミネーターは俺が持つキストリンの紙片を凝視。

 その直後、閃光の真下の床は線を描くように窪んでいく。

 窪んだ線は弧を描くと魔法陣を作る。

 

 その魔法陣は急回転――。

 同時に棒が出ている奥の壁たちが崩れていく。

 いや、骨の壁が崩れたわけじゃない。


 骨が溶けて、それがねっとりと溶岩のように流れていく。

 溶けた骨のような物質は魔法陣の中に取り込まれていった。


 一方、壁から出ている棒は溶けない。

 青白い光を出す棒を囲う骨だけが溶けていく。

 やがて、その棒は全体像を、露出した。


『あれが、キストリンのお墓』

『そのようだ』


 青白い光を発した十字架か。

 積み重なった骨によって十字架の墓が埋もれていた。


 骨の壁に隠れていた十字架を構成している部分も同じく青白い光を発しているから、光が強まった気がした。

 その十字架の墓から出た青白い魔力とドミネーターは繋がっている。


 ドミネーターと十字架は青白い光。

 紙片のほう蒼い色の光か。


「骨の壁が地面に吸い込まれていく?」


 奥からユイの声が響く。

 ドミネーターは俺を見た直後のような動揺はない。


「あぁ、紙片が反応している」


 ユイにそう答えると溶けた骨の動きは止まった。

 床の魔法陣も消失。

 異獣ドミネーターは両手を広げながら自身の身体に纏わり付いた青白い光を見ている。


 そのドミネーターに、


「ドミネーターさん。見ての通りキストリンの紙片に導かれて、ここに来ました」


 『分かっていると』語るように深く首肯するドミネーター。


 彼女は頭部を斜めに向け……。

 何かを思い出すような表情を浮かべて、魔力を胸元に集積させていく。

 すると、ユイとキサラが前に出る。


「シュウヤ?」

「……シュウヤ様」


 ユイとキサラは武器を構えていた。

 俺は『大丈夫だ』と意味を込めて、片手を上げ、ユイとキサラを静止させた。

 

 そして、ドミネーターに視線を戻す。


 ドミネーターは動じず。

 魔力を集めた胸元に手を当てている。


 すると、その魔力が集積した胸元から獣の人形が出た。


「それは?」

「キストリンの力で復活した異獣鋼玉の欠片。我の心臓でもある。キストリンの墓にある魔力と同じように、その紙片の魔力と呼応している源の一つだ」


 一つの獣としての立派な彫刻に見える。

 あれで欠片なのか。

 彫刻は魔力を伴っているし、非常に美しい。


「紙片では、異獣玉とありましたが、異獣鋼玉が本当の名?」

「そうだ。異獣玉でもべつにいいが……」


 闇虎ドーレ黒豹ロロに近い姿。

 色合いはドミネーターのコスチュームと同じ。

 黒を基調とした銀と黄と赤がアクセントだ。


 ドミネーターは異獣鋼玉を印籠のように見せつけてくる。

 

 俺はその異獣鋼玉より……。

 彼女の背後にある十字架の墓を聞くとしようか。


 キストリンの墓は明白だが……。


「蒼い魔力の紙片と繋がっていた、十字架の墓は、キストリンの墓ですか?」

「……十字架はキストリンの友の武器だが、墓はそうだ。我は十字架の墓を長きにわたって守ってきた」


 キストリンの紙片がドミネーターの言葉に同意を示すように重低音を響かせる。

 紙片から音が響くのだから……。

 当然、ドミネーターは驚くかと思ったが……。

 

 ジロッと紙片を睨んだだけ。

 紙片越しにドミネーターを見ながら、


「……貴女は、レドームに最後の一体が滅ぼされた。と、この紙片に記されてありましたが……」


 と、聞いていく。

 ドミネーターは頷いた。


「その通り。滅ぼされたはずだった。だが、その紙片の力があるようにキストリンが最期に残した力と王牌の武器の力で、我は復活した。だがな……キストリンの十字架の墓と離れたら……我の異獣鋼玉も力を失うのだ。即ち、王牌の力を宿す十字架の墓と離れたら、我も弱まり滅することに繋がる……だから、この穴蔵で十字架の墓を守りながら、無数の種族たちと戦い続けてきた」


