漆ノ弐


「あっ……」

 ハコスカが一瞬声を詰まらせる。

「親分」

 暁は身をよじり、背後を見た。

 ハコスカが和装の男にちょいと頭を下げていた。ハコスカのスカジャンの背中に、白色の糸で『2000GT』と刺繍されているのが、やけに印象的だった。

「何をしている」

「……ケンカすよ」

「ふん。おんなと喧嘩か?」

「こいつ女じゃねェ。ゴリラだよ完全に」

 失礼な、という言葉が反射的に頭をよぎる。こんなに身体じゅう痛いのに、暁の心はまだ折れそうになかった。

 ……とはいえ。

 もうまともに刀を振れそうにないし、立てるかどうかもわからないが、「きゃあやめて」と叫ぶのはありえない。ゴリラ上等だ。

「4年ぶりの天照か……。此度こたびはずいぶん風変わりなむすめを選んだな、お狐様も。しかし、何故なにゆえここに? 今は〈良い飴屋〉が庇護していると聞いたが」

「オレが聞きてェくらいだ。いきなり空中から出てきたんだぜ。いや、本当だって」

「……ふむ……、成る程」

「なんだよ。アンタはどういうことかわかってるのか?」

「いかにも。目星はついた」

 和装の男が近づいてくる。ハコスカのヘッドライトを背に受けているので、しばらく、そのシルエットしかわからなかった。ハコスカ以上にがっしりとした体躯。刻み煙草の匂い。

 ハコスカはすっかり大人しくなって、もう暁に近づこうともしない。新たに現れた男にすべてを譲っている。敬語を使ってはいないものの、頭が上がらないようだ。そしてハコスカは男のことを、再び「親分」と呼んだ。

「あんまり近づくと咬みつかれるぜ」

「狐に咬みつくか。ふん、面白い」

 男はもう目の前だ。暁はようやく身体の鈍痛を意識するようになってきた。アドレナリンの効き目が切れたのか。

 それは、暁がこの国で今まで出会ってきた男たちの中で、最も年嵩の人物だった。60代くらいに見える。

 オールバックにした髪は灰色であり、かなり白髪が混じっている。頭の後ろでひとつに結わえていた。きれいに形を整えた髭をたくわえている。髭は髪の毛よりもまだ色濃い。

 厳めしい顔つきをさらに印象深くさせているのは、傷痕だった。幾筋もの切り傷の痕が、その顔に刻まれている。暁の傷痕はただ醜いだけであり、見る人を引かせるだけだが、この男の傷痕は少しちがう。彼に威厳と凄味を与えている。

 そして……、その目は。

 左が銀色、右が水色。つめたさを感じるオッドアイ。眼光はある意味、暫の刃よりもするどい。

 暁の顔を見下ろした男はわずかに眉をひそめると、ハコスカに顔を向けた。

「ここまで撲る奴があるか。天照だぞ」

「はぁ? どうせアンタらさんざん犯ってから喰っちまうんだし、べつにいいだろ。それに肉は叩いたほうがうまくなるぜ」

「うまいことを言ったつもりか」

「うん」

「つまらぬぞ」

 男は呆れたようにため息をついたが、少し笑っていた。ハコスカのことが気に入っているらしい。

 彼はあらためて暁を見下ろし、すっとわずかに目を細めた。


 ごくり。


 修理屋のときと同じだ。生唾を呑む音が聞こえた。しかし男は夢うつつの状態にはなっていない。暁に手を伸ばすでもなく、目を細めたその表情のまま冷静に見下ろしてくる。

 どうやらクロギツネの眷属の中にも、彼のように理性がある者もいるようだ。それに……、何も頭にかぶっていない。修理屋が言っていた、ニシ町の不気味な変化とも、この男は無縁なのだろうか。

