第105話 誕生日

誕生日に、私はたくさんの贈り物をもらった。とても美しい包装紙で飾られた、箱、箱、箱。皆が立ち去った後に、私は包装をほどき、箱を開けてみた。箱はどれも空っぽで、中には何一つ入っていなかった。


翌日、贈り物をしてくれた人々と会った。開けてみたかい、と彼らは言う。私はうなずく。とても悩んだんだ、君の喜ぶものが分からなくて、と彼らは言う。私は、ありがとう、と言い、素敵な贈り物だったよと礼を述べ、彼らと別れた。私は年を経るごとに、人間の真似が上手になってゆく。


家へ帰り、私の部屋を開けると、そこには今までもらった贈り物の箱だらけで、足の踏み場もなくて。これらの箱はどれも中身なんて入っていなかった。だけれど私は、それでも、もしかしたら……もしかしたら本当は、私に見えていなかっただけで、中には確かに心のこもった素敵な贈り物が箱の中には入っていたのかもしれなくて。その中に入っていた何かが、私に見えていなかっただけで今でもその中にあるのかもしれなくて。そうだと思える瞬間が確かにあって。


そんなわけで、今のところ、一つも捨てることが出来ずにいる。

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