第24話 幼少期の終わり 下

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 馬車で一時間も行くと、目的地にたどり着いた。街の中心地からは大分離れ、民家などほとんど無いような自然が広がっている地域。寒冷な土地だから農業に向かず、主に酪農をしているらしい、とはコグバーンの言葉で、なるほど、雪に覆われていなければ、普段は牧草に覆われているのであろう広大な地域に面して、まるで海かのようにロシワナ湖が隣接している。


 ギャラルホルンへは、正面に出入り口が一つ――資材を運ぶためなのだろう、普段は地面に覆われているが、機械仕掛けで開閉する巨大なもの――その他無数に伸びる血管のような通路のから繋がる小さな出入り口が三つ、その他に湖の畔にある灯台――巨大な湖なので、元々は漁のために造られたものを電波塔とやらに改造しているらしい――が一つ。そして最後に、入ることは適わないが出ることだけは出来る、今回の逃走経路となる場所が一つ。現在一同は、目星をつけている入り口の傍の林から、辺りの様子を覗っているところだった。ネッドが望遠鏡を片手に、入り口に繋がる小屋を見つめている。少女自身は肉眼で、青年がレンズ越しに見つめている場所を注視する――警備として、グラハム・ウェスティングスのカラクリ兵士が数体、小屋の周りを回っていた。


 今回の作戦では、二手に分かれることになった。まず、敵の心臓を取るための襲撃組、これは少女とネッドが行う。もう一つは退路の確保をする組、こちらはポワカとグラントが担当することになった。この分け方になったのも意味がある。


『……燃料に、大量のエーテルライトを積んでいるはずだ。そうなりゃ、ネイは動力部の破壊に一番適している……こちら側に魂の残滓を繋げれば、一気にエーテルライトを消化できるからな。ネッドはネイの補助、万が一の場合はアンフォーギブンの力を使えるから爆発力もある』

「それで、ポワカは退路を造るのに一番適した能力を持ってて、さらに博士と通信できる。そのポワカを護るために、グラントをポワカに付かせる、だろ?」


 つまり、今の自分達に打てる理想的な配置がこれだった。少女の近くに居る博士と、少し遠くに居るポワカとが、何かやり取りをしている。


「……うむ、聞こえるぞい。ポワカ、戻ってくるんじゃ」


 博士がそう言うと、ポワカが右手に何かの機材を持ちながら、博士の方に近づいてきた。


「でも、地下でも通信できるデスかねぇ?」

「うーむ、実際は厳しいじゃろうな」

「ま、無い寄りマシ、位に思っておきますか」

「うむ、そうじゃな……どの道、やることは変わらんからのぉ」

「う、ん……そーデスよね……」


 ふと、ポワカの方を見ると、なかなかに緊張しているようだった。この中で一番なじみの無いグラントと行動しなければならないということ以上に、恐らく博士と別行動だから、それが不安なのだろう――少女がフォローに入ろうと思ったが、その前にグラントの方がポワカに近づき、跪いて目線を合わせた。


「……安心してくれ、とは言わない。だが、このマクシミリアン・ヴァン・グラント、命に代えても貴殿を護ってみせる」

「ふぁ!?」


 流石に恥ずかしかったのだろう、ポワカは顔を真っ赤にして、スカートを掴んで俯いてしまった。


「あのなぁヴァン、お前、父親が居る前で、そんな情熱的なアプローチをするのもどうかと思うぜ?」


 ネッドの方からツッコミなのかフォローなのか、実際は両方なのだろう、ともかく横槍が入った。ポワカの方は聞こえていないようで、「デスー……デスー……」と変な鳴き声を繰り返しており、グラントの方ははて、という感じでネッドの方を見返していた。ネッドの方はわざとらしく大きく息を吐き出した。


「……ま、お前に変な気は無いと言うか、大真面目なんだろうけどさ。でも、気をつけないと、いつか夜道で刺されるぞ?」

「相変わらず、お前はおかしなことを言うな、ネッド」

「お前ほどじゃねぇよ……でもま、ポワカのことは頼むぜ」

「言われずともな」


 男二人で頷きあい、一同は襲撃の最終確認を始めた。


 実際の襲撃は、隠密に行くより派手に行く方で決定した。理由は二つあり、一つはどうせ襲撃は予想されているのだから、下手に慣れない事をしても仕方がないという理由。比較的、隠密行動に優れるネッドでも、地下空間となっては隠れるところも少なく、あまり意味は無いだろうと言っていた。次点に、退路を確保するために、どうしても人手が必要で――それは、ポワカの機械人形でフォローすることになった。そのため、現在ポワカの横には、機械人形のジェンマを筆頭に、四体ほどの戦闘向き機械が並んでいる。とはいえ、アンチェインドやウェスティングスの機械人形を相手にするには少々役不足であることは否めないため、人形達を護るのもグラントの仕事になっている。


「さて、それじゃあ手筈通りにいくぞ……まず、入り口はアタシとグラントで制圧。その後、内部にはアタシが先行して、ネッド、博士、ポワカが続いて、グラントがしんがりだ」


 少女は言いながら、ライフルの包みを外し、短剣とリボルバーと組み合わせて、先に巨刃を精製しておいた。ここから先に出てくる連中は、魂無き人形達。それならば遠慮は要らない。


「……準備はいいか?」


 少女が言うと、男二人と一匹は頷き、少し遅れてポワカも頷いた。少女も頷き返し、林の中から一気に飛び出た。少女の横に、すぐさまグラントが並び、一気に小屋まで駆け下りる。門番代わりなのだろう、ウェスティングスの黒鉄の兵士達がこちらを向き――少女の横から盾が跳び、一体の人形が撃破される。


 次いで、自分の番。以前は機械人形には手を焼いたが、今は心強い味方がいる。


「ジーン、お願い!」

『鞘が無いと調子が出ないんだけどね!! 火薬を鞘代わりに使わせてもらうよ!!』


 ジーン・マクダウェルの声が聞こえるのと同時に、体が軽くなる――というより、体が半ば勝手に動き出す。引き金を引き、炸薬する反動を利用して横薙ぎ繰り出された剣速は音を超え――機械人形の体が、バターのように柔らかく切断された。少女は鉄の塊の胴と足とが切断されるよりも早くその横をすり抜け、先に居るもう一体に切っ先を突きたてた。

 少女が引き金を引き、辺りに螺子や歯車が飛び交うと同時に、残り一体もグラントの拳で粉砕されていた。後から追いついてきたネッドが、口笛一つ鳴らした。


「いやぁ、なんか君の戦い方、今更ながらにカッコイイよなぁ……ヒーローっぽくて」

「なんか久々にネッドのわけわかんない独り言を聞いた気がするな……」


 少女が呆れた調子で返すと、青年は無表情ながらにガッツポーズを取っていた。喜んでくれるのならまぁいいか、少女はくだらない思考はそこで止めて、改めて小屋の扉を開けた。中は随分と傷んでいるが、木の床の中央に不釣合いな鉄の階段があり、ここが秘密基地への出入り口の一つだということを暗示していた。


「さ、それじゃあいくぞ」


 階段を降りていくと、長方形に切り取られたような整然とした通路が続いていた。壁にはパイプが幾重にも走り、所々の穴から小さく蒸気が噴出している。辺りには、まだ敵兵はいないらしい、とりあえず真っ直ぐ進み、しばらく進むと三叉路に出くわした。


「……ネイ、道は大丈夫か?」


 後ろからネッドに声を掛けられたが、少女は振り返り、満面の笑みを返しておいた。


「ネッド、アタシがあんまり地図とか見るの得意じゃないと思ってるだろ? でも大丈夫」

『おぅ、右だぞアホ娘』


 そう、こういうのが得意なコグバーンが、しっかりとナビをしてくれるので無問題であった。ちなみに、図面自体はグラントが持っている。分かれてからでも道を確認できるようにとの処置だった。


