第3話 ベルレベル
三 ベルレベル
「だいぶ化けたなあ。あはははは。」
「まだ薄暗いからな。明けて鳥も目覚めれば、だな。空を見上げてみるといい。さ、どうぞ。鍵は持っているだろう。」
着いた場所は、管理室前の高床式住居だった。
僕は、床に座り
振り子時計塔で渡された木のブロックから
足掛かりになるのではと冊子を広げてみようかと思ったが、太陽の下でと言われたのを思い出し、我慢した。
大の字に寝転がり、透明の箱に何を入れれば良いか、暫く考え、あの建物での出来事を思い出していた。
少し休み、目を閉じていると、朝日が差し込んできた。
/
ザバッ・・ザバッ・・
僕は、眠っていたのだろうか?
鳥がパターン、パターンと響き渡る音と共に、勢い良くバタバタと羽をはたたき、鳴きながら鳥が飛んで行く音で目を覚ました。
窓から空を見上げると何色もの
音は、円形の僕が来た建物から聞こえる。
水路林は、まだ三本残っているし、今日行われる髪結い茶人の会もいつ何処でなのか。
行司さんと走り、落語や、
さまざまな情報が、頭の中で交差して、まだパズルは半分以上も完成していない。
荷物をまとめると、
//
「おはようございます。」
ブザーは鳴らさず、戸をドンドン叩き、何度も声を掛けた。
「はーい、はーい。こちらですよ。」
トンボ眼鏡のおばさんが、タオルを肩に掛け、顔を拭いながら歩いて来た。
「ご出発ですか?」
「いや、あの、、、、。」
何を聞けばいいのか忘れてしまった。
「顔をお洗いになられるなら、水路横、竹小屋がございますので、あちらでどうぞ。」
きっちりと切り揃えられた竹小屋には、洗い
洗い
僕は、その
それは土臭い山の味がした。
そして、山のおじさんのタオルで顔を拭うと、身なりを整えて、外へ出た。
おばさんは、
「一泊二千五百円ね。」
と言ってハガキにスタンプを押し、僕に渡した。
二千五百円ちょうど払い、ハガキを見ると、あの
「さぁさぁ、お支度出来ました。皆様召し上がってますよ。いってらっしゃい。円形広場はご存じでしょう。林を抜け、丘の上、丸い建物がございます。」
僕は、鍵を渡し、最初に
朝日が
次ぎから次ぎへ、人が建物裏から歩いて来る。
中では、数名が忙しく
円形建物横には水路があり、水車があったのだ。
円形建物の窓へ向かうと、
「
薫り高い湧き水のごとく、貴重なお味ですよ。」
と言って
そして、にっこり笑って力こぶを見せ
「かっぱの小ざるにかっぱ箸、かっぱ盆には、蕎麦が合う。」と、
良く見ると、頭にはかっぱの面をちょこんと被った男の人。
「
はっはっはっと笑うと
「蕎麦湯は、やかんにご用意あります。
あちらで腰掛けて、お召し上がりを。」
円形広場には長イスが沢山並び、あの絵イスもあった。
蕎麦は、爽やかで気分もすっきりする。
蕎麦湯も次ぎからへ次ぎへと注がれて、僕はさっと飲み、
その
あと二本。
僕が気付かずあるとすれば、、、
すると、残りは
円形広場は丘になっており、絵イスの先に僕が見た落語を演っていたと思われる箱がある。
そして、あの落語を演じていた箱の中に進み、消え行ってしまう人達もいたのだ。
光が反射して、箱の先が良く見えないが、大勢の人が溢れている。
その中に一人、とても大きな背丈の人が僕の前を通り過ぎた。
僕は、追ってみるが、やはり箱の中に消えて行った。
゜。゜。゜
□
▲
その間に
と、
「あーががががぁー」バチン。
▼▲
声と同時に手足叩き、
音と動きが周りのざわめきと共に止まる。
静かになると、丘の上から丸く編まれた竹の玉がいくつも広場に転がって、イスに群がっていた人が
「人間、人間、人間、人間」
と言いながら、一人竹の玉を頭から被る。
群がっていた他の人々も、少しずつイスから離れ
「人間、人間、人間、人間」
と輪唱して行った。
♀♀♀♀▲△
そして、竹の玉を両腕に付け、足に付け走る。
「そのエネルギーの源は、この青い空を己の物に、広がる海を全て抱え、
さらには無限の宇宙を手に入れ、
願う無限の欲望か!」
「無限に欲する事があるのならば、大地を踏み私は創造致します。」
「創造とは?」
「人間、人間」
輪唱は続き、広場を駆け巡る。▲▶︎▼◀︎▲
箱の横から老人が現れ、真っ白い髪が腰まで伸び、太い木の枝を杖にして、ゆっくり歩いて来た。
その老人の白髪を、くるくるっと薄緑色の
「タタタンタタタタッ」
リズムを打鳴らす。〓 〓
老人の後ろからシャカシャカと音の鳴る木の実が、いくつもいくつも回転しては、横に放り投げられて行く。
〓 〓
その後方、人が大勢走って来ては
「
「ブンブンブンと、
走りながら木の実を割って、一粒食べると、割った殻を両手で持ち、打ち鳴らす。
「年輪は描かずとも、明日の月日が見れれば、私は
走ってきた人が
〓 〓 〓
「創造性、感性の心根は、一体何処にあるのか。」
「月に尋ね、空を仰いでも、
「創造性を今、ここに身体震わせる程の感動を。」
◯ ◯ ◯ ﹆﹆﹆﹆
木の実の玉が次々転がり、それを割り、拾い、食べる。
白髪の老人の隣に横一列に並び人垣が広がり、その後ろからも、人が波になって現れる。
