二百三話 宇宙、それは最後のフロンティア

 眷属と【月の残骸】の幹部たちと会議中。


「鋼鉄のように硬い闇の糸を扱う者は、エヴァの金属たちが倒していた。凄かったあ。一瞬、わたしも、えええ! 金属の豪雨?! と、驚いたもん」

「ん、新しい緑皇鋼エメラルファイバーのお陰。ミスティが使いやすい金属にしてくれた」


 エヴァは謙虚に、今はこの場にいないミスティを褒めていた。


「あたいもあれには驚いたさ……小さい金属刃? 通路を埋めるぐらいの量だったろう?」

「そうね。思わず二度見したわ」


 ベネットとメルは恐怖を感じているようで顔色が少し青い。

 戦闘の様子は前に聞いていたが……。

 エヴァの超能力風のスキルか魔力や精神力は着実に成長を遂げているようだ。


 回収した禁書のことも、


「……【髑髏鬼】の幹部、ドワーフを倒し禁書は回収したようだが、メル、何に使うんだ?」


 と、聞く。


「はい、売って運営資金へ回すか、幹部クラスになり得る人材の勧誘に使えるので保管しようか迷い中です」


 ま、細かいことはメルに任せよう。


「そか、余計なことを聞いた」

「いえ」

「総長、メルに任せておけばいいのよ~。わたしの角付き傀儡骨兵の素材だって、何だかんだいってメルが買い集めてくれたんだから」

「そそ、わたしの弓もちゃんと有名なドワーフ職人が作った物を選んで買ってくれたし、本当、その辺はしっかりして周密さが凄いんだから、てか、元総長なので当たり前なんだけど」


 ヴェロニカとベネットが笑みを浮かべながら補足してきた。

 メルは彼女たちの会話を聞きつつ窈窕たる淑女の顔色で微笑む。

 彼女は元総長なだけじゃない。

 初対面の時にも嫣然な雰囲気を醸し出していた。

 足の細さも相俟って、何かを、感じさせるんだよなぁ。

 

 いい女だし。


「……そうだな」


 そこからポルセン、アンジェ、ロバート、ルル、ララから【大鳥の鼻】の凄腕たちとの戦闘に関する経緯を軽く聞いていった。


「長太刀使いよりも、影使いのが不気味だ……」


 容姿を聞くと美人、額にマークあり、髪が黒。

 名前はヨミ……もしや元日本人? 黄泉? とかだったりして。

 影を自在に操れる転生者or転移者だとしたら、かなりの強敵だ。

 というか倒せる気がしないぞ……光属性が効くとか単純な相手ではないだろうし。 


 一度、槍をぶっ刺して通用するか見てみたい気もするが、影になって消えるとかやってきそうだ。

 そういえば邪神も同じような力を持っていた……。


 だが、さすがに結び付けるのは無理があるか。

 んだが……余程の美人さんだったら、会って話をしてみたい。


「素早いアンジェが貫かれましたからね。かなりの強さです」

「うん」


 アンジェは静かに同意しながら、胸辺りに手を置いた。

 貫かれたことを覚えているらしい。


「……彼らは縄張りから撤収したんだな」

「はい、撤収が確認されました。倉庫街は【月の残骸】の縄張りです。敵は戦いの途中で、〝有耶無耶〟と語り、何かを手に入れたとか、話していましたが……敵の幹部は二名のみでしたので【大鳥の鼻】による威力偵察だったのは間違いないでしょう。【梟の牙】を潰した勢力である我々の力を盗賊ギルド経由ではなく、直接相対し調べる目的であったと推測します」


 カールした髭を触りながらポルセンが語る。

 パクス繋がりだから蟲系かと思ったら、全く関係ないのかもしれない。


「……パクスと戦った時に【大鳥の鼻】と争いをしていたようなことを言っていたから、何かしら因縁があったのだろう。【大鳥の鼻】のメンバーはパクスと決着、暗殺をするつもりで来たが、パクスが居ないので、有耶無耶と言ったのかもしれない。そのついでに、俺たちの力を試した可能性が高い」

「なるほど……辻褄が合いますな」


 ポルセンが頷く。


「ということで、ポルセンとアンジェは普段通りの仕事を頑張ってくれ」

「はっ」

「分かりました」


 青髪アンジェも大人しく従った。


「総長、わたしたちの仕事は?」

「ララも仕事をするっ」


 ポルセンは惨殺姉妹の言葉を聞いて、子守りが苦手なのか、顔色を悪くした。

 アンジェがいるからかな?

