第拾話

拾ノ壱


 飴屋は人形屋を処罰した。

 人形屋は「修理屋を毎日見舞いに行く刑」に処された。

 今日もものすごく不機嫌そうな面持ちで人形屋が飴屋の前を横切り、修理屋に入っていくのを見届け、暁はほっとため息をつく。

 今日、飴屋は珍しく朝から店舗にいて、飴細工を作っていた。飴屋だから飴を作るのは当たり前なのに、「珍しい」と思ってしまうのだから妙な話だ。

 飴屋の飴作りは、ずっと見ていても飽きなかった。

 柔らかい飴は熱いはずなのに、飴屋は顔色ひとつ変えずに素手でつかみ、ひねったり伸ばしたりと自由自在にかたちを変える。そして、和鋏を入れていくのだった。

 金魚、狐、龍。飴細工は次々に生み出され、作業台の前の台に挿されていく。

 やがて飴屋は見事な九尾の白狐を作り、台に挿すと、深いため息をついた。彼らしくもなく、その目つきは少しぼんやりとしていた。

 が、九尾の狐のできばえに目を見張る暁のほうを見ると、飴屋はいつもの飴屋になった。

「すまんなあ。ほったらかしにしちまって。考えごとをしていた」

「考えごとするときに飴を作るの?」

「ああ」

 集中して作っている様子だったし、飴屋としての仕事をしているのだからと、暁は声をかけるのを自粛していた。しかし、彼にとってはこれがリラックスする方法のひとつだったのかもしれない。

 考えごともしたくなるというものだろう。人形屋が修理屋を襲い、社がなにものかに破壊され、無線屋が錯乱した。すでに数日前の出来事だが、あまりにもいっぺんに大きな問題が起こりすぎた。

 飴屋は毎日鍵屋と町に出ていて、夜遅くに戻ってきた。暁は、昼間はクーパーや鍋屋の世話になっていた。

 あれから赤い狐面の少年が現れることはなかった。

 無線屋は暁が一発殴ってから半日で目を覚ましたが、ひどく衰弱し、ひどく怯えている。奇声を上げっぱなしというわけではないものの、まともに会話できる状態ではないそうだ。今は時計屋が面倒をみているとのことだった。

「人形屋もまともに動けなくなるところだったが、おまえさんが救ってくれたな」

「そうかなあ。まだまだ立ち直れてないと思うけど」

「もう16年も経つし、新しい天照も来た。そろそろ前を向いてほしいというのがおれの本音だが、……なかなかなあ」

 飴屋は寂しげに微笑んだ。

「まあ、修理屋とは仲良くやっているようだ。なんとかなるだろう」

「仲良く……。中でどんな会話してるのか想像つかない……。修理屋のケガは大丈夫なの?」

「おれたちは人間じゃあないからな。人間に比べると傷の治りはずっと早いし、身体も丈夫だ。さすがにクーパーには負けるが」

 暁の脳裏に、少年がここに現れ、クーパーをいたぶったときの記憶が浮かび上がった。

 傷は確かにすぐ治っていたけれど、痛覚は人並みのようだった。切られるたびに、彼の顔は苦痛に歪んで……。

 少年は狐面の奥で笑っていた。

 人形屋の心の中に入った今は、あの狐面の奥にある顔を知っている。どんな面持ちで笑っていたのか想像がつく。それが耐えがたい。

 鍵屋からもらった鍵を人形屋に使ったこと、人形屋の心の中で何を見たか、それらはすべて飴屋と鍵屋に話していた。心の中という究極のプライバシーを他人に語るのは気が引けたが、彼が乱心して修理屋を襲った理由を明らかにしたほうがいいと判断した。

