第58話 整形

「よし、やったね」

僕は高崎くんの一人確保したと言う情報を聞いて喜んだ。

これは素晴らしい事だ、着実に捜査が進んでいる。

大きな成果を出していると言っていいだろう。もっと大きな成果を出したい。


「今確認した監視カメラは380個なんだね。あとは620個なんだね!」

ヒカルちゃんが僕の作ったモニタ画面を見て言う。

このスピードならいずれ終わる。


「そうだね。これは一旦時間の問題だね。その間に僕らは先行して次の準備をしておく必要がある」

僕は言う。今は僕らが作った、ヒカルちゃんの顔認識システム、僕のルート生成アプリの効果がで始めたところだった。


「準備というのは?」

高崎くんが僕たちに聞く。今回のソフトウェアで効果が出そうな範囲はだいたいわかってきた。さらに効果が上がるアルゴリズムを導入する必要がある


「そうだね。今回ヒカルちゃんが作ってくれた、顔認識装置は正面だけに対応したものであることと、そんなに精度のあげていないモデルだったんだ」

僕は説明する、とりあえず精度を上げる前の既存のシステムを組み合わせて結果がどのぐらい出るのかを試しているところだった。


「それでも1人逮捕できたのはすごいことですね」

高崎くんが言う。全くその通り、この短期間、既存のものの組み合わせでこれだけの成果を出せたと言うのはかなり素晴らしい。


「うん、そうだね、もう1人ぐらいは見つかるんじゃないかと思う。何もなかった場合に比べて10倍ぐらいの効率は出てると思う」

僕は説明する。かなりの成果が上がったと言っていいだろう。しかし僕たちはもっと上を目指していく必要がある。より正確により速く調査ができるように貢献していく必要がある。


「ここから先はもう少し工夫していく必要があるね」

僕が言う。その方法をぼんやり考え始める。


「変装している人がいるからですね!」

高崎くんが言う。そう今までの話を聞いて、彼女は警察官ならではの捜索のプロとして難しい部分を理解していた。


「変装??」

ヒカルちゃんが聞く。


「うん、変装とはいかなくても、顔は隠すよね」

僕が説明する。そう、これは一般的な顔認識による利便性向上のプログラムと違い、犯人が顔を全部見せてくれるわけではない。そもそも防犯カメラにすら見つからないように工夫している相手に対するものだ。


「あー、なるほど、わかったんだよ!」

ヒカルちゃんがぽんと手を打って言った。


「うん、顔を隠してるだけならいいけど」

僕が説明を続ける。犯人側からの視点で言うと、そもそも顔を隠していたら怪しい。堂々としていないといけない。


「顔を変えてる人もいるんだね!」

ヒカルちゃんは理解して言った。


「整形ですね!」

高崎くんが言う。


「そう、これだけ話題になってる事件だからね。あらゆるところに監視の目がある」

僕は言った。そう、犯人側も最大限の工夫をしてくるはずだった。

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