第13話 鳴動8 (51~58)
家宅捜索班が、臨時的に捜査本部「出張所」が立った北見方面本部の室内に戻ると、伊坂組への捜索令状が丁度発行されたところだった。今回は顧問弁護士がいる企業相手だけに、素人相手のガサ入れよりは面倒なことになる確率が高い。ガサ入れの指揮は倉野事件主任官自身が執ることになったようだ。伊坂組関連の失踪事件も追っていた向坂がいるので、相棒の竹下、そして吉村、澤田、大場の組はこちらのガサ入れに参加することになった。
一方で家宅捜索を担当した西田達は、喜多川家から押収したブツを鑑識に届けると、現行犯逮捕の際にそのまま押収して、北見署に留置されている車について今度は調べることになっていた。ただ、車は吉村達が現行犯逮捕時に粗方調べているので、仕事は細かい部分の調査になるだろう。午後3時過ぎに倉野軍団の「出陣」を見守ると、西田達は自分達の仕事に取り掛かかるため駐車場に向かった。北見署と北見方面本部は近接しているので、時間はほとんど掛からない。
北見署の駐車場に駐められていた喜多川の車はセダンタイプの高級車だった。既にトランクやダッシュボードの中身は押収済みであるから、車に残された簡単には発見できない遺留物、具体的に言うなら、毛髪や土などの採取が主な仕事になる。特に土の採取は、喜多川が現場に行ったことの重要な証拠であるから、靴のものと同様、徹底的に調べる必要があった。車の中に何人も入れないので、4つそれぞれのドアから4人が毛髪を落とさないようにシャワーキャップを頭にしながら上半身を突っ込み、しらみつぶしに採取していくという地味な作業だ。西田はトランクに細かい遺留物がないかチェックしていた。沢井課長は外からそれを指揮監督する。
「どうだ、土は結構ありそうか?」
沢井が車のドアから計8つの脚が生えているという異様な光景を前にして、車の中を覗き込みながら聞いた。
「運転席のフロアマットには結構あります。ただ色んなところの土と混ざってると分析できるんですかね?」
黒須が胸をシートに突っ伏しているので、苦しそうな声を出しながら答えた。
「そこら辺は鑑識や科捜研に任せておけば大丈夫だ。西田の方はどうだ?」
「こっちもスコップについていただろうと思われる土が結構残ってます」
「そうか。まあスコップ自体に土も結構残っていたようだから、それはそっちだけでも十分だろう」
「シートの遺留物は徹底的にやった方がいいんですかね?」
黒須と組んでいる北見方面本部の町田刑事が沢井に問う。
「今のところ何か事件に関係する人や死体を運んだという前提がないから、西田のトランク含め、必要以上に神経質になる必要はない。ただ、念のため手抜きはしないでくれ」
「わかりました」
結局1時間以上かけて、車内やトランクの遺留物、付着した指紋を採取し、こちらも北見方面に戻った後鑑識に届けた。後は倉野達の捜索結果を待つだけであった。
※※※※※※※
倉野一行は午後4時前には伊坂組の前に到着していた。物々しくごっつい男達が自分の会社の駐車場に車を駐め、集まっている様子を訝しげに見ていた社員と思われる女性の姿が刑事側からも見えた。倉野は時計を確認すると、
「よし、じゃあ行くぞ!」
と気合の声を発し、ドカドカと事務所のドアに突進した。
「警察です! お宅の喜多川専務の今朝の飲酒運転による人身事故の件で、捜索させてもらいます!」
と令状を掲げる倉野。事務所の中が一気にざわめく。
「すみません、ちょっと責任者を呼んできます……」
と40代前後の男性社員がおどおどしながら声を上げた。
「それは構いませんが、同行させてもらいます。後、他の方はその場を動かないで!」
倉野は目配せすると部下にその男性に付いていく様に指示した。万が一に証拠を処分されないように先に手を打つ。しばらくすると、室内に年配の男性が息を切らしてやってきた。上階から降りてきたようだ。
「副社長の三田ですが、警察が捜索ですって? 出勤前に喜多川専務が逮捕されたのはこちらにも連絡が来てますが、
訝しげに確認する。こちらの責任者が誰か視線を泳がせながら見極めようとしているようだったので、倉野は、
「私が今回の捜索責任者の北見方面本部刑事部捜査一課長(事件主任官は捜査本部内での役割)倉野です」
と警察手帳を見せた。すると三田は名刺を取り出して渡し、
「それで、具体的に何を調べるんですか?」
と質問した。倉野はもう一度令状を見せながら、
「専務が飲酒運転を常習的に行っていた可能性がありますので、私物、勤務状況、健康状態のチェックをさせていただきたいと思い、物品、書類等を押収させていただきます」
と回答した。