「天照。名は?」

「……なんで名乗らなきゃいけないの」

「これは確かに豪胆だな」

 はっは、と男は短く声を上げて笑った。

「儂はニシ町の〈悪い胴元〉だ。……儂は名乗ったが、お主はこれでも名乗らぬか?」

 目にも声にもまだ笑みの残渣があったが、その言葉には、有無を言わせぬ力があった。暁はほとんど倒れ伏したまま、口元を拭った。

「火野坂暁」

 名乗った瞬間、ような気がした。いろいろなスポーツに手を出して、数えきれないくらい試合に出たが、暁も負けることはあった。でも、過去のどんな負け戦より、今がいちばん悔しくてたまらない。

「あきら? ……ほう、あきらか」

「名前まで野郎っぽいのかよ」

「お主は知らぬか。『あきら』には『あかつき』という意味もあるのだ。天照にはふさわしき名よ」

「へぇ」

 ハコスカにはわりと純朴な一面もあるようだ。その「へぇ」は社交辞令ではなく、本心から言っているようだった。

「スカイライン、儂の家まで運べ。莫迦どもに嗅ぎつけられてはかなわぬ」

「はいはい。アンタも好きだねェ。んで、オレもご相伴にあずかれるのかい?」

「口の減らぬ車だな」

〈悪い胴元〉は暁に背を向け、スカイラインに向かって歩き出した。その背筋はぴんと伸びていて、どこか飴屋を髣髴とさせた。

 そうだ。あのオッドアイ。この余裕。胴元は飴屋に似ている。

 飴屋はどうしているだろうか。暁がいなくなったことに気づいているのか。なんとなくだが、もうとっくに知っていて、ここに駆けつけている最中のような気がした。単なる期待かもしれないが……、飴屋はそつのない男だから。

 胴元の家がニシ町のどのあたりにあるのかは知らないが、ニシ町の中に入った瞬間、は確定する。今はまだ、負けてしまったような気になっているだけだ。

 逃げなければ。

 ハコスカがのしのし近づいてきた。暁が負わせた傷はいつのまにかふさがっている。服の切れ目もつながっていたが、血の汚れだけは残っていた。

 暫はそばにはないが、喚べば来る。しかし、まともに身体が動きそうにない。それに刀でどれだけ斬っても、ハコスカのは死なない。

 ただ……、首を飛ばせば少しは時間が稼げるかもしれない。

 以前、首が飛んだクーパーはしばらく動かなくなった。それを話題に出してみたところ、頭がなくなると意識が一、二分飛ぶという答えが返ってきた。車のほうも勝手にエンジンが切れてしまうらしい。そして、気がついたときには頭がくっついているそうだ。何がどうなって吹っ飛んだ首が復活するのか、それは彼にもわからない。

 今はどんな手でも試してみなければ。

 試したいことはもうひとつあった。

 お狐様からもらった武器に名前をつけると、喚べば来るようになる――。

 ハコスカがかがんで、暁を抱え上げようとした。

「〈クラブマン〉!」

 ヂャッ、と暁の右手に質量と銀色が現れた。

 クーパーの懐に入っているはずのリボルバーが、今は暁の手の中にある。武器は喚べば来るのだ、誰のものでも、誰が喚んでも。

 ハコスカが、あっと一瞬驚いた顔をした。

 暁はその顔に、至近距離から弾丸をお見舞いした。

 銃声と同時にハコスカの左目には穴が開いて潰れ、その後頭部から血と脳漿とピンク色の肉塊が飛び出した。初めて撃った銃の反動は、少し驚くほど強かった。花火に似た匂いが鼻をつく。

 ハコスカの右目がくるっと裏返った。彼の身体は膝から崩れ落ち、その背後で、スカイラインがプスンと儚い音を立ててエンストした。

 すでに車に乗り込んでいた胴元だったが、すぐさま後部座席から降りてきた。左右で色の違う目のかがやきが強くなっていた。暁はその顔にも弾丸を見舞おうとしたが、銃を持つのも撃つのも初めてだった。3発撃って3発外し、次の1発が胴元の肩を射貫き、最後の1発が太もものあたりに当たった。

