なぜこの作品が評価されずに埋もれているのでしょうか?
ファンタジー、戦記、ロボット物といった要素を詰め込みながらも、物語を貫くのは一人の少年の「成長」です。このテーマを鮮やかに描き切った本作を、多くの読者に自信をもってお薦めします。
昨今、WEB小説において、いわゆる「ファンタジー世界」を舞台とした巨大ロボット物を見かけることが多くなりました(もちろん、『ダンバイン』などの先駆者があることは承知の上です)。興味を惹かれる作品も多々あるものの、やはり問題になるのは、「魔法」というある意味オールマイティな要素が存在する世界における、搭乗型のリアルロボットバトルの必然性という点でしょう。その処理の仕方が見事の一言です。
本作には、戦場の帰趨を決定づける存在として各国が所有する巨大人型兵器、「ゴオレム」が登場します。主人公は、「ひょんなことから」新型ゴオレムに搭乗することとなる若き兵士。お約束の展開ではありますが、この「ひょんなことから」をどのように説得力をもって描くかが作家の力量。戦闘シーンや国家間の交渉シーンも、実に「読ませる」要素が満載です。
ネタバレになるので詳しくは触れませんが、最終話まで読み切った後には長い余韻が残り、感慨深い読後感を味わうことができました。
間違いなく、「カクヨム」における傑作の一つです。