『次の曲がり角の先に、機械兵士が二体居る』

「オッケー。ネッド、ちょっと待ってて」


 少女が躍り出ると、すぐさま機械人形たちが銃口を少女に向けた。しかし、射線は全て見えている――フリージアの刃で受け止めながら一気に接近し、一太刀で二体をただの鉄塊へと還した。


「……なんか、ほんとに俺いらないなぁ」


 刃を払っている少女の背中に、青年の声がかけられた。とはいえ、卑屈になっていっている感じではなく、自分を信頼してくれている、そういう意味合いでの台詞らしかった。


「うん、ここはアタシに任せて、といいたいところなんだけど……グラントに、敵が後ろから来てるって伝えて」

「了解」


 青年が手を上げて合図をすると、すぐに後ろから金属が砕ける音が聞こえてきた。

 

 しばらく進むと、辺りの壁の様子が段々と変わってきた。元々は近代的な鉄壁だったのだが、石で出来た壁に様変わりしていた。


「……なんだか不思議な壁だな」


 石を触りながら少女が言うと、後ろから一歩、青年と博士の足音が響いた。


「どうやら、ここもネイティブの古い遺跡みたいだな」

「うむ……ロシワナ湖や五大湖が作られたのには、何かしら古代人の力が働いておったのかも知れんな」


 少女のあずかり知らぬところで話が進んでいて、少々釈然としなかったのだが、その気配を察したのか、ポワカが後ろからぴょん、と躍り出てきた。


「ネーチャンは見て無かったデスけど、ここの壁はワナギスカ酋長に教えられた古代都市の壁に似てるんデスよ」

「成る程なぁ……まぁ、こんな地下にあるわけだし、悪いもん作るには絶好の場所だったんだろうな……と、ポワカ、下がって」


 正面から撃ち出された弾丸を切り落とし、少女は前へと駆け出した。


『どうやら、ここは古代の王に反発した勢力の拠点のようね。だから、湖の底に沈められた……』


 母の声を聞きながら、少女は機械兵士を両断した。着地の瞬間、落ちそうになった帽子を右手で押さえた。


「いや、アタシはその古代の王とやらをなんだか知らないんだが……」

『……おい、アホ娘。後ろから鉄の軍団が、大群で押し寄せてきているぞ』


 コグバーンの声が聞こえると、すぐさま喧しい足音が廊下に反響しだした。


「ちっ……グラント!」


 少女が振り返ると、迎撃する準備は出来ているということなのだろう、すでにグラントは後ろを振り返っていた。


「ネッド、ポワカ、博士、アタシに続いて!」


 ネッドがポワカを抱き上げるのを確認し、少女は正面に向かって走り出した。数体の機械人形を切り伏せ、少し後ろを除き見ると、グラントの盾が上に射出され、後ろの廊下の天井に突き刺さった。それと同時に少女の上の天井までヒビが入るのが見えた。


「あ、あの馬鹿……!?」

『いや、帰りにこの道を使う予定も無いんだ……ベストな判断だろうよ』


 コグバーンの声を聞きながら、少女は床を踏んで跳躍した。先には明るい空間が見える――少女は空中で回転し、着地と同時に二体の機械人形を切り払った。次いで、ネッドが空間に飛び込んでくる。それをフォローするため、少女は固い床を駆け出し、青年が着地する前に巨刃を構える。刃に銃弾が当たる鈍い音が響きのと同時に、崩落しかけた廊下の方から盾が跳んできて、少女達を狙った機械人形を粉砕した。


「……たく、無茶しやがる」

「だが、これで背後からの追撃は止められた」


 跳ね返ってきた盾をすぐに左腕に装着し、ポワカの蒸気人形の後ろ、天井が落ちてきた廊下の前に、グラントは息も切らさず、ただ腕を組んで立っていた。さすがは元黙示録の祈士――パイク・ダンバーを隠すためのカモフラージュだったといっても、やはりその実力は折り紙つきということか。


