第27話 愛娘の実力を測る、お父様でございます
水色のオーラを纏ったリンネちゃんは、さらに補助魔法を自分に使い始める。
「オフェ……スフェ……エフェ……」
それに対し、お父さんは物珍しそうな顔で彼女を見てこう言った。
「へぇ……なんか凄いもの纏ってるなぁ……それに自分で補助魔法を使うのか」
魔法詠唱し終わったリンネちゃんはお父さんにこう答える。
「うん、この水色のが『魔流の気』って言って、身体能力をあげる特技なんだよ!」
「ほお、そんなのどこで?」
「それはあとで教えてあ・げ・るっ!」
リンネちゃんは地面を強く蹴り、お父さんまでの間合いを一気に詰めた。
そしてそのまま、私が人体の仕組みを教えてる時に特に教え込んだこと、それは生き物の急所……その一つであるみぞおちを狙って交差するように構えていた双剣の右での方で突こうとする。
しかし、お父さんは全速力であるリンネちゃんのスピードに対応し、その突きを彼の左手にある剣の剣身で滑らせるように捌く。
リンネちゃんも、その突いた時の勢いを殺さぬまま、くるりと素早く一回転し、左手の剣で首筋を狙う。
またお父さんは左手の剣のガードでその首筋による攻撃を防ごうとするが、リンネちゃんはそれと同時に、足払いをかけていた。
それが見事に決まり、お父さんはよろける。
その瞬間、右手の双剣を彼女は彼の右肩に振り下ろす。
とっさにお父さんは右手の剣を、したから突き上げるように動かし、リンネちゃんの剣の腹に向かって、肩からそらすように剣先を当てた。
が、リンネちゃんは手首を少し曲げ、そのリンネちゃんの剣の剣先が、お父さんの肩に当たった。
お父さんはリンネちゃんからバックステップで距離をとった。
「おお! 凄いぞリンネ!」
「やったぁぁぁぁぁっ!! 初めてお父さんに攻撃が当たったよぉ!」
「よし! 続けるぞ、リンネ」
「うん!」
その言葉を合図に、リンネちゃんは右の双剣を横に切る動作を構えているように、肩の上に構え、その剣先に魔力が溜まっていく。
あ、魔爆斬するつもりなの?
私の予想は当たり、リンネちゃんはお父さんに向かって魔爆斬を両手の剣で連発する。
お父さんは、その向かってくる刃の塊を見て、こう呟く。
「滝鏡一閃!」
そして、いつの間にか取っていた居合の構えから、お父さんめがけて飛んでくる刃が一直線上に揃った時に、剣を振るった。
だけど、もちろんそれは全部爆発が仕込まれてる刃。
打ち斬り落とされた刃はそのまま空中で爆発する。
「おわっ!」
爆風により視界を阻まれたお父さんに向かって、リンネちゃんがまたもや間合いを一気に詰め、技を放った。
「蛇行交斬!」
これは、5日前に新しくリンネちゃんが覚えた技だ。
二つの剣筋がまるで蛇のように唸って交わる、少し変わった技。
また、お父さんに当たったかと思われたがしかし、なんとお父さんはすでにリンネちゃんの後ろに回っていて、こう呟く。
「断斬!」
「きゃっ!」
リンネちゃんはその言葉とともに後ろに転ぶ。
というか転ばされ、お父さんが放った剣撃を回避させられた。
どうやら、お父さんが技を当てないようにしたみたいだ。
ちなみに断斬はリンネちゃんも7日前に覚えている。
お父さんの勝ちだね。
「ふぇ…お父さん強い……」
「リンネも、かなり強くなってたじゃないか! お父さんびっくりしたぞ、一体何があったんだ?」
「えへへ……実はね」
リンネちゃんはお母さん、お父さんに私に特訓をつけてもらっていること、私の特技のおかげで私と特訓することで上達の速さが何倍にもなることを言った。
ロモンちゃんもそれに相槌をうつ。
「へぇ……そんな事がなぁ…」
お父さんは私にかなり興味を持ったみたいだ。
お母さんは相変わらずメモを取っている。