丘の斜面に駆け上がり、地に張り付く。
駆け上がるが、後退して行く者。
「
高いイスには、又、人が座り、
絵イスに腰掛け、木の実を食べる人や、
「
「わっわっほっほっ」
と走り回る。
太い丸太が人垣の奥から持ち上がり、
「大木を手に入れ、創造するならば、百、二百の
皆は「わっわっ、ほっほっ」
「
†
角の突き出た丘の上の人が飛び、衣服が
そして音が鳴り始めた。
「私が大木を手に入れたなら、この身体とこの音で、万の民を喜ばせよう。」
大地に響くリズムで、皆は踊り、腕を回す。
〓 ⁂ 〓 ⁂ 〓 ⁂
その男の人は、丸坊主の
軽快なリズムで体全体を動かし、丸太からは音が溢れてくる。女性が数名バク転し、足を高く上げ回転、と踊る。
僕にデザートを運んでくれた人達だ。
叩き始めると、リズムは身体に乗って不思議なメロディーを流す。
〓♫〓🎶〓♪‥‥‥‥‥‥‥
太陽が高く上がり、
僕は、パンフレットの表紙を光にかざして見た。
◉
和紙の凹凸と
漢字で
「己身」
とあった。
中に描かれた絵文字は、謎だらけで、
古代の絵巻物のようだ。
∴ ∴ ∴ ∴ ∴ ∴ ∴ ∴ ∴ ∴ ⁂
見ると、
リズムに合わせて踊っている女性は、肩や腰に巻いてあった布地を日光に勢い良く広げると、
「衣一つも、
と、声を上げた。
身震いする程のリズムで、広場は
僕には
だんだん映像が
コマ送りされているように見えて来た。
動いているのに止まっているのだ。
それを他の男の人が受け取ると、
地面に刺し
「この土を手にし、
丸太から二人降り、互いに手を合わせ、足を上げ引き頭を動かし、
くっつけるなど、
同じ動作をし始めて、、、、
これは、、、、、、、
パントマイムだ。
下を向き、肩を
後ろ背中合わせになると、走って行って美しい光る玉を持ち合わせ、ヒモに通す。
一人は
踊る女性に飾り付けた。
「
もう一人は絵イスに腰掛け、
それぞれがペアになり、
右へ左へ。
「
その間に燃える炎の
皆、
「城を建て、木々と共に住まえば、安らぎ、
「
大きな水車の歯車を転がし叫んだ。
「己の瞳を鏡に映し、二枚の鏡で挟めば、
永遠の
創造の現在の力で
「限りある
台の上に乗せ、紙のキューブを放り込むと、
水時計の音が鳴り響き、
太陽の光に向かって鳥も羽ばたき、
広場は熱く輝いた。
互いに拍手で
大きく声をだし、身体で表現し、走っていたのだ。
僕は皆のエネルギーに感動し、自分も肩に力が入っていたのか、
大きく息を吐き出した。
こんなに大勢の人々が、走り演じていたのを見たのは、初めてだった。
〓∴ 〓∵ 〓△ 〓∴ 〓∵
円盤鍋からは、湯気が立ち上がり、あの髪結い茶人が、
大きな笠を頭に被り着物の上には
「私達も頂きましょう。」
刷り場のパンフレットの人が声を掛けて来た。
「
「こちらもどうぞ。」
と言って丸いチップの厚紙を貰った。
「
と笑う。その
これは僕にも解りました。
「 」です。
「きっと、時が経てば気が付きますから、冊子も太陽にかざして見えたのと同じで、気持ちも前向きに明るく輝けば見えますよ。」
茶人の所に行くと、大きなやかんから、濃い茶緑色のお茶を茶碗に注いでいる。二つ並べられた
それをブレンドしては、お湯で流し蒸らすと、その
葉を
日射しも心地よく、皆公演をやり終えた
茶人は僕に気付くと
「
さ、どうぞ、
僕はお茶を受け取り、口に寄せた。
すっきりとしたお茶だが、味は無い。
甘苦い後味が、ほのかにするだけで、
味はあまり無かった。
あの
暗く、良く見えなかったが、
一つ、二つと、他の
雲路さんの演奏にも、何か意味があるのだろう。
ただ、茶人が昨晩、
僕は振り返り、丘を見上げ、
円形広場入り口を眺めた。
▲□▲
「
突然後ろから大きな声。
ラッパの様な物で語り始めている。
あの落語をしていた箱に、きつねがスーツ姿で立ち叫んでいた。
「
ラッパは、花の形をしている。
「ベルレベル。ベルレベル。日常的な流行の位置付けに、不必要だと排除されつつあるものとは?
発明を喜び進歩するは、誰の為なのか?文明の力で
必要を確認し、安全信用とコマーシャルリズムの回転木馬は、
きっと。
メガホン
きつねは、メガホン
その場で腕を振り足を上げ、行進すると止まり、メガホン
「一部分、一部分。」
反対に体を反らせ
「己の満足と世の満足を満たすは、
同メモリの大宇宙。
見切り発車で波に乗れと。上手くいったらお
発展と変化を全てに求めるは、
ニュールックとは言いがたく
きつねは、行進を止めると、シェーをした。
そして、
「資源とは!必要性の資源とは?人間の欲望と満足、価値の差別化を知り、創造するは何か!
己の力で立ち、身を
メガホン
きつねは、三回礼をして、
箱の奥へ消えて行った。
▽ ▽ ▽
「
まるまるとした顔の女の子が、まるまるとした
持って来てくれた。
大きな
米は醤油味が付いていて、ごまや木の実、豆など歯ごたえのある具が沢山入っていた。
「
「きつねの。」
茶人のお茶を飲み、看板とバスの彼がきつね?