 分かりやすい渋顔を作る。

 惨殺姉妹には歓楽街を任せたロバートの補佐をしてもらおう。


「……お前たちはロバートの補佐に回り、ママさんたちを守るんだ。ロバートもそれでいいな?」

「承知した」


 ロバートは了承。


「わかった」

「うん、ロバートはこないだ守ってくれたから、手伝う」


 ルル、ララも了承し、その後は副長のメルから、


「総長、この間、敵対した【髑髏鬼】ですが、他の幹部は一部を除き【鉄角都市ララーブイン】へ戻ったことが確認されました」

「彼らは<筆頭従者長>たちに喧嘩を売ったからな。今度その都市へ乗り込んで、根元から断つか?」


 俺は軽い冗談のつもりで発言。

 アルカイックな笑い顔を意識した。


 メルは如才ない笑顔を作る。

 すぐに元闇ギルド総長としての、彼女なりの心象を顔に出しつつ、


「総長……怖い笑顔ですね。あえて乗りますが、総長自ら髑髏鬼の潰しを行うのでしたら、同行したいところです」


 と、語る。

 冗談に少し乗ってきた。


「冗談だ。仮に落としたとしても、一つの都市を任せられるほどの人材がな……」

「マイロード。ご指示があれば、ララーブインとやらへ手勢を引き連れ向かいますが」


 側で控えていたカルードが軍隊式のポーズを取りながら進言してくる。


「お前は、俺がいない場合の保険でもある。だから、ここに残しておきたい」

「お任せを。顧問として仕事を全うする思いですぞ」

「シュウヤ、ヴィーネじゃなく父さんの名前が一番に出てくる辺り闇の仕事に関しては、相当、父さんのことを信頼してくれているのね」


 ユイは自分の父であるカルードへの信頼が嬉しいらしい。ふふっと彼女らしく語っていた。


 俺は笑顔を意識。


 しみじみと述懐を述べていく。


「……そうだ。ユイの父、ユイを生み出した男、戦場を知り闇世界を生きた男だ。部下である前に一人の男として尊敬している」

「ご主人様が尊敬を……」


 秀麗なヴィーネの銀色の虹彩が揺れて呟く。

 ……意外なのだろうか?

 そういう銀色の虹彩が揺れるヴィーネも鍵開けの技術も含めて、色々と聡明だし、尊敬を抱いているのは最初から変わらないんだが……。


 ……ま、皆をそれぞれに尊敬している。

 男だと、他にもカズンさんも渋い声でカッコイイ。


「……マイロード、ありがたき幸せ……感無量ですぞ。このカルードッ、マイロードのためならば命散ることも構いませぬ! 一兵士の刀として、精一杯働く所存であります」


 カルードはヴァンパイアらしく目を充血させる。

 興奮していた。


「おうよ。選ばれし眷属を含め、ここに居る全員を尊敬しているぞ」

「そんけいってなにー?」


 惨殺姉妹の片方が挙手していた。


「あ、ララッ」

「ルルとララのように、ママさんたちを守ろうとする優しい心は偉いぞ。ということだ」

「わーい、総長もわかんないけど、そんけいするー」

「……」


 そこに、


「……総長、ありがとうございます」


 メルの副長らしい渋い女の声が響き、一呼吸、空いてから、


「それで、話を戻しますが、確かに【髑髏鬼】を潰せたとしても、ララーブインに支部を一から作るとなると、少し手間が掛かります。今は役人共へ渡す賄賂も含めてペルネーテの地盤をしっかり固めたいところです。特に、港と繋がる倉庫街辺りは船乗りとチンピラも多く……船商会も津々浦々。まだまだ手付かずの部分も多いですから……」