 飴屋は納得したが、そのかわり、昨日からずっと考えごとをしている様子だった。

「暁。あの小僧だが」

 飴屋は作業台に置いた和鋏に目を落とした。

「恐らく、キリエが生んだ子供だろう」

「……うん」

「何ヶ月、何百人に抱かれたかわからんが」

「…………」

「キリエを抱いた男すべてが、あの小僧の父親だ」

「えっ」

「おれたちの『精』というのは、ほんとうに『精』なのさ。目には見えない力のようなものだ。人間や動物の生殖とはちがう。あの小僧は、ニシ町の男どもの能力をいくつも受け継いでいるようだ」

 飴屋は袖から和鋏を出した。じっくり見たことはなかったが、これが飴屋が駆る武器であるはずだ。大きめで、唐草模様が彫り込まれていた。かなり古いもののようだった。

「おれはこいつを愛用しているが、実は、こいつはおれのものじゃあない」

「そうだったの?」

「ああ。こいつは〈悪い鋏屋〉のものなんだ。次元ごと、ものをちょん斬る力がある。名前は〈アトロポス〉。誰でも使えるというわけではないんだが、おれには使えている。何年か前に鋏屋との戦があって、おれが勝った。こいつは戦利品なのさ」

「次元ごと……」

 飴屋が鋏を閉じるたび、視界が一瞬暗転する。そして、次の瞬間には、狙ったものが斬れている。焼け焦げたような切り口。頭の中に響くような音。狐の子たちの中には、次元をも超越した力を使うものがいる。それは確かなことだ。

 少年は大きな裁ち鋏を使っていた。どこで閉じても、狙ったものを切断していた。あの音は、暁の記憶にこびりついて離れなかった。

「あの小僧が使っていた鋏は、〈悪い鋏屋〉のものだろう。妙な鋏を山ほど持っていたからなあ」

「じゃあ、瞬間移動したりするのも、記憶に残りにくかったのも、もらった飴を急に食べたくなったのも、ぜんぶ?」

「そうだ。修理屋に聞いてみたが、よくよく考えると、能力のひとつひとつには心当たりがあるようだった」

「自分が生まれる前のこと……、キリエさんと人形屋の関係も知ってるみたいだったけど……」

「どういうからくりかは知らないが、父親からは『記憶』も受け継いでいるようだな。誰かの能力かもしれんし、この国じゃあそういうこともあるのかもしれん」

「絶望が目的だって、言ってた」

 暁と飴屋は、ほとんど同時に、細いため息をついた。

「それ自体は嘘ではないだろう。ただ……問題は、なぜひとを絶望させるのか、だ。おれは理由があると思う」

「ただ絶望してるひとの顔が見たいだけじゃないってこと?」

「ああ」

 飴屋は顎に手をやり、暁からオッドアイを虚空に移して、眉をひそめた。

「ひょっとすると、社を壊したのもあの小僧かもしれん。この町の結界を崩すのが目的だとすれば、いろいろと合点がいく」

「結界? そんなのあったんだ」

「一応な。町のあちこちに祠があるんだが、そこがシロギツネの力を拝受し、結界を築いていた。結界というより、シロギツネの加護と言うべきか。クロギツネの眷属はヒガシ町には容易に入れないのさ。ただ、どうしてもほころびは出てくる。やつらはそういうほころびをすり抜けて『襲撃』してくるんだ。――最近、シロギツネの力が弱まってもいたからなあ。ほころびはだんだん大きくなってはいたが……、今はもう、ほとんど裸同然なんだ」

「……それ、ヤバいんじゃ……」

「あまりこんなことを言いたくはないが、かなりまずい」

 壊された社を見に行ったときと同じ。飴屋はとほうに暮れている。都合が悪くなるとのらりくらりと質問をかわす彼が、正直に打ち明けるとは。暁の胸に、とてつもない不安が爪を立てた。

 ニシ町の男たちに自分がさらわれ、キリエと同じ目に遭わされるところを想像してしまう。さすがに耐えられないだろう。キリエの心がいつまでもったのかはわからないが、最期は、苦痛も何もわからなくなっていたと思いたい。狂ったほうが――死んだほうがましという境遇は、確かにあるのだ。

