第85話 初デート? その6

「奈月さん、もしかして引いてます?」

「いや、そんなことない。そんなことないんだけど、今もよりが言ったような発想ってまったく持ってなかったから」

「あの・・・一応、”発想”じゃなくって、”事実”なんですけど・・・」

「ご、ごめん、もより。うん。もよりの言ってることは間違いない、事実だ」

「ありがとうございます。気を遣ってくれて」

「だから、気ぃなんか遣ってないって!機嫌なおしてよ」

「じゃあ、ついでに一つ、わたしのお願い聞いてくれますか?」

「うん、うん。いーよ。何でも聞くよ」

「もう、手首切ったりしないでくださいね」

「え・・・」

「さっき言いましたよね。時間は過去未来遡及するって。と、いうことは現在に起こる出来事もたちどころに影響しあうってことも言えるんです」

「うん・・・」

「だから、誰かがそっといなくなったら、その子の他にもう1人いなくなってしまう子がいるかもしれないんです」

「・・・・」

「わたし、こんな気がするんです。奈月さんがいなくなったら、わたしもいなくなるんじゃないかな、って。わたしと影響し合う人って奈月さんかもな、って思うんですよ」

「そ・・・っか・・・・」

「それに、もし影響し合わなかったとしても奈月さんがいなくなったら、わたしすごく寂しいし」

「うん。分かった。もう、しない」

「ありがとうございます。あ、ミートソースにパルメザンチーズ、かけないで貰えます?」

「は?」

「わたし、その匂い、嫌いなんです」

「・・・それも、分かった」

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