 この骨の穴蔵はそうして作られたのか。

 凄まじい時間を戦い続けていたと……。


 俺も転生直後、一年近く地下生活を続けていたが……。

 彼女の経験に比べたら、そんな俺の経験なんて、おままごとレベルだな。


「囚われたと同じですね」

「ふ、同情か? 要らぬ世話だ。元より異界の妖魔と呼ばれた魔獣が、我。異獣ドミネーターなのだ。フブキの能力によって戦うために召喚され、使役された悪鬼が、我だ……それ以後、戦いという無限螺旋で生きている。この状況は好都合なのだ」


 囚われのような、枷を、好都合とは豪毅な生活だ。

 ビアのような性格か。


 いや、強がっているだけかもしれない。

 少なからず自由への渇望はあるはずだ。


 そして、この紙片があれば……。


「では、呼応している、このキストリン爺の紙片の力があれば、背後の十字架の墓を守るという仕事から、貴女を解放できる?」

「察しがいい……が、我を条件もなしに、解放してくれるだと?」

「はい、ドミネーターさんが異獣鋼玉を、自らの心臓と喋っていたからですよ。で、紙片を渡せばいいんでしょうか」


 俺が気軽にそう話をすると……。


 ドミネーターは肩を震わせて、双眸の瞳を散大させて収縮させる。

 驚いているのかその虹彩と瞳の模様の変化が美しい。

 

 漆黒と閃々とした銀模様。

 銀の小さいシャボン玉たちが煌々と光る。


「……我を使役したいとか、契約し、利用しようとは思わないのか……」


 瞳が綺麗なドミネーターの獣バージョンはまだ見てないが……。

 今は黒髪美人さんだ。


 使役に興味はある。

 が、それはそれ。


「使役は興味あります。しかし、強要はできるかぎりしたくない」

「我は悪鬼の妖魔。悪の者でもあるのだぞ」

「俺も血を好む悪人。人族、魔族、ダークエルフ、今もホームズンという種を無数に倒して殺している」

「……」


 俺たちを光の眷属とでも思っていたのか?

 またも驚くドミネーター。


「〝善か悪の境目が分からない槍使い。と言えばいいのかな。ってことで異獣ドミネーター。貴女は自由です――」


 と、彼女に向け紙片を投げた。


「え?」


 ドミネーターが持っていた異獣鋼玉と俺が投げた紙片が重なり合う。

 瞬く間に異獣鋼玉の中へと、キストリン爺の紙片は吸い込まれた。 


 驚いたドミネーターだったが――。

 咄嗟に、片手を突き出し、その紙片を吸い込んだ異獣鋼玉を掴む。

 

 掴む前の、ドミネーターの掌に何かの紋様が見えた。

 俺の左手の<サラテンの秘術>のような線かシュレゴス・ロードの魔印のような感じだろうか。


 その掌を持ったドミネーター。

 彼女に纏わり付いていた青白い光は背後の十字架へと吸い込まれていく。


 肩を震わせているドミネーター。


「……悪鬼の妖魔な我に仁愛を示すのか……」


 ドミネーターは涙を流していた。


 彼女を縁取っていた青い光は消える。

 その刹那――。

 十字架の上に淡く輝く天道虫たちが出現――。


『不思議な十字架の周囲に、光の精霊ちゃんたちが、たくさん居ます。手を取りあって結びついて、皆、愛を感じています。そして、普通ではありえない、闇の精霊ちゃんの数に、未知の精霊ちゃんも居ますが……』


 常闇の水精霊ヘルメの念話だ。

 闇の精霊ちゃんと未知の精霊ちゃん以外は、まごころを感じたようなニュアンスだ。

 