「結界が失われたことについては、実はまだ謎がいくつかあるんだが、とりあえず、早急に社を建て直してみる。修理屋は、建物そのものはさすがに直せないが、壊れた木材や部品は直せるそうだ。あとは〈良い棟梁〉に頑張ってもらって、町ぐるみで手伝うつもりだ。クーパーにも手伝ってもらえたら、作業は楽だったろうがなあ」

「力持ちだもんね」

「――おや、噂をすればなんとやら」

 飴屋が入り口に顔を向け、苦笑いした。久しぶりに彼の笑みを見たような気がしてしまう。いつも笑っている男なのに、今はそれほど余裕がないのか。飴屋の笑みが、かえって不安に拍車をかける日が来ようとは。

 飴屋の視線の先に、ミニ・クーパーが止まった。たこ焼き片手に英国紳士が降りてくるのを見ると、暁はようやく、ほんの少しだけ安堵した。

「おう暁に飴屋」

「おう」

「鍵屋が暁呼んどったで」

「ああ、そうだった。すっかり忘れていた」

 飴屋はまた苦笑いをこぼした。

「おれは今日もこれからあちこちに顔を出さにゃならん。クーパー、悪いが今日も暁を頼む」

「かまへん」

「なんならおまえさんの家に暁を泊めてもらってもいいんだが」

「はあ!? あかんやろ! あかんで! あかんあかん!」

「なにがどうあかんのかおれにはさっぱりだ。男とひとつ屋根の下で暮らすのがあかんのなら、おれや鍵屋はどうなるんだ? そもそも暁はべつに気にしないよなあ?」

「うん。まえ、家行っていい? って聞いたら今みたいにあかんあかん言われた」

「じゃあパーやんが嫌なだけじゃあないか。暁が嫌いなのか?」

「おいお前ら卑怯やで!!」

「まあまあ、そんなに目を狐にしてまで怒ることはないじゃあないか。とりあえず鍵屋に行ってきな。今夜の暁の宿はそれから決めたらいいさ」

「あーもー! ほれ暁! 行くで!」

「はーい」

 ばん、とミニ・クーパーのドアがふたつとも乱暴に開いた。

 にやにやと楽しげな飴屋に見送られ、暁は助手席に乗り込む。クーパーは怒った顔で、たこ焼きが半分減ったパックを押しつけてきた。暁はなんとなくむっとした。

「なに怒ってんの」

「やかましわ」

「ボロ車」

「脳筋」

 車はかなり荒々しく走り出した。暁はたこ焼きをひとつ口に入れた。相変わらずおいしい。べつに腹が減って気が立っていたわけではないのだが、たこ焼きを4つ食べ終わる頃には、暁はすっかり落ち着いていた。ちらと横目でクーパーの様子をうかがうと、彼も普段と変わらない顔つきになっていた。

 町は少し、静かになっているように感じられた。昼下がりにしては人通りが少ない。数日前からはびこる、目には見えない『不安』に、皆少しずつだが慣れてきているようだ。

「鍵屋、何の用だって?」

「知らん。でも、深刻な感じはせえへんかったな」

「わたし、飴屋と、さっき深刻な話してた」

「さよか……」

 クーパーはハンドルから手を離すと、煙草を出して火をつけ、深々と煙を吐いた。

 程なくして、鍵屋の店に着いた。中には時計屋がいた。

 鍵屋と話をしていた時計屋は、暁とクーパーが中に入ると、懐中時計を出して時間を確認していた。暁は、彼のそのときの表情を見逃さなかった。戸惑っているように見えたのだ。