 ペルネーテも大きいからな、大変だろう。


「……分かった。それで、撤退せずに一部残ったという、もの好きな【髑髏鬼】の幹部とやらは、いったいどんな奴なんだ?」

「紅のアサシンと呼ばれる凄腕の二剣使いです。わたしを含めて誰も、直接は相対していませんが、飛剣流、絶剣流を使いこなす神王位の上位クラスの実力と聞き及んでいます」


 神王位の上位か。この間のレーヴェと同クラス。

 強敵だとして、その行動原理は……闇ギルドという感じを受けないが。


「……へぇ。闇ギルドというより一匹オオカミ的に、個人で活動しているのか」

「そのようで……魔人ザープと何度か個人的に衝突している間柄のようです」


 気まずそうに視線を泳がせるメル。

 彼女は自分の父を魔人ザープと考えているんだっけ。


「そっか。メル、お前には被害はないんだな?」

「はい、勝手に父だと思っているだけなので……」

「なら放っておけ。メルが魔人ザープと関わりたいなら、協力してやってもいいが」

「本当ですか?!」


 副長メルが蜂蜜色の髪を揺らして顔を突き出してくる。

 珍しく喰いついてきた。


「……期待させて悪いがまったく伝もないし、作戦もないぞ」

「あ、そうですよね……」

「どういった形で関わりたいんだ?」

「……分かりません。ただ、わたしの本当の父か……話がしたいのです」


 話か……。


「……難しそうだ。見たことがないし、事件を起こすような魔人だから、神出鬼没なんだろ?」

「はい、足に翼があるので素早いらしいです」


 飛ぶように去るんだろうな。


「……もし、見かけたら捕まえる努力をしてみよう」

「充分です。鋭敏な総長がそう言ってくれるだけで、嬉しい」


 彼女は茶色の瞳を僅かに揺らし、綺麗な笑顔を浮かべていた。

 女将、元闇ギルド総長の顔ではなく、父に憧れる少女らしき顔だ。


「総長、次の議題~」


 少女繋がりというように、ヴェロニカの声が響く。


「何だ?」

「最近、ヴァルマスク家の烏たちが活発なんだけど、総長の家の周りはどう?」

「見かけない」


 迷宮の宿り月に泊まっていた頃は、時々、烏を見かけたが。


「ふーん」

「武術街なのもあると思う。元から闇ギルドの支配を撥ねつけている武芸者たち、闘技場で活躍している連中が住んでいるところだからな」

「そう……わたしだけをマークしているということね」


 少女の姿で顔に翳を落とすと心配になってくる。


「……不安なら俺の家に来るか?」


 そう誘うと、ヴェロニカはしたり顔で、ペロッと舌を唇から出し、


「うん♪」


 と、満面の笑みを浮かべる。


「総長――ヴェロニカを甘やかさないでください。わざと不安気な表情を作って喋っているだけですから。今まで何人も遊ぶようにヴァルマスク家の追手を始末しているので、心配は要らないです」


 メルは鋭い視線でヴェロニカを見ながら話していた。


「あっ、もう~。メルのいぢわるっ。シュウヤ、総長なら引っ掛かると思ったのに~」


 はは、見事に掛かった。

 だが、ここでノリに乗ってふざけるのもいいが、真面目な顔は崩さない。


「……ヴェロニカ、次、ヴァルマスク家の追手が仕掛けてきたら、俺、或いは、選ばれし眷属たちに知らせろ。お前はもう仲間なのだから、今までの【月の残骸】ではないと分からせてやろうじゃないか」