「いやあ喜多川専務が日常的に飲酒運転していたとはにわかには信じられませんよ。彼は一度飲酒運転で罰金食らって以来、かなり気を付けていたと、私に話してくれたことがありますから……」
不満そうな口調の三田。
「いや、それは警察が調べることですので。とにかく捜索させてもらいますから。ところで副社長さんでいいんですか? 立会いしてもらうのは。社長さんはいらっしゃらない?」
「社長は今外出中ですので、そういうことなら私が立ち会います」
倉野は伊坂組についてある程度情報を持っておくため、現社長の顔や態度も見ておきたかったが、そういうことならば仕方ない。
「そうですか。じゃあ立会いお願いします。ところで三田さんは最近の専務について何か変わったことは聞いてませんか?」
「変わったことですか? 最近高血圧で病院に通ってるとか言う話で、来るのが遅かったりしてたようですが……。それぐらいですかね」
「そうですか」
倉野は、三田が喜多川の動きをどの程度把握しているかについて探りを入れてみたのだ。会社の役員が遅刻を繰り返すとなると、ひょっとしたら会社も喜多川が何をやっているかわかっていたのではないかと、8年前の失踪事件の絡みでふいに思ったからだ。直後、
「あ、それから弁護士さん呼んでもいいですよね?」
と、三田は予測どおり顧問弁護士の立会い代理を要求してきたが、これは想定内の事案だった。それどころか松田弁護士が今日網走に出張しており、緊急に引き返してきても1時間以上はかかることは、既に午前中の段階で捜査本部は把握していた。それも迷った挙句に本日ガサ入れを仕掛けた隠れた理由になっていた。弁護士が立会うと、捜索や押収において、令状を厳密に解釈し、制約される方向にもっていかれる可能性が高いからだ。
「ええ、お好きにどうぞ」
倉野は至って冷静に言い放ち、
「それじゃあ案内してください」
と続けた。
「じゃあこちらです……。藤本君、役員室に案内してあげて」
と三田は女子社員を指名すると、ダンボールを抱えた捜査員と三田、倉野がその後を追った。
その様子を見ながら、竹下と向坂、吉村と高木、澤田と相棒の庄司、大場と相棒の重田は地味に「別」の捜索活動を始めた。捜索令状には直接載っていない対象物の捜索である。当然、グレー、いやほぼ黒の捜査活動であるから、弁護士が来る前に色々と済ませておきたいところだ。
その第一の目的は家宅捜索では出てこなかったカメラである。喜多川がまだ所持している可能性もあったが、既に情報として、部下にカメラを譲渡しようとしていたという話が入ってきたこともあり、そちらの線でも捜索しておく必要があったからである。勿論、私物から押収できれば無駄になるが、弁護士が立会いにやってくるまでの時間を考えると、分担しておくことが重要だったからだ。他にも車に積んであったスコップが伊坂組のものであったため、遺体を掘り出そうとした際に他の工具を使った可能性を考慮し、それが伊坂組に戻されているかどうかをチェックする必要もあった。ただ、その点についてはかなり詳しく調べないとわからない部分が多いので、短時間の間に見極めるのは、相当難しいことはわかりきっていたが……。
ベテラン刑事の向坂が近くにいた社員に、大きな声でまず聞いた。
「仕事中申し訳ないんだけど、喜多川専務の部下ってどの部署の社員にあたるの?」
「え?部下といいましても、役員ですから直接の部下となると役員秘書になりますが、そうじゃないなら専務は資材関係の最高責任者ですから、資材調達・管理部の社員ということになるんでしょうか……」
「なるほど。それはここのフロアにあるの?」
「いえ、3階ですが……」
「行けばわかる?」
「はい」
それを聞き出すと、急ぎ足で竹下を連れて3階へ向かう。伊坂組に勤務していた交番勤務の警察官の妻からの情報で、喜多川が誰にカメラを譲渡しようとしていたかも、既に捜査本部は把握していた。だが、いきなり踏み込むと警察に内部情報が漏れていることがバレ、妻の立場が悪くなる可能性があったため、偶然カメラの情報を知ったように装いつつ、もし譲渡されていれば確保しようというのが筋書きである。残りの4人を率いる北見方面本部組の高木は、同様に工具置き場を聞き出し、社員に案内するように言うと、裏にある倉庫に向かった。
※※※※※※※
「すみません警察ですが、よろしいですかね?」
向坂は資材調達・関係部の部屋に入ると、手帳を出しながら、大声を上げて室内に居た社員の注目を集めた。既に警察が飲酒運転の件でガサ入れに入ったことは伝わっているらしく、特に驚いた様子は見えない。
「部長の松岡ですが、なんでしょうか?」
と窓際にある立派な机に座っていた男性が即座に応答した。
「松岡部長さん?ですか。私が向坂、こっちが竹下と言います。お忙しいところすいませんねえ。専務についてちょっと社員の方にお聞きしたいことがありまして……」
