エピ039「エピローグ」

とある元旦の午後、

俺は、歩いて10分程の神社に初詣に来ていた、「京本家」の唯一の恒例行事だったりする、


地元の小さな氏神様とはいえ、正月ばかりは此処も大勢の人で賑わっている、…


そう言えば子供の頃は良くここで遊んだものだ、などと感慨深く思い出に浸る俺は、若干16歳だったりする。





そして、行き成り、誰かが俺の背中を叩いた。



涼子:「宗ちゃん!」

宗次朗:「すず姉ちゃん、…って、またエキセントリックな格好だな、」


上下ジャージに重ね着したカーデガン、マフラーに、じんべ?



涼子:「寝正月してたのにさ、部屋の空気入れ替えるからってママに追い出されたのよ、」


涼子:「どうしたの、その鼻?」


宗次朗:「ああ、これ?」


「相田」んちでクリスマスパーティに呼ばれて、「相田」父に拳法の稽古を付けられた時の、勲章?

実は衣服に隠れて見えない部分には、更におぞましき、…(中略)



涼子:「相田さんとは順調なのかな?」

宗次朗:「どうだろうな、何にも変わった気がしないけど、」


涼子:「なんだぁ「練習」の成果なし?」


ニヤニヤ笑う「すず姉ちゃん」、



宗次朗:「そう言うすず姉ちゃんは?どうなのさ、誰か良い人出来たの?」


涼子:「全然、て言うか、今バイトしか外、出てないし。出会いなんか無いよ。」


宗次朗:「バイトって、何やってんの?」


涼子:「藤沢の喫茶店、今度おいでよ、奢ったげる。」


宗次朗:「定期 (券)圏外か、…遠いな、」


そこへ、近所のおばさん達と長話していた「親父たち」が近づいて来た。



京本父:「お参り済んだのか?」

宗次朗:「とっく、」


京本母:「あら、「円さんちの、涼子ちゃん」。」

涼子:「あけましておめでとうございます。」


非常に微妙な表情で年始の挨拶を交わす「お袋」、まあ「すず姉ちゃん」の「噂」はきっと近所でも「評判」なのだろう事は、容易に想像できる、…



京本父:「お前、こんな綺麗な御嬢さんと知り合いだったのか?」


って、「親父」の方はまるっきりそう言う件には疎いらしい、…



京本母:「何言ってるの、5軒隣の円さんちの御嬢さんよ。」


京本父:「へー知らなかった。宗次朗はちょっと女性恐怖症的な所が有るからな、少し位女の子に免疫付けてもらった方が良いと思うぞ。」


「すず姉ちゃん」、…くすくす笑いすぎ!



京本父:「是非今度、うちにも遊びに来てやってくださいね。」


って「親父」、可愛い女の子を家に呼びたいだけだろ!



涼子:「ありがとうございます。」


「お袋」は複雑な顔で苦笑いしてるし、…



京本父:「父さん達はこの後、小田原のおばあちゃんちに挨拶行くけど、お前はどうする?」


宗次朗:「家で寝てる。」







涼子:「ねえ、家で寝てるんならさ、今から宗ちゃんちに行っても良い?」


トボトボ、二人して歩いて家まで帰る途中、「すず姉ちゃん」から突然胸躍る提案、勿論嬉しいのだが、…



宗次朗:「駄目、…恥ずかしいから、」


涼子:「えー、良いじゃない、お父さんにも立ち入り許可もらったんだしさー、」


宗次朗:「片付けてないから駄目、どうせ家探しするでしょ。」


実際、今、俺の部屋には、冬休みの「友」が溢れてかえっている。 ごみ箱も結構「ヤバい状態」だったりする。



涼子:「こないだの「練習」の続きしよかなーとか、思ったんだけどな、…最近一寸つまんないなーって言うか、寂しいなーって言うか、」


「すず姉ちゃん」は物欲しそうに、上目づかいで俺の事を見つめて、…



宗次朗:「狡いなぁ、…」


そんな風に言われたら、断れなくなってしまう、…て言うか、ますます泥沼にハマってしまう??



宗次朗:「本当はさ、こう言うのは不味いんじゃないのかな、…ほら、練習ばっかりやってると、いつまでも本番に移れなくなるって言うか、…それに一応、法的にはそういう事は「親公認の誠実な関係」でないと、駄目だし、」


涼子:「お父さん、宗ちゃんに免疫付けて…って、言ってたよ、」


それって、もう公認なの?



宗次朗:「俺じゃなくって、すず姉ちゃんの方だよ、一応女子なんだしさ、」


涼子:「一応は余計だぞ!…それに私なら大丈夫、もう19だし、それにうちのママはもう宗ちゃんとの事知ってるし、」


俺は、思わず立ち止まって、顔を真っ赤に紅潮させているアンティークドールの様な美少女を、凝視する。




宗次朗:「俺との事知ってるって、…どういう意味?」


涼子:「ほら、あの時、朝帰りしたじゃない。 去年の事件の事もあったからさ、次の日うちの親に根掘り葉掘り尋問されてさ、まあ、…ゲロっちゃったって訳なのさ、」


色々、身の破滅しか思い浮かばない、…



涼子:「それで、まあ、どこぞの馬の骨よりは宗ちゃんの方が全然良いけどねって話になって、くれぐれもやり過ぎて宗ちゃんに迷惑かけない様にしなさいよ、って、…釘刺された。」


もう色々、身の破滅しか思い浮かばない、…



涼子:「と言う事で、…三週間も我慢したんだよ、」


そんな可愛く、おねだり顔されたら、もう、身の破滅でも、…しょうがないのか?





涼子:「と言う事で、…レッツ・プラクティス?」



小首を傾げて疑問形で命令する「エロティカ姉貴」に対抗できる手段など、当然俺には、…なかったりする訳で、

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