 短くうめいて、胴元がよろめいた。

 引き金を引いても、もうクラブマンは火を吹かなかった。総弾数は6発らしい。

 暁はできるだけすばやく身を起こしたが、胸にも顔にも足にも激痛が走った。痛みを感じないのは右腕くらい。おまけに浴衣で裸足だし、あたりは道らしき道もない草原だ。まともに走れるはずがなかった。

 エンジン音は聞こえない。ハコスカが目を覚ましたら終わりだ。今度こそ轢き殺されそうな気がする。

 追いかけてきている。胴元の足音か。

「〈暫〉!」

 唯一無事な右腕だけが頼り。

 暁は武器をクラブマンから暫に持ち替えた。

 振り返る。

 胴元が懐から小さな黒い札を取り出すのが見えた。

 あれは――

すすきかり

 花札。



 ドバババババババッ、とすさまじい羽音。

 赤いススキを引き裂くようにして、漆黒の鳥たちが暁に襲いかかってきた。何羽いるのか見当もつかない。かれらは鴉よりも大きく、足には水かきとするどい爪があり、くちばしが太かった。水鳥、――雁だ。全身がまるで影絵のように黒いけれど、雁なのだ。

 翼に打ち据えられて、暁はバランスを崩した。

 無我夢中で刀を一閃する。

 暫の刃からはまばゆい光が弾け、雁たちは悲鳴を上げて散開した。その奥から近寄りつつあった胴元も足を止め、短くうめいて顔をかばった。

 暁は痛む足で踏ん張り、もう一度二度と刀を振った。もはや、剣道のかたも何もなかった。子供の遊びのように、めちゃくちゃな振り方だ。それでも暫はかがやき、刃は闇色の雁を1匹しとめた。

 雁は黒い羽根だけになって飛散し、夜に融け、跡形もなくなった。

「桜に幕」

 胴元はほとんど目を閉じたままうめくようにささやき、花札を一枚地面に叩きつけた。

 一瞬で、むせ返るほどの桜の香り。

 しかしこの場に唐突に起きた桜吹雪は、黒い。真っ黒だ。ごうごうと唸りながら渦巻く無数の花びらの向こうで、大きな幕が広がり、胴元の姿を覆い隠した。ビロードのような光沢を持つ幕は、白と黒の鯨幕くじらまく

 彼は暫の光から逃れるつもりだ。

 あの幕の向こうにいる。

 一瞬闘志が足を前に進ませようとしたが、深追いは危険だと思い直した。

 暁はきびすを返し、雁をまた1羽斬り殺して、走り始めた。

 遠くに小山が見える。お狐様のお社があるはずだ。そしてその向こうに、ヒガシ町が。町の明かりすら見えないほど遠い。

 辿り着けるだろうか。この足で……この身体で。

 ハコスカはすぐに目を覚ます。胴元の武器は花札のようだ。花札にどういう図柄があったか、思い出したくもなかった。猪だの鹿だの鳳凰だの。ああ、結局考えてしまっている。あんなものを出されたらひとたまりもない。

 でも――。

 暁は暫を打ち棄て、足を引きずりながら、走れるだけの速さで走った。普段の五分の一の力も出せていない。でも、負けたくないし、あきらめたくもない。

 ただ。

 助けてくれとこいねがうのは、負けたうちには入らないはずだ。

 ――

 よろめくように走りながら、暁はこいねがう。

 ――町でいちばん足が速いんでしょ。早く迎えに来て。飴屋たちを乗せて、助けに来て。

 走っても走っても、社の小山の位置が変わらない気がする。自分は本当に前に進んでいるのだろうか。胴元の足音は聞こえない。振り返ると、彼はだいぶ後ろにいた。暁が足を撃ったからだろう。