 俺には光の軌跡を辿る天道虫たちとしか見えない。


 天道虫たちはゆらゆらと飛翔すると……。 

 洞窟の上部に真珠色の波紋を作りながら儚く消えた。


 十字架の墓は淡く青白く光を帯びたまま。

 すると、ドミネーターは感激したような表情を浮かべて、


「……我は自由……ありがとうシュウヤ」

「はい。喜んでくれたら幸いです」


 俺の言葉を聞いたドミネーターは、また肩を震わせた。


「しかし、愛の女神の眷属ではないのか?」

「違いますよ。光と闇に通じた光魔ルシヴァルという種族です」


 俺は<光闇の奔流>を内包した<光魔の王笏>がある。


「光と闇か……だからか、我のような怪物相手に……」

「話ができる相手。美人さんでもあるドミネーター。拒む理由がない」


 すると、ドミネーターの漆黒色の肌模様に薄らと朱色が混じっていく。


「……しかし、もっと気軽に喋らないのか?」

「初対面ですから」

「なら、自由に話せ」

「了解」


 笑みを浮かべるドミネーター。


「不思議な男よ。そして、エルフに慕われたキストリン以上に、シュウヤと話をしていると心が和む。これも愛の女神の力か……」

「はは、そう言ってくれるのは嬉しい。しかし、俺も光魔ルシヴァルという種族の宗主。混沌とした力はそれなりにある。左目に精霊も棲んでいる。その影響をドミネーターが感じているだけだろう」

「……精霊とは驚きだ。しかし、混沌の力か。異獣に妖魔と呼ばれた我も、同じ混沌の力を持つとキストリンに言われたことを思い出したぞ」

「……納得できる。こうして話ができるんだ。お前が、異獣だろうと人だろうと変わらない」


 俺の言葉を聞いた直後、ドミネーターは涙をまた流す。

 

「……」


 ユイとキサラも頷くと、


「そうよね、魔族も人族も関係ない」

「……まさに光と闇ダモアヌン運び手ブリンガーのシュウヤ様」


 ドミネーターは泣きながら微笑む。

 彼女を泣かせるつもりは微塵もなかったんだが……。 

 ドミネーターの笑顔が見たい。


「……俺は光魔ルシヴァルという種族だが、本来は、ただの猫好きな槍使いだよ」


 と、笑わせようと微笑みを意識しながら話をすると……。

 ドミネーターは和やかな表情を浮かべて笑う。


「――ふはは、面白い。猫が好きな槍使いか」

『ふふ、閣下の言葉は痺れます!』


 と、右端の視界に浮かぶ小さいヘルメが水飛沫を発生させながら……。

 自慢気にヘルメ立ちを行なっている。


 本当に痺れているのか、腰がぷりぷりと揺れていた。


「おう。その相棒の黒猫。神獣ロロディーヌも居る」

「黒猫の神獣を相棒だと……本当に面白い男だ。で、その相棒の黒猫はどこだ?」

「外で、眷属たちと仲間たちと一緒にホームズンの軍隊と戦っている」

「多脚のブレードを生やす種族たちか……しつこいぞ……」

「このような骨の穴蔵に突っ込む奴らだ。しつこい相手だとは想像ができる……で、その外の戦いは強い仲間たちに任せるとして。まずは肝心のことを聞こうか」

「何が聞きたい」

「レドームって、ロルガの配下のことだ。どこにいるんだ?」

「復活してから、今の今まで見たことはない」

「レドームとは、外で戦っている軍隊の種族たち。ホームズンではないのか」

「違う。レドームは腐った息を吐く四剣使いだ。頭部が肉種……で奇妙な敵だった」


 腐った息に四剣使い。

 ナズ・オン将軍系の種族は、腐った息だったが、八本の腕に唇のような皮膚を持っていた異質極まりない姿だった。


 キストリン爺とドミネーターを倒したレドームという名の種族は……。

 ホームズンでもなく、ナズ・オン将軍の種族でもないということか。


「地底神ロルガの傍にレドームが居るのか?」

「我に聞いても仕方がないし知らない」

「そりゃそうか。または他の勢力にやられたか……出会えばキストリンの仇でもあるから俺たちも戦うことになるだろう……」


 そこで間を空けて、


「ドミネーターはキストリンの仇を討つつもりはあるのか?」


 この問いは、ドミネーターを仲間にできるかも? と、そんな期待をしながらの問いだ。


 俺の言葉を聞いたドミネーター……。


「……キストリンの仇か」


 と、少し考えるそぶりを見せつつ、


「苦しそうなキストリンは覚えている。そして、王牌の力を宿すと槍と聞いている十字架を守っていた当初は仇を討ちたいという気持ちはあったが、今では、とうに失せた……しかし、レドームは我を倒した奴だ。あの顔に一撃はくれてやりたいとは思っている」


 だろうな。

 鉄拳を喰らわせたいだろう。


「そっか。もう既に把握していると思うが、俺たちの目的は地底神ロルガの討伐。ロルガの部下のレドームと出会う確率は高い。ドミネーターがレドームを倒したいのなら、俺たちについてくるほうが手っ取り早いぞ」