では、丸太の人物は一体誰だ?
夜中に走り、粒を
「
洋洋へ向かうバスの中、同じスーツ姿で走る人物もいたが、あの人もきつね?
まさにきつねに包まれている状態だ。
講談も、はっきりとまだ僕には理解出来ない。シェーの意味は何だったのか。
エネルギーになる資源の力。
僕の欲望は何だろう。いや、人々の欲望か。
アルバイトに明け暮れて、コンビニ飯。
別に、日常の流行などは追っていない。
僕はただ、知りたいんだ。
部分部分と行進して、資源、資源と立ち止まる。
「己身」の己を、全て今の自分に重ねて見る事は出来ない。
洋洋の人々が古き良き時代を守り抜いているのは、きつねが力強く語っていた事だと僕にも感じとられたが、それぞれがきつねならば、
きつねは一体何者なのか。
きつねは、七人いるのだ。
∇ ∇ ∇ ∇ ∇ ∇ ∇
林の枝葉が揺れ、風がすっと通り過ぎた。
日射しは柔らかくなり、広場はくっきりと目に映る。
と、箱の入り口には行司さんが現れ、もう一人、後ろには、あのおじいさん、
その横には背の高い男の人も。
皆、茶人の所に行くと、お茶を飲み話しをしている。
茶人は、前後ろと、
着物姿で
/
「ほーっほーっ。彼が。そうでしたか。こちらに。」
行司さんと草野風さんが、僕の方に来た。
「洋洋にご無事で。
なかなかご
私も、 あの様な素晴らしい巾着を拝見させて頂いたものですから、何か古風新風と感じ足掛かりになるのではと。
年月も経ちますが
草野風さんのおじいさんは、にこやかに話した。
「ほーっほーっ。この
「バスの運転手さんに渡すようにと言われたのです。」
「ほーっ。今となっては、大変貴重な品。
洋洋にも残っておりません。
「
「最近織り上げた作でございます。」
と、草野風さんに差し出した。
「花染めされて、草木の色も良く、心落ち着きます。」
「露草や、
「ほーっほーっ。
「月日が経たれても、このお仕立て上がりと、美しいお色。
確か、玉も付けられていたはずですが。」
「知らずと、玉は、やはり消えていきますな。」
「ほーっほーっ。お仕立てよりも、宝に目がくらむのが
正し完成されたならば、この時代、再び万の民が憧れ、欲するのでは。
玉の魅力だけではございませんぞ。」
「しかし、鉱石は、やはり、私では扱いかねます。」
「
「ほーっほーっ。
「では、私がお頼みしますが宜しいかな。
草野風さんは、丘を見上げると手を振り、
そして、
「ほーっほーっ。なんとっこれは誠でしたか。」
「この様な巾着を喜ばれる方がいらっしゃるもので、創って頂けるなら、石はお持ちします。」
「ほーっほーっ。こちらの
「一つでも構いませんよ。気に入って頂けたらと、お持ちしたまでで。」
「まず私はお頼み致しました。
巾着はやはり、
草野風さんは、巾着を確認して、
彼女は、箱の
「こちら
ギラギラと光り輝いている訳でも無く、箱に座っているのだ。
宝石商か?いや、こだわって研摩されている姿を見ると、ジュエリー関係のアーティスト?
僕は、指輪など、まだ触れた事も無く、宝石なども勿論、実際に近くで見る事など無かった。
宝物を見つけたような気持ちになり、僕も嬉しくなった。
巾着を眺め、行司さんの顔を見てうなずくと、
巾着を箱に入れ、林へ戻って行った。
//
「良い風が吹くのではないでしょうか。」
「ほーっほーっ。龍巻でございますか、草野風様。素晴らしい
瑞枝子様も、石を使っての作、お知恵も使われる事でしょう。」
「ただ、私は
「なんと、
と行司さんは、そわそわし始めた。
「
「
ここは瑞枝子様も力まず、
草野風さんは、瑞枝子さんの傑作を知っていたのだろうか。糸を
といった、染め場での作業は、とてつもなく長い。
完成は、待ち遠しいが、
行司さんも、石は勧めていたが、
洋洋に伝わり、洋洋で創作する事は、特別な何かがある様に感じた。
そこへ、
「おおおおおー、よいせぇっ」
と、
「本日、
茶人のお茶を持ち、剛駿さんの所へ。
剛駿さんは飲み干すと、石像を円盤鍋の横に置き、茶人とこちらに歩いて来た。
「何も石像をお持ちになられなくても。」
「話は早い方が良い。」
剛駿さんは、茶人にさっと頭を結われ、先に丸い布で出来た玉の付いた笠を乗せられている。
「洋洋の
剛駿さんは、少しむせている。
「剛駿でございます。彫刻師でして。
茶人は茶の場に案内するが
「ほーっほーっ。剛駿様らしからぬお姿で、
「まずは、拝見させて頂きますよ。」
草野風さんと、
「洋洋この地も
そこには、手を差し伸べたくなる様な、お盆を持った子供の像が立っていた。
草野風さんは
「
「
千年に一度、闇の空から光る
なんとか、ご用意して頂けませんかのぉ。」
「
茶人は何を言い出すのかと、少し怒っている。
「ほーっほーっ。
「凝っては
草野風さんは、子供の像を一周り。
天空石とは、どんな石なのだろうか。
剛駿さんの笠に乗る
少し、お酒っぽい匂いも。
茶人は
「大地の恵も受けず、天空石とは、物珍しく幻を手にし、何を現すおつもりか。」
「
「ほーっほーっ。己と石と向かい合い、これまでの作にひょがいな事をなさっても、やり玉にあげられるだけですぞ。洋洋に天空石など、
「蚊食い虫がぁ、探し出すかぁ。クククク、何を
剛駿さんは、行司さんの羽衣を一枚取ると、自分の首に巻いた。
「千に一度の、天空石ですか、、、、。」
背高さんは、遠くの山を見つめていた。
▲▲▲▲△△△△
「
小さな太鼓を片手に持ち、きつねが再び箱から現れ、とんつくとんつく太鼓を叩くと、円形広場をぐるっと一周走り、箱へ。太鼓を持っているので、メガホン桔梗が、ヒモできちんと外れない様、口に取り付けてある。
「その余力のエネルギー。
必要性と神秘性へ、希望の
きつねは叫びながら言葉の合間に太鼓を打ち鳴らし、またシェーをした。
「時代スタイル、メーキャップ。」
「
「
「その再生の支えとは?!
