'umikūmāwalu、ウミクーマーヴァル。ハワイの言葉で10と8の意味。
57
夏休み最後の水曜日。慧くんとみなとみらいに行った。瑠夏がとても喜んでいたので嬉しかった。瑠夏は、コスモワールドで遊んでから、ワールドポーターズの雑貨屋で好きなキャラクターのグッズを買ってもらった。慧くんが1Fのハワイアンジュエリーの店に連れて行ってくれた。左手の薬指のサイズを測り、グリーンゴールドのリングをオーダーした。パスタが食べたいと答えると、慧くんは「葉山に戻る」と言った。
「フルットで生パスタ食べたことある?」
ない。Anuenueと同じ商店会のイタリアンだ。敷居が高くて今まで入ったことがなかった。
「ドリンクが付くランチが千五百円だから、そんなに高くないぞ」
今からだとディナーだよ! でも美味しいパスタを一緒に食べたかった。本日のオススメのバーニャカウダと、生パスタと葉山牛のボロネーゼは本当に美味しくて、慧くんと葉山がもっと好きになった。慧くんも地元との繋がりを大切にしているんだな。「慧くんも」じゃない。「慧くんは」だ。
夏休みが終わり、小学校の給食が始まった日、初めて店員としてAnuenueに出勤した。驚く程客が来なかった。生き物、生体を宅配する為の梱包を教わった。ペットショップがない町の客から、ネットの注文が相次いでいた。葉山にも、ここがなければ観賞魚を扱う店もペットショップもない。一軒、金魚の専門店があるだけだった。県内、又は都内であれば、今までお父さんが配達していたそうだ。これからは宅配便か、慧くんが配達することになる。私は二度と運転するつもりがない。運転イコール死だと感じていた。
定休日もAnuenueのガレージで、慧くんとディスカスたちと過ごした。入院しているお父さんの病院にも行った。着替えを持って行き、洗濯物を持って帰って来た。お父さんは体が大きくて物静かな人だった。慧くんと顔が似ていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます