エピ055「異変」
相田:「お帰り、…遅かったな、」
生徒会長から、事実無根な嫌疑を掛けられて尋問されたその日、家に帰ると何故だか「相田美咲」がエプロン姿で出迎えてくれた。
宗次朗:「って、…お前、何やってんの?」
相田:「カレー、もう少しで出来るから、」
それで、玄関に立ち尽くす俺に、キッチンから姿を見せた母親が「狂喜のダンス」で駆け寄ってくる。
京本母:「宗次朗!…あんた、でかした!」
京本母:「何でもっと早く紹介しないのよ!」
それで何故だか、お袋が、行き成り「相田美咲」を抱き枕みたいに、…抱きしめる。
京本母:「お母さん吃驚しちゃったわよ、なんでこんな可愛い御嬢さんが、アンタなんかに引っかかったんだろうね、」
いや、…それ褒めてんの?…貶してんの?
京本母:「もう、最高! お母さん美咲ちゃん気にいっちゃった、もう絶対放さないから!…アンタになんか勿体無い、お母さんに頂戴! 」
それで何故だか、お袋が、行き成り「相田美咲」に頬擦りして、…モミクチャにする。
宗次朗:「いや、何か勘違いして興奮してるミタイだけど、…相田は只の友達だよ。」
京本母:「馬鹿ね、只の友達が、本人不在の家に訪ねて来て母親と一緒に夕飯作ったりする訳無いでしょ。」
宗次朗:「そうだ、其処の所が俺にも解らない、…お前こんな所で何やってんだ?」
相田:「黙れ、五月蠅い、」
「相田」は、無表情な視線で、俺の事を睨み付ける!!
京本母:「そうだ、五月蠅い! 黙って着替えて、手洗って来い!」
京本母:「美咲ちゃんはお母さんと一緒に紅茶飲もうねぇ、…ジャム入れたげる。」
相田:「わあ、美味しそうですね、」
どうやら親の前では、優等生外面バージョンらしい、…
それから、物の味も分からない緊張の一時間余りが過ぎて、…
俺は、即席に片づけた俺の部屋に、制服姿の「相田美咲」を迎え入れる。
ここに「相田」を入れたのは2回目だ、
宗次朗:「それで、何か、悩んでるのか?」
相田:「…どうだろ?」
「相田」は行成り四つん這いになって、ベッドの下の諸々を漁る、…
制服のスカートのお尻とか、可愛らしいソックスの足裏とかを無防備に晒して、…何だか良い匂いしか漂ってこない?
宗次朗:「お前はアホか、そんな分かり易い所に隠すかよ、」
俺は、じっと「相田」の局部ばかり凝視する自分の視線を誤魔化すみたいに、思わず、…憎まれ口を叩いてしまう、
相田:「何処にある? 見せてみ、」
「相田」は机の引き出しの棚の奥に手を突っ込み、…今度は、チェスト・タンスの一番下の引き出しを、引っ張り出そうとして、…
俺はとうとう、後ろから「相田」に覆いかぶさって、「相田」の両手を、…押さえつける、
宗次朗:「いや、落ち着こう、…そんな事をしても、…誰も何も、得しない、」
相田:「アンタ、どさくさに紛れてナニ抱きついてる訳? しかも行き成りバックで女の尻に下半身擦り付けて来るとか、噂に違わず鬼畜だわ、…3秒以内に離れないと、大声出して「ママ」を呼ぶわよ、」
俺は、…
宗次朗:「後生だ! 相田さん、それだけは許して、…」
相田:「駄目、3、2、1、…」
それで、すっかり棚の底に隠してあった「お宝」がサルベージされる。
相田:「へー、アンタも男の子なんね、…うぁ、これ、厭らし、…」
宗次朗:「嫌なら見るなよな、…」
相田:「見えないじゃん、なんか不自然に毛が多いって言うか濃いって言うか、…これ隠してんの?」
相田:「こんなんで喜んでんだ、なんか男って、憐れって言うか、可哀想、…」
ペラペラとグラビア雑誌のページを捲る「相田」の軽蔑の眼差しが、俺の無垢なハートに突き刺さる、…
宗次朗:「もう、好きにして、…」
相田:「やっぱ、男ってさ、こういうの見ながら、自分でするの?」
「相田」は上目使いしながら、床に寝転んだ俺の太股を、足の指で突っつく、…
宗次朗:「お前、そんなこと聞いて、何が楽しい訳?」
相田:「もしかして、私の裸、…見たい?」
エロ雑誌から目の上だけを覗かせて、「相田」がジトーっと俺の事を睨む、
ほんの少し開いた両膝の隙間から、生足の太腿の奥の、微かな湿り気が見えて、…
当然、男だから、当然、好きな女の子だから、…知りたいのは、見たいのは、極当たり前の事で、…
それなのに、…
宗次朗:「お前、なんか、変、…」
俺は身体を起こして、…
相田:「言いなさいよ、アンタ、…私の事、好きなんでしょ。」
いつの間にか、いや、ずっと前から、「相田」の顔は、どこか無表情に凍ったままで、まるで、…
相田:「言ってよ!」
まるで、今にも泣き出しそうに見える、…だから、
宗次朗:「俺は、お前のそんな顔、…見たくない。」
だから、俺の胸にぎっちりと「棘」が突き刺さって、…外れなくなる。
宗次朗:「なあ、何か悩んでるなら、言えよ、俺にできる事なら何でもする、だって、…友達だろ。」
そして「相田」は、悲しそうに、目を伏せる。
宗次朗:「もしかして、あのサイトに流出した「合成写真」の事か?」
相田:「別に、…あんなのは、どうでも良い、」
そして「相田」は、ほんの少し、鼻で笑って、…
相田:「そうね、…悪かった。」
それから、何だか寂しそうに、目を逸らした、…
相田:「何時か、きっと、…言うよ。」
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