◆用語集◆

◆マーフォーク

 上半身が人間で、下半身が魚。いわゆる人魚。世界の全てが海であった時代に一大文明を築きあげたが、フレグマという魔法の使用過多により崩壊。海は世界の半分にまで減少し、彼らは九割の都市と同胞を失ったと言われている。魔法を扱うことに長けており、いま人間が使っている魔法や魔法装置のほとんどが彼らの産み出したものである。彼らが活躍した時代を”海の時代”と呼んでいる。


◆フレグマ

 海底の岩盤を魔法の力で粘土状にする魔法。マーフォーク達はこの魔法を用いて岩を変形し隆起させ、地形を整備し、住環境を整えた。その利便性の高さから多用され、文明崩壊の引き金になったと言われている。あらゆる地域で多用された魔法であるにもかかわらず、その魔譜は未だに見つかってはいない。文明崩壊後にマーフォーク達によって破棄されたものと考えられている。


◆古代種の竜

 マーフォークの文明崩壊後に世界を席巻したのが竜族。古代種の竜が眷属を率いて陸も空も海さえも制覇することになる。が、同族同士のいがみ合いにより戦争が勃発。血みどろの争いが長く長く続いたためその個体数を減らし、自ら世界覇者の座から降りることになる。いま生き残っている古代種の竜も力のほとんどを喪失し、主を失った眷属たち(下位の竜やワイバーンなど)は言語や知性を失い、動物同様の生活を送ることになる。竜が世界を制した時代を”空の時代”と呼んでいる。また、古代種の竜はその皮膚の構造により、通常の刃物では傷を付けることができない。


◆竜斬

 難易度の高い再現不可魔法のひとつ。武器に付与することにより竜の皮膚を切り裂くことが出来る。マーフォークにしかできない魔法動作が必要な上に長い詠唱時間を要するため、どんな高位の魔術士でも唱えることは不可能だとされている。


◆生贄

 竜との契約により、捧げられることになった。別に食べられるわけではなく、そばに仕え、時を共に過ごすことが使命である。生贄になるのは少女と決まっており。十三歳でその身を竜に捧げ、十九才になる前日、十八歳最後の日に解放される。六年周期で生贄は選出され、竜とともに生きる。生贄に選ばれることは名誉とされ、その家族には多額の報奨金が与えられる。


◆箱組

 月に一度、契約を交わした古代種の竜の元にいる生贄に物資を届けるのが箱組の仕事。四人一組で持ち手の付いた箱を担ぎ、険しい山道を登ってゆく。現行メンバーは八名。給料は悪くない。


◆再現不可魔法

 マーフォークの造り出した魔法の中で現状再現できていないものがいくつもあり、それらのことを再現不可魔法と呼んでいる。再現不可魔法は大きく三つに分類することができる。魔譜の失われているもの、魔法動作に難のあるもの、魔法の詠唱時間が概ね一分を超えるもの、の三つである。


◆七星列島

 大陸の西に位置する七つ並んだ列島。メテオ島、レスタール島、サフィル島、マティスタ島、ルビニ島、大リソス島、小リソス島、の七島で構成される。規模は小さく全ての島民を合わせても二〇〇人程度。良質の鉄と貴重なミスリルが採れることもあり、鍛冶屋が多く、王国の武器製造の拠点となっている。大陸とは一日一便の帆船で往来が可能。


◆ミスリル

 硬くて軽い希少な鉱物。魔法と親和性が高く、魔創具の母体として良く利用される。マーフォークの遺跡から発掘されることの方が多い。唯一、七星列島ではミスリルを採掘でき、限られた職人だけその加工を行うことが出来る。銀と混ぜることで粘性が上がり加工は比較的容易になるが、長物の武器の加工には向かなくなるため、武器にする場合は専ら槍先などに使われる。


◆建国王

 百年王国の初代国王ノックデュー・ウェイブスの呼び名。伝説の戦士にして”竜契り”の異名を持つ。建国の際に『我が力を以って、この国に百年続く平和と繁栄を約束する』と宣言した。これが百年王国命名の由来となっている。


◆百年王国

 古代種の竜の生き残りであるデ・ロ・ラシュを倒したという伝説の戦士ノックデュー・ウェイブスが建国した王国。敗北を認めたデ・ロ・ラシュと契約を結び、その力でまたたく間に近隣を制覇し大陸の中部を制覇する大国となった。


◆キス・オブ・ナイトメア(キスメア)