「……うん。ありがと。総長の真面目な顔も素敵ね。少し痺れちゃった……だから、ベッドの側で、もっと語り掛けて欲しいなァ……ふふ」


 ヴェロニカは惚けるように俺を見つめてくる。


「それは魅力的な誘いだが、無理だ」


 <筆頭従者長>たちはヴェロニカがそんなことを言っても、黙って聞いていた。

 嫉妬の空気に包まれると思ったが……別段、気にしていないようだ。


 ま、彼女たちにデートとか買い物とか“色々”と約束させられたからなぁ……。


 そこに、ルルとララがコソコソと、


「うしろにいる精霊様は、何でこっちにこないのー?」

「……植木を手に持って、話しているようだけど……」

「水をぴゅーっと出すのみたいっ」

「今はだめよ、会議中なんだから……」


 彼女たちが話しているように、ヘルメは祭壇場所から離れている。

 床几に座り、千年植物と何かを話し合っていた。


 さて、会議を終わらすか。


「……ゴホンッ、では、各自仕事に励んでくれ、会議はこれで終了。解散」

「では――」


 会議を終えるとメルを筆頭に即座に撤収していく幹部たち。

 丁度そこに、入れ替わるように高級戦闘奴隷のママニたちが帰ってきたので、魔石を回収。

 彼女たちには休暇を与えた。


 その後の数日は、皆と一緒にまったりと、過ごす。



 ◇◇◇◇



「シュウヤ、買い物にいこー」

「ん、美味しいとこ案内する」


 可愛い彼女筆頭従者長たちの買い物に付き合ったり忘れていたお土産をプレゼントしてから約束通り〝色々〟とサービスを行った。


 彼女たちと楽しく過ごす。

 が、鏡の話題は不自然なほどに出てこない。


 ……俺と離れるのが嫌なんだろうな。


 今は彼女たちと過ごしているが……。

 何れは、鏡の探索もする。

 それに血のメッセージが使えるんだ。

 永遠に別れるわけじゃない。

 だから、彼女たちをここに残し、ベンラック村とか……。

 見知らぬ地方に旅に出るのもいいかもしれない。


 それに、土に埋まっていない鏡の探索なら一緒にいける。

 そうではなく、まったく旅もせず……。

 皆と共に、この迷宮に潜り続けることもあるかもしれない。


 ◇◇◇◇


 今日は黒猫ロロにサービスかなぁー。


 猫じゃらしで遊んだり、家でかくれんぼをしたり、肉球のマッサージをしてあげたり、ブラシで黒毛を伸ばしたりして、和んだ後、ペルネーテを離れて空を飛ぶ散歩へ出た。


「――ロロ、楽しいなっ」

「――にゃおお」


 巨大な神獣の姿となったロロディーヌは調子に乗って上昇を始める。

 眼下に広がる光景があっという間に豆粒だらけに……。

 ハイム川が小さい紐に見えた。

 今のロロディーヌを遠くから見たらたぶん、ドラゴンかグリフォンを超えているかもしれない。


 あそこがぎゅぃーんと竦むが、視線を上へ向ける。


 空中を滑走、時間が遅くなったようにさえ感じる速度だ。

 大きい雲へと突入――入道雲の層か?


 視界が一気に灰色へと染まった。

 雪の毛布が覆いかぶさってくるような錯覚に陥る。


 ロロディーヌの黒毛たちがぶるぶると揺れる音が聞こえた。

 湿った空気が身を包むので少し寒くなる。


 だが、神獣ロロディーヌから微量な魔力が出ているお陰か、震えるほどの寒さはない。


 狭い有視界だから、右目の横のアタッチメントをタッチ。

 カレウドスコープを起動し、アイテムボックスの水晶体を触りディメンションスキャンも起動。


 簡易マップと三次元的なフレームが視界に加わった。

 鮮明な視界となる。


「ロロ、お前はこの視界でも平気なの?」

「にゃおお」


 『遊ぶ』『楽しい』『狩り』『あそこ』『楽しい』 


 首筋には触手が繋がっているので、気持ちが伝わってくる。

 まぁ大丈夫なのだろう。


 ヒャッハーッ、アフターバーナー的な加速を行う――。


 暫くして重層的な雲を突き抜けた。

 太陽の明かりが眩しい。


 湿気があった雲層を抜けたのに、巨大獅子型黒猫ロロディーヌの翼はあまり濡れていなかった。

 黒翼に僅かに付着した水滴が太陽光に反射して虹色に光り空中へ散っていくのが見える。


 防水加工の黒翼なんだろうか。


 お、近くにクラゲの群れを発見。

 更に、そこに鯨が大きな口を広げて襲い掛かっていた。


 この間も見たが、クラゲと鯨の戦いだ。


 一匹漂うように逃げている大クラゲを見つけた巨大獅子型黒猫ロロディーヌが滑空しながら、そのクラゲを追い掛けていく。


 触手をクラゲに伸ばして先端から伸びた骨剣で突き刺すと、捕まえていた。


 まさか……。


 そのまさかだった。

 触手を収斂させてクラゲのもとへ素早く近付く。

 爪を伸ばした大きな両前足でクラゲをがっちりと掴むと、口を広げクラゲの表面へ噛みつき「ガルゥゥ」と獣の喉仏を震わせながら、もしゃもしゃと音を立てて食べていく。


「……それ、美味しいのか?」

「にゃおおおおん」


 『楽しい』『捕まえる』『狩り』『狩り』『狩り』


 もはや味とか、どうでもいいのかもしれない。

 咀嚼している巨大な神獣ロロディーヌの様子を見ていると、美味いのか不味いのか、そのクラゲの味に興味が出てきた。


 クラゲの端へ<鎖>を射出してみる。


 先端ティアドロップ型を操作しながらクラゲの一部を切断。


 切断したクラゲの透明な部位を<鎖>で突き刺す。

 その<鎖>を収斂。

 透明部位を引き寄せて、掴む。

 指から伝わる、その透明部位の感触は……ぐにょぐにょのゼラチン質。

 コラーゲン繊維とは違う。

 ゼリーを硬くしたような感じだが……と、匂いを嗅ぐ。

 熟柿臭いとかはない。無機質、無臭だ……試しに口へ含んでみた。

 さらりとした食感、味はない。コンニャクに近いのか?


