がーるずほりでぃ_みりゅうす☆せっしょん

★せっしょん073 先を急ぐ者たち

がーるずほりでぃ♡みりゅうす☆せっしょん

あたしが見届けた時空連続体のさざなみ

★せっしょん073　先を急ぐ者たち

Girls Holiday ♡ Mie-Lyus ☆ session

The ripples of the space-time continuum that I saw

☆session 073 Those who hurry ahead

✔　たつきの場合

　たつきの部屋に小包が届いた。

　イケメン彼氏は包みを手に取って見つめる。

　送り状品名には『明るい家族計画』と書いてある。

　この間貰ったやつが、小箱ぎっしり！

　送り状の差出人名前は、沙菜理以。

　漢字で書くとめんどくさいので、いつもは『さなりぃ』で通してる。

　正確な本名は、劉然寺白州川・沙菜理以・31156。(りゅうぜんじしらすがわ・さなりぃ)。

　最後の 31156 という数字がいったい何の事なんだか、聞いても教えてくれない女傑だ。

　着荷と同時に伝票の自動リンクが女傑本人を呼び出した。

　小包にくくり着けてあったメッセージボードが喋りだした。

　3D 画像が浮かび上がる。

　オンラインである。

　かの女傑、いきなり天空を指差してポーズを決めると一喝、

　『“ 中だし ”は絶対に推奨しない！』

　「ぅぷっ…」

　『ごめん！あたしも調べてみたが、初めにあの子が特別なのをすっかり忘れてた…』

　「え"？」

　いきなり女傑の詫びで始まるや、メッセージボードの投影機が、別ウインドウで動画を再生し始めた。

　な、何！

　『あの子に遺伝性の病気は全く無いので安心していい。』

　みりゅうすとたつきのベッドシーン!?

　メイクラブは最初から佳境だ。

　時間が無いので、要点だけ伝えようというハラか!?

　M 字型に開かれたみりゅうすのふとももの中央のきれいな花芯にそってあてがわれたたつきの堅い部分が、ゆっくり中へと沈んでいく。

　ごく、…

　切なさそうな、微かに眉をしかめてため息をもらす愛しの彼女の口元に、たつきは釘付けだ。

　彼女の顔のアップと、身体を重ねて自分の一部分を彼女の中に、優しく押し込んでゆくたつきの割れた腹筋が交互に続く。

　こ、ここ、こんな再現シーンまだ体験してない！

　唾を飲み込む。

　手に汗握るとはこの事だ。

　誰かに見られたら超ヤバい動画をなんでいきなり送ってくるかなぁ〜

　女傑の解説が丁寧に続く。

　『あの子が時空特異点である事が、たつきの精液とあの子の体細胞、とくにホルモン代謝系だな、それらと反応して予期し得ない時空共振を起こすことがわかった！…』

　何をいってるのか、まるで訳がわからない！

　カップルの二人の身体は完全に重なった。

　みりゅうすは、一つになった部分を確かめるように、りょうふとももを堅くたくましいたつきの腰に巻き付けて、顔を彼氏の肩に埋めて大きく口で息をする。

　「時空共振ってなに？…」

　『あの子の場合特別なんだ…』

　えっちして時空共振起こすんならしてみたいもんだ、って言ったらぶっ飛ばされるんだろーな、と一瞬思った。

　再現シーンは、なんと！

　つながった二人の身体の内部スキャン動画に切り替わった。

　みりゅうすの膣の一番奥まで届いているたつきの堅くなった部分の先端から、たつきの愛情とエネルギーのこもった液体が放出されて子宮に注がれていくシーンが見える＿というか合成アニメで実写どおりに再現されている。

　まさに働く細胞ごくろうさまだ。

　こんなすごい教育的レベルの高いエロビデオなんかそうそうあるもんじゃない！

　金とって売ったらすごい教材になるんじゃ？

　ご丁寧にカメラアングルが、透視スキャン視点のまま二人の重なりあった腰をゆっくりと 360 度回転しながら捉えている。

　白い液体、という色まで見える演出と、放出されるタイミングで可愛らしくあえぐみりゅうすに、たつきは、すでに自分が爆発しそうだった…

　たつきの精子細胞の受精シークエンス（らしい）解説図（動画）が出た。

　そして、みりゅうすの卵管の終端で卵胞に接近する精子細胞表面の変位とホルモンの変質解析（らしい）解説図に、いきなりたつきの見覚えのある『時空モデルのエネルギー変位モデル』（っぽい）解説図が出て、エネルギー変位グラフが『特異点表示』になったかと思うと『大きな骸骨マーク』が出て図面解説は終わった。