「確かに、強そうなシュウヤについていけば確実だ。そして、キストリンが受けたハーデルレンデ氏族の依頼は、まだ続いているということか……」


 ドミネーターはそう呟く。


「紙片の記述通りか。キストリンの爺も依頼されていたんだよな。ハーデルレンデに。その同じ理由で俺たちも動いているからこそだ」

「ふむ」


 ドミネーターは心臓でもある異獣鋼玉を見る。

 その異獣鋼玉を胸元に戻すと、胸元が開く、内臓を露出。


 内臓から無数の銀と金色の魔力線が出ると、異獣鋼玉をその魔力線が取り込んだ。

 魔力線は触手のような感じだ。

 

 ドミネーターは心臓を戻すと胸元を閉じる。

 漆黒色のコスチュームの色合いも、その胸元から少し変化していく。

 銀と黄と赤が混ざりつつ模様を描く。

 

 銀帯たちと、武器のような金属刃が膨らんだ胸元を隠すように増えた。

 

 装備と見た目が洗練された。

 その強まったようにも見えるドミネーターに、


「その紙片と同じ理由の件だが、実は、今はもう理由の大本であるハーデルレンデの祖先はいない。その殆どが魂の黄金道となった……現在生きているエルフのハーデルレンデ氏族は、一人。キッシュという名の俺の眷属だけなんだ」


 ドミネーターは、数回頷く。


「キストリンたちの魂の黄金道か……我にも見える」


 紙片を取り込んだドミネーターがそう語る。

 そして、彼女は属性的に闇っぽいが……。

 闇鯨ロターゼ的な異界の生物なんだろうか……。


「俺たちは、その魂の黄金道を辿りつつ地下を進んでいたんだ。そして、キストリンの紙片が反応し……今に至る」

「だからこその愛の女神アリアの力か……」


 俺に背を向けたまま、十字架の墓を見たドミネーター。


「くり返すが……本当に<再誕の回帰>リーターナーが機能したようだ。キストリン……あの苦しみも意味があったのだな」


 墓を見ながら涙でも流している?

 そんな口調だった。


 そして、魂の黄金道はできたばかり。

 だから、その魂の黄金道と俺たちの行動原理の説明をしようか。


「……魂の黄金道はハーデルレンデの秘宝の聖域でもある〝蜂式ノ具〟に通じているらしい。だから、その魂の黄金道を辿っている最中なんだ。そして、地底神ロルガを倒し、蜂式ノ具を取り返すことが目的だ」

「ふむ」

「まぁ、本音を言えば、その聖域とやらを奪い返すことは不可能だろうとは思っている。抽象的なモノだろうし……だがしかし、地底神ロルガの勢力は、俺の眷属と仲間たちが暮らす地上に進出を始めている。攻められた」