そう言いながら、二人はメガネ姿の部長の元に近づいた。
「あれ、なんか人事部の方に行ったとか言う話を聞いてましたが、こっちにも用事があるんですか?」
「ええ、最近の喜多川さんの様子を聞きたくて」
「そうですか、わかる範囲で協力させてもらいますよ」
松岡は冷静に告げた。
「ついでにですけど、ここにいる社員の皆さんにも聞きますけど、いいですね?」
「私は構いませんが……義務ですか?」
なかなか痛いところを突いてきたので、向坂は顔にこそ出さなかったが、内心やりづらいなと感じていた。
「まあ拒否は出来ますが、色々ややこしいことに後からなるかもしれません」
向坂の発言は警察の常套句だ。警察というお上に弱く、法的知識のない一般市民相手にはこれで十分通用するのが日本社会である。弁護士もいない今のうちにこの手の話は進めておくに限る。
「わかりました。みんなもそういうことだから、ちゃんと答えなさい」
松岡は部下に呼びかけた。
「それじゃあ皆さん、お忙しいところすいませんがよろしく!」
振り返った竹下が社員の顔を観察しながら声を張った。
「じゃあまず、専務の最近の健康状態に何か問題がありそうだと思っていた方は?」
向坂の質問に社員は顔を見合わせながら答えにくそうにしていた。それを見た部長は、
「なんか高血圧とかの問題で医者に通っているような話をされてましたが」
と代弁した。
「顔色悪かったですか?」
「いえ、特には……」
「そうですか」
向坂にとってみれば、少なくとも最近の病院通いはカモフラージュであることは承知済みであったが、あくまで段取りである。
「あと、会社で酒を飲んだりすることはなかったですかね?」
今度は竹下が問いかけた。さすがにこれには多くの社員が
「それはさすがにないですね」
と同様のことを小声で回答した。松岡も、
「ホントにそういうことはなかったですよ。酒もそんなに好きだったとは思えません。私も個人的なつきあいはさほどなかったんで、実情はよくわからんのですけど」
と否定した。
「そうですか……。ただこっちも色々調べてるんでね。会社に酒なんか持ち込んでいたら、常習的に飲酒運転していたなんてことがあるかもしれんので、きちんと調べないといけないんですわ。専務から酒とかもらったことがある人はいませんかね?」
向坂がいよいよ仕掛け始めた。勿論これは実際にそんな人物がいようがいまいがどうでもいいことだ。特に社員達の反応はない。
「じゃあ、最近専務に他に何かもらったことのある人はいませんか?」
「他にと申しますと?」
松岡が向坂に聞いた。
「ええ、実際問題として専務は今犯罪を犯して逮捕されてますから、そういう人から何か貰っていて、そのことを隠していると、場合によっては後から色々と面倒なことになるんです。早いうちに言ってもらえると、こっちも助かるんですがねぇ」
向坂の言い分は明らかに論理の飛躍があったが、ここでカメラの窃盗についての具体的な話をしてしまうと、今回の許可されたガサ入れの対象外の件での押収ととられる可能性があるので、これまた弁護士に突っ込まれることを避けるため、相手に自発の提出をさせる程度にしておきたかったからだ。
すると壁際に居た30代前後の男性社員がおそるおそる手を挙げた。向坂と竹下はそれを見るや否や、静かに且つすばやく、その社員のそばに行くと、
「ちょっと部屋の外でお話うかがいましょうか?」
と小声で促した。
部屋の外の廊下に出ると、その社員は平尾と名乗った。向坂達が持っていた情報の人物と一致した。
「すみません……。私1ヶ月ぐらい前に専務からカメラをいただいたんですよ。私は趣味がバードウォッチングなものですから、仕事の終わりに同僚と雑談で、カメラでの撮影もしたいみたいな話をしていたら、横から専務が『丁度良いカメラがあるから』ということになりまして」
「ほう。これは丁度いい話が舞い込んだ」
向坂はしらじらしく言った。
「ただ、これは飲酒運転とは何の関係もないですよね?」
平尾の言っていることは紛れもない正論であった。
「いやそうでもないですよ。実はね、そのカメラは元々専務のもんじゃないと思いますよ」
「ええ、なんだか『親類に貰ったもんだが、俺には必要ないからやる』みたいなことを言ってましたから、私もそういう認識で貰ったんですが……」
「それいつ貰いました?」
「正確な日付は覚えてませんが、6月の中旬ぐらいだったように思います」
「ああ、なら間違いない」
竹下は向坂の話に、半分呆れながらもどう切り抜けるか楽しみだった。自分ならまずこういうだましの手法を採りたくないし、同時に採る才能もないからだ。
