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「……それで、宗樹連れて帰ろうと思ったらさぁ、もういねぇじゃん?

 仕方ねぇから、一人で帰ろうと思ったら、西園寺の後について歩いてるのを見つけてさ。

 ついでに、お前にも声をかけたって、ワケ」


 ……えっと、ついでですか、わたしの存在。


「昨日だって突然、宗樹帰っちまうし。

 あれも、西園寺を追いかけて出てったのか?

 事情を知らなかったら、宗樹、お前ストーカーに見えるぜ?」


 って神無崎さんは笑って宗樹を見……見られた彼は特に何も言わなかった。


 もう!


 ストーカー呼ばわりされたら、何か言い返せばいいのに!


「宗樹はストーカーじゃないもん!」


 何も反応しない宗樹にかわって、わたしが頑張っちゃった!


 それを見て神無崎さんは目をすぃ、と細めた。


「知ってるぜ、お前の執事だろ?」


「執事じゃないもん!!」


 思わず叫んだわたし自身も驚いたけど、一番驚いたのは、宗樹みたいだった。


 でっかい神無崎さんの後ろに半分隠れるようにして、ようやく動いた宗樹の表情を見た。


 ……彼は驚いたように、目を見開いている。


 そんなわたし達に気がつかず、神無崎さんは、頭を掻いた。


「うぁ……さすが西園寺、厳しいぜ。

 宗樹でもやっぱり、半人前のウソ執事だってことか?」


 そんなことを言ってるんじゃないわよ。


 けれども『そんなコト』を口には出せずに、わたしはうつむいた。


 宗樹はわたしの『何』なんだろう……なんて。


 心のもやもやを言っちゃいけないような気がしたんだ。


 それが……その立場が決まってしまうのが、怖かったから。


 ……


 そんな感じで、今日は神無崎さんを真ん中に置いて、なんやかやと話しながら三人で特に問題も無く帰り……最寄駅には、宗樹の呼んだウチの車が待ってた。


 せっかくの部活休みだから買い物して帰るっていう二人と別れて、一人。


 考えることは、宗樹のコト。


 くるくると表情を変えて笑っている宗樹の顔ばかりが浮かんでくる。


 最後に見た人形みたいなキレイすぎる顔が、殴られた傷を見るより痛そうだった。


 わたしと、宗樹の関係なんて、知らない。


 けれども、あんな澄ました……表情の無い顔なんて、もう見たくなかったんだ。


 ………………………………



 …………………

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