　『因果律の予期しえない改変が発生すると、関係者の存在が初めから無かった事にされたり、もっとひどい状態になったりする…』

　相変わらず、何をいってるのかまるで不明だ…

　かわいい…これ、オレの彼女なのに…

　ここまでやってないのに…

　勝手にこんなすごいフルアニメ動画作られて、イケメン彼氏はまた泣きそうだ…

　「…いつの間に…」

　『我が下僕達の最高の技術を見るがいい。』

　女傑はふんぞり返っている。

　『あんたら特異点カップルの３Dフル再現CGなんか訳はない！』

　みれば動画の下に制作関係者のテロップが小さく流れている。

　『多重 CG 合成：芸術文化系＿動画表現学部

　　ロジャオ・エンドラ中央マスコミ映像系専科○○ ○、

　　サイゼリア伝統映像表現専科○○ ○○、○○、…』

　○○ ○っていったい誰だよ…知らねぇよ、そんなヤツ…

　『あたしは反省している！』

　凄い、あの女傑が反省を口にしてる。

　『この間の事件を思い出せ、一発やり損ねて、むしろ命拾いしたのかもしれないんだぞ』

　“明るい家族計画くれたじゃん”というセリフも喉元まで出かかっていたが、彼は基本、紳士なので口には出さなかった。

　再現シーンは、すべて放出し終わって息をついてるたつきのアップ。

　そんなベッドシーンを撮らせた覚えは全く無い、っていうか、銀河永遠普遍の神に誓って、そんなベッドシーンをまだ体験していない。

　普段のたつきの隠し撮り動画から基本カットを抜き出して、勝手に合成したモーションにそって、補完レンダリングしたものだ。

　『しかし、お互いラブラブである事に関して支援を試みる事に関しては何らためらうものはない。』

　彼氏は、みりゅうすの花芯から堅くなってる部分を抜き放った。

　「で、これ…」

　たつきは、小包の封を切って、中身を引っ張りだして女傑の目の前にかざした。

　それを“どういうふうにして使うか”は知っていたが、まだ使った事が無いものだ。

　この間使いそこねたし…

　『今は直接、接触させないで様子を見るしかない』

　動画では、余韻に浸っている二人がお互いに相手の口に自分の口を埋めこむようにしていた。

　こんなキスしたこと無いのにぃ〜〜

　『ためらうな！』

　女傑は、メッセージボードの中でまたもや天空を指さした。

　「はっ！」

　『すべて使い倒して彼女の喜びを本物とせよ！』

✔　遥か彼方の人々の場合

　『ツォーフォア・レンミングォ行政体統治聖連邦』至高解放軍中央参謀本部。

　首都＿大師威（だいしい）陀魅区、中央官吏題街路（だみ-く、ちゅうおうかんりだいがいろ）35 丁目 128号

　ある会議室。

　「有機体先進開発機構文明環境総合大学に潜ませていた第７６情報制圧軍の探査分子が消息を絶った一件、詳細ははっきりしたのかね。」　

　至高解放軍高官 01

　「仔細は、信じ難い分析結果が届いております。」

　至高解放軍高官 02

　「ほう…」

　至高解放軍高官 01

　「特異点の誘導現象が起こったらしいのですが、その高次元座標解析で、どうにも 20 万標準紀元以上のスパンをもつ歪みが観測された、という…」

　「どういうことか、それは」

　「いや、確かに観測機器のデータは正確にお伝え出来てるのですが、どうにも予測し難い現象で…」

　至高解放軍高官 03

　「データ解析は、至高解析院に丸投げした方がよくはないか。」

　「おっしゃる通りです。中途半端な結論で至高民主制反体制分子の烙印を押されるのも、ご免ですからな。」

　「とにかく探査分子の死亡が、『攻撃をうけたもの』と断定してよいのかどうか、」

　「探査分子の存在に関して、監察官評議会本星とやっかいな問題にしない事がまず肝要だ。」

　「然り」

　「探査分子の武装の回収は進んでおるのだろうな。」

　「はぁ、」

　「どうなんだ？＿」

✔『ツォーフォア・レンミングォ行政体統治聖連邦』

　TUOWFOR・REMINGuO St GOV-UNION

　読み＿つーふぉあ・れんみんぐぉぎょうせいたいとうちせいれんぽう　

　☆民族構成：古ノ人＿　ラグミモアロ人＿　ベチット人＿　ナいぐるう人＿　ミリギューム人＿

　行政中心区：大師威（だいしい）

　居住恒星系：5

　　　　　省：1456

　種自治共和国 121

　民族自治区 238

　保護監察圏 75

　特別県 123654

　居住惑星規模艦 4　

　有機知性体至高解放軍

　（3 軍制 1,地上展開軍 2,情報制圧軍 3,次元解放軍）

　元首：行政体連合会議主席　