「おう時計屋」

「……やあ」

「どうかしたの?」

「無線屋がだいぶ落ち着いたんだ。話もできる。それを報告しに来た」

「それはいいニュースだけど、今、あなたへんな顔してた」

 暁が率直に指摘すると、時計屋は口をへの字に結び、もう一度時計を確認した。そして、ひどく小さな声でつぶやいた。

「え……?」

「時計、直してくる。無線屋は俺の家にいるから、話を聞くなら来い。じゃあな」

 時計屋はため息まじりに懐中時計をポケットに収めると、鍵屋を出て行った。

 時間が合っていない。

 それはよくあることなのだろうか。暁の胸に、また不安が忍び寄ってきた気がした。

「無線屋に会わなければな。だが、その前に……」

 鍵屋は机の引き出しを開け、封筒をふたつ取り出した。

「暁。1ヶ月ご苦労様。これは給料だ」

「えっ。あ、ありがとう」

 暁は面食らいながら封筒を受け取った。そう言えば、鍵屋は組合の会計担当でもあった。

 紙幣が何枚も入っている感触。ここに来てからひと月経ったのか、という実感。そして単純に、給料をもらえたという喜び。いろいろな感情がせめぎ合って、不安などかき消された。

「わたしバイトしたことなかったから、お給料もらうの、これが人生で初めてだよ」

「そうなのか。存外悪い気分ではないだろう?」

 鍵屋がそっと微笑んだ。穏やかな笑みを受けて、暁はうなずく。

「クーパーにもだ。ご苦労様」

「おおきに。たこ焼き買お」

「さっき食べたじゃん」

「ええやん一日に何パック食うても」

「もうたこ焼き器買えば?」

「おうなんやなにわナンバーコケにしとんのかもう買うてあるわ」

「君たちは本当に仲が良くなったな」

「やかましい! ほいでどうすんねん、無線屋に会うんか?」

「そうだな……、いや、急ぎでやらなければならないことがあるから、君たちに頼んでもいいだろうか?」

「俺はかまへん」

「わたしも」

「すまない。あの日何があったか尋ねてみてくれ。……人形屋の様子は?」

「ちゃんと毎日修理屋に行ってるよ」

「それはよかった」

 鍵屋は安堵の息をついていた。彼のその顔に、少し疲れが見えた気がした。



 常夜ノ国の通貨単位は『コン』らしい。狐の鳴き声だろうか。知ったときは、なんだかかわいいと暁は思った。漢字は「圓」をバラバラにして「艮」を無理やり詰めたような一文字だ。

 1コンが何円にあたるのかははっきりしないが、物価は驚くほど安い。食べ物は特にそうだ。粉物屋のたこ焼きは1パック8個入りが10コンである。対してハイオクは貴重品のためリッター60コンであり、クーパーの生活費を深刻に圧迫していた。

 暁はミニ・クーパーの助手席で、初めての給料袋を開けてみた。

「なんぼ入ってん」

「えっと3500コン」

「えぇえ俺とそんな変わらんやん!」

「これ高いのかな、安いのかな」

「たこ焼き350パックやで? 安いんちゃうか」

「基準がたこ焼き?」

 時計屋に行く前に粉物屋に寄るのではないかと思ったが、車は時計屋への道のりを進んでいた。時計屋を見かけたら拾おうという算段になっていたが、近道でも通ったのか、彼の姿は見当たらなかった。

「なんかさ」

「うん?」

「まずいことになってるんだって」

「ああ」

「結界がどうとか」

「らしいな」

「これからどうなるんだろ」

 時計屋に続く路地の入り口で車が止まった。

 クーパーが暁の顔を黙って見つめてきた。

 かと思うと、ミニ・クーパーは路地に入らず、目抜き通りに戻った。そしてまっすぐ、ずっとまっすぐ走り続けた。

 ひと気はなくなり、建物の軒先の提灯もまばらになってくる。そして、町の東の物見櫓が見えてきた。町が終わる。

 どこに連れていく気だろう、という暁の気持ちは、ぼんやりしていた。クーパーならおかしな真似はしないという確信があるからだろうか。それに、町の東側に何があるのかはまったく知らないことにも気づいて、好奇心も湧いていた。