するといきなり、何を考えているのかリンネちゃんはお父さんの袖を引っ張って上目遣いをし始めた。ぶりっ子可愛い。
「うぉっ!? どうした、リンネ。そんな可愛い顔して…お父さんに何かお願いあるのかな? 言ってごらん」
すると、リンネちゃんはニコッと笑ってこう言った。
「お父さんの覚えてる特技……粗方教えて欲しいの、アイリスちゃんに」
それを聞き、お父さんは非常に驚いた顔をしている。
「ア…アイリスちゃんに!? いいけど……なんで?」
「それはね! お父さん」
今度はロモンちゃんが、私が技を一度でもゆっくりと見れば再現し、習得できることを伝えた。
途中、お母さんも口を挟む。
「でもそれじゃ、私の魔法はアイリスちゃん魔物だし、覚えられないから、ロモンは魔物魔法をどうやっておぼえるの?」
【それならば心配いりません】
いつの間にかお母さんまで教える事になっている事は置いていておく。
それよりも、最近気づいた、私が傍に居えすれば、教授の叡知は効果があることを4人に告げる。
ちなみに、これはロモンちゃんもリンネちゃんも初耳である。
「わかった……可愛い娘のためよ! お母さんの技術、たっぷり仕込んであげるわよ、明日!」
「あ……ありがと! お母さん!」
ロモンちゃんはお母さんに抱きついた。
「私の剣技もちゃーんとおぼえるんだぞ! リンネ、アイリスちゃん」
「ありがと!」
【ありがとうございます】
リンネちゃんはお父さんに抱きついた。
そうだ、もう少し交渉してみるか。
魔法の種類を増やしたい。
もしかしたら、氷魔法以外の魔法を覚えられるかも。
【お母様、お父様】
「ん? なんだ?」
「どうしたの?」
私は、自分は魔方陣を見ただけで、その魔方陣をイメージする事によってその魔法を使えるようになる事をさらに告げた。
「ならベスが、土、風、火の魔法を使えるわ。それに私も雷の魔法が使える」
「そうだな、私も水魔法と火魔法が使えるぞ!」
そうか、ならば教えてもらおう。
【是非とも……全て教えていただきたいのです!】
「ええ、いいわよ」
「いいぞ!」
【ありがとうございます!】
よし、明日は少し忙しい1日に____
そう考えた矢先、お父さんとお母さんがニヤッと笑いだす。
ちょっとなんか企んでそうな顔だ。
「ねぇ、アイリスちゃん。私達にもお願いがあるんだけど」
【はいなんでしょう?】
お父さんが、まずはお願いをしだした。
「私と勝負してくれ。是非とも伝説的なその力と闘ってみたいのだ!」
【ええ、いいですよ】
お母さんもお願いをしだす。
「私は、貴女とベルを闘わせたい。いいかしら?」
【ええ、どうぞ】
少々安易に頼まれてしまったが、私にとっても自分より強いだろう相手と試合ができるのは好ましいことだ。
そう考えていた矢先、さらに二人は顔を見合わせ、同時にこう発した。なんだなんだ?
「そしてもう一つ」
「「その魔流の気とかいう特技を教えてくれないか(ちょうだい)」」
私はいきなり息を合わせてきた二人に驚きつつ、念を送る。
【ええ……よろしいです】
「そうか……感謝する。では早速」
そう言いつつ、彼は背中の剣をとり、構える。
「勝負といこうか」
【え? 今からですか?】
「そうだ、今からだ。私は身体は疲れてないから心配するな」
【そうですか、わかりました】
私も、彼から数歩距離をとり、拳を構える。
まだ時間もあるし、いいだろう。
心の準備も既にできている。
【お願い致します!】
「あぁっ!」
そんな風に3人で盛り上がってた中、双子姉妹は口をポカンと開けていて、この状況に追いつけないでいたみたいだった。
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