 麻薬。アサ科の一年草。雄株と雌株があり、この雌株の頂上部分にできる花穂のみを収穫して加工する。受粉してしまうと効能が落ちるため、受粉させないように細心の注意を払って育てる必要がある。収穫し、乾燥させ、乾燥が終わる頃には樹脂が滲み、独特の金色の輝きを持ち始める。この金の樹脂を持つ花穂のみがキス・オブ・ナイトメアと呼称することを許されており、巷ではキスメアと呼ばれている。他の麻薬とはキマり方が違うため愛好者が多いが、高価で入手困難。


◆循環呼吸

 呼吸の間も絶え間なく口から空気を吐き出すことによって息継ぎの無音時間をなくす呼吸法。これが自由に扱えるようになれば再現不可魔法のうち【魔法の詠唱時間が概ね一分を超えるもの】を唱えることが出来るようになる。技術が確立されているわけではなく、この呼吸法を行えるものはごくわずか。歌唱や楽器の演奏などにも活用される。


◆魔創語

 呪文を情報として残すために造られた言語。マーフォーク語の体系に基づいて作られているため人間が理解するにはかなり難解。これを読み解き、分解や応用ができるようになったのはケティエルムーンの功績。


◆魔譜

 魔法を唱えるための呪文の書かれた譜。すべて魔創語で書かれている。魔法動作についても書きこまれているので、能力のある者によって魔譜がそのまま再現されれば、魔法は正しく発動する。


◆魔詳石

 魔詳石は情報を記録することが出来る魔創具。記録された映像や文字は専用の媒体で再生することで閲覧できる。魔詳石内部の記録状況は色で判別可能。情報の書きこまれていない空魔詳石は緑。情報の書きこまれた魔詳石は青(残り容量に応じて水色から濃紺へとグラデーションする)。書きこまれた情報を修正や上書きの出来ない状態にしたものは赤く光る。魔詳石は延性と展性を持っており熱伝導率も魔法伝導率も高く、名前に石と付いているが分類上は金属である。


◆魔創具・魔法装置

 マジックアイテムのうち、小さなもの、単一機能であるものを魔創具、大きなもの、複数の機能を有する物を魔法装置と呼んでいる。発動体の杖や魔詳石、水中呼吸を可能にする鍵の形のアイテムなどは魔創具。水温調整機能をもつ装置や魔法の昇降機などは魔法装置と呼ばれる。


◆新大陸

 二十年前に新王国が新天地の開拓のために目指した東の大陸の事をこう呼ぶ。新大陸には異なる民が住んでおり、独自の文化を形成している。彼らはおおむね八つの部族で構成されている。カカオを造る部族、翡翠を加工する部族、コーンを作る部族、麦を作る部族、祈りを捧げる部族、狩りをする部族、魚を取る部族、仮面を作る部族の八つである。フーゼル一行が上陸したことを契機に、赤い古代種の竜に怯え細々と暮らす生活から状況が一転する。


◆始まりの子

 王国民と新大陸の民との混血児を差す言葉。新国王フーゼルが命名した。建国とともに『二つの大陸が交わり生まれた子供は、最も神の祝福を受けることになる。その子たちを【始まりの子】と名付け、手厚く支援する』と宣言したことに由来する。民衆は王の意向を尊重、沢山の始まりの子が誕生する。彼らは混血の特性か、一芸に秀でたものを多く輩出することが多い。作中ではプルトニーが始まりの子であり、身体能力がとても高い。


◆魔術士

 一般では魔法を使えるものの総称として使われるが、塔においては呼び名によってランク付けがなされている。魔術修練員→魔術士→魔導士→大魔導師の順で高位とされる。ヅッソは魔術士であり、まだ魔導士の域にまでは至っていない。


◆魔物避けのカンテラ

 その光の照らす範囲内であれば、カンテラに火を付けたものよりも力の劣る獣や魔物、人間といったあらゆる生命体から攻撃を受けることはない。マーフォークの遺物であり、人間の付与魔術士では造ることが出来ない貴重な品。ちなみに箱組のカンテラに着火したのは古代種の竜デ・ロ・ラシュであり、理論上、どんな魔物にも襲われることはない。

 

◆通貨について

 王国金貨=100,000円

 銀  貨=  2,000円

 銅  貨=     40円


 金貨1枚=銀貨50枚

 銀貨1枚=銅貨50枚


 ※金額は推定。物流システムが違う為全てが変換できるわけではない。

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