第241話 ランナーの落胆・・・その1

「あっ!」


呆気あっけなかった。


ほんの一瞬の出来事でわたしはリレーマラソンとフルマラソン初挑戦を断念せざるを得なくなった。


リレーマラソンの1週間前、フルマラソンの3週間前。調整に近所の運動公園の一周ちょうど1キロメートルのコースを20周走り終えて水道でふくらはぎを冷やそうと裸足になっていた時。広場をインラインブレードで走っていた女の子の前に駐車場を出た軽四が突っ込んで来たのだ。


咄嗟にわたしは女の子を抱きかかえてなんとか車を交わすことはできた。


けれどもその時わたしははずみで右足のつま先を思い切り噴水の縁石にぶつけてしまったのだ。


結果は、指3本の骨折と、ついでに爪も派手に剥がしてしまった。


生徒会長選挙の時よりも落ち込んだ。


リレーマラソンに出られないことを学校のみんなに謝った。みんなは気にするなとは言ってくれたけれども、走れないことがわたしにとってどれ程エネルギーを削ぐことになるかまでは分かってもらえないだろう。


もう、去年のような怪我をすることは何としても避けるつもりだったのに。


わたしが珍しく部屋に篭っていじいじしているとお師匠が入って来てこんなことを言った。


「久しぶりに2人でコーヒーでも飲みに行くか」

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