「逮捕の後、専務の家族からちょっと事情を聴取したところですね……。6月の上旬ぐらいですか、車で夜出かけたそうなんですよ。それで夜中に帰ってきて、朝起きたら、高そうなカメラを持って帰ってきていたそうなんですよ。奥さんが問いただしても酔っていたらしく要領を得ない。どうも飲んだ相手と仲良くなって、その人が持っていたカメラを貰ったのか、はずみで持ってきたかしてしまったらしいんですね。奥さんは返してくるように言ったんですが、専務はどうも返す相手がよくわからないから、あなたにあげてうやむやにしようとしたんじゃないんですかね」
「え?」
平尾は明らかに困惑した顔つきになった。
「それで、酒に酔った相手にカメラを貰ったか、或いは勝手に持って帰って来たとなると、もしかすると相手は盗まれたという認識でいて、警察に届けているかもしれない。当然専務には盗む意図……、つまり故意ですが、酒に酔っていたとなるとそれはないだろうから、故意無くして窃盗罪はおそらく適用はされないんですが、その相手の人の証言が得られたら、新たな飲酒運転の証言を得られるかもしれない。だから盗まれたと届出があったカメラと調べてみて、一致した人物にこっちは事情聴取したいんですよ。協力してもらえますかね」
向坂は、更なる飲酒運転の検挙に必要だと言う理由を構築して、平尾を説得しようとしていた。
「それなら、当然協力させてもらいますけど、カメラを貰ったことで、私は何か罪に問われたりすることはないですよね?」
困惑したように言う平尾は、既に向坂の術中にはまっていた。
「ええ、あなたはその出所を知らなかったわけですから問題ないですよ」
「そうですか、それは安心しました。で、あなた方に渡せばいいんですか?」
「そうしていただけると幸いですね。因みにご自宅は近いんですか?」
「はい、ここから車で10分ぐらいかな……」
「ああ、じゃあ丁度良かった。部長さんに許可を私たちが貰いますから、すぐカメラをとってきてください。家にあるんですよね?」
「ええ」
「じゃあすぐお願いします。あとこの件は捜査情報含んでますんで、口外は一切しないでください」
向坂は、この最後の部分をやけに強調した。
「わかりました」
平尾はそう言うと、階段を駆け下りて行った。向坂はその後姿を見送りつつ
「よしっ」
と一言呟くと、室内に戻り、様子を窺っていた松岡部長に、
「平尾さんから話聞きましたけど、別に大したことじゃなかったです。ただ、ちょっとこちらとしても確認しておきたいことがあるんで、家に戻ってとってきてもらうことにしましたから、30分から1時間程度職場を離れること許可してあげて下さい」
と伝えた。
「そうですか。平尾の件についてはわかりました。で、他には何か?」
「いやあ、取り敢えず聞くべきことは聞いたんで。お時間とらせてすいませんでしたね」
と言うと、竹下の腰をポンと手で押し、他の社員達に軽くお辞儀をしながら部屋を後にした。
「カメラはやっぱり部下にやっていましたか。とにかくあって助かりました」
廊下に出ると、すぐ竹下は向坂に話しかけた。
「ああ、処分してなかったようだ。助かった。実物は見てないからよくわからんが、マニアが撮影に使うようなカメラなら高いから、捨てるよりは知り合いにやっておく方を採ったのかもしれんな。売ると足がつくのは素人でもわかるだろうし」
「それにしても上手いこと飲酒運転に結びつけた上に、任意に持っていきましたね」
「まあな。かなり強引だけどな」
向坂はそう言いながらも、してやったりという顔つきをしていた。竹下からしてみると、褒めただけではなく、多少皮肉もこめていたのだが、向坂は気付いていないようだった。
「じゃあ主任官に状況説明してきますよ。今頃カメラについても必死に調べてるでしょうし」
竹下はそう言うと役員室に向かった。
※※※※※※※
工具置き場に案内された高木率いる6人は、その数や種類の多さに圧倒されていた。
「これは喜多川が使っていたものがあったとしても、特定は無理ですよ」
吉村は高木に耳打ちした。
「うーん」
と高木も唸るだけだった。澤田はツルハシの所に行って眺めていた。ツルハシと言えば、単に喜多川が今回穴を掘るのに使ったかもしれないというだけでなく、3年前の米田の殺害に凶器として使用された可能性もある。もしそれがこの中に残っていた場合には、血痕の採取は既に不可能でも、頭蓋骨に残された傷と先端部分が一致する可能性はある。そういう意味では出来ればサンプルとして持ち帰りたいところだが、全部同じに見えて、微妙に違っているようにも見え、選別するのはまず不可能だろう。かと言って全部持ち帰るのは、飲酒運転の捜索令状では無理がある。
「ダメですね。本件での捜索なら全部持って帰って、土から調べられますが」