 町の西に行けば、社の山があり、やがて赤いススキがさざめく野原が広がり、駅が見え、そして……ニシ町に辿り着く。

 初めて訪れる、ヒガシ町の東側の『外』。

 どこまでもなだらかな小高い丘が連なっている。背の低い雑草が、濃緑色の絨毯のように丘を覆っている。ぽつんぽつんと、木がところどころに立っていた。暁は、テレビでしか見たことがないけれど、北海道の美瑛という場所を思い出した。

 ミニ・クーパーは、誰が作ったのかもわからない、細く曲がりくねった道を行く。丘を登っていく。空しか見えなくなるほど急な斜面もあった。

 そして、丘のうえで車は止まった。

 ここにはひまわりもラベンダーもない。ただの緑一色。しかしその夜の緑は、月の光と風を受けて、時折銀色の白波を立てる。

 満月だ。

 丘の向こうから、大きな満月が昇っていた。

 暁は言葉をなくした。

 言葉など無意味な気がした。

 ここは『あの世』なのだと思った。

 だって、ここは、あまりにも……。

 クーパーも無言だ。月を見ていた蒼い目を伏せ、彼は煙草を取り出し、火をつけた。


「お月さん綺麗やな」


 つぶやくように、彼は言った。

「うん」

 暁は即答してクーパーを見つめた。クーパーは……なぜか、紫煙を吐きながら苦笑いしたように見えた。

 雨の日の夜を思い出す。

 彼の胸の中でさんざん泣いた。翌日、泣いたせいで目が腫れたのか、それともハコスカに殴られた打撲の腫れがまだ引いていないだけなのかわからなくなった。そして、これからクーパーにどんな顔をして接すればいいのかと恥ずかしくなった。

 でも――予想はしていたけれど――あの夜を境にクーパーが態度を変える、ということはなかった。ありえなかった。彼は何ごともなかったかのように現れて、たこ焼きを食べて、暁に挨拶する。そんな当たり前の朝の繰り返し。

 暁はそれが有り難かった。それに、ほっとした。クーパーはきっと誰にでもそうする。誰かが何か吐き出したいとき、ほとんど口を挟まずにそれを受け入れて、誰かが思いきり泣きたいとき、そうっと抱きしめる。

 そう思っていたのに。

 それは、そう思い込もうとしていただけなのか。

 クーパーの中でも、暁の存在があの夜に変わったのだろうか。

「怖いんか、暁」

 灰皿に煙草を押し込んだあと、彼はささやいてきた。

 まっくらな夜の中、彼の目の蛍光ブルーが視界ににじむ。

「こわい」

 暁はもうごまかせなくなっていた。

「わたし、四季をさらったやつ以上の変態のクズなんてそんなにいないと思ってた。いてもどっか遠くにいるって。アメリカの殺人鬼とか、自爆するテロリストとか。たしかに、クズにいつ襲われても返り討ちにできるように鍛えてきた。強くなったつもりだよ。でも、それが本当の意味で役に立つ日なんて、ほんとは、ほんとは来てほしくなかった。来ないと思ってたのかも。なんだかんだ言って、日本は平和だったもの。わたしと四季が、特別に運が悪かっただけで……」

「せやな」

「でもここにはいる。わたしのすぐそばに、信じられない化物たちが。キリエさんがどんなにつらい毎日を過ごしてたか……。わたしをキリエさんと同じ目に遭わせるために、ヒガシ町のいいひとたちを殺すために、あいつらは、今わたしたちを追いつめてる」

「…………」

「飴屋も鍵屋も強いし、人形屋も正気に戻ってくれたし、あなたはいつもそばにいてくれる。でも、不安で不安でたまらないの」

 クーパーが猫のようにゆっくりとまばたきした。

「ただの女の子になったみたい。そんな自分が情けないの」

 外からは、虫たちの歌が聞こえてくる。

「お前は強いけど、18の女の子や」

 クーパーが低くささやいた。

「――前にもゆうた。

 その手が伸びてきて、暁の頬を撫でる。


I love you.お月さん綺麗やな


 口づけをした。



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