「そういうことか……ロルガ討伐は反撃の一環でもあるのだな」

「そうだ。ロルガの討伐は可能ならば、ぜひ成し遂げたい。今後のキッシュのために憂いの一つを消したいんだ。それが俺たち、いや、俺の強い動機だったりもする」

「……シュウヤは愛する者たちのために、動いていると……道理で……」


 ドミネーターは、再び、深く頷く。

 納得したような面だ。


「……どうだ? 俺たちについてくるか?」

「……」


 ドミネーターは沈黙。

 思考している。

 俺は話を続けた。


「地下を自由に旅をしながら放浪するのも、艱難に鍛えるって感じで、ありっちゃありだが……」

「確かに自由。それもまた一つの真理だろう。放浪もありだ」


 仇うんぬんより、自由が好きなら、そうするだろう。

 風のまま気の向くまま生きたいと、長く墓を守ってきたんだ。

 そう思うのは当然。


「が……まぁ、今はシュウヤたちと行動を共にするほうが、利口。ついていく」

「わかった」


 ユイとキサラも微笑んでくれた。


「ふふ、理由はどうあれ、こういった話ができるシュウヤならば凄く安心できる。しばらく厄介になると思うが、よろしく頼むぞ。新しい友よ!」


 はは、やった。友と呼んでくれた。

 嬉しい。


『閣下、わたしも嬉しい……そして、どのような姿に変身できるのか楽しみです!』

『あぁ』


 俺は自然と、胸元に手を当て、ラ・ケラーダのハンドマークを作りつつ、


「おうよ、新しい友! こちらこそよろしく頼む」


 と、挨拶した。


 ドミネーターの双眸は不気味に見えるが、笑顔はいい。

 長い黒髪とえくぼがチャーミングだ。


 そのドミネーターにユイとキサラに仲間たちのことを告げるか。


「後ろの二人はユイとキサラ。さっきも言ったが、外で相棒と眷属と仲間たちが戦っている」

「……背後の者たちも強者よ、な……」


 ドミネーターはキサラよりユイを強く意識していると分かる面だ。

 漆黒色の光彩の銀の粒たちが蠢きながらユイを睨む。


 ユイが発動している<ベイカラの瞳>が気になるようだな。


「よろしく、ドミネーターさん。わたしの名前はユイ――」


 ユイは一瞬で三刀流の構えを取った。

 双眸と白銀の魔力で繋がる神鬼・霊風を口に咥え、左右の手に魔刀アゼロスとヴァサージを握る。


「わたしは剣士系の戦闘職業を獲得している。そして、シュウヤの直系<筆頭従者長選ばれし眷属>の一人よ」


 ユイはそう発言しながら<ベイカラの瞳>を解除。

 黒色の瞳に戻した。


「……眷属云々よりも、その黒髪と風貌は東日本国出身か?」


 ユイを見たらそう思うのは、当然か。

 俺も初見では日本人かと思ったし。


「シュウヤが時々教えてくれる異世界の国ニホン。そのジャポニズムではないから、わたしは、サーマリア王国のフローグマン領が出身」


 と、武器を仕舞うユイ。


「サーマリア? 分からぬ。独立戦争のなれの果てと推測するが……ベファリッツの古貴族たちも散ったのか。イギルと敵対する軍閥貴族たちの内戦も激化したのだな。地上も地上で様変わりか……」

「ベファリッツ大帝国はとうに滅びたぞ」


 俺がそう告げると漆黒色の瞳を散大させて、恐怖を抱かせるぐらいな相貌を一瞬作る。

 が、すぐに銀の粒の虹彩となって普通の瞳に戻していた。


「……」


 頭を振ったドミネーターは、


「……ユイとやら、東日本国から転移した皇吹雪の名は聞いたことはあるか?」

「ある。異世界の十二名家。十本の指爪に魔法か魔術を扱うとかだったっけ……サ……いや、これはまだ早いか。シュウヤのほうがまだ少し詳しいかな」


 ユイは、まだ交渉の段階だと踏んだらしい。

 

 サイデイルとサナ&ヒナの情報を語らない。

 俺に話を振る。


 俺はユイたちに頷きつつ、


「御守り様を奪われたとか聞いた」


 と発言。

 ドミネーターは眉間をピクりと動かした。


 警戒したのか、コスチュームが微かに変化していく。

 

「やはり! 通称〝戦魔〟。戦争の道具を奪われた魔術師。間違いない! 皇吹雪だ。我を召喚し、使役していた魔術師だ」


 やや興奮した口調だが、何か刺があるニュアンスだ。


「ドミネーターを授けられたと、キストリン爺の紙片にも記されてあったが……で、その〝すめらぎふぶき〟さんだが、あまり知らない。ユイが言ったように聞いたことがあるだけで会ったことはないんだ。で、他の十二名家の魔術師なら知り合いに居る。同じ時間の、同じ異世界宇宙の地球から転移、転生が多いようだ……」


 そう考えると……。

 前にも考えたが……。

 俺の転生前の、地球からの転生者と転移者もこの世界に居る可能性がある?


 あくまでも仮説だが、可能性は零ではないだろ。


「他の十二名家からの転生者か転移者が居るのか……」


 ドミネーターは小声で呟く。

 あまりそういった件は詳しくないのか。


 カザネが特別なだけか。

 運命神アシュラーの力を持つ人族、転生者だからこその予知能力者。


 俺は想像したカザネの婆さんを打ち消すように……。

 可愛いサナ&ヒナを思い出しつつ、


「その十二名家の魔術師に会おうと思えば会えるが」


 と、語る。


「いい。もうこの世界に長く居るのだ。過去に興味はない……」


 哀愁を感じる。

 ドミネーターは吹雪から召喚、使役を受けていた。

 元々はロロディーヌのような異界のモノってことかな?


「東日本国とすめらぎふぶきさんのことが、気になっているような口振りだったが?」

「……ユイを見て、思い出しただけだ。もう、使役は受けたくないのだ……我は自由なのだからな」


 俺の問いを聞いたドミネーター。

 にこりと微笑む。

 だが、急に笑顔が消えた。


「……昔の東日本国があった争いの世界も、知らないことだらけであったからな……金塊、石油、メタン、エネルギー資源を巡る醜い争いなど反吐が出る……」


 苦しい思い出もあるようだ。

 サナ&ヒナさんの異世界日本も争いは激しかったようだからな。


「……そっか」


 俺の表情を見たドミネーターは、すぐに、


「だからこそ……」


 と、発言しながら微笑みを浮かべてくれたところで「――シュウヤ様」とキサラが前に出た。


「なんだ?」

「よろしいでしょうか。わたしも自己紹介を」

「おう」

「はい、では、ドミネーターさん。よろしくお願いします。名はキサラです」

「……よろしく頼む、キサラとやら。お前もシュウヤの選ばれし眷属なのか?」

「いえ、まだ、シュウヤ様の眷属ではないのです。しかし、シュウヤ様を信奉しお慕いしています」

「……ほぅ」


 ドミネーターは笑いながら俺を睨む。

 なぜ、睨む。


「……わたしとシュウヤ様には繋がりがありますから」

「繋がりか。どんな繋がりで、シュウヤを愛しているのだッ」


 フンッと鼻息を荒くするドミネーターは、キサラを睨みつつ聞いていた。

 少し可愛く見えてきた。


「……黒魔女教団を知っているか不明ですが……黒魔女教団の教義の中にあるお伽の伝説話に〝魔境の大森林から光と闇ダモアヌン運び手ブリンガーの魔槍使いが来訪する〟という記述があるのです。暁の魔道技術の担い手<光と闇の運び手>という詩もあります。そして、姫魔鬼武装に名も……ダモアヌン光と闇のマスクです。更に、高手アーソンの言葉通り、『これを溶かす相手はお前の望む相手と心得よ』の古の星白石ネピュアハイシェントを溶かした相手がシュウヤ様……」


 キサラは頬を朱に染めて語った。

 ドミネーターは驚いて俺を見る。

 

 俺は無難に頷いた。


 ドミネーターは知っていたか。


古の星白石ネピュアハイシェントか。ベファリッツの愛の宝石……」

「……そう。第一紀大帝国ベファリッツ大帝国の時代を生きた貴女なら知っているでしょう。エルフの古い伝説で愛を誓い合う者と分かち合う石として、有名なネピュアハイシェントよ」

「古代ベファリッツ大帝国から伝わる〝愛の宝石〟ですね」


 ユイとキサラが発言。


「……なるほど。愛の女神が気に入るわけだ。色々と通じるところがあるのだな……地表のゴルディクス大砂漠のことならある程度は知っているぞ。ベファリッツ大帝国の領土で、古貴族が支配する砂漠都市のオアシスが各地に点在していたが、ワームといった巨大怪物を含めたモンスターたちとの争いに、先住民族との争い、水の資源を巡る争い、硝子の魔加工技術と魔金細工の秘奥を巡る争い、などの争いが……絶えない場所。そして、古の星白石ネピュアハイシェントに負けない砂漠の魔真珠は有名だ……しかし、光と闇ダモアヌン運び手ブリンガーと黒魔女教団のことは知らぬ」


 ドミネーターの言葉に頷いていたキサラだったが、最後のことばで頭部を捻っていた。


「砂漠の魔真珠? 時代で都市の名は変わりオアシスの場所も変わりますし、大砂漠の嵐もありますから、知らない名前があるのは分かりますが、ダモアヌン山と犀湖都市は、大昔から存在したはず。聞いたことがあるとは思いますが」


 キサラは砂漠の魔真珠を知らないようだ。

 時代が違えば当たり前だがすべてが変わるだろう。


 ドミネーターは、


「犀湖なら……聞いたことがあるような……」


 キサラは頷く。


「ゴルディクス大砂漠は広大ですからね。旅のルートも変われば、都市も変わる。そして、ダモアヌンの山麓に黒魔女教団の総本山がありました。近くにメファーラの祠と古代遺跡ムーゴがある地域です」