きつねは、太鼓を腕に回すとやはり三回礼をして、箱の奥に入っていった。
▲□▲
「ごほっ、ごほっ。失礼。シェーですね。ここは皆さんこういった感じで。
君もほら。」
鳥が数羽、風に流れて、山高く飛んで行った。
〓
チリチリリン。チリチリリン。
林の奥から着物姿で化粧をした男性達が、自転車を漕いで来た。
しかも三台並んで。
「はーやーしーのなーかーのー。トラーイ。トラーイアングル♪」
リンゴをくるくる回し、
二台目の後ろの人は指揮をしながら、
三台目の後ろの人は
「林の中から、お待たせ致しました。ぱりぱりさくさく、もう止まらない。
と、リンゴボーイと輪唱し、自転車を箱の前に止めると、又、数人着物の人々が現れる。
そして、サドル後方から板が広がり、箱に幕が垂れた。
自転車の後方には、扉の付いた木枠が取り付けられる。
下げていた、
小さいトングと小さいヘラ。
パカパカと忙しく
甘い香りが漂う。ぎっしり並んだおせんべいをトングで挟むと、紙に置き、クリームを
人が大勢集まって来た。
昨夜、食べた物よりも一周りおせんべいは大きい。後方に起こした扉の木枠は、
その小さな人形は、
「いらっしゃいませ。からくり
と、言って、彼らは、木の丸いプレートをトランプの様に手に広げ、
「バタークリーム!バーニラクリーム!ナッツクリーム!」
「本日のお勧めは、りんご乗せりんごクリームご
ささっと木のプレートを開いては閉じ、集まって来た人々で、次ぎから次ぎへと売れて行った。
「始まる前に、ささ、私達も。」
茶人に付いて、僕らも購入。木のプレートを見せ、僕はお勧めリンゴクリーム。皆もリンゴを食べていた。
さくっと一口。上手い。このさくさく感は凄い。りんごもさくさく。
本当にダブルさくさくだ。
「あっははは、美味しいですね、これ。」
僕も次ぎにと、動こうとすると、木枠の扉がすーっと開き、時計が出てきた。
「カーチーコーチー、カーチーコーチー。」
時計の針が一秒づつ動き、文字盤の上にある四角い穴から丸い玉が見える。
文字盤が動くと、回転して微生物になり、魚、動物、猿人類と、進化が現され、人間に。
「おぎゃぁと泣けば、よしよしと。えんえん泣けば、はいはいと。わーわー泣けばうんうんと。よよよと泣けばそうそうと。おいおい泣けばまったくだよと、
にーんげーん、ココロ
時計の針が早く回り、カチッと止まりガチャッと文字盤が手前に開くと、そこから、まゆげの垂れ下がった少年が
「おれのー
時計枠から上半身から上がにゅっと出て、実際の顔から一回り小さく顔が描かれていた。
「そいじゃぁ、明日を探しておくとするかぁい。」
と言って下に引っ込むと、髪をおだんごにした婦人が出て来て、
「
風呂の
団子の婦人は、右へ左へ頭を持ち上げ手をかざし、くるっと回ると下へ降りて行った。
と、横から顔が出て
「小僧、こぞー、この米俵を
「へいへいへいへい、ありがとやーんす。」
「
「俺の明日が見つかったぁぁい。」
「カチーコーチ、おかずはいらんかなぁ。」
文字盤が開くと、
「おれの昨日は無くなったぁぁぁ。」
「ちょーいと、朝日が見えてぇきました。魚をついでに釣ってぇおいでぇ頼みましたよ。」
とととととっと。
「魚を腰にぶら下げてぇ、
「おーおー、そいじゃぁ、夕暮れ二俵の朝一俵、米五合の朝十合。帰りに味噌を持っていきなぁ。」
「へへへのへって、こりゃぁ有り難やぁ。」
「あらあら、小僧さぁぁん、その魚と交換しとくれ、味噌をやるからいいだろう。」
また横から別の婦人が。
「へいへいへいへい。味噌頂きましたからには、どうぞ。どうぞぉ、お召し上がりを。」
とととのとっと。
「おれの魚がなくなったぁぁい、釣って帰りぁなぁ元の
「カーチーコーチー。」
文字盤が閉まり、すぐ開くと
「小僧さん、起きて下さい夕暮れ時よぁおお。」「おれの昨日が。」
「
「船を押してぇ一匹かい?もっと押すからニ匹くれーい。」
「船を押すのは一回だ、小僧はとっとと家帰れ。」
「へへへのへ、まだ家には帰らねぇ、おれには
「どーもおはようございます。俵は
「
「おれの明日、米一俵?、こんなに上手い話は無いやい。」
「こりゃあ随分、りっぱな魚だ、米は合わせて十五合。味噌も頂いてくるなんて、なかなかお前もやるじゃぁないか。」
「そいじゃ味噌屋を始めるかいな。おれの魚が無くなったぁーい。」
「時は金なりぃ人情けぇ。」
カチーコチーカチーコチー。
「知恵の輪はずすも
寝る子は育つぅが、
時計塔にいたと思われる着物姿の人達が、幕が上がると大勢現れ、またそれぞれの籠を下げ、からくり煎が販売された。
「からくりぃー、おう、からくりぃー。
剛駿さんは籠を抱え、ばりばり食べると
「
「ああらあらあらこんにちは。海の物とも山の物ともつかぬのでは、困りますからねぇ。」
「ぐぁはははあ、
「剛駿さまぁ、
「
「ほーっほーっ。水時計を創られ、時をお忘れになりましたか。」
「聞こえておる。
「まぁまぁ、ご自分にも水路を創らぁれては。私どもは石こぎ、すり鉢、お頼み申します。
わんさか塔に山の幸ありぃ、穴ぐら住まいもぉ好きずき、
「ほーっほーっ。天空石とは申さずに、
「なんとぉ天空石ぃ。
「かっぱぁのいーしうすぅ、みーず時計ぃ、農夫ひぁくたい心にあれば、ぱりぱりからくり
からくり
「ほーっほーっ。と、では私どもも、参りましょう。」
まさかと思ったが、残された三台の自転車に、剛駿さん、
水が勢い良く流れ、パタパタと水車は回る。
建物の扉は全て閉まり、何処にも入り口が見当たらなかった。
皆は何処から、、、、
いや、僕も何処から入ってきたのだ?