 すぐに前に向き直る。

 またアドレナリンが全身に回り始めたのか、意識がふわふわ宙に浮いているような感じがした。今の暁は、ただ走るために走っている。全速力で何分走り続けているというのか。今にも足がもつれそうだが、痛みはあまり感じなくなっていた。要は「それどころではない」のだ。

 視界がいきなり明るくなった。

 振り返ってみると、スカイラインのエンジンが唸りを上げていた。意識を取り戻したようだ。胴元も足を止めて振り返っていた。

 左側のヘッドライトが切れている。ものすごく怒っている、これ以上ないくらい激怒している。エンジンの空ぶかしの咆哮がそれを物語っている。轢き殺されるかもしれない。

「スカイライン!」

 胴元が太い声を上げた。

「殺すな。〈〉に会わせねばならぬ!」

 そう聞こえた。

 まばたきでもしたかのように、スカイラインの右側のヘッドライトが一瞬消えた。ぶわッ、とエンジンが一度大きく高鳴る。

『ったく、わかったよ。かるーく撥ねりゃいいんだろ!』

 その声は、車そのものが喋ったように聞こえた。ホーンのようにはっきりと大きく、赤いススキの草原に響きわたった。

 必死で走っているうちにいくらか距離は稼げたようだが、車にかかれば数十秒だ。ただ、道がなく、地面がでこぼこしているのが若干の救いかもしれない。ハコスカは車高が低かった。

 走れ。

 ヘッドライトの光にとらわれる前に。

 暁は背の高いススキが群生するほうへと走った。浴衣は薄紅色だから、完全に身を隠すのは難しいかもしれない。おまけに走りづらくなる。それでもあの車の真正面を走るよりましなはずだ。

 タイヤが土を削り、ススキを蹴散らす音が聞こえる。

 裸足で走り続けて、心臓が爆発しそうだ。

「ッ!」

 突然足が宙に浮いた。がくん、と身体全体が落ちる。足首に痛み。転んだ。思わぬ高低差だ。暁は草まみれになりながら急な斜面を転がり落ちた。

 足をくじいたかもしれない。ハコスカの視界からは完全に消えたかもしれないし、車は容易に飛び降りられない段差なのが救いか。これほど頼りがいのない救いはなかなかない。

 口の中に入った草を吐き出し、暁は顔を上げた。

 光が……。

 東から、光が近づいてくる。ふたつ並んだ光が。

 ――クーパー。

 彼は今回ものだろうか。

 疲れと痛みがどっと押し寄せてきた。立ち上がろうとしたのに、腕にも足にも力が入らない。エンジン音が近くなってきた。それは聞き慣れたミニ・クーパーのものではない。もっと力強く、低いエンジン音。日産スカイライン。暁を見失ったのか、急勾配を飛び越えることに躊躇しているのか、音の近づき方に戸惑いを感じる。

 くそ、という悪態が頭の中で生じる。

 負けてたまるか。

「……〈暫〉」

 どこかに捨て置いた刀が戻ってくる。さんざん乱暴に扱ってきたが、かがやく刀身には刃こぼれひとつない。うつ伏せに倒れたまま、刀を引き寄せる。

 ヘッドライトが……。

 草原の斜面を迂回して、スカイラインが現れた。

 見つけたぜ。

 そう言わんばかりに、意思を持つ車はいったん止まった。潰れていた左側のヘッドライトは、今は豆電球のように弱い光を放っている。

 空ぶかし。

 運転席にいるはずのハコスカの顔はほとんどわからない。ヘッドライトがまぶしすぎて。でも、ぜったいに嗤っているはずだ。

 当ててくるか、それともオプションで殴りつけてくるか。どちらにせよ、二度と抵抗できない程度には痛めつけられるだろう。

 身体は痛み、鉛のように重い。でも、呼吸は落ち着いてきた。心臓は音が聞こえるくらい早く強く打っているが、これは緊張のためだ。

 倒れ伏したまま、刀を持つ手に力を込める。

 ハコスカは――車を降りた。余裕の足取りで近づいてくる。煙草の匂いがした。この車も煙草が好きか。

 左目は閉ざされ、血が流れている。だが、顔は笑っていた。

「結局こうなるんだからよォ、最初から大人しくしとけよな。面倒くせェんだよこのクソガキ。おまけにヘッドライト潰しやがって。テメェその残りの目も潰すか? ア? コラ」

