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かくして今日は、木曜日で区切りも悪いし。
この週末に各部活動の調整をして、月曜日から派遣部員、活動開始となりました。
なんて、ね。
本当は部活の調整なんて、とっくに完璧に仕上がってるそうで、やろうと思えば今から茶道部でお茶を立てに行ってもいいんだけど。
朝聞いた蔵人さんの歌を一刻も早く作りたくて、調整してもらったんだ。
『芸術』なんて言えるほど、大したもんじゃないけれど。
創作活動って、思いついた時に、さっさと音譜を書いとかないと忘れちゃうんだよね~~
自分で作ったモノってさ。
考えてる時は良いなって思っても、いざ時間が経って聞き返すと、スッゴく恥ずかしくなっちゃうから。
一気に書かないと完成出来なくなっちゃったりするんだ。
せっかくキレイな曲だし。
何気にCards soldierの未来もかかってそうな、蔵人さんの歌の完成形を、わたし自身も聞いてみたかった。
それに。
「もし、新曲が間にあったら、だけど。
二週間後の新入生歓迎会で蔵人先輩をCards soldierデビューさせるって」
神無崎さんがそう言ってたなぁ、と思いだしたら、井上さんは、目を見開いた。
「たった二週間で!?
まだ、作曲も出来て無いのに……!」
神無崎さん、無謀! って叫ぶ井上さんに、わたしは手を振った。
「確かに『作曲』は出来て無いけど『ヴォーカルが歌う曲』はもうあるし。
ダイヤモンド・キングな神無崎さんや他の助っ人を含めたメンバーがどれだけ上手いかは謎だけど。
宗樹は初見の楽譜でも、ピアノ演奏なら一週間で一応、ヒトに聞かせられる曲の形にはなるって……」
他のヒトビトは追いつかなくても、最低ピアノ&ヴォーカル曲にはなるらしい。
「つくづく、クローバー・ジャックって器用よねぇ」
井上さんは、感心したように息を吐くと、わたしの手をとった。
「じゃあ、こんな所で、のんびりしている暇無いじない!
二週間後の発表を成功させるためにも、一刻も早く新曲を書かなくっちゃね!」
「うん!」
井上さんと手に手を取って、第三音楽準備室に移動する。
教室から出た途端。
一瞬、視線が集まったけれど、うぁっと、集まって来る気配もなく、廊下を歩いてみることができた。
なんて、素適な気分!
入学した最初の一日目以来、人ごみをかきわけるばかりで、周りのヒトや風景を良く見る暇なんて無かったけれど、校舎から海が見える場所もあるんだね。
第三音楽準備室からも、キレイな景色が見えるらしいのに。
一番良い窓際は、もう宗樹と神無崎さんがいて、外を見る余裕もなく、何やら打ち合わせをしているのが見えた。
二週間後の発表に加え……やっぱりわたしの方の用事……マネージメントって宗樹の負担に……なってるよね?
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