水路林を走り抜けて行くのが、鉄橋からトンネルへ入って行った、あの時の感じに似ていた。
パーンッと鳴った音が水車の回転音と重なり、美しく並んだ過ぎ行く林が、トンネル内のライトと同じ間隔なのだ。
空高く伸びる林の中に包まれながら、僕は自転車を漕いだ。
﹅﹅﹅﹅
水時計に着くと、自転車を降り、田畑に続く水路林へ。
皆、剛駿さんの後に続き歩いて行った。
リンゴボーイは相変わらずリンゴを回転させ、一口かじっては回し、水路林で飛び跳ね、足や手を上手に使ってはジャグリングしている。
「洋洋の泉、星の数程と、水豊かなこの地に、なんともこれは、茶人が
草野風さんは、まず石像の数に驚いていた。
「勇ましい姿ですね、
大らかで、迫力もある。
あまり普段目にしないポーズもまた面白いですね。農夫であり、自身であり、心ですか?
農業という一つの職に対する深い熱というか、剛駿さんの念も感じますね。」
背高さんは、さくさくっと歩き、さまざまな石像を見て歩く。
水路林にずらっと置かれた
僕はもちろん担ぐ事も、彫る事もで きないし、ただ圧倒されていた。
「いいですね。この作品が僕は好きだなぁ、なんとなく嬉しくなりますね。」
と、手を
「
厳つ《イカ》い
一体、一体彫っては担ぎ、
僕もなんとかして、成功してほしいと、心が熱くなった。
剛駿さんは、かなり道の奥まで歩き、進んで行くと振り返り両手を挙げ、大きな声で話し始めた。
「さまざまな人間、風の姿はぁ、時に己の鏡になるがぁ、この
ワシのこの
草野風さんはうなずき感心して
「
と、木枝に包まれるようにして、屈み込む農夫の姿を見ていた。
「しかし、
「水田があるんです。洋洋の
凄い迫力ですよね。なんだか、勿体無いと言うか、、、、。水時計にも彫刻があるんですよ。僕は、ちょうど水が引いた時に見る事が出来たんですけど、石像も担げ!
なんて、ははは。
この作品も豪快で、本当に素晴らしいですよね。」
と、感動を伝えたその作は、
良く見ていなかった訳では無いが、逆にこちらを見透かされているようなこの像の真正面で、僕は思わず後ずさりをした。
「
○○○
◯◯
◯
◯
◯
リンゴボーイが、リンゴを一つ。
さっと返すと二つ、三つ。
僕らにもそれを手渡すと
🎶
♪よーこーそ、いらっしゃいました。果て無き土地をさーまよーいさがーし手にするはぁー
それでは私がご案内させて頂きまぁす。♪
リンゴボーイは剛駿さんにお
林の道は少し幅が狭くなり、
林の中には小鳥が沢山いて、全く逃げる様子は無い。
すーっと今度は道幅が広くなり、林の左右には所々に赤い実のなっている木が何本も立っていた。
🎶
「元気を食べて、元気をくれる、いちにっさん、いちにっさん、
♪はーやーしーのなーかーのートラーイアングル。
りんご食べれば
りんごの事なら、ワタクシ
🎶
絵に描いたようなりんご畑が現れて、勇ましい
小さな色とりどりの
太陽が水路を輝かせ、果物の良い香りで、リラックスしてきた。
小さな野リスが
揃うと、りんごの木枝に登っては交互に枝に飛び移り、僕達を確認している。
そして、足元をちょろちょろ走り回り、通行を妨げてきた。
「
リンゴボーイは、ジャグリング。
野リスが僕の肩によじ登り、結んであった袋をかじる。
するっとほどけた
野リスはそば団子を両手で抱え、鼻をクンクンいわせると、口にくわえ、
もう一匹はまだ足元から離れない。
剛駿さんの頭に登り、
「わははは。茶人も余計な事をしおってぇ。」
剛駿さんは、リンゴボーイからジャグリングしていた丸い玉を取ると、野リスのしっぽを掴み持ち上げて、
玉を野リスの鼻に押し付けた。
野リスは、ぱっと目を覚まし、
逆さのまま両手で掴むと、
リンゴボーイは、残りの玉を野リスに投げると、
「ハイ。オーケー
野リスに投げた丸い玉には、木の実などがぎっしり固められ、ナッツボールといったところか。
リスがそば団子を食べるなんて、聞いた事がないが、
ここで生産されているりんごは、
