第二章「失恋王 vs 愛の戦士」

エピ014「プロローグ」

国分:「時任のご両親はイギリスで仕事をなさっているんだが、時任は日本の大学受験に向けて一人で帰国した訳だ。小学生からずっとイギリス暮しで、日本の学校には不慣れな事も有ると思うが、クラスメイト皆でサポートしてやってくれ。」


2学期初日、担任の「国分」が、転校編入生を紹介する。

イギリスからの帰国子女らしい。


絵に描いた様なハンサム、細マッチョなスポーツマン体型、イヤミが無くて上品な振舞、丁寧だけど時々一寸変わった日本語、


クラスの女子達の興奮と動揺は、匂い立つかの様に教室中に充満する。



時任:「…、宜しく御願いします。」

女子:「おおぉ…、」


まるで少女漫画に出て来る王子様ミタイな微笑みに、思わず、

地響きの様な、…歓声が上がった。


ちらりと覗き見た「相田美咲」も又、まるで乙女の様に頬を赤らめて、転校生に魅入っている。


そうして転校生「時任マサト」も又、学校一の美少女「相田美咲」の視線を受け止めて、

もう一度にっこりと、微笑んだ。




美しいものを求める心は間違っていない。

優れた物を求める気持ちは何ら可笑しく無い。


特に其れが異性であれば尚更だ、乃ち優れた形質は優れた遺伝子の発現であり、其れに自分の遺伝子が混ざる事で、自分の遺伝子をより健康に有能に、後世に残し生存確率を上げる事が出来るからだ。



有人:「ナンか世の中不公平だよな。」


宗次朗:「常に公平が正しいと思うのは間違いだ。 この世に自分と全く同じ人間等存在しない。 仮令たとえ一卵性双生児で有ったとしてもだ。 所詮、他人は自分とは別の生き物なんだ。 違っていれば、それぞれの最適は自ずと異なって来る。 紅茶にミルクを入れるからといって、ほうじ茶にミルクを入れても美味くはならないのと同じ事だ。」


早美都:「僕、結構好きだよ、お茶にミルク入れるの。」



まあ時として、環境の変化によって、最適は「移ろい易いモノ」、だったりもする。

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