 これ、心太としてタレを付けて売りに出したら、意外に売れるかもしれない……。


 エヴァに、コンニャクとして食材を提供しようかな。


 あ、でも、この食材、俺とロロだから平気という可能性もある。

 <真祖の力>に吸収された中に<腸超吸収>があったからな。

 そんな感想を持っていると、ロロは食べるのに飽きたのか、途中で、掴んでいたクラゲを投げ捨てていた。


 そのまま、更に上昇していく。

 だんだんと空気が薄くなってきた。


 成層圏か? やべぇ。

 上に行くと確実に宇宙へ出ちゃうぞ……。


 そんなことを考えていると、あっという間、須臾しゅゆの間に、宇宙へ――無重力だ。


 うひゃぁ――神獣ロロディーヌの黒毛のふさふさも少し浮く。

 俺の身体も浮くが、そのロロの触手が巻き付き押さえてくれた。


 えらいぞーロロ!

 左手で胴体をナデナデと摩りながら、宇宙空間を見ていく。


 宇宙、それは最後のフロンティア。


 このまま宇宙の何処かを飛ぶエンタープライ〇号を探し、頭が禿げた艦長を探したり、耳が縦に長い哲学宇宙人を探したり、太陽を囲うダイソンスフィアを探したり、木星をブラックホール化した人型兵器を探したり、宇宙線を浴びて生物の進化を促したり、マバオンを探しに、神秘たる宇宙の謎に挑みながらイデオ○探索の旅に……。


 そんな旅には出ねぇよ。

 さて、一人で虚しくボケてツッコミをしても仕方がない。


 でも、宇宙だよな。太陽の明るさを感じるし、これは放射線……だ。

 それ以外にも、超新星爆発もあるだろうし、人体に有害な宇宙放射線も当然にあると思われるが……。

 光魔ルシヴァルには効いてないと思われる。


 そして、空気が無くても巨大神獣ロロディーヌは平気なようだ。

 魔力粒子で推力を得ているとか?

 分からないが……。

 特別な相棒で神獣だ。


 さすがは俺の血肉から作られただけはある。


 またまたロロディーヌの身体を撫でながら……。


 ケプラー望遠鏡の如く、ビームライフルで遠くの星、銀河を見ようかな…と思った時。


 んお? 何だあれ、生命体が飛んでいる?

 いや泳いでいる? 宇宙の暗闇たる真空の闇の遠くに、エイリアンが居た。

 樹脂が白化したような独特の皮膚を持ち、その前部が潤色し発光しているエイリアン型モンスターが泳いでいるのが見えた。

 よく見ると、母体の周りに細かな小型エイリアンも蠢動しているし……。


 周回軌道上に生息している泳ぐエイリアンたちか。

 前方が煌びやかだから、実は宇宙トラック野郎で海賊と対決とか?

 芸術品を賞翫するように見ていたくなるが……確実に生物、強そうだ。


 あれは戦いたくないなぁ。


 ……下にある違う芸術を見よう。巨大岩石惑星たる美しき星、セラ。

 スーパーアースとかいう部類なんだっけ。


 マハハイム大陸も……広大だと分かる。

 ところどころに海に面した部分があるが、西、北、東とずっと陸が続いていた。


 ――ロロ、もう上がるのは止めだ、下がれ、ペルネーテ近郊へ戻るぞ。


 巨大な黒馬か、巨大な黒獅子か、巨大なグリフォンか。

 という感じの神獣ロロディーヌは首を大きく縦に動かす。

 肯定の意思表示を示す。

 そのまま大気圏突入じゃないが、途中から普通の馬のような体格に変身。

 そして、馬にはできないような柔らかい機動で四肢を器用に畳む。


 大気圏突入可能な、ゼー●ガンダムかよ。

 と思いながらも急降下を楽しむ。

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