木に実っている状態からピカピカに磨かれており、りんごのガラス玉だ。
「あれ?」
・・’’・.・・本当に',ガラス玉だ。
「ほーっほーっ。
ポキッと枝から折り、掴むと、
ずっしりと重く、
さらに甘い香りがした・・,,・・
「りんご飴でございますか。これは楽し。」
草野風さんは、懐かしそうに楽しんでいるが、なんだか子供扱いされている気がして、僕は少し
しかし、甘い
🎶
「♪リーンーゴー
いやはや・,“”・・」
と、
==========================
♪♪♪♪++++++++ 紅悠倫太郎
ドコにでも参ります ♪♪♪♪+++++
==========================
リンゴ
「
「
「ほーっほーっ。良いではないですか。皆、楽しんでおりますぞ。
りんご紅悠、
彼について歩くと、林の中にはツリーハウスが建っていた。
大きな木と木を上手く使い小さな小屋がある。
下にも、もう一軒。
板が
壁からも所々に草花が咲いていて、鳥の巣も作られ、窓が上下と
「ここのぉ、アトリエの
「ほーっほーっ。りんごも実りそうですな。」
「リンゴもモチロンございますが、どウぞ、
家の中は、
部屋の奥に布の掛かった大きなカンバスが一点。これが作品なのだろうと期待した。
〓〓〓
〓 〓
〓〓〓
ささっと、布を取ると、
動物が楽器を演奏している絵が描かれていた○
色鮮やかでインパクトがあり、賑やかな抽象画だ○
「楽しい絵ですね。こちらにある他の絵も見ていいですか?」
「食事が楽しくなる絵ですね。こちらも。」
と、不思議な形の食器にフルーツや野菜が描かれていた。
他にも、あの野リスが
「
草野風さんが言うと
「からくり
アトリエの窓を数カ所開け、明るい日射しと草花の良い香りが入ってくる。置いてある絵画も並べ、壁に掛けると、ちょっとしたギャラリーだ。
「こちらの絵画のテーマは?なんというか、
「ソウデスネ。
僕なりの楽しさというか、
こうなんデスヨネ○
「あの、そのシェーって一体 何の意味があるんですか?」
「ン?は。は。は。これ、
「ああ。シェーじゃ無かったんですねぇ。」
「ああぁ。」
「ナチュラルかぁ。」
僕は少し納得したのだが、自然にと考えさせられると、岩にぶつかっている剛駿さんや、草木を扱う
◯ ⚪︎。
◯⚪︎。
◇㌧㌧ヤギ部屋がアトリエに運び込まれリンゴボーイと畑でジャグリング。
僕も日の当たる大木にツリーハウスを建てた。
野リスも
水路林に寝転んで、本を読み、リンゴ畑のお手伝い。
そうだ! 皆で楽しく食事なんてどうだろうか。
本も貸してあげれるし、
うん。これは、以外に出来るのでは?
岩は担げないが、収穫したリンゴ や、瑞枝子さんの衣装、刷り場のパンフレットなど、引っ越し屋のアルバイト経験もあるし、この洋洋の自然の中でなびき、従い、案外楽しく暮らせるのではないかと。草花の香り包まれ↓↓顔もほころんだ。
⚪︎◯
チ、チ、チ。コーシコーシ、カーラカーラ、チチチチ。
小鳥も
僕を支えにぐんぐん伸びると、体や頭の先まで巻き付いて、
僕の体も太り、大きく膨らむと、
↓↓僕は一本の木になっていた。
⁑
腕の先からりんごが実り、それをリンゴボーイが収穫する。
リンゴが一つ実ると、体が木になり枝になり、
顔からも芽が生えてくる。
僕は必至に体を揺らすが、まったく身動きが 取れない。
喉が渇き、激しくもがく。
鳥達は、僕に気が付かず、枝になった腕に止まっては鳴く。
チチチコーシコーシ><>< ... .... .... ...
喉が渇いているんだよ。
早く水を○○○○○○水を。
体中の水分が少なくなり、気を失いそうになった,・,・
’','・.. .. ’’、... ,。’ , , ,
しかし、僕は水時計の底にあった女神が子供を抱き抱える姿の彫刻、
親馬と子馬、
親鳥と雛鳥が寄り添い、
全てから守り抜いている姿を思い出し、
ゆっくりと、目を大きく開いた。
..... ..........
