第85話 プレイルーム

「ソフトは室内で作ることが多くてお客さんがどうつかってるのか見ることが少ないからね」

僕が言う。

そうエンジニアは室内にこもりがちだ、それだと良いものを作るのが難しい。

そのバランスが大事だ。


「そうなんですね」

高崎くんが頷く。

やはり彼女もエンジニアは室内でずっとやっているイメージだろう。


「そうだね、進んでるIT企業だと、特別にプレイルームがあって、スマホのゲームを何も説明せずにプレイしてもらってるところを、マジックミラー越しにみて勉強するということを良くやってるね」

僕は言った。

そんな大掛かりな設備をもっているところは少ないがかなり大事なことだ。

それができるかどうかで大きな差がでる。


「そうなんですね!」

高崎くんは驚く。

そうそれはまるで警察の取り調べ室に似ている。

あくまで中の人に余計なプレッシャーを与えたくないからなのだけれども。


「うん、スマホのアプリだと無料のものも多いから、ほんのちょっとわからなかったら、閉じて二度とプレイされない、というようなことが起きてしまうからだね」

僕は言う。

スマホのゲームはかなりシビアだ。

一瞬でアプリを削除されてしまう。

その数パーセントとを削減するだけで数億円というインパクトがある。


「なるほど、それは困っちゃいますね」

高崎くんは言う。


「そう、めちゃくちゃ困ってしまう。売上と直結してるからね」

僕は言う。

そこをかなりシビアに見ている会社はかなり強い。


「それを少し減らせれば売上が上がるんですね」

高崎くんは想像する。


「そう、クムクムとかはそういうのをめちゃくちゃやっていたんだよね」

僕は言う。

10年以上スマホアプリのランキング上位にいるクムクムはそういう工夫がされていた。

そして今もしているだろう。僕が離れてだいぶ経っているけど、今も上位にいるということはそういうことがしっかり続けられているということだった。


「そう!だから何にも迷わないんだよ!」

ヒカルちゃんが言う。

彼女はクムクムユーザだ。

かなりやり込んでいるようだった。


「たしかに、私もまだやっちゃいますもんね」

高崎くんが微笑みながら言った。


「そう、それには徹底的なデータ解析とユーザーテストが欠かせないんだね」

僕は言う。

データ解析も必要だし、ユーザテストも大事だ。

どう言う理由でやめてしまうのかを徹底的に調べる必要がある。


「ゲームを作るのそんなに大変なんですね!」

高崎くんが言う。


「そうだね、そういうことを徹底的にやっている会社だったね」

僕は言う。僕はクムクムを作った上場企業の創業メンバーだったのだ。


「そういえば私もこないだクムクムの会社調べたんですけど先生のお名前ありました。先生のお持ちの株大変な金額なのでは?」

高崎くんが調べたらしかった。


「そうだね、初期のメンバーだからね。あまりみないことにしてるからね。警察の仕事頑張りたいしね!」

僕には株はむずかしくて よくわからないので気にしないようにしている。


「そうですね!頑張りましょう!」

高崎くんが言った。

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