第283話 バレンタイン・デイ・・・その1

今年もやってきた。


バレンタイン。


昨年の義理チョコはクラス女子一括購入による気軽さだった。

まあ、5人組で別途行ったバレンタインケーキバイキングは結構楽しかったし。


さて、今年は。


「虚礼は一切廃止します」


ついにやってくれた!


わたしと生徒会長を争った片貝先輩の路線を踏襲する2年生の門田生徒会長が英断したのだ。


義理チョコは虚礼と決めつけて廃止。

友チョコも虚礼だから廃止。


「えー」


という反応をする男子生徒もいるにはいる。けれども女子からしたら、しがらみやら面倒くささがなくって、ありがたいことこの上ない。


けれどもこのことによって新たな問題が浮き上がった。


『本命チョコOK説』だ。


義理チョコや友チョコが虚礼ならば本命チョコは真実の礼を尽くすわけだから構わないんじゃないかという法の抜け道的な解釈があちこちでなされた。


そしてわたしがその問題に直面することになるとは。


「もよちゃん」

「ああ、ちづちゃん。どうしたの?」

「あの・・・友チョコもダメだからね・・・そのね・・・」

「うん」

「本命チョコ貰って!」

「ええ⁈」


ああ・・・・・・困った。

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