澤田はそう高木に報告した。
「わかった。仕方ない。こっちは今日の所は成果なしということだ」
ある程度は想定していたことだったので、ショックはないが、本件での捜索令状が許可される前に処分される可能性がある。それを考えると焦りもあった。
※※※※※※※
竹下は倉野達が捜索している役員室に入った。慌しく机やキャビネットを開けて、捜査員が色々めくって調べたり、ダンボールに押収している最中だった。秘書と見られる若い女性が不安そうにそれを見ている。腕を組んで捜査を黙って見ている倉野に
「主任官、カメラは部下が持ってました。これから回収します」
とさりげなく耳打ちすると、
「よしよし」
と表情を変えずに口だけ動かす。
「こっちはどうですか?」
と、竹下が問うと、
「ここ1年ぐらいの情報はあるみたいだけど、それ以前は残ってないようだ。残念ながら」
と答えた。
「そうなると、今回の件だけですね」
「そういうことになるな。あと健康状態だが、実際に高血圧は多少あるみたいだな。人間ドックでも指摘されてるらしい」
「それで病院通いはしてない?」
「いや、昨年はちゃんと通っていたこともあるようだな。一時期よりは良くなったのでやめたようだ。今年については健保組合の方のデータは既に持ってるから、通ってないのは明らかだから」
倉野はそう言うと、一言二言指示を出し、
「ところで、高木達の方はどうなってる?」
と確認してきた。
「いやそっちはわかりません」
竹下が言い終わるか終わらないかのうちに、高木が急いで入ってきた。
「だめですね。数がありすぎて、どうにもなりません。スコップもツルハシも」
多少息は荒かったが、絞りだすように言った。
「わかった。仕方ない。とにかくカメラだけは弁護士が来る前に確保してくれ。それが今日のメインイベントだ。頼むぞ」
相変わらず表情一つ変えず、視線も合わせず倉野はそう言った。
竹下は倉野に連絡を終え向坂の元に戻ると、
「あっちも順調そうでした。工具類はダメです」
と状況を説明した。
「そうか。とにかくこっちはカメラだ。時間的にはまだ35分程度だから弁護士が来る前に確保できると思うが……」
と時計を見た。
「駐車場のところで待っていましょうか?」
竹下の提案に頷く向坂。二人は階段を降り、1階の事務室を抜けて駐車場に出た。高木達も外に出ていた。
「カメラの件ですか? どれくらい待ちます?」
高木が向坂に尋ねた。
「結構ここから近いらしいから、そんなに掛からないと思う」
と答えた。誰彼問わず、落ち着かない様子でタバコを取り出し火をつける。タバコを吸わない大場は貧乏ゆすりをしていた。先ほどまで晴れていた空は、いつの間にか、やや曇天模様になりつつあった。やや湿度も感じる。夜には雨になるかもしれない。竹下はそう思った。
平尾の到着は竹下が考えていたより遅くなっていた。待たされる方は基本的に尚更そう感じるが、実際予想していた時刻は既に過ぎている。
「もう5時になりそうか」
向坂は時計を見ると、そう呟いた。
「遅いな……」
高木も舌打ちする。
「入ったのが4時。まだ大丈夫ですよ」
竹下は通りの向こうを凝視したまま言った。そして、向坂が再び時計に目をやり、顔をあげると、駐車場に車が入ってきた。フロントガラスには確かに平尾の顔が確認できた。
「間に合ったな」
向坂の一言を合図にしたかのように、8人の刑事が駐車しようとバックしている車に、餌に群がる魚のように集まって行った。平尾はドアを開けて出てくるや否や、8人の刑事に囲まれて、明らかに怯えた様子に見えた。
「どうも。カメラどれです?」
余計なことを挟まず、直球で向坂が聞くと、
「遅れて済みません。これです」
と言いながら、ショルダーバッグからケースごとカメラを取り出した。
「あ、ちょっと待ってください」
向坂はそう言って、白い手袋をはめると、ケースからカメラを取り出した。そしてすぐに型番を調べる。
「Cの321H。符号してるな?」
確認された竹下は、
「合ってます」
と短く言った。それを聞くと、
「平尾さん、申し訳ないんですが、あなたの指紋を取らせてもらえますか? 本来の持ち主の指紋がついているか確認したいんですけど、おそらくあなたの指紋もついているので、除外したいんですよ」
と続けた。
「それは別に良いですけど……。本当に大丈夫ですよね?」
と平尾は心配そうに言った。
「それは大丈夫です。そうそう、このカメラにフィルム入ってませんでしたか?」
と、思い出したように向坂は平尾に質問した。
「いや、専務に貰った時にはフィルムは入ってませんでしたよ」
平尾は即答した。それを聞いた上と、車のボンネットの上で、台紙に平尾の10本の指紋、掌紋をしっかり採取した。