「はぁ……いやまぁ、その通りだけどさ……んで? ここはどこだ?」

『第二格納庫と言ったか、確か……』


 話の続きを聞く前に、唐突に少女達の方へスポットライトが浴びせられた。少女はまぶしさに一旦右手を額に当て、光の先を見つめる――黒いシルエットに、マントのような出で立ちが、広い空間上部の連絡橋に浮かんでいた。


「はぁっはっはっはっはぁ!! 愚図どもめが、まんまと罠にかかりおって!」


 男の声には聞き覚えがあった――黒いマントは白衣の裾だったらしい、グラハム・ウェスティングスが、橋の手すりを両腕で掴みながら楽しげに笑っていた。対して、光に対して臆することも無く、マクシミリアン・ヴァン・グラントが一歩前に出た。


「グラハム・ウェスティングス……ちょうど良いところに現れたな。貴様を拘束する」


 内部の機構を一番把握しているであろう、あの片眼鏡を捕まえたら、確かにここの攻略は楽になるだろう――しかし、ウェスティングスは広い額を手のひらで叩いて笑った。


「ぶぅあかめ! 罠にかかったという台詞がきこえなか……あひっ!?」


 言葉の途中で、グラントが投げた盾が男の横を掠めた。ラウンドシールドは宙で弧を描き、ブーメランのように再びグラントの手に戻った。


「貴様こそ降伏しろ、ウェスティングス。次は当てるぞ」

「な、なんちゅう無茶なヤツだ!? 貴様、正義の味方気取りではなかったのか!?」

「あぁ、その通り……だから悪にかける情けは無い」


 グラントが冷徹な瞳で男を見据えると、ウェスティングスの方は蛇ににらまれた蛙のように大人しくなってしまう。グラントが敵の祈士を釘付けにしている間に、少女は一歩下がり、ネッドたちのほうに近づいた。


「……ここから、分かれ道だ。アタシとネッド、博士はこっち」

「わ、分かってるデス……ボクは、あっち……デスね」


 少女二人で頷きあって、互いに行くべき道を見つめた。しかし、やはり自分や父と離れるのは心細くあるのか、ポワカは固唾を呑んで、通路の奥の闇を見つめていた。


「……ポワカ、大丈夫か?」

「……丈夫も、丈夫、大丈夫デスよ! トーチャンは、ネーチャンとネッドの世話を頼むデスよ?」


 覚悟を決めたのだろう、どこか固い表情でも、ポワカ・ブラウンはしっかりと笑って見せた。それを心強く思い、少女も頷き返したその直後に、上の方から白衣を派手に棚引かせる音が聞こえてきた。

 

「くっ……ブラウンのジジイ!! 今日こそ我輩の方が優れていることを証明してやる!!」

「ふむ……優劣こそワシは気にせんが、勝負には負けるわけにはいかん。勝たせてもらうぞ、ウェスティングス」

「はっ! ほざけ、時代遅れの鉄屑が! 小汚い原始人の娘ごと、葬り去ってくれるッ!!」


 ウェスティングスの暴言に、ポワカの肩が揺れた。それと同時に、普段の無口が嘘のように、怒りを顕わにグラントが盾を投げた。


「ほざいているのは貴様の方だ!」

「ひゃぁ!!」


 すでに攻撃が読まれていたのだろう、グラントの盾は、何か巨大な物体に阻まれ――ウェスティングスの前に巨大な鉄の塊が現れたかと思うと、広い空間内に機械の駆動音が響いた。


「まさか、ネルガルを復活させたデスか!?」


 ポワカが驚きの声を上げると、それに合わせて格納庫内の照明が一気に点灯した。そのおかげで、逆光で見えなくなっていた蒸気巨兵――あのゴーレムは蒸気ではなく、輝石の力で動いているので、正しい呼称ではないかもしれないが――姿を現した。


