第13話 同じ過ち
◆
ざまあねえな久羽。
コテージに戻るなり、究雨にそう煽られた。
僕は敢えて無視をすると、おいおいおい俺泣いちゃうよ泣いちゃうよ、とうるさかったので、ベッドに入って寝ることにした。すると一気に究雨は黙る。パブロフの犬のようにこうすると必ず大人しくなる。
「さて、と」
思考を開始する。この思考は当然、究雨には伝わらないように意識して行う。
彼女に嘘をついた。
というより、自分に嘘を吐いた、と言った方が正しいだろう。
美玖が最後にした質問。
『そこまで引きずる存在だったのか?』
その言葉の裏には、このような言葉が隠れている。
『過去に引きずられていないで、今を生きろよ』
「……うん。これ、ただの妄想だな」
恥ずかしくなってしまった。
だが僕はそう受け取った。
受け取り、こう思考した。
美玖。
韋宇。
新たにできた、KATIDというサークルで繋がった、僕の友人。
今はこの二人をとても大切にしたい。
既に亡くしてしまった彼女よりも。
それが僕の本心だった。
――そんな自己中心的な欲望。
ついこの間にも同じことがあったのに。
懲りない。
気付かない。
救いようがない。
だからこの後。
僕は再び同じ過ちを犯す。
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