「おかげで助かりましたよ。今の所平尾さんにはこれ以上聞くことはないんで。それから、カメラについてはこちらで完全に預からせてもらう形になります。おそらくですが、平尾さんの手元には戻らないと思いますけど、ここにサインしてもらえますかね」
向坂はそう言うと、証拠の任意提出の書類に平尾のサインを書いてもらった。そしてそれが終わると平尾の腰をポンと手で押し、ある意味すぐにこの場を離れるように急かした。そして平尾が伊坂組の社屋に入っていくのを見届けた後、もう一度カメラをチェックした。
「これに吉見の指紋がついていれば、ほぼ確定ですね」
高木がそれを見ながら嬉しそうに言った。
「いや、まだ完璧じゃない。どこかで落ちていたのを拾ったという言い訳もできる。ただ喜多川の靴から現場の土が出れば、言い逃れはできんだろう。それにしてもフィルムは平尾に渡された時点でカメラからは取り出されていたようだな。喜多川が抜き取ったんだろう。まあいい。このカメラがあれば、最低でも事故で死んだ吉見からカメラを奪った、占有離脱物横領で引っ張れる。そこからなんとでもなるさ」
向坂は伊坂組の社屋の方にカメラを向けると、ファインダーをのぞきこみながら、撮る真似をした。その行為に竹下は、喜多川だけでなく、その目線の先には8年前の事件での伊坂組の関与に照準を定めたいと思っている向坂の強い意志を感じた。
そして午後5時前には、役員室の捜索・押収も完了し、松田が到着する前に、全てを無事に終えることが出来た。カメラも無事押収出来たため、家宅捜索としてはほぼ満点の成果を挙げることができた。残念なのは工具関係の特定・押収が出来なかったことだが、これについてはある程度想定していたことでもあり、落胆するようなことではなかった。それ以上にカメラを押さえることが出来たことが大きかった。これについては重要性は勿論、押収できる確率は、必ずしも高いとは事前に思っていなかったからだ。倉野は伊坂組から立ち去る際、見送りに出た副社長に、
「今回はお会いできませんでしたが、弁護士さんによろしくお伝えください」
と勝利宣言とも取れる言葉を残した。副社長の顔は引きつっていたが、倉野の偽らざる気持ちがそうさせた。
※※※※※※※
北見方面本部に戻ると、向坂と竹下は急いでカメラを鑑識に持っていった。伊坂組を出発した時点で、吉見の遺体から採取した指紋と、今朝逮捕した後に採った喜多川の指紋を鑑識に用意しておくように言っておいたので、後は平尾の指紋を提出し、カメラに残っている指紋と比較するだけだ。勿論そこからすぐに識別できるかどうかは、また別の話ではあるが。
丁寧に指紋を調べる北見方面本部・刑事部・鑑識課主任、柴田の作業を見守る向坂と竹下。しかし、作業をひとまず終えた柴田から出た最初の一言は、予期せぬ言葉だった。
「困ったな。はっきりしたことはわからないが、少なくとも吉見ってガイシャの指紋は見当たらないね」
「ええ! どっかに残ってないのか?」
向坂が飛び掛らんばかりの勢いで柴田に迫りながら尋ねた。
「うーん、フィルムを入れるところもよく触るところだから調べてみたけど、吉見の指紋は確実にない。残っているのは吉見の蹄状紋ではなく、渦状紋しかない。喜多川と平尾は渦状紋だから、おそらくそいつらの両方か平尾単独のモノだろう。少なくとも平尾の指紋がついてないということは、状況から見てあり得ないからな。それにしても、もしこれが吉見の盗られたカメラだとすれば、多分、北川か平尾のどちらかがカメラを一度綺麗に拭き取ってるんじゃないだろうか? とにかく、指紋が誰のモノかは今から調べてみるけどさ」
※※※※※※※
指紋が個人特定の材料として有力な証拠であることは、周知の通りだが、大きく分けて3種類ある。円形または渦巻状の線で構成されている「渦状紋」、右、もしくは左どちらかの方向に蹄の形をして流れている「蹄状紋」、弓やりになった線のみで構成されている「弓状紋」の3つである。日本人の多くが、渦状紋、蹄状紋であり、弓状紋は10%以下だと言われている。
※※※※※※※
「それじゃあ困るんだよ。吉見の指紋が出てこないと。カメラの型番が一致してるだけじゃ弱いんだ!」
「向坂さん、少なくとも下足痕の一致する靴は押収してますし、その底に付着している土が現場と同じ成分なら、カメラは喜多川が持っていたことは平尾が証言出来ますから。吉見のカメラの型番、Nシステムの記録とそれらの状況証拠から、喜多川が吉見からカメラ盗ったことは証明できると思いますよ」
竹下は、そう言うと興奮気味の向坂を諌めた。
「それはそうだろうが、少なくともこのカメラが吉見本人のモノだと確定出来れば、追い詰めるのに相当有利になるんだから……。型番が一致するだけだと、言い逃れの材料が増える」
