それなのに・・・

それから何故か誠は女子に果林は先生に呼び出されていた。要するに今、凛は1人きりなのだ。

それをいい事に凛は涼葉達に空き教室に連れていかれた。しかもそこは旧校舎なため誰も来ない所だった。だからどんだけ叫んでも助けは来ないのだ。

「ねぇ、あんた昨日誠君達と離れるって約束したよね?なのになんでまた一緒にいるししかも付き合ってるの?」

そんな事凛に言われても分からないのだ。

誠が凛の事を好きとか言い出したし・・・そんな事すら全てが奇跡だも凛は思っていた。

「そんなのわからないよ。私は離れるつもりだったのに2人がそれを許さなかったんだもん」

凛が言い訳をした事によって涼葉が切れた。

「だったらあんたにおもいしらせてやるわよ」

誠はみんなにとってのアイドル的な存在だったから取られたと思う人もいれば、誠が選んだ人だからと諦める人もいた。

そして涼葉達はそれを疎ましく思っている人達だったのだ。涼葉の怒りを買ってしまった凛はそれからしばらく殴られていたのだ。

(昨日晴の言うこと聞いておけばよかった・・・)

昨日の晴の忠告を今改めてそう思ったのだ。

晴は恐らくこうなるのだろうと思ったいたからあの時凛にこう言ったんだろう。

それなのに凛と誠は全く耳を傾けなかった事に天罰がくだったのだ。

「これで終わったと思うなよ」

それからしばらくして廊下から声が聞こえたんだ。“凛ー!いるのか!?”意識が朦朧としている中で誠の声が聞こえた事までは覚えている。

その声に安心したのか凛は気を失ってしまった。次に目を覚ましたのは保健室のベッドの上ではなく、自分の家の自分のベッドの上だった。そしてその横には誠と果林が心配そうに凛を見ていた。しかし次に凛が発した言葉によりその場の空気が重くなった。

「凛ちゃん!よかった無事で」

果林の嬉しそうな声

「凛?それは誰ですか?」

「凛、お前何とぼけてんだよ」

少し低い声で話す誠

「あなた達は誰ですか?というか私は誰?ここはどこなの?」

凛は記憶喪失になっていたのだ。

その言葉を聞いた2人は目が点になってしまっていた。

「凛?ほんとにわからないのか?」

少し焦ったような誠の声

それなのに凛は・・・・・・

「ごめんなさい、よく分からないの」

これは本気だという事を判断した2人は

「あなたの名前は鈴原 凛っていうの。そして私はあなたの友達の西谷 果林っていうの」

「んで、俺は成宮 誠って言うんだ。凛の彼氏だよ。そしてここは凛の家のベッドの上だよ」

誠と果林の説明に真剣に耳を傾けていた凛は

「そうなのですか。誠君は私の彼氏だったのですか。果林ちゃんも友達だったのですね。すみません忘れてしまって」

凛が凄く申し訳なさそうに話していた。

凛自身は全く悪くないのに自分を責めてしまうことは記憶を失っても変わらないようだ。

それなのに・・・・・・どうして凛は記憶を失ってしまったんだろ・・・・・・

それから、誠と果林は晴に事情を説明し後で親と病院に行く事を進めて帰って行った。

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