うさぎの骸

作者 小谷杏子

一言で言えば、クラシックファンタジー。

  • ★★ Very Good!!

本作を読んで痛切に思ったのは、なぜカクヨムのカテゴリは「異世界ファンタジー」などと大雑把なくくりなのかという事。
「クラシックファンタジー」などのカテゴリがあってもいいではないかと常々思っていた事を、再認識させられた次第です。

本作を読んだ時、小生はどこか懐かしい雰囲気を感じました。
まじないや怪物が幻想の産物と認識されていない時代の小さな村。
美しくも暗澹たる禍々しさを秘めた魔女の森。
忍び寄る、人智の外の存在たち。
そして徐々に明かされていく、村の風習と魔女の関係。

そこにあったのは、かつて少年時代、小生が胸を躍らせたクラシックファンタジーの世界でした。
「ロードス島戦記」世代であった小生が憧れていた、神秘と謎と冒険に満ちた世界。
異世界転生ものに代表される、近年流行のゲーム感覚なライトファンタジーとは趣の異なる味わいを再び感じる事ができる一作でした。

ただ、本作はファンタジーとは言っても、諸悪の根源を倒してめでたしめでたし、というシンプルなものではありません。
主人公も非戦闘員であり、そういう意味ではタグにもある通りサスペンスに近い。
小生にとって卑近な例えで恐縮ですが、辺境の村に焦点を当てた「ソード・ワールド短編集」の一作品に近い雰囲気かと感じます。

いずれにせよ、本レビュー執筆の時点では第一章が起承転結の「転」に差し掛かった部分。
今後の展開を楽しみに待ちたいところです。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

その他のおすすめレビュー

西山いつきさんの他のおすすめレビュー 37