カーラカーラチチチ、コーシコーシ。
「ハイ。ドウゾ。お水デスヨ。」
「はっ」
と気付くと、僕はナチュラルポーズのまま、
数羽の小鳥に止まられアトリエに立っていた。
「コんナ感じでどうでショウか?」
正面にはリンゴボーイが筆を持ち、カンバスに絵を描いていた。
カンバスには、大きなりんごを頭の上で片手を持ち上げ、小さなリンゴを抱え込み、
人の走る姿が描かれている。
「バランスいいですよね。軸がしっかりしてますよ。」
「ほーっほーっ。瑞枝子さまの支えもあってか、
「僕?ですか?この絵の人物。」
一体どれ位、僕はナチュラルポーズのまま、アトリエに立っていたのだろうか、、、、。
固まっていた体勢を戻し手足を下ろすと、鳥達が僕の周りを忙しく飛び、耳元で鳴き始めた。
何を慌てているのだ。何か、僕に伝えようとしている。足がしびれていたのか、思わず前のめりになり踏ん張る。絵を見上げ、僕は、ふと、バスから見えたあのゼッケンの文字を思い出した。
「
そして、丸太の様な物を肩で運んでいた人物。目が合った彼は「僕だ」
「ドウシマシタ・カ?やはり長くポーズを撮って頂いてイタノデ、
疲れマシ タネ。」
「いや、あの、大丈夫です。」
「行司さんと走られてる姿は、なかなか林を守り、毒気を払う
「
リンゴボーイと
絵の感想を言おうとしたが、言葉に詰まり声が出ない。
ドアが開き、
「拝見させて頂きましたよ、ツリーハウス。折り畳み式の家具、テーブル一つでイスにもなり、寝転がる事も出来るなんて、アイディアものですよ。」
「大したものですな。木目も美しく、窓枠や、柱に収納と、細工も素晴らしい。」
「おう、あー、ツリーハウスはぁ、
「ほーっほーっ。お時間ございましたら、ご紹介を。」
「ワタクシ●リンゴ狂かとモ思われ
ガチデスガこれでも絵描きデスノデ
宜しくお願いシマス。」
「
「ほーっ。
「自分の巣があっても、こうやって飛んで来る。欲張っている訳では、無いんですよね。
洋洋で過ごし、自然と友に走って行くと。彼のこの絵からも、そこの所は伝わって来ますよ。」
「これもまた、りんごも彼も
ナチュラルポーズから林の中をリンゴ抱えて走る僕。
リンゴを育てながら絵を描いているというのも、大変な苦労だ。
このアトリエや
僕がポーズを撮り、彼は僕では無い僕を描く。
↓↓↓↓では、僕は?
大きなリンゴが何処となく光って見え、僕はカンバスに近付き両手で掴んだ。
「ぐぁははは、絵に描いた餅じゃぁ食えんのぉ。」
「ほーっほーっ。りんご
ならば
この時も授かり物ぞと思えばですぞ。」
行司さんは、はりきった様子でアトリエで創作意欲を掻き立てるが、競作という事は、まさか、、、、
モデルが僕?
それは困った。僕は今、この絵から解いている所なのに。
僕はそんな、、、、。
「行司どのぉ、
「ならば、天空石などとは、おっしゃらずに。
私は、今、そのものの作、極めて続けられ、
「行司どのの方が、遥かに大きくお考えされているのですな。
一つご提案なのですが、先程の
ご無理でなければ一度、お持ち頂きたい。
実は、集まりがございまして、お話をすれば解る者もおられると聞いておりますが。」
「なんとっ。誠でございますかっ、剛駿、良いお話ではないですか。」
行司さんは、
「その集まりと言うのは、私の娘が踊りをやっておりましてな。
その定期公演で飾らせて頂きたいとお願い致したいのですが。
水路林で拝見しまして、二体手を繋ぎ、空を見つめる石像が、今回の公演の一つ、現れ、と合いましてな。
剛駿さん、洋洋の地の思い詰まる作、一つ、お力添えをして頂けませんか。」
刷り場でのポスター、
草野風さんの娘さん、
桔梗坂町での定期公演、
踊る彼女のシルエット、
やはりあのポスターは、彼女だったのだ。
僕は、最初のパズルの一ピースが、少しづつ集まって来たのを感じ、
心踊らせた。
「あーごぉ
茶人の会もそうじゃがぁ。もう一つ、このワシに
「はい。私、
大変素晴らしい。
私としては、レーゾン・デートルと、存在でございます。
解って頂けましたか?
存在の現れとして、私、娘と全てにおいて舞い、踊り、表現し、公演を続けておるのです。」
「あなた様は、もしや、、、、、。」
行司さんは、
さっきまで浮かれた様子だったのに、何か考え込んでいる。
「ぐおっ、しかし、ワシの
「
「どうあるべきなのか、、、。どうありたいのか。私もぜひ見てみたいですね、剛駿さんの石像と舞踏を。」
「ぐぉほぉ、お話しぃ、わかり申した。
「
「ウェット&ドラーイ、という
ワタクシも
「天空石が天からの授かり物として、人を魅了するのも、出会いなんじゃないですかね。
このルビーも
リアリズムである所に、
イメージを創り創作表現として残す。
それは大地が変わっても、
洋洋を感じたからこそ、今回、草野風さんのご提案は、本当に素晴らしい。
この石の輝きに、何を思うか。
疑問がひずみ、攻撃や争いが起るのは悲しい事です。憧れを抱き、その
私は、とても楽しませて頂きましたので
それと、 りんごも使い、絵を描いて下さいませんか?
