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「……俺達、Cards soldierの主要メンバーって、もともと夜中、バイク乗って遊んでた連中の集まりなんだよ」
「夜中に、バイクって!
もしかして、暴走族、ってヤツ……!?」
「うーん。どうだろ。
……ちょっと違うかな。
別に、ゴツくてうるさい違法改造車に乗ってるヤツはいねぇし。
あからさまに交通ルール破るヤツもいねぇな」
信じられる?
俺達集団で走っても信号赤で、ちゃんと止まるんだぜ、って言って宗樹はふっと笑った。
「走るメンバーも、ラインで勝手に集まって、気が向いた所で自由解散。
どっかの暴力団にも繋がってるわけじゃ無いから、上下関係もない代わりに、走るメンバーの本名も知らないヤツが多い……そんなトコ」
蔵人が君去津非公認バイク同好会、なんて言ってたけれど、ソレまったく大外れってわけじゃねぇな、と言って宗樹は息をついた。
「でも、まあ。
自由に走るって言ったって、集団になればリーダーがいる。
俺らのウチで、一番速いのが蔵人・ライアンハートだからな。
アイツを先頭に何度も一緒に走れば、知らない同士もいつか顔と名前を覚えるし。
大人に邪魔されねぇ、走れば面白い道を確保しようと思えば、敵対するチームと戦って、縄張りを守ることもある。
……って考えると、やってることは、暴走族と変わらねぇか。
一応、
どんなに真面目に走ってたって、夜間の集団走行の上に、喧嘩上等な時点で世間的にはアウトだろ?
俺ん家だって、西園寺の執事たるもの、乗り物を一通り運転できなきゃいけねえ、とかで、ガキの頃からサーキツドでミニバイクの練習をしてたけど。
十六才越えてバイクの普通免許を取っても夜、公道での集団走行がクソジジィにバレたら激怒もんだって判ってたからなぁ。
なんて宗樹は、苦く笑う。
「俺の事情を含めて、ワケありなヤツ。
こういう活動がバレるとマズイ連中が多くて、チームの皆は自分のコトをしゃべらねぇし。
色々面倒くさい上、自由に集合や解散を繰り返すこのチームの形だとなんかさみしくて、さ。
なんとなく物足りなかった所に、雷威神の中で音楽に興味あるヤツらが集まったんだ」
それがCards soldier。
音楽を演奏するには、時間を合わせて練習する必要がある。
コレはこれで面倒臭いけれど、その分。相手を知ることができたって宗樹は言った。
「バンド活動、楽しそうだったね」
「ああ、楽しいぜ!!
バイク乗って海岸走るのと同じくらいか、それ以上に!
仲間と一つの音楽を作って、全員の息がぴたっと合った時は、ここが俺の居場所かも、って思えるくらいステキだ」
部活紹介の様子を思い出して頷けば、宗樹は嬉しそうに笑った。
「でも、最初のCards soldierでは、実は楽器扱えるのが俺と裕也だけだったんだ。
ヴォーカル担当のスペード・エースもPCソフトで作曲するのが精いっぱいだしな。
一番音楽活動をやりたがっていた蔵人が音痴で、どんな楽器も歌も担当できずに、軌道に乗るまで大変だった」
「ええっと……やっぱり、蔵人さんって音痴なの?」
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