「ムーゴも聞いた覚えがある。大嵐で砂漠に埋もれているとか。そういえば、犀湖は綺麗な水とキュルハの根があるとか聞き及んでいた」

「砂漠に埋もれた……はい、綺麗な犀湖都市。その犀湖の覇権をかけた十侠魔人たちと八星白陰剣法を巡る永きに渡る戦いと、血骨仙女たちと砂漠仙曼槍を巡った戦いを経て、四天魔女と呼ばれるまでに成長したのです」


 キサラは途中から俺に視線を向けていた。

 ドミネーターに話をしているはずだが……。


 俺に熱視線を送ることに一生懸命なキサラだ。

 白絹のような細い眉を中央に寄せている。

 正直、可愛い。


 ドミネーターはキサラの視線を別に気にしていないようだ。


「……四天魔女か。分からぬことだらけだ。魔女やら女魔術師やら、異名がついたソーサラーたちの名なら、聞いたことがあるが……」

「ダモアヌンの魔槍こと、通称魔女槍を扱うキサラだ。優秀な槍使いでもある」


 俺が補足。

 微笑むキサラ。

 両手に持っていた匕首を消すと浮かせていた魔女槍を握る。


「ふふ、シュウヤ様、ありがとうございます」


 キサラはキリッとした表情を作る。

 ドミネーターを見据えつつ魔女槍を縦回転させる。


「――シュウヤ様を信奉する黒魔女教団。その教団に伝わる天魔女流の槍武術を得意とします。が――他にも」


 ダモアヌンの魔槍の柄孔から煌びやかな線状のフィラメント群を放射していく。

 フィラメントを足場にして――。


「――メファーラ様に伝わる魔神武術を取り込んだ天魔女功の格闘術を含めて!」


 ピアノ線のような細い線を踏んで、蹴り、低空で踊りながら演武を魅せるキサラ。


「――百鬼道の短剣術、紙人形、回復、教育、援護と遠距離攻撃も得意です」


 ブラックスワン的なポーズから、後転。

 宙返りを実行してから反転し、片手で骨床を突く。


 ふあっとスカート系のワンピが捲れた。

 細い足先と太股が見える。

 パンティをチラッと魅せてから着地したキサラ。


 うん、スバらしい黒パンティちゃんだった。


「……瘴気と呼ぶモノを内包した異質な魔槍……それを器用に扱えるとなると……無数の属性を扱えるレイジ・オブ・ソーサラー。或いは、対12グローバルソーサラー……あたりの強者か」


 ドミネーターはそう呟く。

 対12グローバルソーサラーは前にもサナさんから聞いたことがある。

 レイジ・オブ・ソーサラーは初耳。

 東日本国がある世界の魔術師用語か。


 そのことは告げずに、


「……さっきも話をしたが、この二人の他にも、外でホームズンという種族と戦っている眷属と仲間たちが居る」

「相棒の神獣たちだな。その戦っている多脚の奴らは、きりがない。この穴蔵の骨という骨を見れば分かるが……無数だぞ」


 参謀のようなホームズンも見えたし、数はやはり多いか。

 頷きながら、


「そのようだ。が、俺たちの目的の邪魔をするのなら振り払うつもりだ。勿論、戦争をしたいわけじゃないから迂回できるところは迂回する」

「いい気概だ。〝蜂式ノ具〟を地底神ロルガから取り返すという言葉に通じるわけか」

「そういうこった。んじゃ、ロルガ討伐に向かうとする。外に出ようか」


 俺は笑みを意識。


「了解した」


 そして、笑顔を出したドミネーターの背後、キストリンの十字架の墓を見る。

 

「外に出る前に、あの背後のキストリンの十字架に挨拶しときたいんだが」

「そうであったな。その十字架の下にキストリンが残したゼームの杖に知恵の羽衣がある」

「杖と羽衣か」


 杖ならフーか。

 サイデイルに居るクナも使える。


自由・・に何でも持っていけばいい」


 ドミネーターの言葉に頷く。

 