向坂の言っていることは一理あるが、おそらく喜多川は、カメラについてはどこかで拾ったという言い訳に徹するだろうし、勿論そんな言い訳はこちらには通用しないから、再逮捕には全く問題ないと竹下は考えていた。
しかし、そんなやりとりを聞いていないかのように、我関せずとカメラを色んな角度から更に調べていた柴田は、
「そうかそうか……。うっかりしてたが、カメラはレンズと分離するんだったな。そこは案外盲点かもしれん」
と呟くと、カメラ本体の前面にあるボタンを押しながらレンズを回転し、カメラ本体から外した。いつの間にか二人も黙って柴田の行動を注視していた。しばらくアルミ粉末を刷毛で振って指紋を調べていた柴田の動きが止まった。すると、
「おっと、出た出た! 蹄状紋。ほらこれ! やっぱりここまでは拭いてなかったか。綺麗にするために拭いていたのか、指紋を意図的に消すために拭いたのかしらんが、もし意図的だとすれば、ここまで頭が回らなかったんだろうな」
柴田が、取り外したレンズの、カメラ本体との接合部分にあたる金属のふちを指し、一人満足そうに言った。しかしそれだけでは二人には蹄状であるかどうか判断しかねる、部分的な指紋でしかなかった。警察官や刑事も指紋についての知識はあるのだが、さすがに鑑識レベルの鑑定能力はない。特に部分的な指紋の判断は年季のいる技術である。指している箇所を覗き込むように凝視している二人の様子を見ながら、
「とにかく、この先は慎重に鑑定しないといけないから、今日中にはちゃんとした結果出すのは不可能だわ。事件の概要を聞く限りは、ガイシャのもんだとは思うが、まだ断定は無理。後から連絡するから、戻っていいよ。多分明日にはスコップと一緒になんとか結果出せるとは思うけど。マル被の車の方から出た指紋については、前(前歴)とか何かの事件と関係のあるものが出てこないか、さっき自動指紋識別システムに入れてみたが、特にヒットするようなものはなかったな。これは後で正確に報告書書いとくから。靴の方は既に下足痕の一致を確認した上で、土の成分調べるためにさっき科捜研に送ってある。そうそう、スコップに付着していた土も一緒にな。こっちは数日掛かると思う。車の指紋以外の遺留物なんかも同様だ」
と柴田は2人に伝えた。
「よし、わかった。そういうことなら退散することにしよう。良い連絡を待ってる!」
向坂は、吉見のものであるだろう指紋が発見されたので、少し安心したような素振りを見せ、そう言い残すと、竹下と共に鑑識係の部屋を後にした。
捜査員達が臨時に捜査本部「別館」として集まっている、北見方面本部の第三会議室に向坂と竹下が戻ると、既に捜査からあがって、一休みしていた西田が早速話しかけてきた。
「カメラから吉見の指紋でましたか?」
「それらしきものはなんとか見つかったが、まだ断定はできないとさ」
向坂は残念そうに言ったが、可能性は高いと推測していたので、表情は明るかった。それを察したか、西田も、
「まあ大丈夫でしょう」
と言った。
「ところで、西田係長、下足痕は鑑識の方でも一致確認出来たみたいですね」
と竹下が二人の会話に入った。
「ああ、さっき聞いた。土はやっぱり科捜研で調べてもらう必要があるみたいだな。まあ仕方ないっちゃあ仕方ない。後は『果報は寝て待て』という心境だ」
西田は笑いながら言った。しかし、すぐに真顔になると、
「とにかく、カメラが見つかって本当に良かった。一ヶ月近く前にはまだ存在していたと思ってたけど、その後処分されたんじゃないかと気が気じゃなかった。フィルムはなかったみたいだが、それについてはある程度は想定してたからな」
と言った。
「この事件を最初から追ってる遠軽のメンバーからすると、カメラの行方の意味は、応援に来た俺らが感じている以上のものがあるんだな」
と向坂がしみじみと言った。そして、
「そういう意味じゃ、俺の余計な一言が喜多川を刺激しなくて本当に良かった。若干気になっていたんだ」
と続けた。
「どういう意味ですか? 向坂さんと竹下が聞き込みの時点で喜多川と対面していたのは知ってますが」
西田が聞いた。
「ああ、あの『なんで専務が応対したんだ』みたいなことを、聞き込みに行った時に、直接言った話のことですか?」
と竹下がフォローした。
「それ……。まさかあの時、喜多川が今回の事件のマル被になるとは思わなかったからな……。俺は8年前の失踪事件の絡みで、喜多川本人の関与とかではなく、ただ使いっぱしり的に探りに来たのかと思ったら、この有様だ。おまけに8年前の事件にすら関係している可能性が出てきたんだから、場合によってはもっと大きな失態になるところだった」