 暁は何も言わず、息を整えて、身じろぎひとつしなかった。

 近づいてくる。

 もう少し。

 近づいてくる。

 煙草の匂い。

 近づいてくる。

 ――ここだ。

 暁はすばやく暫の柄を両手で持ち、渾身の力を込めて横に振り抜いた。

「あ゛……!?」

 ゾばツッ。

 ハコスカはごついロングノーズのショートブーツを履いていた。その足首を、両方とも、暫は容易く切断した。骨と腱が見えた。そして血しぶき。

 ハコスカが倒れると同時に、スカイラインの後輪から破裂音がした。ガクン、とスカイラインが後ろに傾く。パンクしたようだ。

 暁はゆらりと立ち上がり、ハコスカに歩み寄った。我ながらゾンビみたいな歩き方だ、と滑稽に思える。

「く、くそ、テメェこのッ、オレFRなんだぞ、ふざけん――」

 暫を振りかぶり、振り下ろすだけの簡単な作業。ハコスカの悪態は途切れた。首は草むらの中に飛んでいき、首の断面から噴き出したガソリン臭い血潮が、暁の浴衣を真紅に染める。

 スカイラインはまたエンストした。ヘッドライトもふっと消える。

 ……逃げな、ければ。

 暁は右足を引きずりながら歩き始めた。

 胴元は今どこにいるのかわからない。スカイラインに乗っていなかったのは幸運だった。

 新たな光が近づいてくるのがわかったが、焦りや恐怖は感じない。でこぼこ道を跳びはねるようにして走ってくるのは、ブリティッシュ・レーシング・グリーンのミニ・クーパーだ。

『暁ァ!!』

 ミニ・クーパーから、彼の声が聞こえてくる。ハコスカと同じだ。彼らは車本体からも、ホーンと同じ大きさの声を出せるらしい。毎日顔を合わせていたのに、初めて知る能力だ。

 ヘッドライトの明るさも、エンジン音も、タイヤが土と草を削る音も。確かに、ぜんぶハコスカに負けている。……でも暁は、この音のほうが好きだ。愛嬌があって、古めかしくて、それでも充分心強い。

 ミニ・クーパーのヘッドライトに照らされると、ひとりでに腰が抜けた。血まみれの暫や浴衣から漂ってくるガソリン臭のせいか、吐き気と頭痛がする。車が止まってドアが開く音がしても、暁は顔を上げられなかった。

「暁!」

 その声と匂いは、飴屋。温かな腕に支えられて、暁は大きく息をついた。

 煙草とかすかなガソリンの匂いもする。こちらはクーパーだろう。

 ……もうひとりいるようだ。暁はわずかに顔を上げた。人形屋が、少し離れたところに立っていた。暁は少し意外に思う。人形屋は顔面蒼白で、悪い夢でも見たような表情をして固まっていた。血を見るのが苦手なのだろうか。いや、〈俤〉で敵を細切れにしていたから、それはないはずだ。

 暁は声を絞り出す。

「胴元……」

「なに? 〈悪い胴元〉か?」

 飴屋も珍しく、張り詰めた声で聞き返してきた。暁は頷く。

「長居は無用だな。すまんが、急いで引き返してくれ。クーパー」

「ハコスカは?」

「……パンクさせた」

「お前それほんまか!? ほんなら余裕や、はよ乗れ!」

 あとのことは、ほとんど何もわからない。

 暁は飴屋の腕の中で目を閉じた。

 完全に意識を失うまでに感じ取れたのは、震動と、匂いだけ。

 白い狐の子たちの、温もりだけ。

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