 十字架の根元に朽ちた木箱に手を伸ばした……。


 しかし、俺が杖と衣服に触ると……。

 それら装備品は、もろくも砂となって消えてしまった。


「おーい。触ったら消えたんだが……」


 転生した直後を思い出す。

 地下の図書館らしき場所にあった書物も同じように消えてしまった。


「……朽ちていたのか。無数のモンスターの血肉を浴びて腐食していたようだ」


 仕方ない。


「その異質な魔力を帯びた十字架は、キストリンの友が使っていた十字架の槍だ。王牌の力を宿すと聞いている。持っていけばいい」

「槍か。光源代わりの墓の印でもあると思うが……いいのか?」

「シュウヤは槍使いなのだろう? キストリンも生きていたら、友に武器を託そうとしたはずだ。遠慮せず使えばいい」

「分かった。もらえるならもらっておくか――」


 と、青白い十字架を握り、引き抜く。

 魔力が内包されている。


 柄のようなちゃんとしたグリップはない。

 だが、刺さっていた先端の矛は、鋭そうな杭状の矛だった。

 観察していると、腰の魔軍夜行ノ槍業が少しだけ魔力を出し震える。


 光属性だと思う十字架の槍だが、奥義書に棲む八怪卿の方々は歓迎しているのか?

 試しに魔力を注ぐ。

 その直後――。

 

 十字架の青白い魔力が消える……代わりに――。

 十字架の切っ先が伸びた。

 十字架から、半分の切断されている天道虫が出た。

 

 更に、断面の内臓らしき器官が飛び出ると……。

 

 その回りに魔紋の魔法陣らしき文字が幾つも浮かぶ。

 鐘が響いた。


 その直後、宙に胡坐をかいた頭部が縦に切断されている奇怪な人らしき幻影が映る。

 その幻影の背後に、上半身が男に近いが頭部に植物の悪魔のようなモノを宿し、左手は杭のようなモノが刺さっている以外は普通だが……右手が腐ったような蚯蚓群とムカデ群に触手たちが連なって構成した異質な右手だった。

 下半身も異質極まりない。

 脊髄らしき部分と分かる以外は……。

 蚯蚓群とムカデ群に腐肉のような植物の根がビッシリと生えている。


『……イギル・フォルトナーの遺志を引き継ぐ聖戦士。この王牌十字槍ヴェクサードで、地底神ロルガを……』


 半分しかない口が奇妙に動いて気色悪い。

 その異質な人物は、宙空に溶けるように消えた。


「どうした? シュウヤ。魔力はまだ微かに残っていると思うが、その武器は気に入らないか?」


 今の幻影はドミネーターに見えていないようだ。

 左目に宿るヘルメも気付いていない。

 ユイとキサラも気付いていなかった。


 とりあえず、新しい槍の十字架を見ながら、


「……いや、気に入った」


 しかし、さっきの怪物は……。

 光神ルロディスの眷属には見えなかった。

 十字架の槍の名は〝王牌十字槍ヴェクサード〟らしいが……。


 握りのグリップにムカデのような脚をイメージする窪みがある。

 ヴェクサードは、この槍に宿る槍精霊とかだろうか?

 

 キストリンの友?


 これで地底神ロルガか……。

 少なくとも、この王牌十字槍ヴェクサードとやらで、その眷属の一体の眉間を派手に<刺突>でぶち抜こうか。


「……そ、そうか。キストリンも喜ぶだろう」


 俺の表情を見て驚いたのか?

 少しきょどったドミネーターの声が、穴蔵に響く。


「どうした?」

「目が紅くなって威圧感を感じたのだ」

「そっか、悪いな」

「いや、構わぬ。で、シュウヤよ。まだ、見せてなかったが……我は獣に変身が可能だ」

「了解、大丈夫なら見せてくれ」


 ドミネーターはすぐに漆黒の魔獣に変身。

 所々に銀鱗と金刃のようなモノが生えていた。


 四肢から伸びた爪に紫電のような魔力が行き交っている。


「おぉ、ロロディーヌと少し似ているが、魔獣か。人の姿は一瞬で?」

「ガォォォ」


 と、吠えるドミネーターは一瞬で人の姿に戻った。


「この通りだ」

「素早い。んじゃ、外に出よう。皆と合流してホームズンを蹴散らすか。そして、魂の黄金道を辿る」


 さて、王牌十字槍ヴェクサードについて……。

 バーレンティンとかスゥンさんに聞いてみようか。

 ヴィーネにも……。

 血文字でミスティとヴェロニカに報告もいいかもしれない。

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