「ユーモアのある
「ワタクシ、リンゴ
この
と、
「コノ
タダその者達は、
「ほーっほーっ。そこまでで、ございます。
行司さんは、とても感激し、草野風さんの手を握ると、手の平を見つめて
「
と、力強く、礼をした。
○○○○○○○
「こちらにいらっしゃいましたか。」
外で人の声がする。開いていた窓から、トンボメガネを掛けた、管理室のおばさんが顔を出した。
「
「
呼び出すと、リンゴボーイと一緒に外のツリーハウスへ。
紅悠さんは、
梯子を渡り、箱とロープから下ろす。
「
「ほーっほーっ。花も実もあると、この
僕は、、、、、、もう一度あの絵を眺めた。
「
がぁぐぁがぁ、話しも
勇ましくも進めよ、
「
この絵の意味する所は、僕だってそのまま真に受けている訳では無い。
ただ、自分は、丸一日走りに走って洋洋にいる。こんな事はしていないし、客観的に見たって、僕じゃ無い。こんな大きなリンゴだって、、、
ある訳が、無いじゃないか。と、、、、、、、、、、。
考え始めた途端、 足が
「さぁ、では円形広場に行きましょうか。」
ちょっと、、、、、、、待って、、、
体が重くて、、、、僕は、動けない。
紅悠さんは、外から窓も閉め始める。
僕は、手を必至に動かし、前へ体を動かした。
すると、窓の隙き間から、鳥が一羽飛び込んで来た。と、同時に
「
ドアに向かっていた三人、窓から紅悠さん、行司さんも振り返り、
「ほーっほーっようこそ洋洋へいらっしゃいました。さぁ円形広場へ参りましょう。」
「
チチチチと
﹅﹅﹅
カラカラと自転車に乗り、
「行司どのもぉ、ワシらの事、
/////
‖‖‖‖‖
‖‖‖‖‖
「あ、
林の奥から男性が
「
「おー
「有り難うございます。僕、
「そうですか。
「
紅悠さんは、シードルを持ち上げ
🎶
「♪
お
「ぐぅぁはは、
「
林の中には水路があり、この道は、また
林の木が今までよりも太く、どっしりとそびえ立つ。
左手に太い大木が一本、
もしや、と思ったが、
僕達をお風呂に案内してきた
小屋の横には「
その建物の奥に、お風呂はあり、紅悠さんは木車を運ぶと・・,,・・’’・
「はい、ワタクシとサチオさん、
「
紅悠さんと僕は、引き車から束ねた木を小型の
・’'',‘
ざばぁぁーっと勢い良く湯を流す音が聞こえ、しばらくすると
「ワシはぁ、
「
僕は、切った
「
時に身を
「これも、
僕は炎を見つめ
「
ケガをさせてしまったんですよ。僕が、余計な事しちゃって。
吹き出す汗を拭いながら、僕は思わずお婆さんの事を話していた。
「
そうでしたか、、、、、。
「はい、あ、あの、火事は別の家なんですが、、、、、僕が助けようとして手を引いたら、、、、転んでしまって。」
引っ越し屋のアルバイトの事、本の事、近所の話など、
お婆さんと知り合いだったのだと嬉しくなり、僕は
⁂〓⁂
「
♪
ドウゾ、
僕は
﹆
引き戸を開けると、小さな引き出しが沢山付いたタンスが置いてあり、その上に草や葉が焼き皿の上に並べられていた。
足がむくみ、足首も
衣装を脱ぐと、腰回りがくびれ、肩が張り、姿勢が良く、逆三角形に鍛えられた身体つきで、、、、、、
、、、、これはまるで、
壁の横に掛けてある鏡で自分の顔を見たら、
﹆衣装はここに掛ける事﹆
大きなタワシやへちま、
僕はまっ黒く汚れた顔と体の汚れを落とすと湯に
﹆
最初は熱く感じたお湯は肌に刺激があったが、しばらくすると
湯から手を上げると、そのお湯は、するんと何かを持って落ちる。
天井の窓が開いているので息苦しさも無く、
熱くなってはブラシで洗い、何回か湯に入り、と、くり返した。
風呂の
﹆顔や体に貼るも良し、
横に葉っぱがざるに入れられてあるので、一枚取り足首に当てた。
湯に
肩にも乗せて湯に
﹆
僕は、熱い
見ると、足の
しかし、僕は、
大きなタオルが
そのタオルを頭から
タオルも温かく
すーっと林から風が吹き、鼻から空気を思いっきり吸い込み顔を上げると、目の前の
◆
◆◆◆
▲
「ヒルガオの
タオル、ワタクシ
「有り難うございます。」
「ヒルガオの
僕はもう一度、
◆ ◆
▲▲▲▲
▲ ▲
▲ ▲ ▲ ▲
近寄って見れば、またその大きさに驚く。下から上を眺めて
「焼き物なのですよ。
「クレソンを油で炒めただけですけど、どうぞ。」
「
「あの、お風呂有難うございました。大きいですね、この
「
「
「まぁそうですが、
「あ、
「それで?」
「いや、頂いた本に興味を持ちました。と、言うか、見つけた絵ハガキを、とても喜んで貰えて、
「頂いた本というのは?」
「焼き物の本と、美術本に、何冊かあるんですが、あと、おかずの本も。それと、踊りや旅の本なんかもあって。」
「
「いや、それは、、、、。」
「おかずの本、というのは愉快ですね、
まれに、この
「新風を巻き起こすなど、僕は、そんなつもりでは、、、、。」
妙なプレッシャーが僕に
羽が生えたと思ったら、もう閉じて行くのか。考えてみたら、
村全体が僕の本棚という訳でもあるはずも無く、、、、、。
からくり
初めて食べた物だったが、まさか、、。
少し気持ちが動揺して、
「
僕は
また一つ、二つと謎が増えて行く。プレッシャーも強まり、思いが耐えられなくなったのだ。
「四、五十年前では、
自分がまだ生まれる前の話なのだと、僕は理解し、
「この地もあの地もと、走る
林の間に置かれた木箱の
一つは行司さんの
そのうちの二点は、やはり茶人が振る舞っていた絵文字の
一点だけ、深い
そうだ、この
「もう一点、
僕が
暗く絵文字など気憶には無い。
僕は目を閉じ、手に収まった器を取った。
「掘り出し物でもありましたかね。面白い物を
「行司さんが
「ああ。こっちは、喜・産・創。
どうぞ、お持ち下さい。」
一つ一つ組み合わせは違うが、僕が手にした、考・動・実の三つからも、今までと、これからを、と僕の頭の中で何か少し変化してきている事に気付いた。
「
「
「僕は
「絵ハガキを見て、洋洋村まで来たとは、
まぁ、どうぞ、こちらの器を差し上げますよ。」
「、、、、、、本当にあるなんて。」
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