「その通りだぁ!! そしてぇ!!」


 白衣の男が指を鳴らすと、通路の方からまたぞろと、機械兵士達が押し寄せてくる。


「この地下格納庫を、貴様等の墓標にしてやる! 発明の圧力に押しつぶされるがいい!!」


 ウェスティングスが腕を振りかざすのと同時に、ネルガルの拳がこちらへ押し出されてくる。対して、ネッドが胸に指を押し付け――その前に、グラントが一足飛びに前に出た。


「……では、見せてやる、ブラウン博士の、いや、ブラウン親子の力をなッ!!」


 グラントの左腕が激しい駆動音を立て――肘から大量の蒸気が噴出され、その勢いで一回転すると共に、男の銀腕が巨大な黒い拳とかち合った。本来ならば質量で押し負けてしまう、どころの力の差ではないはずだった。しかし、振りぬかれたグラントの拳に対し、ネルガルの腕はピタ、と止まっていた。


「なっ……貴様……!?」


 ウェスティングスの目が見開かれる――驚くのも無理は無いだろう、少女だって驚いている。ゴーレムの力と均衡するほどの力、それは、黙示録の祈士がシーザー・スコットビルを髣髴させるほどの力だった。

 驚くウェスティングスとは対照的に、気合を入れるためだろう、マクシミリアン・ヴァン・グラントの目も見開かれた。


「……はぁッ!!」


 地下の空気を振動させるほどの気迫が発せられ、銀の腕と黒の拳の間に電流が走った。それと同時に、ゴーレムの腕が盛り上がり、ワイヤーや螺子、歯車をむき出しにしながら爆発した。そしてグラントの能力、セブンスドクトリンの斥力が発動したのだろう、そのままネルガルの巨体は背後の壁に激突した。


「ば、馬鹿なぁぁああああああ!?」

「馬鹿ではない。我が拳には魂が篭っている……そして、この拳を作り上げたブラウン親子の力を侮るな」


 金髪の前髪が吹き上がるほど、左腕から大量の蒸気が排出されている。しかし一息つく暇も無く、グラントは盾を一つの通路の方に投げた。その先には、ポワカが行かなければならない道があった。


「走れ! ポワカ・ブラウン!! 貴殿の行く道、必ずこのマクシミリアン・ヴァン・グラントが切り開いてみせる!!」

「わ、分かったデス!!」


 男が力ずくで切り開いた、もとい機械兵士をなぎ倒して出来た道を、ポワカと蒸気人形達が駆け出し始めた。


「い、行かせるかぁ!!」

「やらせん!!」


 ウェスティングスの命により、倒れたままの姿勢のネルガルの肩部が開き、ミサイルポッドが姿を現した。しかし、グラントの左手の指から銃弾が撃ち出され、ミサイルは発射されること無くそのまま巨兵の肩を砕いた。


「わ、我輩のネルガルがぁぁあああああ!? まさ、まさか、生身の人間なんぞに、押されているだとぉおおおお!?」


 発狂する白衣を尻目に、グラントが少女と青年の方を振り向いた。


「……私は、ポワカを追う! お前たちは、自分の道を!」

「よっしゃ、任せろ!」


 グラントが通路の方へ駆け出すのを見て、少女も駆け出した。その先には、すでに正気を欠いている主人とは裏腹に、正確にこちらを狙ってくる機械兵士達が居る。


「アタシの道は、アタシで拓くッ!!」


 少女の銃剣が邪魔な障害物を打ち砕き、その先に道が出来る。先にネッドと博士を通路に入れて、少女はその後を追い、押し寄せてくる兵士達を見据えて、口元を僅かに吊り上げた。


「……アイツのパクリになるが、ま、しゃーねーよな!!」


 少女は銃剣の切っ先を天井に掲げるのと同時に、その引き金を引いた。通路の天井に一気に亀裂が入り、すぐに崩落が始まった。少女は土砂が崩れ落ちてくるのよりも早く走り、青年と博士の後を追った。

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