おわりに

今の気持ち

 本来の私について主治医の先生に話をしてもらって、自分の心が無理していたことを指摘されました。昨年は脳の問題についても告知されて、受け止めるのに時間がかかりました。今もちゃんと理解しているか怪しいです。


 今、過去を遡って書いてみて、思ったことを書きます。

 いじめを受けて、他人に干渉されることが嫌いになりました。友達にも家族にも、私のことを勝手に推測して干渉されることが嫌になりました。祖母が、私のことを同じ地域の人に言うのも嫌でした。私は私で、その時なりに人間関係を保とうとしていたと思います。だから、余計なことをしないでほしかったし、言わないでほしかったです。

 いちいち私のことを理解しているふりをして、家族が私に接するのも嫌でした。本当は周りの子と同じようにしてほしい。「フツウ」にしてほしいというのがすけてみえたからです。

 不登校になった理由を探していることや、学校の同級生のせいにしていることも嫌でした。だって、休んでいることに理由はないのです。学校という場所が嫌だったんです。あの学校の雰囲気や空気感が嫌だったんです。

 本当は転校させて欲しかったです。フリースクールでも通信制でもいいから、違う場所に行きたかったです。


 学校から帰るのがすこしでも遅いと「遅かったね」と声をかけられるのも嫌でした。思春期と重なったのでしょうが、遅くなったことを責められている気がしたのです。もちろん、早いときは「早かったね」と言われました。いつもと同じ時間でも言われることが面倒でした。おそらく、彼らにとっては挨拶程度のことだったのでしょう。しかし、なんだか祖父母の期待通りの自分じゃないような気がして、落ち込んでしまいました。それで、よく八つ当たりしていました。怒ることしかできなかったんです。

 言葉の使い方が下手だったなと思います。


「家族に干渉されるの嫌だ。家族が本当に苦手。でも、血の繋がった家族だから、本当には、嫌いにはなれない」

そんな自分の心の葛藤に、内心戸惑っていました。いっそ家族を嫌いになれたらと、何度も思いました。でも無理でした。だって、なんと言っても家族なんです。今まで大事に育ててくれた人達です。それに、ちゃんと伝えられない私が悪いんです。

(彼らを苦手だと思う私がおかしい)

私はずっとそう思っていました。


 ずっとそう思っていて、主治医の先生にそのことを伝えました。

「なんか、家族が苦手で。干渉されるのが嫌というか。祖母の話聞いて、母の話聞いてってそれはいいんですけど。あの、私のイメージってあるじゃないですか?それを守らなきゃって思ったら、好きには出来ないですよね。なんか、それがきつくて」

「そりゃきついよ。家族なのに、人の顔色を窺いすぎ。あなたの家族にとっても、あなたにとっても良くない。相手も大人なんだから、あなたがいなくてもどうにかするって」

「でも、ともがいないと…とか言われたら断れなくないですか!?」

「うん。でも、あなたが嫌なら断るのも大事。それが治療」

 カウンセリングの中で、私自身は悪いわけではないのだということを教えられました。それで、少しだけ心がスッとしました。

「私が実家に帰らないと、なんだか申し訳なくて」

「でも、嫌だったら帰る必要ないでしょ?あっちだって大人なんだから大丈夫だよ。あなたが心配しなくても」

「けど帰らないと、実家今はみんな他人同士の集まりみたいなものだし、帰ったが良いのかなって」

「でもそれがあなたの負担になったら、意味がないでしょ」

「はい」

 基本、こんな感じの会話を主治医の先生としています。今までの私は、人に頼られるしっかりした人間だと自分に言い聞かせて、それが出来ないと落ち込むということを繰り返していました。

しかし、出来ないのは当然だったのです。

本来の私は衝動的で、好奇心旺盛で、天真爛漫で、うっかり者なのですから。

 落ち着いているというイメージが、そもそも人や自分によって勝手につくられたものだと気付いて、気持ちが楽になりました。



 義務教育時代の、私のさまざまな気持ちをこの場を借りて、少しだけ言わせてください。

【もうやだ。ばあちゃん余計な事ばせんで。余計な事ば言わんで。私の事ば人に言わんで。頼むけん何も言わんでよ。やり返せとか、無理にきまっとろう。性格ば考えてよ。やりかえさるって決まっとるたい。

ここから逃げたい。


お母さん、なんで私ば信じてくれんと。行きたくなかって。だいたい普通ってなん?学校ってそがん大事かと?あんな中学校でも行かな、いかんと。中学校は行かんでも卒業できるたい。義務教育なんだけんさ。マジ学校なんか行くくらいなら、死んだ方がまし。生きるのも辛い。

結局田舎やけんね。すぐ広まるもんね。だけん嫌とだろ。みんなと一緒のことば普通にできん私が嫌とだろ。お母さん、私のこと、怠け病て言いよったよね。知っとるよ。覚えとるよ。泣いて怒っとったよね。申し訳なかったけど、私だって親が泣くのは辛かったよ。でも、行けんかった。体が動かんかった。行こうとするだけで涙が出てきた。手首とか腕ば切りよったとだって、知らんかったろ?私が夜に、泣きながら切りよったと、知らんかったろ?知っとっても、なんも言わんかったでしょ。

誰も私の事なんか分かってくれんて思っとった。実際そうだったかもしれん。だって、私言っとらんもん。私の気持ち。

あんころは、本当に自分が情けなくて、嫌いで、死にたかった。この世から消えたいくらいきつかった。泣いてるお母さんにも申し訳なくて、でも学校行けんで。私にもどうしたらいいか分からんかったとよ】


 方言丸出しですみません。でも、方言のほうが、感情を出しやすいんです。


 今(これを書いている時点)では比較的心も安定していて、仕事だけでなく、プライベート面でも、支えてくれた全ての人に感謝の気持ちをもち続けたい。そして、今までもらった優しさを返していけたらと思っています。


 本作を書くことで、当時の気持ちや、思っていたことを少しは整理できました。でも、この気持ちは本編の中で書くことは出来ませんでした。そのため、このような形になってしまい、分かりにくかったかもしれません。でも、ここまで読んで下さって本当にありがとうございます。

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