向坂の話を聞いても、腑に落ちない西田に竹下が、
「係長。喜多川に聞き込んだ時に、向坂さんが伊坂組の例の失踪事件を念頭に、『専務がわざわざ聞き込みに応対するなんて、やっぱり先代の伊坂社長や伊坂組が関与している疑いがある』みたいなニュアンスの話を振ったんですよ。いや、そう喜多川が取ったかどうかはわかりませんけどね。しかしもしそういう意味で理解したとすれば、吉見や米田の殺人の件で警察の手が迫っていると勘違いした奴が、色々隠滅行為をしても不思議じゃなかったって話ですよ。少なくともその発言の前までの余裕綽々の態度から見て、警察が迫っていると感じていた節はなかったですが、あの言葉によって違う心証を持ったかもしれない。正直、俺も喜多川がマル秘になったと聞いたときには、向坂さんには言わなかったですけど、ちょっと嫌な予感がしたんですが、杞憂に終わって良かった」
と説明した。それを受けて、
「なるほど……。そんなことがあったんだ。申し訳ないが、もしそれが理由でカメラや靴が処分されていたら、俺は向坂さんを許しませんでしたよ」
と、西田は殴る真似をして笑った。しかしそう笑っていられるのも、結果的に喜多川が証拠隠滅をしなかったからこそであった。
「しかしカメラについては、どうも吉見の死からそんなに経たない間に譲られた可能性が高いから、ある意味良かったと」
と続けた西田。
「平尾がもらったのが良かったって?またどうして」
向坂が問いただした。
「実際はどうだかわかりませんが、証拠隠滅という意味ではなく、邪魔という意味で喜多川はカメラの扱いに困ってたんじゃないですか? 少なくともカメラについての興味は全くなかったようですし。かと言って、売るのも足が付くことぐらいは考えていたでしょうから。となると捨てるか、高そうだから、欲しい誰かにやるか。その平尾って人が貰わなかったら、捨てられていたかもしれない。そうなるとこっちはゴミ漁りするハメになったかもしれないですよ」
「なるほど。そういう意味では平尾が貰っておいてくれて助かったってことかもしれんな」
向坂はそう言うと、胸ポケットからタバコを取り出し火を付け、美味そうに一服した。西田も竹下もそれを見て、無意識にタバコを取り出したのは言うまでもなかった。
その後、1度目のガサ入れが無事済んだこともあり、全体的な成果の確認をするための捜査会議が午後8時から開かれ、押収したブツの中身や鑑定状況についての経過報告がなされた。各捜索担当ごとの押収証拠物件の情報は、会議の前から捜査員達にほぼ共有されていたこともあり、お互いに目新しい情報はなかったが、靴とカメラのそれぞれの任意提出までのやり口は、他の捜査員達からも絶賛されるものだった。勿論、刑事事件の手続きの原則を踏まえれば、到底正当なやり方ではなく、ただのグレーゾーンでしかなかったのだが、刑事に要求されるのはスマートな方法ではなく、犯人の検挙なのだという「常識」がそうさせたことは言うまでもなかろう。
本格的な喜多川の取調べのための捜査方針の設定は、刑事達の今日一日の疲労も考慮し、翌日の昼前から行われることになった。おそらく明日の午前中には、北見署交通課は喜多川を、飲酒運転と業務上過失傷害で釧路検察庁北見支部に送致するだろう。事件的にも喜多川が争う点はないようで、取調べも順調らしく、ここまではスムーズに行くと思われる。弁護士も争うより素直に認めたほうが良いとアドバイスした可能性が高い。人身事故も飲酒度合いも軽度だから、反省すれば執行猶予は当然付く内容だからだ。
そして送致後、24時間以内と言わず、かなり早い段階で喜多川の勾留請求が検察官より釧路地裁北見支部になされ、それもあっさりと認められるはずだ。そしてそこからが、「本件」事案としての捜査本部の取調べの始まりになる。
しかし、仮に取り調べが難航したとしても、今回の別件逮捕による家宅捜索で任意提出を受けた証拠物件を以って、おそらく裁判所により、少なくとも一連の本件事案の一つと言って良い、カメラの窃盗(吉見がその時点で生きていた場合)もしくは横領(吉見が死亡していた場合)という最低限の逮捕罪状が認められるだけの客観的事実は揃っていると思われた。だが、しばらくは別件担当の所轄である北見署での居候的な取調べとなるはずで、出来るだけ早い段階で本件事案での逮捕をし、遠軽署での取調べに移行したいと言うのが、西田の本音であった。
また、後から裁判になった場合にも、別件での長期取調べは、その証拠能力を否定される可能性が出てくる恐れがあり、それも避ける必要があった。
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