　人口：499 億 9800 万

　政体：有機知性体至高民主制　

　…ここもヤバい。

　果たしなく『テロ国家』に近い『テロ支援国家』。

　他の文明圏の技術資産、知的資産の侵害、ソフト、ハード問わない大規模ハッキングは国是と言われてるくらいだ。

　リバースエンジニアリングでコピーされた産業インフラだけでさえ膨大な摩擦を量産している。

　惑星規模での民族紛争なんかも結構多くて、政治的に面倒な部分は少なくない。

　監察官評議会本星と直にイザコザ起こしてるのがこの領域で４カ所ある。

　民族紛争、種族紛争がこじれにこじれまくって、亡命政権の手助けを惑星監察官がかって出ている、てのも現在７つもある。

　ま、これも仕事だし、でもそこから先はナイショ。

　【 国旗（聖連邦旗） 】

　民族紛争：6121 箇所

　経済紛争：35

　直接軍事衝突：7

　構成種族数：875（最新データ）

✔　りゃすみんの場合

　あたし、りゃすみんは、明後日には惑星監察官評議会本星へ着く。　

　お土産は何がいい？

　港でニュースを見ながら船を待つ。

　ニュースの表題をスナップさせる。

　キャスターと時事評論家っぽい人が語っている。

　恒星間国際空間政治・社会面＿『ディベッティアイレン星系、連合法主国解放闘争(れんごうほっすこくかいほうとうそう)』

　『ツォーフォア・レンミングォ行政体統治聖連邦』でもちょっと有名な領域紛争だ。

　すでに 120 標準紀元は悶着が収まってない。

　ディベッティアイレン星系は、もともと独立した恒星系連合国家だったんだけど、全方位経済支援優先政策に舵取りを変更した前の政権の時に、平和憲法制定だっていうんで、1400隻あった警護艦隊の防衛指揮権を、なんとまぁ民間企業に委譲してしまったんだね。　

　開いた口がふさがらない、とはこの事。

　恒星間国際空間政治の常識は、

　笑顔でポケットに大金、

　片手で握手、

　片手で殴る準備、これ常識。

　民間企業に委譲するスキをつかれて『ツォーフォア連邦』有機知性体至高解放軍に、政権を『解放されて』しまった訳だ。

　で、法主国亡命政権は、なんと、現在、監察官評議会本星にあるんだな。

　あたしが調べた処によれば、みりゅうすに干渉した連中が使った超超核深度大海横断催眠という奥義は、法主国の修行僧達が行うものらしい。

　みりゅうすという桁違いの反応炉の制御系を無視して、無理矢理押さえつけてるようなものだ。

　関係者を捕まえてきて落とし前をつけさせるのはそんなに遠くないだろう。

　『ツォーフォア連邦』はテロ国家なので、統治の名のもとに行われる有機体知的尊厳基本律侵害が後を絶たない。

　民族浄化や、対立文明圏虐待のきな臭い情報もプンプン臭ってる。

　テロ迎撃に平和憲法、というお花畑は論外だ。

　『話せばわかる暴力反対』のプラカードを掲げた大脳内満開花吹雪の奴らはいつの時代にもいる。

　自分の事は棚に上げて言いたい放題言うくせに、原理原則を現場を無視した上から目線で平気でわめくから、あたしは、思わず亜光速質量弾ランチャーを、背後からぶち込んでやりたくなる。

　銀河普遍の創造神に誓って、平和維持に監察官評議会のやり方で助太刀するのは願ってもないことだ。

　要請があれば、支援ミッションに出るつもり。

　その時はまた報告するね。

✔　監察官評議会本星、過去院、第一奉祝雑司（かこいん、だいいちほうしゅくぞうし）

　小さなオフィス、鬱蒼と生茂るような観葉植物。

　冕冠（べんかん）に真紅の面布と神式装束の係官が二人、目の前のレポート見出しを順に指でドラッグして、眺めてゆく。

●《みりゅうす・えれくとら・シーの経過観察＿保護支援ファイル》に関する暗在系探査小委員会による提示報告確認 287756-63321019

●深空間探査機構第 214 定例会議事録抜粋

　「時空を育む癒やしの光をこの手の中に置ける、という事ですか…」

　真紅の面布の口もとが動いた。

　「まさしく。」

　同意したのは同僚か。

　係官の手は関節がなく、長い袖から伸びる軟体動物の触手のようだ。

　皮膚は赤黒く湿っている。

　「超次元多様体生成特異点の“深淵なる響き”を誘導するためにヱキ・羅(ら)_故韻文に触らせたのは正解でしたな。」

　「禁書の『過去院探査始祖記録量子原本』を自由に紐解けるなぞ、超次元多様体生成特異点以外にありえませんからな。」

　「永久(とわ)成る力、有機知性体一切衆生の転生動乱、根源罪障の根本要因も潰えましょう…」

　「20万年の視界は魂の王を呼び醒ますものでしょうよ。」

　「善哉善哉」